運動器検診打合せ会結果 平成27年11月5日 埼玉県医師会学校医会 運動器検診打合せ会結果 平成27年11月5日 埼玉県医師会学校医会 Ⅰ 埼玉における運動器検診の流れについての提案 Ⅱ 県及びさいたま市教育委員会・養護教諭等からの 意見 Ⅲ まとめ
Ⅰ 埼玉における運動器検診の流れについての提案 Ⅰ 埼玉における運動器検診の流れについての提案 運動器検診の成否は、以下にかかっていると思います。 ①学校医の負担をできるだけ少ないシステムにすること ⇒地域医師会との連携 ②運動器検診の協力医に、できればJCOA会員全員に ⇒整形外科医の積極的な関与(受診受入れ) ③学校教育の中に、運動器の大切さを根付かせること ⇒地域教育委員会や養護教諭・体育教諭との連携 姿勢不良や体のかたさ・バランスの悪さは、生活習慣そのもので、現在問題がない子でも、悪くなる場合もあります。 先ずは保護者による事前チェック、次いで学校教育での対処が重要です。運動器疾患の検出にとどまらず、生活習慣を見直すことに運動器検診の本来の目的があります。
H26年度からの新しい取組み(埼玉県) 保護者による事前チェック票の記載 ②運動器機能不全チェック(裏面) 子どもの身体の健康を守る基本は家庭 学校や医療機関だけでなく、家庭、社会が一体となって 子どもの運動器を支えるシステムを構築する必要がある 子どもの運動器について先ず保護者にチェックしてもらう ことは、検診システムの効率化、ロコモ予防にもつながる 保護者による事前チェック票の記載 ①側弯症チェック(表面) ②運動器機能不全チェック(裏面) 平成26年度から 新しい取組みとして、保護者にも側弯症や運動器機能不全の事前チェックをしてもらう。このことは検診システムの効率化に加え、子どもの成長を見守る親としての自覚を喚起し、結果、ロコモ予防にもつながる。 埼玉県運動器検診モデル事業
保護者による事前チェック票 裏面 表面 埼玉県運動器検診モデル事業では、平成26年から保護者に側弯症および運動器機能不全の事前チェック票を配布し、記載してもらうこととした。◎運動器機能不全では両者の見立てに大きな差が出ず、事前チェックとして有効と考えられた。 ◎側弯症では保護者と検診医で差が出る傾向にあったが、大阪能勢町の側弯症訴訟を見るまでもなく、学校だけでなく家庭での気付き・見守りが重要と思われる。事前チェックは保護者にも子供の体の異変に気付き、成長を見守る責任の一旦を担ってもらう、という点で意義がある。 埼玉県運動器検診モデル事業
運動器機能不全チェック(中3年140名) 保護者 vs 検診医 % 保護者と検診医の一致率80% 約4割 1割強 2~3% HAYASHI 第28回JCOA学会
H28年度~ 運動器検診手順(案) ・「はい」のあいさつ~姿勢および3mの歩容観察 ・内科検診 前向き ・下肢の検診 ①片脚立ち左右5秒ずつ ・下肢の検診 ①片脚立ち左右5秒ずつ ②しゃがみ込み: 前向き ・上肢の検診:横を向かせ ③肩拳上(屈曲180度) ④肘屈伸(肩屈曲90度、掌を上に) 横向き ・脊柱の検診 ⑤体前屈・後屈 ⑥側弯症チェック *保健調査票で①~⑤ にチェックがない場合: 内科検診+側弯症検診 後向き ・「ありがとうございました」で終了
運動器チェック6項目(検診医・保護者用) ①片脚でしっかり立てるか ②しゃがみ込めるか (踵を上げず・途中で止まらず 埼玉県運動器検診でも、 *レ点でチェック ( )内は〇で囲む ①片脚でしっかり立てるか (左右ともふらつかず5秒以上) □できる □できない(右・左) ②しゃがみ込めるか (踵を上げず・途中で止まらず ・後ろに転倒せず) □できる □できない □踵が上がる □途中で止まる □後ろへ転倒) 埼玉県運動器検診でも、 子どもの運動器機能に異変が起こっていることが明らかになった。 身体を動かす基本動作である ①片足でしっかり立つ ②手を真っ直ぐ挙げる ③しゃがみ込む ④体前屈のうち、 一つでもできない子どもたちは、約4割にのぼった。 これらの「体がかたい、バランスが悪い」状態を運動器機能不全とした。 ③肩を垂直に挙げられるか (耳の後ろまで) □できる □できない(右・左)
