医療計画(精神疾患) 指標の活用方法等について (平成24年4月27日説明会資料) 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 社会精神保健研究部 伊藤 弘人
厚生労働大臣は基本方針を定める(第30条の3) 医療法と医療計画 医 療 法 厚生労働大臣は基本方針を定める(第30条の3) 厚生労働省告示改正 (平成24年3月22日) 「医療提供体制の確保 に関する基本方針」 医政局長通知 (3月30日) 厚生労働大臣は、技術的事項について必要な助言ができる(第30条の8) 「医療計画について」 医政局指導課長通知 (3月30日) 「疾病・事業及び在宅医療 に係る医療体制について」 医療法(昭和23年法律第205号。以下「法」という。)第30条の3第1項の規定に基づき、医療提供体制の確保に関する基本方針(平成19年厚生労働省告示第70号。以下「基本方針」という。)が、本年3月22日に改正され、本年4月1日からの適用とされたところである 都道府県は基本方針に即して、かつ地域の実情に応じて医療計画を定める(第30 条の4第1項) 医療計画 (各都道府県)
医療法(構造、医療安全、医療監視、情報提供、病床、医療計画) 医療の質の評価と改善のメカニズム 専門家 支払者 第三者評価 (1997-) 利用度審査(レセプト) アカデミア ケアプロセス 学会認定 スタンダード(指針) 患者の選択(2007) 利用者・患者 医療提供者 情報提供 (2007) 法律、政府 地方自治体 わが国における、精神科医療の質の向上のメカニズムを、簡単に図示したのがこのスライドです。 医療提供が、利用者に医療を提供しているわけですが、その医療提供者、法律や政府・地方自治体から規制を受けています。また専門家集団として、学術団体から認定制度があったり、ガイドラインなどのスタンダードが示されています。また第三者機関が評価をしたり、支払者が、医療提供者から請求された医療費の内容を審査しています。 また、利用者は、医療法という法律に基づいた各医療機関に関する情報提供がなされ、医療機関の選択ができるようにされています。 しかし、この情報の内容は限定的で、支払者、学術団体そして地方自治体は、相対的に影響力が強くなく、強化されることが期待されています。これが構造上のチャレンジです。 Changes in the Remuneration System for Psychiatric Care in Japan - Views and Consequences - 精神保健福祉法 (例:精神保健指定医、精神医療審査会) 健康保険法(診療報酬) 医療法(構造、医療安全、医療監視、情報提供、病床、医療計画) 医療計画(2007) 医師法等の身分法 Ito H. Changes in the remuneration system for psychiatric care in Japan. Die Psychiatrie 2011.
精神保健医療福祉マトリックス:定義と例 (A) インプット (B) プロセス (c) アウトカム 定義 投入した資源 サービスを提供で行った活動 機能、有病率、死亡率などの変化 国・地方 (1A) 精神保健医療福祉関係費、法律、政策 (1B) 入院率、ガイドライン、標準ケア (1C) 自殺率、ホームレス率、等 (2)地域 (2A) 病院・地域ケアのバランス、ニーズ測定 (2B) サービス利用数、評価活動 (2C) 自殺率、アウトカム集計、身体合併症・依存症率 (3)患者・ 利用者 (3A) 利用者個人にニーズ測定 (3B) 継続性、ケアプロセス (3C) 症状の軽減、満足度、生活の質、障害の程度 今回の中間報告書の特徴、先進的な部分も多くあります。 ひとつは、市町村・都道府県を明確に位置づけていること。この図でいう「地域」部分が希薄でした。 もうひとつは、「プロセス」と「アウトカム」に力点が移行していることです。 Thornicroft G & Tansella M. The Mental Health Matrix. Cambridge press, 1999. 4 4
既存資料による指標の作成・提示例(埼玉県)* 外来指標、入院・在院指標、社会復帰指標、地域・行政関連指標、その他の指標で全国平均からの変位と変化を図示 注:平成7年~16年のデータに基づいて作成されている。 *岩﨑榮.精神保健サービスの評価とモニタリングに関する研究.平成14~16年度厚生労働科学研究総合研究報告書.2005.
