独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構

Slides:



Advertisements
Similar presentations
J.Kominato 個別ケアプラン作成の留意点 個別ケアプラン作成の留意点 J.Kominato.
Advertisements

社会福祉法人 しがらき会. 職場適応援助者(ジョブコーチ) 支援 障害者の円滑な就職及び職場適応を図るため、 ジョブコーチが事業所へ一定期間出向き、障 害者及び事業主に対して、職場適応に関する 様々な直接的支援や専門的助言等を行います。 最終的に事業所内部の自然な支援体制(ナ チュラルサポート)の中で職業を継続してい.
設置者・管理者の責務② ~職員の育成指導等~ 平成 26 年度 青森県障害者虐待防止・権利擁護研修 公益社団法人 日本社会福祉士会 平成 26 年度障害者虐待防止・権利擁護指導者養成研修から.
高等教育機関における軽度発達障害学生の支援について(2) 関東1都3県の大学・短期大学に対する2次調査の結果より
広義の自閉症と考えてよい。 知的障害のある「自閉症」「非定型自閉症」と、知的障害のない「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」などがある。
平成28年度 就労支援部会活動計画 1 1 就労支援部会 2 就労支援の課題 3 平成28年度活動計画
平成26年度大阪府通所支援事業者育成事業 事業所アンケート結果
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 職業センター
若者の早期離職を防ぐために c 日野美里.
Future Dream Achievement
神戸大学 発達科学部 人間環境学科 2回生 早瀬玖美子
※自分のストレングスと事業所のストレングスをそれぞれ枠の中に書いてください。
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 3 支援体制整備③ 医療・福祉・教育の連携
Ⅱ 訪問介護サービス提供プロセスの理解 Ⅱ 訪問介護サービス提供プロセスの理解.
      特別支援学校 高等部学習指導要領 聴覚障害教育について.
がんと就労 資料1 山内班計画 がん診療連携拠点病院等 【課題】 【課題】 就労や職場の現状、法律に関する知識なし
「存在の肯定」を規範的視座とした作業療法理論の批判的検討と 作業療法・リハビリテーションの時代的意義 田島明子
校内研修会 自己への気付きを基にした 児童生徒理解の方法
総合学科における インターンシップの取り組み
プレゼン資料(進行者用・研修者用) 校内研修会 学級の人間関係づくり② ~ SSTとアサーショントレーニング ~
保健学習の進め方・指導案の書き方 さいたま市立三橋小学校   豊島  登.
大分県立宇佐支援学校 グランドデザイン (平成28年度版)
裏面のFAX送付状で、7月31日(木)までにお申し込みください。
派遣型ジョブサポーター養成研修のご案内 広島県では,派遣型ジョブサポーターとして活動できる方を対象に,障害者の職場定着
別紙2 求職者支援訓練サポート講習実施状況 講習参加者属性 満 足 度 60名
重症心身障害児者等 支援者育成研修テキスト 5 ライフステージにおける支援① 各ライフステージにおける 相談支援に必要な視点
求職者支援制度 があります! 訓練受講で つながる就職  雇用保険を受給できない求職者の皆さまへ 職業訓練受講給付金 
「就労支援に係る相談支援機関」 障害者就業・生活支援センター 障がい者 自立・安定した職業生活の実現 雇用と福祉のネットワーク 福祉施設等
事例紹介(抜粋) ・特別支援学校高等部卒業後、近隣のB事業所へ2年通うが、トラブルを起こし、平成25年4月に退所。現在まで自宅で過ごしている。1か月経過した頃から「外出したい」と言うようになり、やり取りの中で不安定になる様子も見られ始め、支援に限界を感じ始めた。母が市役所へ相談。市役所は計画相談の対象として、市内のC相談支援事業所に計画相談の依頼を行う。C相談支援事業所はMさん・母と数回面接を実施し、サービス等利用計画を作成。Mさんの特別支援学校の同級生が3名いるK生活介護事業所を日中支援の場として調整を
