本当にないか？内科の病気 ～精神科コンサルト前に～ 本当にないか？内科の病気 ～精神科コンサルト前に～ 実践編
学習目標 Medical screeningを実際に やってみる お互いの施設の状況を知る
Discussionのルール お互いの意見は尊重し、否定しない ディスカッションの批判を、外部で話さない 話しやすい雰囲気づくりを！
まずは自己紹介を！ 名前 所属 出身 精神科主訴の患者を診たことがあれば、どんな患 者だったか？ 診たことがなければ、今日meetingに参加した理由。
鑑別疾患：FIND ME Functional 精神疾患 躁鬱病、人格障害、統合失調症 Infection 感染症 敗血症、髄膜炎、脳炎 Neurological 中枢神経 てんかん、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫 Drug 中毒 アルコール、アルコール離脱、覚せい剤 Metabolic 代謝 低血糖 Endocrine and Electrolyte 内分泌異常、電解質 低Na血症、甲状腺機能亢進症 C Hapter, et al. The combative patient. Rosen’s Emergency Medicine. chapter 188
症例１ 50歳女性 主訴 様子がおかしい、暴れている 病歴 家族が外出から帰宅したら、自宅で 興奮状態だった
どんな病歴をとりますか？ 必要であれば、いくつでもかまいません。 忙しいERであり、優先的にとる病歴を挙げてくださ い
病歴（例） 発症の様式 精神疾患の既往 身体疾患の既往 アルコールやドラッグ使用歴
どんな身体所見を確認しますか
身体所見（例） バイタルサイン 神経学的所見 中毒の症状 幻覚症状
中毒の症状：トキシドローム 交感神経作用 抗コリン コリン オピオイド 鎮静薬 代表薬剤 アンフェタミン 抗ヒスタミン薬 有機リン バルビツール 中枢神経 興奮、せん妄、痙攣 せん妄、昏睡、痙攣 昏睡 多幸感、傾眠、昏睡 傾眠、昏睡 脈拍 ↑ ↓ ― 血圧 体温 呼吸 瞳孔 散瞳、対光反射迅速 散瞳、対光反射遅延 縮瞳 腸蠕動 減弱 亢進 皮膚 発汗 乾燥 その他 嘔吐、流涙、唾液過多 Olshaker JS, et al. Medical clearance and screening of psychiatric patients in the emergency department. Ann Emerg Med. 4:124,1997
Medical screening 1. 精神疾患歴あり あるいは 30歳以下 2. 急性疾患の徴候なし 3. バイタル安定 4. 見当識障害なし or 認知機能障害なし 5. 幻視なし
器質的疾患と精神疾患 器質的 機能的（精神疾患など） せん妄 認知症 発症様式 急性 緩徐 発症時年齢 いつでも 50歳以上 40歳未満 覚醒度 異常 正常 正常もしくは興奮 見当識 障害あり 幻覚 幻視や触覚異常がありうる なし 統合失調症では幻聴、その他では稀 症状経過 症状に波がある 安定 バイタルサイン 精神疾患歴 あり C Hapter, et al. The combative patient. Rosen’s Emergency Medicine. chapter 188
どんな検査を行いますか？
50歳女性 急性発症 精神疾患既往なし 身体疾患既往：気管支喘息 アルコール、ドラッグ使用歴なし
身体所見 BP 140/60, HR 130, BT 39.8, RR 40,SpO2 99 瞳孔 4/4 +/+、麻痺なし 見当識異常なし、認知機能異常なし 発汗あり 幻視なし
Medical screening 1. 精神疾患歴あり あるいは 30歳以下 2. 急性疾患の徴候なし 3. バイタル安定 4. 見当識障害なし or 認知機能障害なし 5. 幻視なし No Yes
検査（例） 血算、生化学、 トライエージ、 アルコール血中濃度 心電図 胸部レントゲン、頭部CT WBC 22000 トライエージ：陰性 EKG:sinus tachycardia Chest Xp:心拡大、肺血管陰影増強あり 頭部CT：異常なし
症例２ 35歳女性 主訴 様子がおかしい 病歴 家族が外出から帰宅後、自宅で 暴れている。
病歴（例） 発症様式 精神疾患の既往 身体疾患の既往 アルコールやドラッグ使用歴 最近落ち着きがなかった 統合失調症、通院をやめてしまって内服していない。 なし 発症様式 精神疾患の既往 身体疾患の既往 アルコールやドラッグ使用歴
身体所見（例） バイタルサイン 神経学的所見 中毒の症状 幻覚症状 BP 130/70, HR 90, RR 16, SpO2 99(room)、BT 36.4℃ 興奮しているが、他特に異常なし なし 「やつらが見張っている。盗聴器がある」 バイタルサイン 神経学的所見 中毒の症状 幻覚症状
Medical screening 1. 精神疾患歴あり あるいは 30歳以下 2. 急性疾患の徴候なし 3. バイタル安定 4. 見当識障害なし or 認知機能障害なし 5. 幻視なし Yes
検査 本症例では必ずしも必要でないかも。 施設ごとの取り決めや、精神科医との取り決めで 必要になることも。
質問はありますか？
Take home message 精神疾患症状には、medical screening をしてみよう 器質的疾患を見逃さないために、病歴、 身体所見を重視しよう！ （検査に頼りすぎない）