なぜ今、指標か 今回の改正で、「課題の抽出→数値目標→施策→評価→改善→施策→・・・」が強化されたため http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_a-2.pdf
指標のイメージ 目標項目 現状 値数値目標 目標達成までの時期 実施する施策 評価体制 1年後 ○年後 最 終 評 価 数値 施策・事業の ○抽出された課題をもとに目標項目・数値目標を設定し、施策・事業を策定(plan)・実施(do)、評価(check)、改善(act) 目標項目 現状 値数値目標 目標達成までの時期 実施する施策 評価体制 1年後 ○年後 最 終 評 価 数値 施策・事業の 達成状況価 今後の取組方針 数 値 今後の方針 急性心筋梗塞地域連携クリティカルパス導入医療圏数 2医療圏 5(全)医療圏 3年後 地域連携クリティカルパスモデル事業 医療審議会 3医療圏 全体的に順調 比較的順調 一部に努力を要する 全体的に努力を要する 現在の事業を継続 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_a-2.pdf
精神疾患の医療体制(イメージ) 参考 時間の流れ 重症度・生活障害程度(・社会的緊急度) 【社会復帰(外来)】 【予防】 急性増悪の場合(入院) 身体合併症、 専門医療 等の場合 <地域における精神科救急医療体制> ○初発・初回入院(強い自殺念慮等) ○他害性ある場合 ○非任意入院 <自院の患者への各病院の救急> ○増悪時の入院治療 身体合併症 等 <BPSD*> *Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia (認知症の行動・心理症状) ○精神障害者の 身体合併症 ○身体疾患患者 の精神疾患 ○重度患者 重症度・生活障害程度(・社会的緊急度) ○○精神科救急病棟、 ○○精神科病院 等 発症 連携 ○○精神科病院 ○○一般病院 ○○専門医療センター 等 ○地域移行支援 ○地域定着支援 ○生活技能支援 ○就労支援 ○職場復帰支援 【治療~回復】 (早期発見・治療方針決定) 初期評価 職域健康管理 (産業医・健康管理室等) ○初期評価・治療 ○適切な治療への振り分け ○治療抵抗性の判断 連携 【アクセス】 障害福祉サービス事業所、介護サービス事業所 等 ○○疾患医療センター(認知症等) ○○精神科診療所 等 障害福祉サービス 事業所、相談支援事業所 等 連携 ◆産業医(健康診断、就労上の措置) ◆職場復帰支援(復職判定、試し出社フォローアップ) ◆予防 (ストレスチェック、管理職・社員教育、個人相談 4疾病5事業の図と同様に、横軸を時間の流れ、縦軸を重症度・医療密度の高低で、6つの要素を示してあります。 左下の初期・かかりつけ治療から右下の精神科外来による維持期治療という流れがあります。 まずは予防であり、早期発見・早期治療です。 身体疾患患者の2割程度は抑うつ症状があり、その中には治療抵抗性のあるうつ病の方も少なくありません。かかりつけ医と精神科医療との連携は紹介加算などの診療報酬も平成20年に新設されています。 また、自殺念慮などで緊急の対応が必要な場合や、措置入院などが必要な場合は左上の精神科の入院医療が必要となります。初回入院は精神科医療との最初の出会いであり、特に丁寧な対応が求められます。 多くは、退院して、右下の維持期治療を外来を受けることになりますが、一部は左中央のオレンジ色になっているリハビリテーションを受けて退院することになります。うつ病で休職していた従業員で、いきなりフルタイムでの復職が難しい場合のために、最近では職場復帰プログラムを行う医療機関もあります。 さて、精神疾患の中には、周期的に増悪することがあり、まずは訪問型アウトリーチで濃厚な支援をすることが理想ですが、場合によっては右上の増悪時入院治療を受けることになります。 認知症の中でBPSD、行動・心理症状が出現する場合も、入院医療を受けることになります。 高齢長期在院者および合併・併存症の治療は、右中央の要素です。ただし、この要素は明確に2つの機能をひとつにまとめています。ひとつは、重度慢性精神障害者の地域移行であり主に単科精神科病院、もうひとつは身体疾患と精神疾患の合併・併存症治療で主に一般病院の精神科が関係します。 ******************************* 今回の資料はこれでよいですが、少々複雑なので、「うつ病」、「統合失調症(初発)」、「認知症」を例にしたバージョンの図も作っていただけませんでしょうか?→ 医療計画(精神疾患)を作成する際に、参考として添付したいと考えています。 初期・かかりつけ医治療 ○服薬中断防止 ○アウトリーチ 【社会復帰(外来)】 ○スクリーニング ○初期治療 ○○病院○○科 ○○診療所、○○歯科診療所、○○薬局 等 ○○精神科病院外来 ○○精神科診療所 ○○訪問看護ステーション ○○薬局 等 <自院患者への対応> 【予防】 発症予防・自殺予防・社会復帰支援(地域保健・学校保健) 時間の流れ 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 伊藤弘人部長資料 一部改変
