広報・PR論入門 -岐阜大学をケーススタディに- 第3回 ブランド論の基礎 ( ) 担当:野原仁(地域科学部)
前回のポイント 広報(PR)とは、 政府・自治体・企 業・諸団体・個人が、自らと利害関 係者(ステークホルダー)や包括的 概念としての市民社会との間で、双 方向のコミュニケーションをはかり、 相互理解に努めることによって、良 好な関係を構築する活動の総過程で ある 広報(PR)とは、 政府・自治体・企 業・諸団体・個人が、自らと利害関 係者(ステークホルダー)や包括的 概念としての市民社会との間で、双 方向のコミュニケーションをはかり、 相互理解に努めることによって、良 好な関係を構築する活動の総過程で ある
本日の内容 ブランド論の基礎を学 ぶ ブランド論の基礎を学 ぶ
ブランドの定義 ある売り手が提供する財・サービス を、他の売り手のものと区別するた めの言葉・デザイン・シンボルおよ びその他の特徴のこと。また、結果 として消費者の中で形成される、 財・サービスについてのイメージの 総体 ある売り手が提供する財・サービス を、他の売り手のものと区別するた めの言葉・デザイン・シンボルおよ びその他の特徴のこと。また、結果 として消費者の中で形成される、 財・サービスについてのイメージの 総体
広報(PR)とブランドとの関係 広報の最大の目的=ステークホルダーと の間に良好な信頼関係を築くこと 広報の最大の目的=ステークホルダーと の間に良好な信頼関係を築くこと 信頼関係が構築されるために必要な前提 条件=①ステークホルダーに対して、自 らに関する正確で詳細な情報を伝達する こと、②ステークホルダーに自らのブラ ンドについて正確なイメージを抱いても らうとともに、ブランドに対してより高 い価値を認めてもらうこと 信頼関係が構築されるために必要な前提 条件=①ステークホルダーに対して、自 らに関する正確で詳細な情報を伝達する こと、②ステークホルダーに自らのブラ ンドについて正確なイメージを抱いても らうとともに、ブランドに対してより高 い価値を認めてもらうこと
ブランドの機能 保証機能:ブランドを付与すること で、高品質の財・サービスの提供を 保証する 保証機能:ブランドを付与すること で、高品質の財・サービスの提供を 保証する 識別機能:他の財・サービスとの差 異化によって、自ブランドを識別さ せる 識別機能:他の財・サービスとの差 異化によって、自ブランドを識別さ せる 想起機能:ブランドによって受け手 に特定のイメージを想起させる 想起機能:ブランドによって受け手 に特定のイメージを想起させる
ブランドの構成要素① マクドナルドを例にすると … アメリカ的ファストフード アメリカ的ファストフード 赤地に黄色の文字の看板 赤地に黄色の文字の看板 金色のMのマーク 金色のMのマーク ドナルド ドナルド 店員の元気なあいさつ 店員の元気なあいさつ メニュー メニュー 店内の様子 店内の様子 クーポン クーポン テレビCM テレビCM
マメ知識?
ブランドの構成要素② 理念・歴史=ブランド・アイデンティ ティ=こういうブランドでありたい! 理念・歴史=ブランド・アイデンティ ティ=こういうブランドでありたい! コード・スタイル:ブランド・アイデン ティティを具現化するための基本的な方 針 コード・スタイル:ブランド・アイデン ティティを具現化するための基本的な方 針 キャッチフレーズなど キャッチフレーズなど 主体・財・サービスそのものや、それら のデザインと価格 主体・財・サービスそのものや、それら のデザインと価格 シンボル(キャラクター・ロゴ・マーク など) シンボル(キャラクター・ロゴ・マーク など)
ブランドの構成要素③ 理念・歴史 コード・スタイル 主体・財・サービ ス・ 価格・シンボル
ブランド・イメージとブランド価値 ブランド・イメージ:ステークホル ダーが抱いている主体・財・サービス に対する印象 ブランド・イメージ:ステークホル ダーが抱いている主体・財・サービス に対する印象 ブランド価値:ブランドに対する評価 ブランド価値:ブランドに対する評価 広報は、ステークホルダーが抱くブラ ンド・イメージを正確に把握するとと もに、ブランド価値を高めるための、 一つの手段でもある。 広報は、ステークホルダーが抱くブラ ンド・イメージを正確に把握するとと もに、ブランド価値を高めるための、 一つの手段でもある。
ブランド・ピラミッド ケビン・ L ・ケ ラーが提唱し た、ステーク ホルダーの立 場から見たブ ランド価値形 成と価値向上 のモデル 共感
ブランド戦略 ステークホルダーのブランド価値を 高めたり、維持するための基本的な 考え方・原則・一貫した手法などの 総体 ステークホルダーのブランド価値を 高めたり、維持するための基本的な 考え方・原則・一貫した手法などの 総体 ①ブランド・アイデンティティ創造 戦略、②ブランド組織戦略、③ブラ ンド・コミュニケーション実行戦略、 に大別できる ①ブランド・アイデンティティ創造 戦略、②ブランド組織戦略、③ブラ ンド・コミュニケーション実行戦略、 に大別できる
