アルツハイマー型認知症に対する早期診断 ーアミロイドマーカー [11C] PIB によるPET検査についてー 物忘れが心配な方へ 物忘れが心配な方へ 湘南あつぎクリニック 核医学・PETセンター 脳神経外科 数年前から分子イメージング研究が行われてきております。 分子イメージングとは生体内で起こる細胞レベル、分子レベルの 変化を可視化するこにより、病態解明や新たな疾患診断・治療に 貢献していく新たな研究分野であります。 今日は分子イメージングのなかで、アルツハイマー型認知症に対する アミロイドマーカーによるアミロイドイメージングについてお話させて頂きます。 畑下鎮男
高齢者人口の割合の推移 65歳以上:28,432千人/127,705千人総人口(22.0%) うち75以上: 13,145千人(10.3%) 平成20年8月1日現在 国勢調査・推計人口
総人口に占める高齢者人口の割合の推移の国際比較 ロシア:13.4%, カナダ:13.1%, USA:12.4%, 韓国:9.1% (2005)
認知症 人生80年時代に避けては通れない病気 65歳以上の10人に1人 85歳以上の4人に1人 患者数の増大 患者数 2005年 約250万人 2035年 約445万人 厚生労働省推計 早期発見 正確な診断 根本治療薬の開発
認知症 アルツハイマー型認知症 初発症状 物忘れ 認知機能の低下 記憶・見当識・判断力 特に記憶障害 社会生活が困難、日常生活が困難 認知症 アルツハイマー型認知症 認知症 アルツハイマー型認知症 認知機能の低下 記憶・見当識・判断力 特に記憶障害 社会生活が困難、日常生活が困難 軽度認知障害 記憶障害、軽微な認知障害 生活機能が保たれる 初発症状 物忘れ
認知機能障害と経過 記憶障害 物忘れ 加齢 軽度認知障害 日常生活または 社会生活機能の障害 認知症 アルツハイマー型認知症 認知機能 物忘れ 加齢 軽度認知障害 認知機能 日常生活または 社会生活機能の障害 認知症 アルツハイマー型認知症 経過(年) 6
アルツハイマー型認知症(AD) 血管性(VaD) 認知症の原因 アルツハイマー型認知症(AD) 血管性(VaD) レヴィー小体型(DLB) 前頭側頭型(FTD) 認知症の原因 7% 5% 8% 52% 10% Petersen, Mayo Clinic, AAN 2008
認知機能障害と経過 記憶障害 物忘れ 加齢 記憶障害 失見当識 軽度認知障害 認知機能 構成失行 視空間失認 失語 日常生活または 物忘れ 加齢 記憶障害 失見当識 軽度認知障害 認知機能 構成失行 視空間失認 失語 日常生活または 社会生活機能の障害 認知症 人格変化 無言 無動 アルツハイマー型認知症 経過(年)
アルツハイマー型認知症で見られる早期症状 もの忘れ(記憶障害) 置き忘れ、しまい忘れ、何回も繰り返す、 何回も聞き返す、約束を忘れる 日時の概念が混乱(見当識障害) 日時 曜日を何回も聞き返す、家族に確認する 怒りっぽい(易怒性) ささいなことでもすぐ怒る、このごろ怒りっぽい 自発性の低下、意欲の減退 一日中テレビを見ている、家でウトウトしている、 知人との付き合いをしなくなった
アルツハイマー病 脳アミロイドが神経変性 に密接に関係 脳アミロイドは発症の 10-20年前に蓄積が始まる Price JL, at al: Ann Neurol 45, 358, 1999 発症してから死に至る期間:3-6年 Wolfson DB et al:clinical progression of Dementia study Group, N Engl J Med:344,1111, 2001
アルツハイマー病の死後脳の顕微鏡写真 神経細胞死 Beta-amyloid 神経原繊維変化 Tau protein βアミロイド(老人斑) 神経細胞死 βアミロイド(老人斑) Beta-amyloid アルツハイマー型認知症の原因として、βアミロイド蛋白の集合体である Amyloid Plaque とタウ蛋白による神経源繊維変化が考えられています。 アルツハイマー病の確定診断は死後の剖検脳でのAmyloid Plaque の検出でした。 神経原繊維変化 Tau protein
剖検脳でのアルツハイマー病と正常健者 神経細胞減少による 脳萎縮 大脳灰白質:萎縮 大脳容積減少 海馬・側頭葉内側部:萎縮