精神疾患の医療体制構築に係る現状把握のための指標例(別表5)* 予防・アクセス(うつ病含む) 治療・回復・社会復帰(うつ病を含む) 精神科救急 身体合併症 専門医療 構 造 指 標 ○かかりつけ医等対応能力向上研修参加者3) ◎P医療機関数6) ◎医療圏のP救急医療機関数3) ◎P救急・合併症対応施設数3) ◎児童思春期病棟数11) GP連携会議開催地域数・紹介システム構築地区数 ◎P医療従事者数(各職種)7) ◎精神医療相談窓口・P救急情報センター開設状況3) ◎救急救急センターで「精神科」を有する施設数6) ◎小児入院医療管理料<5> 11) 往診・訪問診療P医療機関数6) ◎P救急入院料・急性期治療病棟11) ◎入院を要する救急医療体制で「精神科」を有する施設数6) ◎重度アルコール依存症入院医療加算 11) ◎精神科訪問看護実施機関数6) ◎P救急医療体制整備病院・診療所数6) ◎Pを有する一般病院数6) ○医療観察法指定通院医療機関数12) 過 程 ◎保健所等精神保健相談・訪問指導数1) ◎P地域移行実施加算11) ◎P救急医療機関の夜間・休日受診件数・入院件数3) ○副傷病名の精神疾患割合8) ○在宅通院精神療法20歳未満4) ◎精神保健福祉センター相談・訪問指導数2) ○非定型抗精神病薬加算Ⅰ(2種類以下)4) ◎P救急情報センターへの相談件数3) ○P身体合併症加算4) 向精神薬薬剤種類数(3剤以上処方率) ◎人口当たり年間措置患者・医療保護患者数2) 抗精神病薬単剤率 ○隔離・身体拘束数9) ○P社会復帰施設等利用実人数9) ◎精神障害者手帳交付数2) ○Pデイケア等利用者数9) ○P訪問看護利用者数9) アウトカム ○こころの状態5) ○1年未満入院者の平均退院率9) ○在院期間5年以上かつ65歳以上退院患者数9) ○3か月以内再入院率9) ◎退院患者平均在院日数8) ◎自殺死亡率(人口10万あたり)10) P: 精神科 ◎必須指標 ○任意指標 1) 地域保健・健康増進事業報告 2) 衛生行政報告例 3) 事業報告 4) ナショナルデータベース解析 5) 国民生活基礎調査 6) 医療施設調査 7) 病院報告 8) 患者調査 9) 精神保健福祉資料(630調査) 10) 人口動態統計 11) 診療報酬施設基準 12) 指定通院医療機関の指定 *2012年4月厚生労働省通知を改変
医療機能からの評価(総括表イメージ案) 領域 機能 医療圏 A B C 切れ目のないサービス(入院⇔外来⇔デイケア⇔アウトリーチ) 理念 地域生活中心のサービスの提供を目指している(総合的判断) ○ △ × 予防・アクセス 職域・学校・地域保健と精神科医等が連携している かかりつけ医や身体疾患専門医が精神科医等と連携している 未 治療・回復 社会復帰 切れ目のないサービス(入院⇔外来⇔デイケア⇔アウトリーチ) 質の高い医療が提供されている ニーズに応じて精神障害者手帳が交付されている ○○○未 ○○△○ ○△○未 精神科救急 ソフト救急:医療機関が地域住民への医療に責任を持っている ハード救急:関係者が住民の医療に責任を持っている 身体合併症 身体合併症医療が提供されている 専門医療 専門医療(児童思春期・アルコール依存症等)が提供されている 利用者の視点 医療の提供等に利用者の視点が反映されている 連携会議 多法人間での日常的な連携と場が組織されている(含:保健所) アウトカム アウトカムを盛り込んだ目標と施策が設定されている ゆるやかな 「医療圏」 医療圏(人口10万人程度が理想)ごとで、精神科病院と総合病院をひとつの単位とした整備を進めている (広域) 広域整備 身体合併症医療が提供されている(再掲) ハード救急(再掲):関係者が住民の医療に責任を持っている(例:措置・医療観察法関連サービス) 分かりやすい哲学(理念) 「地域生活」「入院しても地域に戻る」 医療機関が地域に出向く(入院・外来に加えデイケアやアウトリーチ) 医療機関が地域に責任を持つ:「ソフト救急」 ゆるやかな「医療圏」:総合病院と精神科病院を一つの単位として、10万人前後のいわゆる身近な地域を想定する 一般医療と同様の文脈で考える精神科医療 利用者からみて 医療提供の実態からみて 4つのセクターで医療体制に加えて次を整備* 自立支援の各種サービス ハローワーク 居住系の資源 プロットして連携づける うつ(Depression) かかりつけ医との連携 GP連携を地域医師会単位で実施 個別医療機関:かかりつけ医との連携を推進しているところをプロット 職域との連携
