フロー式イムノセンサを用いた PCBの簡易迅速モニタリング法の構築

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フロー式イムノセンサを用いた PCBの簡易迅速モニタリング法の構築 2016年6月21日  京都電子工業株式会社  立石 典生

PCB廃棄物の適正な処理の促進 PCB廃棄物の多様化とPCB測定方法 高濃度PCB廃棄物 低濃度PCB廃棄物 PCB測定方法 ①高圧トランス・コンデンサ等               高圧トランス・コンデンサ、               リアクトル他  約34万台 ②安定器等             蛍光灯安定器、水銀灯安定器、             小型電気機器等 約600万台 ③PCB汚染物             感圧複写紙等   約700万トン  低濃度PCB廃棄物 ①微量PCB汚染廃電気機器等  ・トランス・コンデンサ等   約160万台  ・再生油使用柱上トランス  約291万台  ・OFケーブル          約1,400km ②低濃度PCB含有廃棄物 5,000mg/kg以下 ① 紙くず、木くず、繊維くず、 廃プラスチック類(合成樹脂くず、合成ゴムくず等) *1 ② 廃活性炭*1 ③ 汚泥1* ④ 廃プラスチック類 *2 ⑤ 金属くず*2 ⑥ 金属くず*3 ⑦ コンクリートくず*3 ⑧ 塗膜くず*1 PCB廃棄物の適正な処理の促進 PCB測定方法 特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示第192 号)   ⇒無害化処理後の廃棄物(PCB 処理物)が特別管理廃棄物に該当しないことを検定するための方法    低いレベルのPCB 濃度を正確に測定。複雑な分離操作等が必要 絶縁油中の微量PCB に関する簡易測定法マニュアル(第3版)(平成23年5月)   簡易法であるが絶縁油中のPCB濃度の測定を目的 ・低濃度PCB 含有廃棄物に関する測定方法(第1版、第2版)(平成25 年2月、平成26年9月)   固形状の廃棄物に付着または染み込んだPCBを抽出・精製して分析用の試料溶液を調製する方法 一定の分析精度を確保しつつ、短時間にかつ低廉な費用でPCB 濃度が確実に5,000 mg/kg 以下を容易に確認    *1含有量試験  * 2表面拭き取り試験  * 3表面抽出試験 環境省HP、産業廃棄物処理事業振興財団HPより引用

PCB簡易分析システムとは… 分析時間:約2.5時間 OIL 迅速判定法・簡易定量法に適用 分析対象※1 前処理装置 バイオセンサ コンデンサ油 トランス油 DOP等 前処理装置 バイオセンサ OIL 油試料 分析対象※2 紙くず、木くず 繊維くず 廃プラスチック類 金属くず コンクリートくず 塗膜くず等 PCB分析前処理装置 SZ-PCB-010T フロー式イムノセンサ DXS-610 ヘキサン 抽出液 生化学的測定法用としては 京都電子工業(株)が販売 ※1絶縁油中の微量PCB に関する簡易測定法マニュアル(第3版)(平成23年5月) ※2低濃度PCB 含有廃棄物に関する測定方法(第1版、第2版)

1台でクリーンアップ・濃縮・溶媒転溶 の全操作が完結 <平易な前処理操作> 試料添加(SZ-DXN-PT010) 1mL of n-Hexane Extract 多層カラムの加熱 60℃, 30min. 濃縮カラムの連結 1台でクリーンアップ・濃縮・溶媒転溶 の全操作が完結 ヘキサンによる精製 20 mL, 10min. PCB分析用前処理装置 SZ-PCB-010T 濃縮カラムの乾燥 ・油種に関係なく同一操作 ・カラムへの試料添加後は半自動 ・器具洗浄などの手間が不要 85℃, 10min, Air,10-15kPa DMSO 溶出 85℃, 600μL of DMSO, 20min. 前処理済みDMSO試料

<簡便な測定操作・解析> 抗体溶液(B0)と抗体+試料混合溶液(B) のシグナル比(B/B0)でPCB濃度を算出 測定開始(自動測定) 測定試料の調製 自動解析 (Excelに送るのみ) 装置にセット 測定 【所要時間;最短20分】 B0     B 減少率=PCB濃度 リアルタイムで直感的に濃度が判る! 抗体溶液(B0)と抗体+試料混合溶液(B) のシグナル比(B/B0)でPCB濃度を算出 3分/1ピーク

PCB廃棄物におけるモニタリングのニーズ 処理施設の現場の声 作業で出た排水を モニタリングしたい PCBの有無を手早く 簡単に知りたい 作業環境における大気中PCB濃度を管理したい 排水・作業環境の日常的なモニタリング(監視)のニーズ 迅速 簡易 オンサイト 分析精度 > 不測の事態を水際で回避し安心、安全な処理の実現を!

