Introduction to Hydrological Cycle (水循環学総論) Koji Yamazaki (山崎孝治)

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Introduction to Hydrological Cycle (水循環学総論) Koji Yamazaki (山崎孝治) IR image

水(H2O)の性質 常温(地球上の気温範囲)で固体、液体となる。 (融点、沸点が高い) Solid state and liquid state. 比熱、融解熱、蒸発熱が大きい。Large latent heat. 固体のほうが液体より密度が小さい(氷が水に浮く)。 Solid (ice) phase is lighter than liquid (water) phase. 水は4℃で最大密度。 Water has the maximum density at 4℃. 海水は温度が低いほど重い。塩分が濃いほど重い。 Sea water: the density decreases with temperature. 海水の融点は低下する。-1.8℃ Melting point is -1.8℃。 温室効果気体である。(赤外域に吸収帯をもつ) Water vapor is greenhouse gas.

氷:固体(固相) solid phase: ice Source: The Atmosphere An Introduction to Meteorology, 10th Ed By F. K. Lutgens and E. J. Tarbuck

水:液体(液相) liquid phase: water Source: The Atmosphere An Introduction to Meteorology, 10th Ed By F. K. Lutgens and E. J. Tarbuck

相変化 phase change: Source: The Atmosphere An Introduction to Meteorology, 10th Ed By F. K. Lutgens and E. J. Tarbuck

水(H2O)の性質: 比熱が大きい 熱容量(C=⊿Q/⊿T) [J/℃ or cal/℃] heat capacity 1 cal = 4.18605 J Water

水の性質(Large latent heat) 潜熱(相変化の際の熱)が大きい 蒸発熱 Evaporation heat Lv  2.50 x 106 J/kg ~600 cal/g 融解熱 Melting heat Lf 3.34 x 105 J/kg ~ 80 cal/g 昇華熱 Ls 2.83 x 106 J/kg ~680 cal/g 水蒸気:Water vapor (気体) Lv Ls 水:Water (液体) 氷: Ice (固体) Lf

水の性質-Clausius-Clapeyron Equation dP/dT = L/(T dV) dV<0  液体の方が体積小さい 水に浮く 273.15K=0℃

海氷は水に浮く。 減少しても海面水位は上がらない。

海水は、塩分が高いほど密度が高い。 海水は、水温が低いほど密度が高い。 低温では、海水の密度は主に塩分による。 σt = ρ-1000. Tf = freezing temperature Tp = heaviest temperature 水は4℃で一番重い

飽和水蒸気量(分圧、混合比)は気温に対して指数関数的に増大 飽和水蒸気量(分圧、混合比)は気温に対して指数関数的に増大. Saturated vapor pressure (mixing ratio) increases exponetially with temperature. 一般に空気が上昇すると凝結して雲なる。 乾燥断熱減率 10K/km Dry adiabatic lapse rate 湿潤断熱減率 ~5-6 K/km Moist adiabatic lapse rate

水蒸気混合比 (g/kg)

地球(海陸)の水収支 (cm/year) Water budget on the earth

陸上大気 Atmosphere over land 海洋上大気 Atmosphere over Ocean 地球の水収支 Global water cycle  110cm/year × 海洋面積=  270cm/year × 陸地面積 陸上大気 Atmosphere over land 海洋上大気 Atmosphere over Ocean Atmospheric transport 75 48 107 118 River 陸 Land 海洋 Ocean

降水量と蒸発量の緯度分布 Precipitation and Evaporation ・赤道付近でPが多い。 ・亜熱帯でEが多い。 ・中緯度でPが多い。 ・P-E=⊿f は、赤道付近で正(雨が過剰)、亜熱帯で負(雨が過小)、高緯度で正。 ・大気中の水蒸気輸送によって平衡が保たれる

年平均可降水量:Precipitable water(mm) 可降水量とは単位面積における大気中の全水蒸気量を水にした時の厚さ ECMWF 1979-93 (気候値)

年平均降水量・蒸発量 Annual precipitation and evaporation (1週間~10日で循環する) (Recycling time 1 week -10 days ) NH SH Global

水蒸気収束Moisture convergence(=P-E) MMC=Mean Meridional Circulation (平均子午面循環)による輸送による。 Eddy = 渦による輸送の収束。

地学I 数研出版 (高校教科書)より

質量流線関数 Mass stream function (子午面循環) meridional circulation ハドレーセル Hadley cell (直接循環) フェレルセル Ferrel cell (間接循環) 極セル Polar cell (直接循環)

冬平均海面気圧 シベリア高気圧、アリューシャン低気圧

夏平均海面気圧 モンスーントラフ、亜熱帯高気圧

地表風系と降水量 [1月] ITCZ, SPCZ, Storm Tracks

地表風系と降水量 [7月] モンスーン(monsoon),ソマリジェット, ITCZ,

Extra-tropical cyclone

熱帯低気圧:Tropical cyclones

Moisture flux and its divergence(annual mean) ECMWF 15-year(1979-93)average

Moisture flux and its divergence(seasonal mean) ECMWF 15-year(1979-93)average