21世紀のアメリカ経済 藤女子大学人間生活学部 内田 博 現代資本主義分析 21世紀のアメリカ経済 藤女子大学人間生活学部 内田 博
概要 2001年 90年代後半以降のITバブルの崩壊 2002年 景気回復 以後2~4%台の成長を維持 2001年 90年代後半以降のITバブルの崩壊 2002年 景気回復 以後2~4%台の成長を維持 ←住宅ローンの借り換えとそれに支えられた個人消費、大型減税など 2007年 サブプライム・ローン問題の顕在化 2008年 金融危機
アメリカにおける株価、住宅価格、個人消費 株価上昇・住宅価格上昇=個人消費の拡大 低金利→保有資産の時価上昇→個人消費を押し上げる=家計における預貯金の低下と負債の増加(=資産効果) 住宅の資産効果は株式より大きい *家計が金融環境に大きく依存 →金融環境悪化→資産効果剥奪
住宅ローンの借り換え 住宅価格の上昇+低金利(日本よりは高い) →住宅ローンの借り換えによるキャッシュアウト(キャッシュアウト・リファイナンス) *ローン借り換えの際に返済額を減らすのではなく、その分を現金で受け取る →債務残高は減少しないが、キャッシュアウト分が消費に回る
ホーム・エクイティ・ローン 保有する住宅資産価値が既存のローン残高を上回る部分を担保にしておこなう借り入れ 消費者ローンと比較して低金利 10万ドルまでの借入れに対しては、利子が所得控除の対象となる →債務残高は減らないが、個人消費は増加
消費者ローン残高の増加 住宅ローンに関する動向は、堅調な個人消費を下支えするとともに、消費者の債務残高を増加させる →インフレ懸念から政策金利の引き上げ →2005年には、住宅価格の上昇は頭打ち、住宅販売数も減少 →2006年からは、住宅着工件数も急減 →2007年からは、住宅投資の悪化が顕在化し、個人消費の足下を掘り崩す(とくに自動車)
サブプライム・ローン問題 2004年から普及←住宅価格頭打ちへの対応 住宅価格の上昇を見込んで、 将来プライムローン等の優良ローンに借り換えることで その後の返済負担急増を回避することを想定したローン サブプライム住宅ローンの約8割は当初数年間の返済負担が軽減されている変動金利型の商品 リスク回避のため、住宅ローン担保証券として証券化される。さらに、住宅ローン担保証券は、リスク回避のために、組成・転売型金融商品のなかにパッケージされて、世界中に転売される。
サブプライム・ローン問題の顕在化 2006年 住宅価格の上げ止まりとともに、ローンの返済遅延や住宅差し押さえが増加 2006年 住宅価格の上げ止まりとともに、ローンの返済遅延や住宅差し押さえが増加 →住宅価格の一層の低下=資産効果の剥奪 →キャッシュアウト・リファイナンスやホーム・エクイティ・ローンの困難 →アメリカの家計の債務償還年数は、理論上はすでに人間の一生をこえる