ポイント
住むところがある(自宅・グループホーム等【・長期在院病棟】) 各地域に必要な要素 出口 社会への復帰 介護保険・障害福祉 終末期医療 緊急対応ができている 病院 往診・訪問看護サービス 地域精神科救急サービス 住民・患者・家族が参画している 連携している 継続治療を受けるところがある 病院外来 診療所(精神科・身体科) 訪問看護ステーション 薬局等 入口 保健サービス 身体科医療 住むところがある(自宅・グループホーム等【・長期在院病棟】)
入口 予防・アクセス
精神疾患の医療体制構築に係る現状把握のための指標例(別表5)* 予防・アクセス(うつ病含む) 治療・回復・社会復帰(うつ病を含む) 精神科救急 身体合併症 専門医療 構 造 指 標 ○かかりつけ医等対応能力向上研修参加者3) ◎P医療機関数6) ◎医療圏のP救急医療機関数3) ◎P救急・合併症対応施設数3) ◎児童思春期病棟数11) GP連携会議開催地域数・紹介システム構築地区数 ◎P医療従事者数(各職種)7) ◎精神医療相談窓口・P救急情報センター開設状況3) ◎救急救急センターで「精神科」を有する施設数6) ◎小児入院医療管理料<5> 11) 往診・訪問診療P医療機関数6) ◎P救急入院料・急性期治療病棟11) ◎入院を要する救急医療体制で「精神科」を有する施設数6) ◎重度アルコール依存症入院医療加算 11) ◎精神科訪問看護実施機関数6) ◎P救急医療体制整備病院・診療所数6) ◎Pを有する一般病院数6) ○医療観察法指定通院医療機関数12) 過 程 ◎保健所等精神保健相談・訪問指導数1) ◎P地域移行実施加算11) ◎P救急医療機関の夜間・休日受診件数・入院件数3) ○副傷病名の精神疾患割合8) ○在宅通院精神療法20歳未満4) ◎精神保健福祉センター相談・訪問指導数2) ○非定型抗精神病薬加算Ⅰ(2種類以下)4) ◎P救急情報センターへの相談件数3) ○P身体合併症加算4) 向精神薬薬剤種類数(3剤以上処方率) ◎人口当たり年間措置患者・医療保護患者数2) 抗精神病薬単剤率 ○隔離・身体拘束数9) ○P社会復帰施設等利用実人数9) ◎精神障害者手帳交付数2) ○Pデイケア等利用者数9) ○P訪問看護利用者数9) アウトカム ○こころの状態5) ○1年未満入院者の平均退院率9) ○在院期間5年以上かつ65歳以上退院患者数9) ○3か月以内再入院率9) ◎退院患者平均在院日数8) ◎自殺死亡率(人口10万あたり)10) ◎保健所等精神保健相談・訪問指導数1) ◎精神保健福祉センター相談・訪問指導数2) P: 精神科 ◎必須指標 ○任意指標 1) 地域保健・健康増進事業報告 2) 衛生行政報告例 3) 事業報告 4) ナショナルデータベース解析 5) 国民生活基礎調査 6) 医療施設調査 7) 病院報告 8) 患者調査 9) 精神保健福祉資料(630調査) 10) 人口動態統計 11) 診療報酬施設基準 12) 指定通院医療機関の指定 *2012年4月厚生労働省通知を改変
予防・アクセス 保健サービス(地域・職域・学校)との連携 身体科医療との連携 総括表:職域・学校・地域保健と精神科医等との連携 指標(別表5) 保健所等精神保健相談・訪問指導数1)【必須】 精神保健福祉センター相談・訪問指導数2)【必須】 こころの状態5)【任意】 身体科医療との連携 総括表:かかりつけ医や身体疾患専門医が精神科医等と連携 かかりつけ医等対応能力向上研修参加者3)【任意】 GP連携会議開催地域数・紹介システム構築地区数【推奨】
うつ*とライフスタイルの改善をめざす (国立高度専門医療センターナショナルプロジェクト) (慢性疾患患者) 生活の質(QOL)の向上 100% 波及効果 生命予後改善** 20~30% ・診断面接 ・治療方針確認 ・連携システム 例: 慢性疾患の疾患管理プログラムに 認知行動療法的アプローチを組み込む ・うつ病の診断 ・睡眠衛生教育 ・積極的なモニタリング 5~10% スクリーニング ←判別しにくい→ (要:診断面接・治療方針確認) 1~3% ←過剰診療 過少診療→ →うつ(不安) →大うつ病性障害 →難治性 うつ病 軽い← 症状の重症度 →重い *うつ(depression):うつ状態とうつ病 **共同ケア(Collaborative care)は慢性疾患の症状改善・予後改善に寄与(国際的に確立したエビデンス)
