情報社会におけるリテラシー ~新たな社会の 新たな基礎能力~             木幡洋子.

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情報社会におけるリテラシー ~新たな社会の 新たな基礎能力~             木幡洋子

知る権利と生涯学習力 知る権利とは ・自分を自分らしく伸ばすためのものであり ・自分に関わることについての 自己決定のためのものであり  ・自分を自分らしく伸ばすためのものであり  ・自分に関わることについての     自己決定のためのものであり  ・自分の住んでいる社会がよくなるためのもの 生涯学習力とは  生涯にわたって学び自分らしく生きることができるための力

ユネスコと学習・図書館関連宣言など 1985年3 学習権宣言 1994年 公共図書館宣言 1997年 ハンブルク宣言 1985年3 学習権宣言 1994年 公共図書館宣言 1997年 ハンブルク宣言           (成人の学習のための宣言) 1999年 IFLA/ UNESCO 学校図書館宣言 2002年  IFLA/UNESCO 学校図書館ガイドライン

ユネスコ学校図書館宣言 1999年 ユネスコにおいて採択 意義の明確化 情報社会・学習社会における学校図書館の ⇒ 情報の意義 1999年 ユネスコにおいて採択   情報社会・学習社会における学校図書館の   意義の明確化      ⇒ 情報の意義      ⇒ 情報社会における主体的な市民

学校図書館宣言前文 学校図書館は、現代の情報社会においてそつなく生きていくために必要な情報とアイディアを提供する施設である。 学校図書館は子どもたちに生涯にわたって学習する力(skill)を育て、また、責任ある市民として生きていくことができるよう、想像をめぐらすことができる場でもある。

情報化社会から情報社会へ 情報関連産業と技術の飛躍的な発展 経済的繁栄のために情報技術が重要な役割を果たしている 生活のあらゆる場面における情報技術の浸透 *情報が重要になりつつある情報化社会から  情報が経済・社会・文化において重要な役割を担う  情報社会への移行へと

新たなスキルと読書能力 多くの情報を使いこなすための前提としての読書能力 読書能力を育てるために学校図書館の充実は必要 学校図書館は教育権保障の一環としてすべての人に保障

読書と情報リテラシー ~読書活動と情報リテラシーの類似~ 読書と情報リテラシー  ~読書活動と情報リテラシーの類似~ 読書活動とは  読書活動は、一人ひとりの主体的な学習活動において、情報や知識を収集し理解して、それを組織立てて利用するいわば知識の生成と、その過程で行われる読書という活動とをいうのである。(下線部は情報リテラシー概念類似の概念)    『小学校、中学校における読書活動とその指導』                     1987年文部省刊より

情報社会と学校図書館の役割

ITにおけるコミュニケーションの欠落 情報社会におけるコミュニティ参加の道具としてのコミュニケーション能力=ICT ICTとは   Information and Communication Technology 情報とコミュニケーションに関する技術 ★ICTの育成はPC操作能力だけでは不可能   ⇒情報を活用し、自己の見解を構築する能力の育成が必要   ⇒この育成は情報リテラシー育成=学校図書館の責務

School Library of Glamorgan Grammer School 読めば読むほど 多くのことを知ることができ 多くのことを知れば より賢明になり 賢明になれば 意思を表明するときや 選択を示す時に 声の力は強くなる   2002年全豪図書館週間用ポスター

【フロク】読書と学力 本を読もう! どんな本でもいい! 月に3冊は読もう!!

学力低下と読書(「学校読書調査」2002年11月号より)

学力低下と読書(その2) OECDによる第二回PISA調査 日本の15歳の子どもの読解力が14位に 「日本の15歳“学力トップ”陥落」   日本の15歳の子どもの読解力が14位に   「日本の15歳“学力トップ”陥落」        読売新聞 2004年12月7日見出し さらに下落は止まらない!

学力低下と読書(その3) PISAの結果を踏まえた文部科学省による指導改善のための文書 ・読解力は学校の教育活動全体で身に   ・読解力は学校の教育活動全体で身に    つけていくべきもの   ・教科の枠を超えた共通の理解と取組み    の推進が重要

(注) PISAと読解力 PISAとは 2000年からOECDにより実施されている PISAにおける読解力の定義  読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシー  における学力調査 PISAにおける読解力の定義  読解力とは、自らの目標を達成し、自らの知識と  可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力である。

(注2)PISAの目的 PISAの目的 変化している社会において各国がどのように対応していっているかを国際比較によって明らかにする。  変化している社会において各国がどのように対応していっているかを国際比較によって明らかにする。 「PISA読解力(reading literacy) 」の意味  最低レベルの技能としての識字(literacy)ではなく、将来、子どもたちがそれぞれのコミュニティに積極的に参加することができるための手段あるいは道具

日本のPISA結果 http://www.intweb.co.jp/teian/PISAtoha.htm より

フィンランドの学力 PISAにおける読解力首位 高い学力の理由は? ・社会保障理念に基づく教育の無償 ・平等を保障する統一的な学校制度  ・社会保障理念に基づく教育の無償  ・平等を保障する統一的な学校制度    エリナ・ラッヘルマヘルシンキ大学教育学部教授による ★OECD見解   フィンランドの教育の優秀さは「質」と「平等」の同時追及の結果

学力不振に対するベルギーの反省 ほとんどの学校で司書が配置されておらず、 公共図書館も課程外教育を支えるには   ほとんどの学校で司書が配置されておらず、   公共図書館も課程外教育を支えるには   貧弱すぎた・・・学校は読書に十分な位置   づけを行っていなかった。

【フロクⅡ】校内暴力と読書 バリー・サンダーソン『本が死ぬところ暴力が生まれる』より ひどく苦しんでいる若者たちがいる。学校に嫌気がさし、数行の文すら書くことができず、早くも5年生か6年生でドロップアウトし始める。識字が促進してくれる批判的・反省的思考をもたないため、何ごとも濾過することができず、犠牲者として人生を歩み、テレビの画面や映画館から流れてくるイメージ―多くは暴力とサディズムのイメージ―の餌食となる。……果てしなく電子イメージの流れにさらされている非識字の若者たちにはそのような(概念化のしかたの)選択、もしくは力はない。      バリー・サンダーソン『本が死ぬところ暴力が生まれる』より

【フロクⅢ】脳科学と読書 東北大学・加齢医学研究所の研究 (川島隆太研究グループによる脳の血流測定) ・脳の他の部位からの情報の統合機能 東北大学・加齢医学研究所の研究 (川島隆太研究グループによる脳の血流測定)     読書は前頭前野を活性化     前頭前野とは      ・ヒトの大脳の30%の体積を占める部位       ・①思考 ②コミュニケーション ③抑制・制御         ④記憶 ⑤意欲 ⑥集中力・注意において機能     ・脳の他の部位からの情報の統合機能

脳科学と読書(その2) 読書による前頭前野の活性化 知・情・意の発達を促し キレル・無気力を減少させ 「生きる力」を育てる   知・情・意の発達を促し   キレル・無気力を減少させ   「生きる力」を育てる  読書は教育の目標達成にとって  不可欠のツール

【フロクⅣ】オーストラリアの学校図書館 学校図書館は学校教育の中核 学校図書館司書はリーダーグループの一員 学校図書館司書は情報の専門家    ⇒教育と情報の専門家としての資質が必要 学校図書館は民主社会への参加を保障 政府は情報を国民に保障する責務