アルツハイマー型認知症の確定診断 アルツハイマー型認知症の臨床診断 死後の剖検脳でアミロイド斑と神経原繊維変化 を病理学的に証明 診断基準による診断は DSM-IV(2002), NINCDS-ADRDA(1994) 神経心理検査 MMSE mini mental state examination CDR clinical dementia rating 生きている間にこのAmyloid Plaque を見つけることができれば、 アルツハイマー病の確定診断が可能になると考え、 Aβの蓄積をPET等の分子イメージング手法で定量化しようという試みが世界各地で行われてきた。 脳アミロイド蓄積を病理学的に診断するため使われている蛍光染色剤 (アミロイド結合性化合物) Thioflavin-Tを利用し、チオフラビン系化合物を開発し、アルツハイマー病患者におけるAβに特異的なPETイメージング剤の開発に成功した 6- hydroxy- benzothiazole-aniline (6- hydroxy-BTA-1)
(National Institute of Neurological and Communicative Disorders 診断基準 認知症の診断基準: DSM-III-R, DSM-IV, ICD-10 Diagnostid and statistical Manual of mental disorders アルツハイマー型認知症の診断基準 NINCDS-ADRDA (National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Strokes-Alzheimer’s Disease and Related Disorders Association) 社会的・職業的能力の著しい低下, 記憶障害を含めた複数の認知欠損, 潜行性発症,緩除で進行性の経過, 他の神経・精神疾患,身体疾患を除外 59歳 女性の方で、ボランチアとしてこられた健康成人者のPIB-PET 画像です。
MMSE(Mini-Mental State Examinaton) 簡易認知機能検査 見当識(時間と場所) 単語の記銘 注意と計算 再生 言語 命令 書字 図形模写 30点満点の得点で表示
Clinical Dementia Rating (CDR) 1.記憶 2.見当識 3.判断力と問題解決 4.社会適応 5.家庭状況および趣味 6.介護状況 CDR 0: 健康、CDR 0.5: 認知症疑い CDR 1: 軽度認知症、CDR 2: 中等度認知症 CDR 3: 高度認知症
アルツハイマー型認知症の臨床診断 診断基準の信頼性と妥当性 一般に感度は高いが、得意度が低い 主観的要素が多く不確か NINCDS-ADRDAと病理診断との比較 probable AD, possible AD 86% 一般に感度は高いが、得意度が低い 主観的要素が多く不確か 早期、軽度、初期などの場合には 正確な診断は困難
アルツハイマー型認知症の確定診断 アルツハイマー型認知症の臨床診断 死後の剖検脳でアミロイド斑と神経原繊維変化 を病理学的に証明 画像検査は 診断基準による診断は DSM-IV(2002), NINCDS-ADRDA(1994) 神経心理検査 MMSE mini mental state examination CDR clinical dementia rating 生きている間にこのAmyloid Plaque を見つけることができれば、 アルツハイマー病の確定診断が可能になると考え、 Aβの蓄積をPET等の分子イメージング手法で定量化しようという試みが世界各地で行われてきた。 脳アミロイド蓄積を病理学的に診断するため使われている蛍光染色剤 (アミロイド結合性化合物) Thioflavin-Tを利用し、チオフラビン系化合物を開発し、アルツハイマー病患者におけるAβに特異的なPETイメージング剤の開発に成功した 6- hydroxy- benzothiazole-aniline (6- hydroxy-BTA-1) 画像検査は MRI検査、脳血流検査、 FDG PET 18
MRI T1 axisal images HC 53yrs F AD 51yrs M, AD 63yrs F, 7
FDG PET 3D SSP Images HC 53yrs F AD 51yrs M AD 63yrs F, 7
従来のアルツハイマー型認知症の臨床診断 記憶障害 物忘れ 加齢 軽度認知障害 画像診断は可能か 日常生活または 社会生活機能の障害 認知症 物忘れ 加齢 軽度認知障害 画像診断は可能か 認知機能 日常生活または 社会生活機能の障害 認知症 アルツハイマー型認知症 経過(年) 21