スクリーニング導入の方向性 簡易検査 全症例 ハイリスク群 鑑別診断 ○全症例のうつ病を検出 ×鑑別診断の負荷が大きい ○実施可能性の向上 ★身体症状の増悪 ★高いストレス状況 ★心理的・社会的・職業的機能の障害 ★睡眠障害 ★過去のうつ病 簡易検査 ① 全症例 ② ② ① ハイリスク群 うつ病疑い (10%~20%) ③ うつ病疑い 鑑別診断 ③ ④ うつ病 (5%~10%) ④ うつ病 ○全症例のうつ病を検出 ×鑑別診断の負荷が大きい ○実施可能性の向上 ×ハイリスク群は不明瞭 2017/2/27 社会精神保健研究部 奥村泰之、他 峯山智佳、奥村泰之、他
治療・回復・社会復帰 緊急対応ができる
精神疾患の医療体制構築に係る現状把握のための指標例(別表5)* 予防・アクセス(うつ病含む) 治療・回復・社会復帰(うつ病を含む) 精神科救急 身体合併症 専門医療 構 造 指 標 ○かかりつけ医等対応能力向上研修参加者3) ◎P医療機関数6) ◎医療圏のP救急医療機関数3) ◎P救急・合併症対応施設数3) ◎児童思春期病棟数11) GP連携会議開催地域数・紹介システム構築地区数 ◎P医療従事者数(各職種)7) ◎精神医療相談窓口・P救急情報センター開設状況3) ◎救急救急センターで「精神科」を有する施設数6) ◎小児入院医療管理料<5> 11) 往診・訪問診療P医療機関数6) ◎P救急入院料・急性期治療病棟11) ◎入院を要する救急医療体制で「精神科」を有する施設数6) ◎重度アルコール依存症入院医療加算 11) ◎精神科訪問看護実施機関数6) ◎P救急医療体制整備病院・診療所数6) ◎Pを有する一般病院数6) ○医療観察法指定通院医療機関数12) 過 程 ◎保健所等精神保健相談・訪問指導数1) ◎P地域移行実施加算11) ◎P救急医療機関の夜間・休日受診件数・入院件数3) ○副傷病名の精神疾患割合8) ○在宅通院精神療法20歳未満4) ◎精神保健福祉センター相談・訪問指導数2) ○非定型抗精神病薬加算Ⅰ(2種類以下)4) ◎P救急情報センターへの相談件数3) ○P身体合併症加算4) 向精神薬薬剤種類数(3剤以上処方率) ◎人口当たり年間措置患者・医療保護患者数2) 抗精神病薬単剤率 ○隔離・身体拘束数9) ○P社会復帰施設等利用実人数9) ◎精神障害者手帳交付数2) ○Pデイケア等利用者数9) ○P訪問看護利用者数9) アウトカム ○こころの状態5) ○1年未満入院者の平均退院率9) ○在院期間5年以上かつ65歳以上退院患者数9) ○3か月以内再入院率9) ◎退院患者平均在院日数8) ◎自殺死亡率(人口10万あたり)10) ◎P医療機関数6) ◎P医療従事者数(各職種)7) 往診・訪問診療P医療機関数6) ◎精神科訪問看護実施機関数6) ◎P地域移行実施加算11) ○非定型抗精神病薬加算Ⅰ(2種類以下)4) 向精神薬薬剤種類数(3剤以上処方率) 抗精神病薬単剤率 ○P社会復帰施設等利用実人数9) ◎精神障害者手帳交付数2) ○Pデイケア等利用者数9) ○P訪問看護利用者数9) <<<精神科救急>>> ◎医療圏のP救急医療機関数3) ◎精神医療相談窓口・P救急情報センター開設状況3) ◎P救急入院料・急性期治療病棟11) ◎P救急医療体制整備病院・診療所数6) ◎P救急医療機関の夜間・休日受診件数・入院件数3) ◎P救急情報センターへの相談件数3) ◎人口当たり年間措置患者・医療保護患者数2) ○隔離・身体拘束数9) P: 精神科 ◎必須指標 ○任意指標 1) 地域保健・健康増進事業報告 2) 衛生行政報告例 3) 事業報告 4) ナショナルデータベース解析 5) 国民生活基礎調査 6) 医療施設調査 7) 病院報告 8) 患者調査 9) 精神保健福祉資料(630調査) 10) 人口動態統計 11) 診療報酬施設基準 12) 指定通院医療機関の指定 *2012年4月厚生労働省通知を改変