独立行政法人国立病院機構 舞鶴医療センター認知症疾患医療センター 川島 佳苗
A型事業所の利用者サービスの質を高めるために ~「はたらくNIPPON!計画」 A型フォーラムin福岡~
介護予防サービス・支援計画表 記入のポイント.
知的障害のある人たちの実習と学生の教育を組み合わせたキャリア開発プログラム
知的障害・発達障害 と差別解消法 2013年9月28日(土) REASE公開講座:知的障害・発達障害と社会
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク
日本社会福祉士会方式 ケアマネジメント実践記録様式
若年性認知症支援コーディネーター設置等事業
地域ネットワークを構築 相談支援事業が核 甲賀地域障害児・者サービス調整会議(甲賀地域自立支援協議会)の運営 図3 約80機関で構成
長岡京市就労支援フロー図(福祉なんでも相談室)
輝いて、自宅で ~終わりよければすべてよし~
相談支援従事者初任者研修のカリキュラムの改正について
(相互に利益を得、円満な関係で良い結果を得る)の関係です。
天理市第1号訪問事業 (短期集中予防サービスC)について
<資料 2> 静岡市障害者自立支援協議会専門部会の活動状況について
(C)2011女性にやさしい職場づくりナビ.
就労継続支援B型事業所で行う個別支援計画の一例(案)
埼玉県立総合教育センター 特別支援教育担当
課題別の支援イメージ(例).
就業支援 実践研修 のご案内 平成30年度 沖縄エリア 受講料 無料 日 程 会 場 那覇第2地方合同庁舎1号館大会議室 定 員
いきいき笑顔応援プロジェクトによる支援の流れ確認シート
(現在困っていること,現在やりたいこと,将来やりたいこと・・など)
ダスキン サービスマスターの仕事 清潔で快適な環境づくりのお手伝い! 業務向け もっと たくさんある
ケアマネジャーとしての基本的なケアプラン作成について復習します。
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 2 計画作成① 重症心身障害児者等の 意思決定支援
(C)2011女性にやさしい職場づくりナビ.
10 就労継続支援B型事業所で行う個別支援計画の一例(案)
佐世保市 保健福祉部 長寿社会課 生活支援体制整備事業 第2回 地域づくりを考える勉強会 佐世保市 第1層 生活支援コーディネーター 成冨努.
佐世保市 保健福祉部 長寿社会課 生活支援体制整備事業 第3回 地域づくりを考える勉強会 佐世保市 第1層 生活支援コーディネーター 成冨努.
(参考)ツールを使ってニーズを整理する。本人を知るための地図
合同求人説明会 ★ ★ 第2回平成31年3月高等学校卒業予定者 13時~16時30分 (受付12時30分から) 企業ブースコーナー
発 達 障 が い 児 者 総 合 支 援 事 業 平成29年度予算 218,128千円
若年性認知症の人への支援 若年性認知症支援コーディネーター これらの支援を一体的に行うために を各都道府県に配置
CDP企画 ES攻略!!内定を獲る自己分析(2日目)
より多くの若者が活躍できるために ー若者就労支援現場の課題からー
地域療育センターによる発達障害支援にかかる 障害児通所支援事業所への助言・支援について
あいサポート条例(愛称)素案の概要 1 制定の目的 2 条例案の内容
実習プログラミングシート 時間 実習課題(ねらい) 具体的実習内容 必要となる知識等 指導担当者の留意点 例) アセスメント演習 例)
就業支援 実践研修 のご案内 令和元年度 近畿エリア 日 程 受講料 無料 会 場 CIVI研修センター新大阪東 定 員 40名 40名
精神科医療機関とハローワークの連携モデル事業の実施
Presentation transcript:

独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 甲賀地域障害児・者サービス調整会議 「特別支援教育部会」 2013年11月26日(火) 発達障害者のある方の支援 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構     滋賀障害者職業センター 糸 原  宏 明 

障害者職業センターにおける 発達障害者へのサービス、支援状況について ご紹介させて頂きます *障害者に対して ・職業相談、職業評価 ・職業準備支援 ・ジョブコーチ支援 *事業主に対して ・障害者の雇用管理に関する助言・援助 ・職場復帰支援(リワーク支援)

平成24年度滋賀障害者職業センター 新規取扱状況 ※新規利用者256人の内訳

平成24年度 職業準備支援 障害別利用者の割合 ※支援開始者41人の内訳

職業評価の視点 ~本人の課題を見極め、 対処方法を検討する~   職業評価の視点 ~本人の課題を見極め、                対処方法を検討する~ ◆指導の課題   まだ達成していないが、指導により達成が見込まれる課題。 ◆配慮の課題   まだ達成しておらず、今後も達成するのは難しいと思われる課題(達成するとしても、それには長い時間がかかると予測される課題)。      環境の整備や人的支援

職業評価   生活歴や職業経験の聞き取り、作業検査や模擬的就労場面(実際の職場に近い環境での作業)の実施等を通じ、ご本人のセールスポイントや、負担になりやすいことなどを整理し、適応しやすい職場環境などを知り、就職に向けた今後の進め方について考えていくことを目的にしています。 *就業支援の方針    本人を変える  ⇒職業準備支援   環境を変える  ⇒ジョブコーチ支援   ※就労の可否判定や職種を見極めるものではありません。今後の就労の進め方を検討するためのものです。

個人特性の評価 職業環境の評価・地域や雇用環境の評価 健康状態 体力 身体機能 など 性格 知的能力 学力 など 身体的側面 精神的側面 身体機能 など 性格 知的能力 学力 など 身体的側面 精神的側面 金銭管理 移動能力 社会生活      など 社会的側面 職業的側面 指示理解 作業能力 労働意欲 職業興味 など 職業環境の評価・地域や雇用環境の評価

評価における4つの側面 ①身体的側面 身長、体重、握力、荷物の運搬、健康状態 など ②精神的側面   身長、体重、握力、荷物の運搬、健康状態 など ②精神的側面   学力(漢字、計算)、知能検査(WAIS-R)、東大式エゴグラム、POMS、内田クレペリン精神検査 など ③社会的側面   社会生活能力調査票 など ④職業的側面   厚生労働省編一般職業適性検査(紙筆、器具)、ワークサンプル、職業レディネス・テスト、職業ストレス検査 など                     

作業面での特徴も評価しますが、ご本人の特徴的な考え方など全体像を把握します。 発達障害の方の評価のポイント ・障害の受容・自己理解  客観的に自分を見るのが苦手、自己肯定感の低さ ・考え方、行動、 ・コミュニケーションの傾向  受け取り方が特徴的 ・職業観  強いこだわり   ・ストレスの処理の仕方    別の視点で考える難しさ、不安感 ・作業上のつまずきやすさ  特性上のうまくいかなさ                     作業面での特徴も評価しますが、ご本人の特徴的な考え方など全体像を把握します。

職業準備支援 利用者(発達障害者)の傾向 ①職歴がほとんどない。 ②職歴あり。職場で不適応。 (あるいは、ごく短期の就労で離職。) 職業準備支援      利用者(発達障害者)の傾向 ①職歴がほとんどない。 (あるいは、ごく短期の就労で離職。)  →課題意識が薄い場合も多い。 ②職歴あり。職場で不適応。 →「どうしてだろう?」と考え、「障害かも・・・」と捉えはじめて相談支援機関等の利用開始。 →うつ病などを発症し、受診の際、「発達障害」と診断、告知される。 

◆ 職業準備支援 ◆ ・いろいろな作業場面の体験を通して職業適性を確かめます。 ・ご自身の対応スキルUPを図ります。 ◆ 職業準備支援 ◆ ・いろいろな作業場面の体験を通して職業適性を確かめます。 ・ご自身の対応スキルUPを図ります。  (職場で必要なコミュニケーションやストレス対処など) ・特性の自己理解をサポートします。 ・支援を受けながら作業することを体験します。 *受講期間:2~12週間程度 *時間:月~金  9:15~15:45    *個別カリキュラムによる支援 一人ひとりの課題等に応じた支援内容や、支援期間を設定します。 (費用は無料。ただし、交通費、昼食代等は自己負担) 受講者の特性に応じた カリキュラムを作成