アルツハイマー型認知症の確定診断 認知症 アルツハイマー型認知症の臨床診断 アルツハイマー型認知症を早期に客観的、 死後の剖検脳でアミロイド斑と神経原繊維変化 を病理学的に証明 認知症 アルツハイマー型認知症の臨床診断 神経心理検査 認知機能検査による診断基準 主観的要素が多く不確か 画像検査 CT, MRI検査、FDG-PET、脳血流検査 疾患特異性に欠ける。個人差がある 病状早期の変化は捉えられない 生きている間にこのAmyloid Plaque を見つけることができれば、 アルツハイマー病の確定診断が可能になると考え、 Aβの蓄積をPET等の分子イメージング手法で定量化しようという試みが世界各地で行われてきた。 脳アミロイド蓄積を病理学的に診断するため使われている蛍光染色剤 (アミロイド結合性化合物) Thioflavin-Tを利用し、チオフラビン系化合物を開発し、アルツハイマー病患者におけるAβに特異的なPETイメージング剤の開発に成功した 6- hydroxy- benzothiazole-aniline (6- hydroxy-BTA-1) アルツハイマー型認知症を早期に客観的、 正確に臨床診断することは困難 22
生存している間にアルツハイマー型認知症の確定診断のできる検査方法の開発 脳内アミロイド蛋白を検出する検査方法の研究 2002年ピッツバーグ大学で、Thioflavin-T誘導で 6-hydroxy-BTA-1をポジトロン放射性同位元ある 11C で標識した通称ピッツバーグ化合物 [11C]PIB が開発 生きている間にこのAmyloid Plaque を見つけることができれば、 アルツハイマー病の確定診断が可能になると考え、 Aβの蓄積をPET等の分子イメージング手法で定量化しようという試みが世界各地で行われてきた。 脳アミロイド蓄積を病理学的に診断するため使われている蛍光染色剤 (アミロイド結合性化合物) Thioflavin-Tを利用し、チオフラビン系化合物を開発し、アルツハイマー病患者におけるAβに特異的なPETイメージング剤の開発に成功した 6- hydroxy- benzothiazole-aniline (6- hydroxy-BTA-1)
アミロイドイメージング [11C] PIB PET 検査 アミロイドマーカーとしてPET用放射性薬剤 [11C]PIB によるPET検査を用いて、2004年より世界各国で 認知症に対する臨床研究開始 2008年6月まで世界中の約40ヶ所の施設で、 約2000人にこの検査を施行 当施設では2007年7月より開始 アルツハイマー型認知症の超早期診断に於けるアミロイドマーカー [11C] PIBによるPET画像診断に対する臨床研究 わが国での[11C] PIB-PETは、2005年より放射線医学総合研究所、2006年より東京都老人総合研究所、 大阪市立大学で、臨床研究を開始 当施設では2007年7月より[11C] PIB-PET検査による臨床研究を開始 研究参加人員は2008年12月まで約350人 2008年12月より当施設はピッツバーグ大学と 業務提携を行い、随時この検査が可能
[11C] PIB-PET放射性薬剤 [11C]-PIB binds to アミロイド繊維形成 アミロイドβ蛋白 アミロイド蓄積 細胞外 細胞外 11CPIB-PET放射性薬剤は原因物質であるアミロイド斑の合成過程 アミロイド カスケードのどの部分に結合しているかをみてみます。 アミロイド斑はまず細胞膜のアミロイド前駆体蛋白から酵素切断され、細胞外に放出され、 それがいくつか集まってアミロイド繊維を形成し、そしてこれらが凝集してアミロイド プラークとなると考えられております。 このカスケードの中で、PIBはアミロイド繊維に結合することが、確かめられております。 細胞膜 酵素的切断 細胞内 アミロイド前駆体蛋白 Cascade of Amyloid plaque formation
[11C] PIB-PET放射性薬剤合成 11C-PIB 投与 11Cの半減期が20分と非常に短いため院内製剤合成 医用小型サイクロトロン 自動合成装置 11C-PIBの自動合成 電子を加速して 放射性同位元素 を製造する装置 11C-PIB-PET放射性薬剤は院内で合成されます 11Cの物理学的半減期が20分と短いため、 院内(設置型の小型)サイクロトロンとホットセル内の自動合成装置を用いまして11C-PIBを合成します。 その後この薬剤の品質検定を行いまして使用します。 この合成に要する時間は約1時間30分程度かかります。 11C-PIB PET製剤合成 新しいPET放射性薬剤 11C-PIB製剤 品質検査 確認試験・放射化学的純度・ エンドトキシン試験・無菌試験・ 定量などの品質検定 合格 11C-PIB 投与