治療・回復・社会復帰 連携の強化 医療の質 優先順位の高い対象者 身体科医療との連携 総括表:切れ目のないサービスの提供 精神科医療機関数6) 【必須】 精神科医療従事者数(各職種)7) 【必須】 往診・訪問診療P医療機関数6) 【推奨】 精神科訪問看護実施機関数6) 【必須】 精神科地域移行実施加算11) 【必須】 利用者数:精神科社会復帰施設・デイケア・訪問看護9)【任意】 医療の質 総括表:質の高い医療の提供 非定型抗精神病薬加算Ⅰ(2種類以下)4) 【任意】 向精神薬薬剤種類数(3剤以上処方率)【推奨】 抗精神病薬単剤率【推奨】 優先順位の高い対象者 総括表:ニーズに応じた精神障害者手帳交付数【必須】 身体科医療との連携 総括表:かかりつけ医や身体疾患専門医が精神科医等と連携 指標(別表5) かかりつけ医等対応能力向上研修参加者3)【任意】 GP連携会議開催地域数・紹介システム構築地区数【推奨】 ○P社会復帰施設等利用実人数9) ○Pデイケア等利用者数9) ○P訪問看護利用者数9)
ゆるやかなキャッチメントエリアの構築(患者の選択) 未整備地域 都道府県 (医療圏域の整備) 整備状況の確認 未整備地域での整備促進 各地域での実施状況確認 都道府県 (医療圏域の整備) 整備状況の確認 未整備地域での整備促進 各地域での実施状況確認 都道府県 (医療圏域の整備) 整備状況の確認 未整備地域での整備促進 各地域での実施状況確認
EXCELの可視化ツールを利用 大分類 I 精神医療 中分類 ・うつ病 ・薬物中毒 ・精神科治療 指標 ・抗精神病薬による治療(2種類以下) ・抗精神病薬による治療(3種類以上) 藤森研司: 配布データの理解と可視化ツールの操作方法. 2012.3.23 (http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_b-3.pdf)
EXCELの可視化ツールを利用 手計算 Y県の非型薬多剤率 = X2/(X1+X2) A圏の非型薬多剤率 = Y2/(Y1+Y2) 指標名 データ Y県 A圏 抗精神病薬による治療(2種類以下) レセ件数 X1 Y1 抗精神病薬による治療(3種類以上) X2 Y2 手計算 Y県の非型薬多剤率 = X2/(X1+X2) A圏の非型薬多剤率 = Y2/(Y1+Y2) 藤森研司: 配布データの理解と可視化ツールの操作方法. 2012.3.23 (http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_b-3.pdf)
ターゲットの優先順位化が必要 米国での疫学調査*の再分析(15~64歳)** 全体(8,098人) 良好(5,476人: 67.6%) 広義の治療ケア(669人: 8.3%) 199人(2.5%) 22人 (0.3%) 295人(3.6%) 153人(1.9%)*** 92人 (1.1%) ←例:近親の死等で 日常生活に支障 (非精神科的支援を希望) 1,643人(20.3%) 218人 (2.7%) 生活能力の障害 (485人: 6.0%) 精神医学的診断(2,309人: 28.5%) 【結論(上記再分析および先行研究から)】** ・地域住民の15~30%は過去12ヶ月の間に精神障害である。 ・地域住民の5~7%は、生活能力の障害を有している。 ・地域住民の約1.7%(上記では1.9%)は、重度で継続的な精神障害***である。 *Kessler et al., 1994 (National Comorbidity Survey). ** Frank RG & Glied SA, 2006. ***病気が重篤で、生活能力の機能に著しい障害があり、しばしば非任意入院(医療費の大半を消費)
対象(ターゲット)の考え方 対象(ターゲット)が不明確なモデル 対象(ターゲット)が明確なモデル 精神障害の年間有病率 精神障害の年間有病率 A B C 75% 50% 25% 0% Mild Severe A = 未治療患者 B = プライマリケアの受療者 C = 専門医療受療者 Severity of symptoms/disability Psychiatric morbidity : annual prevalence 対象(ターゲット)が不明確なモデル 対象(ターゲット)が明確なモデル 精神障害の年間有病率 精神障害の年間有病率 75% A = 未治療患者 B = プライマリケアの受療者 C = 専門医療受療者 50% Psychiatric morbidity : annual prevalence 25% A A B B C C 0% Mild Severe 軽度 重度 症状・障害の重症度 軽度 重度 症状・障害の重症度 Severity of symptoms/disability Thornicroft G & Tansella M. Better mental health care. Cambridge, 2009.
