「アタリ」に関するgeneralization 安高 山之口 原賀 米澤
ガイドライン
9.複合助詞的用法 Generalization 「XにあたってY」が複合助詞的用法であるとき、 ①比較的形式ばった状況にある。 ②X,Yの要素は日常的でないものや習慣的でないものである。 ③時間軸がX→YならXの成立に関連したYの成立、X←Yなら準備という 意味をもつ。
a. この本の出版にあたっては、飛鳥新社の野口英世氏にひとかたな らぬお世話になった。(飛鳥新社) b a.この本の出版にあたっては、飛鳥新社の野口英世氏にひとかたな らぬお世話になった。(飛鳥新社) b.選挙人名簿への登載にあたっては、農業委員会選挙人名簿申請書 が基になりますので、・・・。(広報あいづみさと) c.自衛隊の「海外派兵」にあたっての日本の内外での危惧は、日本が またかつての侵略、支配の道を歩むのではないか、・・・。(近代文芸 社) d.対策実行にあたっては定期的な報告とレビューを行うことが望まし い。(日科技連出版社)
① 花薗(2005)「~に あたって」について カジュアルな話し言葉では見られず、小説よりも新聞に多くあらわれる ことが分かる。 ⇒「XにあたってY」は比較的形式ばった状況でみられる。 新聞 小説 自然談話 770 27 0
「~にあたって」の定義 XがYを起こす契機になる ② a.非日常/非日常 転居にあたって隣近所へのあいさつを忘れてはならない。 b.非日常/日常 ?転居にあたって太郎はいつもあいさつを忘れない。 c.日常/非日常 ?夕食の準備にあたって、父が珍しく料理を手伝った。 d.日常/日常 ?夕食の準備にあたって、材料を購入した。 ⇒X,Yの要素は日常的でないものや習慣的でないものである。
③ a.野党党首は、予算の衆院通過にあたって、「今後、首相の責任を徹 底的に追求していく」との見解を発表した。 b.野党党首は、予算の衆院通過の時、「今後、首相の責任を徹底的 に追求していく」との見解を発表した。 →「~にあたって」:Xの成立とYが単に同時であることを意味しない c.書記長の訪中終了{?にあたって/の時}、秘書は風邪をひいていた。 →「~にあたって」:XとYは互いに関連する事柄である ⇒時間軸がX→YならXの成立に関連したYの成立という意味をもつ。
③ d.研究報告を発表するにあたり、実験の被験者を集めた。 (Y)被験者を集め、実験する → (X)研究報告の発表 e.新薬の開発に当たり 、その効果や副作用について調べる実験。 (X)新薬の開発 → (Y)新薬の効果や副作用を調べる ⇒時間軸がX←Yなら準備という意味をもつ。
3.接続語的用法 generalization 3の場合は句か節が前接する ①アタリの直前には内容が曖昧な指示語が付く 定義:ある事柄や出来事、意味内容を曖昧に表現する 意味:事柄に曖昧さを付与する generalization 3の場合は句か節が前接する ①アタリの直前には内容が曖昧な指示語が付く ② 〃 直前が句読点+指示語(句読点がない場合は挿入可) ③ 〃 直前の句・文節が動詞で終わる ①~③は句や節の中身のアタリの直前要素
3.接続語的用法 ① 3の場合はアタリの直前には内容が曖昧な指示語が付く 観光で訪れてもいくつか気づくことでしょうけど、実際住んでみれば 切実にそのアタリを感じることでしょうね。 いつも問題になるあのアタリも考慮して練られた企画書なのだろうか。 首席をやっているということもあって、さすがこのアタリは彼女の風格 を感じる。 内容が曖昧:特定の単語などで限定することができない。漠然と、だいたいこんな感じの内容、という程度の指示内容。
3.接続語的用法 ② 3の場合は直前が句読点+指示語(句読点がない場合は挿入可) だが、これはまた別の議論である。このアタリ、遺伝子診断とのから みについては次回、ゆっくりと考えてみたい。 過去と現在がごっちゃまぜになることがある。そのアタリを注意して 読んでいかなければならない。 前のスライドの指示語の前にも句読点はつけられる
3.接続語的用法 ③ 3の場合は直前の句・文節が動詞で終わる そのくらいのショックで落ち込むアタリをみると、彼はまだまだ子供だ。 両側から顔をしっかりと支えられているアタリに、まだおてんばぶり がうかがえますね。 地下鉄が走っているというくらいではしゃいでいるアタリ、彼はかなり の田舎者だ。
3.接続語的用法 1 3 1と3の区別 場所を表すアタリ/意味内容を表すアタリ a.「この本のはじめアタリに書いた内容」 場所を表すアタリ/意味内容を表すアタリ a.「この本のはじめアタリに書いた内容」 b.「この本のはじめに書いたアタリの内容」 純粋に前接要素を見る a.→アタリ=本のはじめ(場所) b.→アタリ=はじめに書かれた内容(意味内容) 分類 1 3 前回の発表時はaを3に分類するものとして紹介した。 今回改めて定義しなおしたものをもとに考えれば、aは用法1、bが用法3。 前接要素に着目、aは名詞が前接しているがbは「この本のはじめに書いた」という句が前接、直前の要素は動詞なので③に適合。 ex)「このステージの真ん中アタリで演奏したバンドが上手かった」→分類1、「このステージの真ん中で演奏したアタリのバンドが上手かった」→分類3
4.接続語的用法 generalization 分類4「例示」の用法の場合、助詞「の」が「アタリ」の前に置かれない。 分類1「場所」の用法の場合は、アタリの前に助詞「の」が置かれてい てもよい。 例文.今度のプロジェクトの責任者は山田君あたりが適任だ。 例文.モーツァルトにも同じことがいえるし、莫大まではいかなかったが、 結構収入のあったシューベルトあたりも、似たような晩年を送っている。
→分類1「場所」を表す「アタリ」との区別が問題。 a.下関あたりまでやってきた。 b.次の旅行は関東あたりにしてみないか。 b.の場合、今度の旅行は関東【の】あたりにしてみないか。 →「関東のアタリ」は関東周辺を表す意味になる。 →「例示」の用法において、「関東」は選択肢の1つに過ぎない。 ・「場所」を表す「アタリ」は名詞として用いられることもあるが、「例示」 の場合は接続的な機能としてしか用いられないため。
課題 内容がガイドラインに引っ張られてしまった。 Generalizationを作成する手順が上手く設定できなかった。