PET scan (Positron emission tomography) 陽電子放出断層シンチグラフイ [11C] PIB 陽電子 ガンマ線 検出器リング
PET検査の被爆線量 [11C] PIB-PET:約2.6mSv [18F]FDG-PET:約3.1mSv 自然界 50 4.0 0.3 胸X線検査 胃X線検査 核医学検査
PIB-PET DVR image of Healthy control 73yrs M, 1.0 3.5 DVR 73歳 男性の健康成人者のPIB PET画像です。 subcortical white matter, thalamusに非特異的PIB結合がみられます しかし大脳皮質にはこのようにPIBの集積はみられません
PIB-PET DVR image of AD patient 71y M 1.0 3.5 DVR 71歳 男性 MMSE検査で20/30 CDR 0,5 アルツハイマー型認知症と臨床診断さてた患者さんのPIB PET DVR 画像です 赤くみえているのがPIB集積で、orbit-frontal cortex, frontal cortex, lateral temporal cortex, parietal cortex Posteior cingulate gyrus, precuneus, にPIBの集積がみられます。これは典型的な AD like patternと思われます
[11C] PIB-PET検査でのPIB集積は本当にβアミロイド蓄積をみているのだろうか? PIB-PET imagingと剖検脳でのAβ蛋白の確認 Bacskai, et al.Arch of Neurol (2007) 64:431-434 Ikonomovic, et al. Brain (2008) 131:1630-1645 64 歳 女性 アルツハイマー病(8年間経過) MMSE 1 PIB PET検査で、大脳皮質にPIB 蓄積 その10ヶ月後に死亡 剖検脳で、PIB蓄積部位に一致して アミロイド蛋白の沈着がみられた。 さてPIB PETの所見が本当にβアミロイド蛋白の蓄積を描出しているかどうか について、in vitroでは動物実験による所見はみれたのですが、in vivoでは 最近までその所見はありませんでした。 今年6月にBrainにアルツハイマー病のPIBーPET アミロイドイメージングの剖検所見がピッツバーグ大学のグループから 発表されました
6-CN-PiB plaque density map as a virtual PiB scan' of the same subject Correlation between ante-mortem PiB-PET retention levels and a post-mortem VOI-matched 6-CN-PiB plaque density map as a virtual PiB scan' of the same subject さてPIB PETの所見が本当にβアミロイド蛋白の蓄積を描出しているかどうか について、in vitroでは動物実験による所見はみれたのですが、in vivoでは 最近までその所見はありませんでした。 今年6月にBrainにアルツハイマー病のPIBーPET アミロイドイメージングの剖検所見がピッツバーグ大学のグループから 発表されました。これがその所見で左から剖検脳、 MRI、 PIB PET DVR画像、 剖検脳のPIB densityを示しております。 PIB PETでFrontal cortexで赤くみえるPIBの蓄積がみられ、その右の 剖検脳にPIBの蓄積所見がみられ、病理所見と一致していることがわかります。 これはPIB PET DVR 画像がアミロイド蛋白の蓄積を証明した非常に 貴重な論文です Correlation between ante-mortem PiB-PET retention levels and a post-mortem VOI-matched 6-CN-PiB plaque density map as a virtual PiB scan' of the same subject Ikonomovic, et al. Brain 2008 131:1630-1645 Copyright restrictions may apply.