ブランド・アイデンティティ創造戦 略 ブランドを構成する最重要要素であ るブランド・アイデンティティをど のようなものにするのかに関する戦 略 ブランドを構成する最重要要素であ るブランド・アイデンティティをど のようなものにするのかに関する戦 略 できるかぎり簡潔な言葉で表現する とともに、実行戦略を導き出せるも のでなくてはならない できるかぎり簡潔な言葉で表現する とともに、実行戦略を導き出せるも のでなくてはならない
ブランド組織戦略 決定されたブランド・アイデンティ ティを効果的に実行するために必要 な組織や意志決定の在り方について の戦略 決定されたブランド・アイデンティ ティを効果的に実行するために必要 な組織や意志決定の在り方について の戦略 重要なポイントは、①トップによる リーダーシップ、②ブランド管理者 の選定、③構成員の共通理解、④広 報部門の役割の明確化、などである。 重要なポイントは、①トップによる リーダーシップ、②ブランド管理者 の選定、③構成員の共通理解、④広 報部門の役割の明確化、などである。
ブランド・コミュニケーション実行 戦略 実際にブランド価値を高めるために、 どのような施策・活動を実施してい くのかを決定し実行する戦略 実際にブランド価値を高めるために、 どのような施策・活動を実施してい くのかを決定し実行する戦略 ブランドの構成要素である、コー ド・スタイル&主体・財・サービ ス・デザイン・価格・シンボル・使 用メディアの決定と実行 ブランドの構成要素である、コー ド・スタイル&主体・財・サービ ス・デザイン・価格・シンボル・使 用メディアの決定と実行
ブランド戦略の具体例 ルイ・ヴィトンのブランド戦略 1854 年に世界初となる旅行鞄の専門店と してパリで開業 1854 年に世界初となる旅行鞄の専門店と してパリで開業 その後は 一貫して高級旅行鞄製造・販売 業として地道に活動 その後は 一貫して高級旅行鞄製造・販売 業として地道に活動 1987 年にベルナール・アルノーが買収 → 明確なブランド戦略のもと、ファッショ ン分野にも進出するとともに、高級ブラ ンドとしての地位を確立する 1987 年にベルナール・アルノーが買収 → 明確なブランド戦略のもと、ファッショ ン分野にも進出するとともに、高級ブラ ンドとしての地位を確立する
「高級」というイメージの創出 130 年にもわたって旅行用鞄を製造・ 販売してきた歴史 → 伝統にもとづく 信頼感 130 年にもわたって旅行用鞄を製造・ 販売してきた歴史 → 伝統にもとづく 信頼感 高価格と、それに妥当性を与える品 質(高級素材を利用し、熟練工によ る丁寧な作り)&すべて自社工場で 生産 高価格と、それに妥当性を与える品 質(高級素材を利用し、熟練工によ る丁寧な作り)&すべて自社工場で 生産 値引き・セールをいっさい行わない 値引き・セールをいっさい行わない 斬新でありながら格調高い店舗 斬新でありながら格調高い店舗
ブランド・アイデンティティの堅持 と独自の解釈① ブランド・アイデンティティ= 「旅」 ブランド・アイデンティティ= 「旅」 この「旅」は、明示的な意味として の旅だけではなく、暗示的な意味と しての人生を示し、さらにはルイ・ ヴィトン製品が「人生の伴侶」であ ることも含んでいる この「旅」は、明示的な意味として の旅だけではなく、暗示的な意味と しての人生を示し、さらにはルイ・ ヴィトン製品が「人生の伴侶」であ ることも含んでいる
ブランド・アイデンティティの 堅持と独自の解釈② 人生 → 「常に変わらないもの」と 「常に変わり続けるもの」の両者が ある 人生 → 「常に変わらないもの」と 「常に変わり続けるもの」の両者が ある 定番であるモノグラムだけでなく、 毎年新製品を発表 → 新製品のうち、 人気のある品物は定番化し、人気の ないものは販売を中止 定番であるモノグラムだけでなく、 毎年新製品を発表 → 新製品のうち、 人気のある品物は定番化し、人気の ないものは販売を中止
ブランド・アイデンティティの 堅持と独自の解釈③ ルイ・ヴィトンは、ベルナール・アル ノーが CEO を務める複合企業体 LVMH (モエヘネシー・ルイヴィトン)の中核 企業 ルイ・ヴィトンは、ベルナール・アル ノーが CEO を務める複合企業体 LVMH (モエヘネシー・ルイヴィトン)の中核 企業 LVMH の傘下には、クリスチャン・ディ オール、ブルガリ、ヘネシーなど世界的 に有名な大企業がいくつもあるが、アル ノーの方針で合併はしない → 個々の企業 のブランド・アイデンティティを堅持す るため LVMH の傘下には、クリスチャン・ディ オール、ブルガリ、ヘネシーなど世界的 に有名な大企業がいくつもあるが、アル ノーの方針で合併はしない → 個々の企業 のブランド・アイデンティティを堅持す るため
本日のポイント 広報は、ステークホルダーが抱くブ ランド・イメージを正確に把握する とともに、ブランド価値を高めるた めの、一つの手段でもある。 広報は、ステークホルダーが抱くブ ランド・イメージを正確に把握する とともに、ブランド価値を高めるた めの、一つの手段でもある。 その手段を効果的に実行するために は、ブランド戦略が不可欠である。 その手段を効果的に実行するために は、ブランド戦略が不可欠である。
次回のテーマ 現代社会における広報の役割 現代社会における広報の役割 組織における広報担当者の役 割と実際の諸活動 組織における広報担当者の役 割と実際の諸活動