センサを活用したPCBモニタリングに関する話題提供 3.モニタリングの適切な運用

1.大気(作業環境)のモニタリング法        ~1日で分析結果を知りたい~

作業環境管理方法の構築 分析結果:従来1ヵ月⇒即日(作業者の安全管理に有効) サンプリング ソックスレー抽出 クリーンアップ 測定 DXS-610 サンプリング ソックスレー抽出 クリーンアップ 測定 SZ-PCB-010T 5%Ethylethel/Hexane150mL EPA Method TO-10に準拠 PCB採取管 ポンプ・流用計 サンプリングシステム PCB採取管:ポリウレタンフォーム;PUF,柴田科学製,ダイオキシン            測定用を内径22mm、長さ75mmにカット         吸引チューブ(内径20mm,長さ90mm)に充填 サンプリングポンプ         :TECHNO TAKATUKI Co.,LTD.製のML-6A(DC12V 0.4A) 流量計: KOFLOC製のRK1710 (0.1~1.0mL)   1L/minの流量で1.5時間吸引 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第65条の2第2項の規定 に基づき、作業環境 評価基準 PCB 0.01mg/m3 測定前・後における作業環境中のPCB濃度をモニタリング 分析結果:従来1ヵ月⇒即日(作業者の安全管理に有効)

2.水(排水等)中のモニタリング法   ~1日で分析結果を知りたい、現場で簡単に測定したい~

目標とする水中PCBの簡易迅速モニタリング法 SS、炭素系材料の磁性凝集剤による回収 超音波抽出 転溶 測定  アセトン/ヘキサン 15min ヘキサンへの液液転溶 DMSOへの濃縮転溶  フロー式 イムノセンサ DXS-610 今後の課題:更なる効率化 DMSO 15min  転溶 目標分析時間;1時間以内

炭素系材料の添加により、水中のPCB溶存態の回収率が向上 Method 1 Method 2 Method 3 Method 4 凝集剤のみ 凝集剤と同時に炭素系材料を添加後、凝集剤添加 炭素系材料添加後に30分間撹拌後、凝集剤添加 炭素系材料添加後に30分間振とう後、凝集剤添加 <Measurement Result of Method 1-4> 疑似試料;予めKC500を添加したセライトを縣濁させた水 炭素系材料の添加により、水中のPCB溶存態の回収率が向上

水中PCBの回収方法の検討(2) <低塩素PCB回収率の改善> 試料 NaCl添加 炭素系材料添加 磁性凝集剤添加 抽出操作へ <Relativity for NaCl concentration in water samples> ( )内の数値は 回収率% 塩析効果により、KC300の回収率が改善

水中PCBの回収方法の検討(3) <KCmix疑似試料による直線性> <Measurement results (KCmix pseudo-samples)> DXS-610 value. (mg/L) Sample Conc. (mg/L) 水中PCBの簡易迅速モニタリング法は濃度によらず適用可

3.モニタリングの適切な運用 汚染か汚染でないかの判断基準は? 危険域を考慮する必要があるのでは?

PCB無害化処理施設の日常管理のための分析法について     施設の処理能力の確認には、公定分析方法で分析する必要があるが、日常的な運転管理に用いる分析方法としては、公定分析方法を用いる必要はないとされている※。 日常の濃度管理は、簡易迅速モニタリングの活用は有効! しかし…、 考慮する点がある  ・ 公定分析法との相関性の確認  ・ 準備した分析方法の測定対象→主な塩素数は3~8のPCB    運転管理用測定対象→低塩素化PCB  ・ 当該迅速分析法が適用可能な測定対象物の範囲(例:電気機器の製品絶縁油に限る、など)  ・ 分析機器の維持管理(前処理の簡略化で、検出器の汚れや感度低下等)など ※ 廃棄物処理法新処理基準に基づくPCB処理技術ガイドブック(改訂版)より抜粋、(平成10年5月7日 衛環第37号)