発達障害者就労カリキュラム

●発達障害者就労支援カリキュラム ナ ビ ゲ I 職場対人技能 シ ョ ン 問題解決技能 ブ ッ ク 作 成 リラクゼーション技能 【スキル付与支援と自閉症スペクトラムの障害特性との関連】 ナ ビ ゲ I シ ョ ン ブ ッ ク 作 成 職場対人技能 コミュニケーション 職場でのコミュニケーションの基礎的スキル 問題解決技能 社会性 対人行動、身だしなみ等基礎的スキル リラクゼーション技能 想像力 不安や混乱となりうる事項への対処スキル マニュアル作成技能

Aさんの事例 ~職業センターでの取り組みを通して~

A Aさんの支援経過 職業準備支援(12週間) X年 夏 高校3年生 (学校の先生の勧めで医療機関受診⇒アスペルガー) Aさんの支援経過   X年     夏   高校3年生 (学校の先生の勧めで医療機関受診⇒アスペルガー) X年+2年 3月  介護関係の専門学校を卒業(試用期間中に解雇) X年+2年 5月  障害者職業センター利用(職業評価) X年+2年 7月  ケース会議 X年+2年 7月          ↓ X年+2年10月  X年+2年10月~ 障害者雇用・生活支援センター、障害者職業センター             でフォローアップ中 職業準備支援(12週間)

職業センターでの相談(職業評価)の中で・・・ 自分に向いている仕事をさがしたい A 職業評価の状況から見えた課題 *実習時にうまく質問出来なかった経験から、コミュニケーションにおける課題意識はある。障害についてはよくわからない様子(性格からきているものでずっと前からのもの)。 ⇒本人が気付いている課題だけではなく、障害の自己理解が課題 <ケース会議>  ご本人、母、ハローワーク、雇用・生活支援センター、職業センター 職業準備支援を提案 「障害の理解を深めながら自分に合った仕事をみつけていこう」

●職業準備支援の中で・・・① A A わかったこと ・定型、反復作業は得意だと思う。忘れっぽいけどメモを見返すと確実にできた。 作業支援+個別相談 できることは 何だろう・・・ A *模擬的就労場面で体験した作業  部品組立、検査、ピッキング、事務課題、袋詰め わかったこと ・定型、反復作業は得意だと思う。忘れっぽいけどメモを見返すと確実にできた。 ・慌てずに点検・確認すればミスは減ることがわかった。 A

●職業準備支援の中で・・・② A こんなふうに確認すればいいんだ! *SSTでの気付き 職場対人技能(SST) こんなふうに確認すればいいんだ!     A *SSTでの気付き ・他の人のロールプレイを見て、「自分もできるようになりたいと思った」。 ・「たとえ怒られることがあっても確認することは重要だと思った」

●職業準備支援の中で・・・③ A *講座『ジョブコーチ支援について』で気付いたこと 講座+個別相談 このようなサポートがあるんだな A *講座『ジョブコーチ支援について』で気付いたこと ・ジョブコーチ支援があることがわかった。相談しながらだと仕事の質が上がると思った。できれば活用したい。

●職業準備支援の中で・・・④ A *職場体験実習(食堂の食器洗浄) ・聞き方、質問の仕方がわかった(「これも洗うんですか」と意欲的)。 ・こうした方が良いよと言われ、見本を見せてもらえて直すことができた。 A

●Aさんのまとめ~体験からの気づきをふまえて~ ナビゲーションブックの作成 僕はこうです! A

●職業センターの支援を振り返って ~次の一歩に踏み出せたのは?~ ニーズ: 就職したい! でも、何ができるのか、わからない・・・ A 職業準備支援プログラムでの体験、相談を通して A 職場のマナーを知ることが出来て役だった。 面接のやり方や自分の長所を見つけられて良かった。

働くための土台をつくる・・・ ・自分のことを良く知る →できることがわかる。 ・自分のことを良く知る →できることがわかる。 ・どんな対処方法があるのか知る→自分に合いそうなものを選んでやってみたら、前よりもできた。 ・何か困ったことがあっても、こうすれば大丈夫・・・ (例えば、誰かと相談する。) 自分がわかってきた、 自分にできそう、やってみよう・・・ (自己認知が進む → 自己効力感) どのような経験を積むか? それをどのようにサポートするか?