④肘屈伸で左右差がないか 正常 異常 □できる 肘伸展 □できる 肘屈曲 □できない(右・左) 水平(0度)以上伸びる 正常 異常 □できる □できない(右・左) 肘伸展 水平(0度)以上伸びる 左肘が右肘に比べ伸びない □できる □できない(右・左) 肘屈曲 手が肩に着く 右手が肩につかない
⑤体前屈・後屈で痛みがないか 痛み 体前屈 後屈 ⑥側弯症チェック 左右差 ①肩の高さ ②肩甲骨の高さ ③ウエストライン (あり・なし) 後屈 (あり・なし) ⑥側弯症チェック ④ 左右差 ①肩の高さ ②肩甲骨の高さ ③ウエストライン ④前屈テスト:肋骨隆起 (あり・なし) (あり・なし) (あり・なし) (あり・なし)
事後措置(案) 1)直ちに整形外科受診をすすめる児童生徒 ・運動器に痛みあり(授業に支障のある者) ・左右差あり ・側弯症でチェックあり ・左右差あり ・側弯症でチェックあり *但し、整形外科を受診している児童生徒は除く 2)学校教育の中で対処:要指導(指導箋:学校医会で作成も考慮) 体育の授業の一環として、ストレッチを組んだ準備体操 (SLOC ・HP子どもロコモ体操等 5分程度)を全員に実施 体のかたい児童生徒(全体の約4割)の70~80%は、 姿勢矯正およびストレッチ等で改善する *3か月経っても、なお、姿勢不良や体のかたさ・バランス の悪さなどが残存する児童生徒(全体の1割未満)は、 整形外科専門医を受診させる その判定について誰が 行うかは今後の検討課題
Ⅱ 県及びさいたま市教育委員会・養護教諭等からの意見:その① Ⅱ 県及びさいたま市教育委員会・養護教諭等からの意見:その① 埼玉県教育局: 健診マニュアルに沿った手順を基本とし、市町村教育委員会 等を対象とした健康診断に特化した研修会を開催する予定は現段階では 計画していない。専門医へ受診させる際の振り分けを明確にし、その際、 養護教諭の負担や責任ができるだけ少ないシステムにして頂きたい。 姿勢や歩容チェックについては、判断は難しいのでは。 さいたま市教育委員会: 28年度については新たに資料を準備するのは、 時間的に予算計上が間に合わないので、側弯症検診票の裏面に 運動器検診の項目票をもってくることも考慮したい。 26年度からの側弯症検診問診票の追加だけでもかなり時間がかか っている学校もあり、できるだけ簡潔なシステムが望まれる。 また疑いのある生徒を専門医に受診させた際に、「何故こんなささいな ことで来たのか」といったような対応がないよう、お願いしたい。
Ⅱ 県及びさいたま市教育委員会・養護教諭等からの意見:その② Ⅱ 県及びさいたま市教育委員会・養護教諭等からの意見:その② K小: 28年度は他科領域でも新たな検診マニュアルが加わり、 業務が激増する。できるだけ負担の少ないシステムにしてほしい。 M幼稚園: 幼稚園でも学校健診マニュアルに沿ったシステム作りをする 必要がある。但し、3歳児、4歳児、5歳児と全学年やるのは厳しい。 特に3歳児は難しく、先ずは5歳児からでよろしいとして頂きたい。 S小: 校医の先生方にも統一したやり方を周知してもらいたい。 I 中: 養護教諭・体育教諭・校医等の連携が重要と思う。 スポーツテストでも問題となる生徒をチェックしておきたい。
Ⅲ まとめ 学校保健調査票 養護教諭チェック 校医チェック ①片脚立ち・肩拳上・肘屈伸で 左右差のある児童生徒 ②しゃがみ込み・体前後屈で Ⅲ まとめ ①片脚立ち・肩拳上・肘屈伸で 左右差のある児童生徒 学校保健調査票 ②しゃがみ込み・体前後屈で 痛みがある児童生徒 養護教諭チェック ①、②を抽出し、校医に提示 ③ 体のかたい児童生徒につい ては、学校教育の中で対処 校医チェック ①、②をチェックし、必要に応じて専門医受診をすすめる *校医は迷ったら、なるべく専門医受診をすすめる 受容れ医療機関には、快く対応してもらう *体のかたい・姿勢の悪い児童生徒は、授業中の 姿勢チェック、体育の準備体操等で対処する