現病歴:半年前ごろ物忘れがあり、最近仕事にも 支障がでるようになってきた。時々配達 のコースがわからなくなる。 症例: 49歳 男性 症例1 主訴:言われてもすぐ忘れる 現病歴:半年前ごろ物忘れがあり、最近仕事にも 支障がでるようになってきた。時々配達 のコースがわからなくなる。 脳神経学的検査:異常所見なし 簡易認知機能検査 MMSE: 28点/30点
MRI T1 images 49y.M MRI T1 images
PIB-PET DVR image PIB-PET DVR image 49歳男性 MMSE 28 59歳女性 HC
PIB-PET PIB-PET 49歳 男性 MMSE 28 1.0 2.8 DVR
Rt medial surface Lt medial surface surface FDG 1.0 2.8 DVR PIB
病状経過 簡易認知機能検査 MMSE: 28点/30 6ヶ月後: 27、 12ヶ月後: 24、に低下 CDR: 0.5 49歳 男性 病状経過 病状経過 簡易認知機能検査 MMSE: 28点/30 6ヶ月後: 27、 12ヶ月後: 24、に低下 CDR: 0.5 経過:配達の仕事量がへる。よく道に迷う 忙しいとミスが多くなる。財布を忘れる 仕事が続けられなくなり、1年後退職 診断:若年性アルツハイマー型認知症
症例2 症例: 66歳 男性 主訴: 物忘れ 現病歴:1年半前頃より物忘れがひどくなる。 言われたことをわすれる。頼まれたことを 症例: 66歳 男性 症例2 主訴: 物忘れ 現病歴:1年半前頃より物忘れがひどくなる。 言われたことをわすれる。頼まれたことを わすれる。薬をのみわすれる。車のおいた 場所を忘れる。 MMSE: 25 日付・場所の失見当識、 3単語の遅延再生 CDR: 0.5、記憶低下、失見当識 臨床診断:軽度認知障害の疑い
MRI MRI 66yrs M
FDG-PET images 66yrs M FDG-PET images 7.5 0.5 SUV
PIB DVR Image PIB DVR Image 66y M 1.0 2.5 DVR 赤くみえているのがPIB集積で、orbit-frontal cortex, frontal cortex, lateral temporal cortex, parieta cortex Posteior cingulate gyrus, precuneus, parietal cortex にPIBの集積がみられます。これは典型的な AD like patternと思われます このようにFDG PETではブドウ糖代謝低下がprecuneusだけにみられましたが、 アミロイド蓄積はこのように大脳灰白質に広範にみられます。
症例3 MRI: 脳萎縮なし FDG-PET: 脳ブドウ糖代謝異常なし 症例: 59歳 女性 現病歴:健常者として臨床研究に参加 症例: 59歳 女性 症例3 現病歴:健常者として臨床研究に参加 本人とその娘からの記憶障害の 訴えはない CDR: 0 59歳 女性の方で、ボランチアとしてこられた健康成人者のPIB-PET 画像です。 MRI: 脳萎縮なし FDG-PET: 脳ブドウ糖代謝異常なし 43
PIB-PET DVR image of Healthy control 59y. F PIB-PET DVR image of Healthy control 1.0 2.2 DVR 59歳 女性の方で、ボランチアとしてこられた健康成人者のPIB-PET 画像です。赤くみえているのがPIB集積で、orbit-frontal cortex, frontal cortex, lateral temporal cortex, parietal cortex、precuneus, にPIBの集積がみられます。これは先ほどのADの患者と同様にAD like patternと思われます。健康成人者 99名中にPIB陽性者は12名 12%にみられ、このような典型的なAD patternは5例にみられました。