優先順位の高い対象 <横(水平)の連携(注1)> 精神科医療と身体科医療・他サービスとの連携 <縦(垂直)の連携(注1)> 認知症(すべての認知症ではない) 身体疾患と精神疾患の合併・併存 身体疾患患者で精神疾患(うつ等)を合併・併発(注2) 精神疾患患者で身体疾患を合併・併発 <縦(垂直)の連携(注1)> 精神科医療間の連携(重度精神障害者) 高齢長期在院者の「地域移行」(多くは65歳以上) 精神科救急・急性期医療と在宅医療との連携(注2) 注1:精神科医療へのアクセスに対する抵抗感等が影響し、未発見や適切な治療が提供されていないことがあるため、予防・早期発見・早期治療にはさまざまな次元での連携が不可欠である。 注2:自殺予防対策は、保健行政上優先順位の高い対象である。医療計画の策定では、予防や普及啓発にも言及しつつ、かかりつけ医を受診する自殺念慮のある患者、精神科で治療中の自殺念慮の強い患者、救急部門へ搬送される自殺未遂者等、すでに医療との接点のある自殺ハイリスク患者を想定すると考えられる。
精神科救急 精神科救急に関する要素の整備 ゆるやかな「医療圏」での精神科救急整備 医療の質 総括表:ハード救急(関係者が住民の医療に責任を持つ) 医療圏の精神科救急医療機関数3)【必須】 精神医療相談窓口・精神科救急情報センター開設状況3) 【必須】 精神科救急入院料・急性期治療病棟11) 【必須】 ゆるやかな「医療圏」での精神科救急整備 総括表:ソフト救急(医療機関が地域住民への医療に責任を持つ) 精神科救急医療体制整備病院・診療所数6) 【必須】 精神科救急医療機関の夜間・休日受診件数・入院件数3) 【必須】 精神科救急情報センターへの相談件数3) 【必須】 医療の質 総括表:質の高い医療が提供されている 人口当たり年間措置患者・医療保護患者数2) 【必須】 隔離・身体拘束数9)【任意】 <<<精神科救急>>> ◎医療圏のP救急医療機関数3) ◎精神医療相談窓口・P救急情報センター開設状況3) ◎P救急入院料・急性期治療病棟11) ◎P救急医療体制整備病院・診療所数6) ◎P救急医療機関の夜間・休日受診件数・入院件数3) ◎P救急情報センターへの相談件数3) ◎人口当たり年間措置患者・医療保護患者数2) ○隔離・身体拘束数9)
アウトカム
WHO-AIMS (2009) 領域 指標 政策と法的フレームワーク メンタルヘルスサービス かかりつけ医におけるメンタルヘルスケア 1.1: Mental health policy 1.2: Mental health plan 1.3: Mental health legislation 1.4: Monitoring human rights implementation 1.5: Financing of mental health service メンタルヘルスサービス 2.1: Organizational integration of services 2.2: Mental health outpatient facilities 2.3: Day treatment facilities 2.4: Community-based psychiatric inpatient units 2.5: Community residential facilities 2.6: Mental hospitals 2.7: Forensic inpatient units 2.8: Other residential facilities 2.9: Availability of psychosocial treatment in mental health facilities 2.10. Availability of psychotropic medicines 2.11. Equity of access to mental health services かかりつけ医におけるメンタルヘルスケア 3.1: Physician-based primary health care 3.2: Non-physician-based primary health care 3.3: Interaction with complementary/alternative/ traditional practitioners 人的資源 4.1: Number of human resources 4.2: Training professionals in mental health 4.3: Consumer associations and family associations 4.4: Activities of user/consumer associations and family associations and other NGOs involved in mental health 住民教育と他領域との連携 5.1: Public education and awareness campaigns on mental health 5.2 Formal links with other sectors 5.3: Links with other sectors: activities 評価と研究 6.1: Monitoring and mental health services 6.2: Mental health research 2.1: Organizational integration of services 2.2: Mental health outpatient facilities 2.3: Day treatment facilities 2.3.2: Users treated in day treatment facilities. 2.4: Community-based psychiatric inpatient units 2.5: Community residential facilities 2.6: Mental hospitals 2.7: Forensic inpatient units 2.8: Other residential facilities 2.9: Availability of psychosocial treatment in mental health facilities 2.10. Availability of psychotropic medicines 2.11. Equity of access to mental health services http://www.who.int/mental_health/evidence/WHO-AIMS/en/