モニタリング運用の考え方 判定 0.3 mg/kg 定量 0.5 mg/kg カットオフ値のモニタリングにより日常管理を実施 迅速判定法 ・検出下限値≦0.3mg/kg ・繰り返しの精度(precision)    :変動係数<30%(n=3以上) ・偽陰性率:<1% 簡易定量法 ・検出下限値が0.15mg/kg以下 ・正確性:真値と測定値との差が±20%以内 ・繰り返し測定の変動係数が15%未満 判定 0.3 mg/kg 定量 0.5 mg/kg 40% 0.30 mg/kg未満PCB不含 危険域を設定(環境省) カットオフ値 3,000 mg/Kg 5,000 mg/Kg 定量分析 カットオフ値のモニタリングにより日常管理を実施 1)『絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第3版)』抜粋 2)平成26 年9月 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課より公示の「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第2版)」の分析方法に準拠

PCB簡易迅速モニタリングとは… ①迅速性 即日に測定結果が得られること ②操作が簡易 平易な前処理・測定操作、解析により分析技術レベルを低減 ③メンテナンスが容易 高濃度PCB試料やマトリクス等による装置の汚染復旧が容易 ④現場で実施可能 簡易な設備、少ない器具で分析可能、移動可能 使い捨て器具により水(洗浄等)が不要

%オーダーのPCB試料であってもキャリーオーバ洗浄により復帰 <センサのメンテナンスが容易 > PCB高濃度試料、マトリクス等の影響(汚染)からの装置の復旧が容易 高濃度の試料を測定した場合 全ポートにB0溶液をセットし測定 通常洗浄 (バッファ洗浄) 影響残 高濃度PCB B0よりシグナル低下 ↓ キャリーオーバー有 B0 ポート0 校正液 ポート1 試料1 ポート2 試料2 ポート3 試料3 ポート4 B0 ポート0 校正液 ポート1 B0-1 ポート2 B0-2 ポート3 B0-3 ポート4 影響無 試料ポート (試料溶液) キャリーオーバー 洗浄(約15分) B0ポートと 同様のシグナル ↓ キャリーオーバー無 B0 ポート0 校正液 ポート1 B0-1 ポート2 B0-2 ポート3 B0-3 ポート4 %オーダーのPCB試料であってもキャリーオーバ洗浄により復帰

・簡易な設備、少ない器具で分析可能、移動可能 →移動式診断車、分析室の活用 <移動可能な分析システム> ・簡易な設備、少ない器具で分析可能、移動可能 →移動式診断車、分析室の活用 移動式分析システム(診断車) 前処理、分析器具類を設置 前処理装置 調製スペース  フロー式 イムノセンサ DXS-610 分析室(現場設置タイプ) オンサイトでの分析が可能!! 分析室 前室

液液転溶や濃縮転溶操作 ⇒ 抽出溶媒をDMSOへ変更 <まとめ> 簡易迅速モニタリング法の構築 大気(作業環境)のモニタリング法    即日に分析結果が得られるシステムを構築 水(排水等)中のモニタリング法 水中PCB回収のため凝集剤の利用、超音波抽出 今後   ソックスレー抽出 ⇒ 超音波抽出の適用   液液転溶や濃縮転溶操作 ⇒ 抽出溶媒をDMSOへ変更 現場ですべてが完結するモニタリング法の構築を目標

参考:イムノクロマトによる有る無し判定 ~目視判定の可否~ 低い PCB濃度 高い 約15分で 目視判定可能!! 濃い 薄い   ~目視判定の可否~ 絶縁油中PCB濃度 3,000 mg/kgをターゲットとした場合 操作方法  ① 絶縁油をヘキサンを用いて25倍希釈  ② ヘキサン試料溶液を、DMSOを用いて更に300倍希釈  ③ DMSO溶液を希釈液①を用いて20倍希釈  ④ 希釈液②を用いて、更に1.5倍希釈  ⑤ 75μLの測定溶液と1μL感作金コロイド溶液とを混合後、テストスプリット上にて展開  ⑥ 展開15分後に吸光度測定 低い         PCB濃度          高い mg/kg 1,500 mg/kg 3,000 mg/kg 6,000 mg/kg 12,000 mg/kg Control Line 約15分で 目視判定可能!! Test Line 濃い                        薄い テストラインの濃さ

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