PIB-PET DVR images of AD and MCI, and HC The PIB DVR Image show PIB retention at transverse and sagittal section. This left side indicate 71 year old patient with AD, Middle images 70 year old patient with MCI, and right 73-year old with HC . This left AD images show an increased PIB uptake in frontal, parietal and pnecuneus cortex, when compared to HC. This image represent typical AD pattern. The distribution of PIB in MCI patient is same to AD. But the degree of uptake in the lateral parietal cortex is less than AD. MCI images show a little lower PIB retention in parietal cortex, but PIB retention in frontal and precuneus cortex are similar to AD and this images show PIB AD like pattern. Red color indicate high PIB retention, DVR value is about 3.5. 70歳女性で物忘れが強い方です MMSEは29点です AD 71y M MCI 70y F HC 59y. F HC 73y M
アルツハイマー型認知症(AD) 臨床的 発症前 AD 初期AD AD アミロイドPETの所見を加味した clinical stage 軽度 中等度 重症 軽度認知障害 健常者 65yr 75yr 発症前 AD 初期AD AD アルツハイマー型認知症は、従来は臨床症状に基づいた臨床診断で 正常 軽度認知症 アルツハイマー型認知症の軽度 中等度 重症 と分類され、診断・治療されてきました。 今日ここでお見せしました研究結果から、PIB PETを行うことにより病理所見であるβアミロイド蛋白の蓄積を検出出来るようなり、 アルツハイマー型認知症の新たな分類ができうることが可能となってきました。 臨床症状にβアミロイド蛋白の有無を加味し、発症前 AD, 早期 AD, AD 今後のこれらの診断に基づき 今後行われるであろう抗アミロイド療法の適応・開始時期などの決定に有用であろうと思います。 アミロイドPETの所見を加味した clinical stage βアミロイド蓄積 46
アルツハイマー型認知症の他覚的診断 認知機能検査 画像検査 PIB PET アミロイド型 非アミロイド型 治療法の選択 コリンエステラーゼ阻害剤 神経伝達物質アセチルコリンの濃度を増加 抗アミロイド療法
アルツハイマー病の臨床試験薬主に抗アミロイド療法 主に抗アミロイド療法 アルツハイマー病の臨床試験薬主に抗アミロイド療法 第1相から第3相までの臨床試験中の薬剤は89種類 最終的臨床試験段階である第3相試験が15種類(2008,7) 不利利算 LY450139 drug 抗ガンマーセクレターゼ gamma-secretase inhibitor LY2062430 iv 免疫療法 humanzied monoclonal antibody
アルツハイマー型認知症の抗アミロイド療法 臨床治験 Bapineuzumab(AAB-001) Alzhemed(-) LY2062430 免疫療法 PBT2 キノリン誘導体 cell death Dimebom E2012 Flurizan(-) LY450139
アルツハイマー型認知症の危険因子 30年以上受動喫煙で 認知症発症 3割高い 耐糖能異常 糖尿病 その予備群 アルツハイマー病は4.6倍 30年以上受動喫煙で 認知症発症 3割高い 耐糖能異常 糖尿病 その予備群 アルツハイマー病は4.6倍 アミロイドβ蛋白がインスリン分解酵素 で分解。インスリンが少ない 心的外傷後ストレス障害 PTSD Posttraumatic stress disorder
認知症予防 頭を使う・趣味をする 文章を読む 楽器を演奏 ゲームをする 人と接する機会をふやす 適度な運動 有酸素運動 一回20−60分 文章を読む 楽器を演奏 ゲームをする 人と接する機会をふやす 適度な運動 有酸素運動 一回20−60分 無理せず楽せず過ごす 短時間の昼寝 30分以内 脳を鍛える?