OECDで提案された指標 継続性 退院後の適時の外来でのフォローアップP 重複診断の患者の退院後の継続的受診P 領域 指標 継続性 退院後の適時の外来でのフォローアップP 重複診断の患者の退院後の継続的受診P フォローアップ率の民族による差P 精神的問題での入院治療の後の継続性P ケア・コーディネーション 重度精神障害者のケースマネジメントP 治療 うつの急性期での受診P 精神科患者の再入院O 物質関連障害の治療期間P 高齢者への抗コリン・抗うつ薬の使用P 急性期での抗うつ薬の継続的な治療P 維持期での抗うつ薬の継続的な治療P 患者アウトカム 重度精神障害者の死亡率O Pプロセス Oアウトカム *重複診断:精神医学的診断・物質関連障害 http://www.oecd.org/document/25/0,3746,en_2649_37407_37091033_1_1_1_37407,00.html
Unplanned schizophrenia re-admissions to the same hospital, 2007 統合失調症退院患者の計画されていない再入院率 Unplanned schizophrenia any hospital re-admission rate [ADMRSCHA] Numerator: Total number of unplanned re-admissions in a calendar year (refer to technical notes above) to any hospital for patients (age 15+) discharged at least once in the referred year with a principal diagnosis or first two listed secondary diagnosis of schizophrenia. Denominator: Total number of patients 15 years old and over discharged from hospital at least once in the referred year with a principal diagnosis or first two listed secondary diagnosis of schizophrenia. http://www.oecd.org/document/25/0,3746,en_2649_37407_37091033_1_1_1_37407,00.html
基本指標の領域(IIMHL, 2011年9月現在) 根拠に基づいた薬物治療 根拠に基づいた社会心理的介入 物質使用(薬物・アルコール) 継続性とケアのコーディネート アクセス 効率性 患者安全 法的側面 アウトカム測定 リカバリー 追加調査領域:利用者の評価・満足度
アウトカム 予防・アクセス 治療・回復・社会復帰/精神科救急 全過程を通じた指標 こころの状態5)【任意】 1年未満入院者の平均退院率9)【任意】 在院期間5年以上かつ65歳以上退院患者数9)【任意】 3か月以内再入院率9)【任意】 退院患者平均在院日数8)【必須】 全過程を通じた指標 自殺死亡率(人口10万あたり)10)【必須】 ○1年未満入院者の平均退院率9) ○在院期間5年以上かつ65歳以上退院患者数9) ○3か月以内再入院率9) ◎退院患者平均在院日数8) ◎自殺死亡率(人口10万あたり)10)
入院 地域 入院 生活 利用者の観点からみた精神科病床のゴール 精神障害者の生活の場 地域 生活 入院 地域 生活 入 院 「青い」部分を多く 地域 生活 入院 地域 生活 入 院 社会復帰 施設 リハビリテーション
住民・患者・家族の参画
提供:田口真源氏(日本精神科病院協会高齢者医療・介護保険委員会委員長)
認知症の地域連携クリティカルパス http://www.nisseikyo.or.jp/home/about/04hojyokin/2011_1/01.html
資料提供:山田明美氏(佐久総合病院地域医療連携室) 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 伊藤弘人部長 提供資料
地域連携(ゆるやかな医療圏)
「地域の中の病院」(「地域が病院」)へ これからの地域医療 地域での社会資源が乏しい時代 外来 訪問看護 デイケア 訪問診療 訪問看護 障害福祉サービス 訪問診療 訪問看護 訪問看護 デイケア 40
ゆるやかなキャッチメントエリアの構築 都道府県 未整備地域 都道府県 (医療圏域の整備) (医療圏域の整備) 都道府県 (医療圏域の整備) 整備状況の確認 未整備地域での整備促進 各地域での実施状況確認 都道府県 (医療圏域の整備) 整備状況の確認 未整備地域での整備促進 各地域での実施状況確認 都道府県 (医療圏域の整備) 整備状況の確認 未整備地域での整備促進 各地域での実施状況確認
「2人主治医制」という考え方 入院 外来 外来 入院 外来 外来 外来 入院 入院 「主治医交代制」 「2人(複数)主治医制」 外来 外来 地域サービス 入院 外来 外来 入院 外来 「2人(複数)主治医制」 地域住民へのケアに 責任を持つ 地域サービス 外来 外来 外来 外来 入院 入院 入院医療機関 入院医療機関 入院医療機関
生活支援 医療支援 全体像を意識することが大切 医療計画 障害 福祉 計画 介護保険 計画 支援に関する基本的姿勢 入院医療 地域生活 入院医療 地域生活 医療計画 障害 福祉 計画 生活支援 医療支援 行動制限 (隔離・身体拘束) 介護保険 計画 支援に関する基本的姿勢
参考サイト 「精神疾患の医療計画について」 http://www.ncnp.go.jp/nimh/syakai/index.html