若年者アルツハイマー病の事例 62歳 男性 医師 4-5年前から 字が書けない、名前が書けない よく知っている場所にも行けない 62歳 男性 医師 4-5年前から 字が書けない、名前が書けない よく知っている場所にも行けない プッシュホンの番号をパパッと押せない 自動販売機でスムーズに切符が買えない 銀行のATMでお金が下ろせない 運転があぶない。注意が散漫 この次、どうするんだっけ 2005年12月受診 MRIでは海馬に異常がみられない 2006年2月 PIB PET 2006年3月 仕事を辞める
字は読めるが、行をまっすぐ追うことが難しい 空間認識に問題 アルツハイマー病を 受け入れるのに2年間 アルツハイマー病を受け入れるのに2年間 発症して5年経過 薬を服用して進行を遅らせる 認知機能の変容 やる気がなくなる 字は読めるが、行をまっすぐ追うことが難しい 空間認識に問題 çちょっと補助すれば普通の生活ができる 一緒に暮らすための方法 ダメ三原則:怒らない. ダメといわない. 押しつけない
本当にアルツハイマーだとはっきり受け止める 早期受診 早期診断 早期治療が必要 早期受診 早期診断 早期治療が必要 “何かおかしい”と思ったら 医師を受診し 正確な診断を受ける ああだこうだと悩んでいるうちに どんどん日が経ってどうしようもなくなる 本当にアルツハイマーだとはっきり受け止める 発見が早ければ 早く対応ができる
アルツハイマー型認知症 早期発見 正確な診断 早期治療 日常生活でどのようなことが起きるか 発見が早ければ 早く対応ができる 早期発見 正確な診断 発見が早ければ 早く対応ができる 早期治療 抗アミロイド療法 日常生活でどのようなことが起きるか
家族が認知症に気づいた変化 1. 同じことを何度も言ったり聞いたりする 2. ものの名前が出てこなくなる 3. 置き忘れやしまい忘れが目立 1. 同じことを何度も言ったり聞いたりする 2. ものの名前が出てこなくなる 3. 置き忘れやしまい忘れが目立 4. 時間や場所の感覚が不確か 5. 病院からもらった薬の管理ができない
家族が認知症に気づいた変化 6. 以前はあった関心や興味が失われた 7. ガス栓の締め忘れ 8. 計算の間違いが多い 9. 怒りっぽくなった 6. 以前はあった関心や興味が失われた 7. ガス栓の締め忘れ 8. 計算の間違いが多い 9. 怒りっぽくなった 10. 慣れているところで、道に迷った
アルツハイマー病を疑う8つの症状 判断が難しくなる (問題が生じるような決定をするなど) 不利利算 難しくなる (2008年5月27日/アメリカ) 「ウオールストリートジャーナル」 判断が難しくなる (問題が生じるような決定をするなど) 2. 趣味や活動に興味を失う 3. 同じことを繰り返す(質問、話、発言など) 4. 道具、電化製品、小物などの使い方を覚えにくくなる 5. 正しい月、年が覚えられない 6. 所得税、家計など金銭的に複雑なことができにくくなる 7. 約束を思い出しにくくなる 8. 日々の生活のなかで考えたり覚えたりすることが 難しくなる アルツハイマー病を疑う8つの症状 不利利算 2つ以上:専門医に正しく評価を受ける
アミロイドドック 物忘れの状態でアルツハイマー型認知症を早期診断 検査の種類 [11C] PIB-PET検査 [18]FDG-PET検査 βアミロイド蛋白の蓄積状態を調べる新しい画期的な検査 [18]FDG-PET検査 脳のブドウ糖代謝を測定 認知症の鑑別診断 MRI検査 脳の形態 脳萎縮の有無 梗塞の有無 神経心理検査 認知障害の有無や記憶障害の有無を測定 簡易認知機能検査(MMSE)臨床的認知症尺度(CDR) ウエックスラー記憶検査(WMS-R )論理的記憶 血液検査 標準スクリーニング、アポリポ蛋白E遺伝子(希望)
アミロイド PET画像 これが最後のスライドです。 PIB-PET画像です 赤く見えているβアミロイドです。 アミロイド PET画像 アミロイドPET画像 これが最後のスライドです。 PIB-PET画像です 赤く見えているβアミロイドです。 いままでMRIやFDG−PET、脳血流シンチでは客観的に 捉えることができなかった病理学的所見です。 もの忘れがあるかどうか 認知症が発症しているかどうかに 関係なく検出されます。 これが検出された方で、発症されてない方は将来、アルツハイマー型認知症になる可能性は非常に高い思われます。 PIB−PETを行うことによって、認知症 アルッハイマー病になるのを心配されている方、アルッハイマー病を疑われれいる患者さんを、客観的に診断し、抗アミロイド療法の治療の指標として、多くの人々に利用していただければと思います。 以上で終わらさせていただきます。 ありがとうございました。
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