ミクロ経済学第10回 企業と費用3:費用関数.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
ミクロ経済学 第 6 回 消費の理論: 予算線 効用最大化 所得効果と代替効果 1. 前回の宿題の解説 Coke の消費量を x 1 、 Pepsi の消費量を x 2 とす ると、私の効用関数は U=x 1 +x 2 です。 1. U=5 のときの無差別曲線のグラフを描きなさ い。この場合、無差別曲線が通常満たすべき.
Advertisements

2014 年 10 月 17 日初級ミクロ経済学 1 初級ミクロ経済学 -消費者行動理論- 2014 年 10 月 17 日 古川徹也.
需要と供給. 需要と供給の概念 需要:ある財の価格の下で、消費者が買 いたい(消費したい)と思う量。 (注意:実際に買った量だとは限らない) 供給:ある財の価格の下で、企業が売り たいと思う量。 (注意:実際に売った量だとは限らない)
陰関数定理と比較静学 モデルの連立方程式体系で表されるとき パラメータが変化したとき 如何に変数が変化するか 至るところに出てくる.
第 5 章 企業と費用 企業の目的 企業 生産要素:労働・土地・資本 利潤最大化 5.2 生産関数 生産関数: 生産要素と生産物の技術的関係を表した もの 2.
有斐閣アルマ 国際経済学 第4章 生産要素の供給と   貿易パターン 阿部顕三・遠藤正寛.
第9章 独占 市場経済の基本的なメカニズムは,健全な経済を維持する上で欠かせないものである。
第6章 閉鎖経済における短期のマクロ経済理論
所得に対する課税 財政学(財政学B) 第2回 畑農鋭矢.
経済入門 ③ 西山 茂.
初級ミクロ経済学 -生産者行動理論- 2014年10月20日 古川徹也 2014年10月20日 初級ミクロ経済学.
経済原論IA 第8回 西村「ミクロ経済学入門」 第7章 企業行動と費用曲線 京都大学経済学部 依田高典.
経済学A ミクロ経済学(第4回) 費用の構造と供給行動
第2回講義 文、法 経済学.
初級ミクロ経済学 -生産者行動理論復習と前回宿題解説-
最適生産量の決定.
ミクロ経済学II 第18回 要素価格と所得分配 2 所得分配率 現在割引価値と土地の価格決定.
<キーワード> 生産関数、労働、資本 限界生産物
産業組織論 7 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2015年12月17日
イントロダクション.
ロビンソー・クルーソー経済.
消費の理論: スルーツキー方程式 需要曲線の導出 序数と基数
4 関数 y=ax 2 1章 関数とグラフ §3 関数 y=ax 2 の値の変化         (5時間)
ミクロ経済学 13 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2014年7月21日
特殊講義(経済理論)B/初級ミクロ経済学
3. 消費の理論.
需要の価格弾力性 価格の変化率と需要の変化率の比.
費用関数(Cost function).
2.需要と供給.
ミクロ経済学第4回 中村さやか.
マクロ経済学初級I 第2回 市場取引 需要と供給.
供給曲線の導出.
5 企業行動と産業組織.
産業組織論 4 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2015年11月5日
生産要素への需要と生産要素価格: 労働市場・資本市場・土地の市場
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved
マクロ経済学初級I 第7回講義.
生産者行動の理論(2) 利潤最大化と費用関数 供給曲線 生産者余剰 利潤最大化の条件 供給曲線と限界費用 損益分岐点・操業中止点
ミクロ経済学II 4 丹野忠晋 拓殖大学政経学部 2017年10月25日
経済原論IA 第9回 西村「ミクロ経済学入門」 第8章 企業の長期費用曲線と 市場の長期供給曲線 京都大学経済学部 依田高典.
ミクロ経済学II 3 丹野忠晋 拓殖大学政経学部 2017年10月11日
ミクロ経済学II 4 丹野忠晋 拓殖大学政経学部 2017年10月18日
<キーワード> 生産関数、限界生産物 平均費用、限界費用
<キーワード> 平均収入、限界収入 サンクコスト(埋没費用)
ミクロ経済学II 第14回 生産の決定3 産業の長期均衡 市場と均衡1.
産業組織論 9 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2015年12月24日
3. 消費の理論.
循環構造 民間部門の経済循環の流れ circular flow 家 計 企 業 (価格メカニズム) 市場機構 が働く p 消費財市場 x
ミクロ経済学第9回 企業と費用2:費用最小化.
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved
産業組織論 10 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2016年1月14日
産業組織論A 9 丹野忠晋 拓殖大学政経学部 2017年6月6日
産業組織論A 8 丹野忠晋 拓殖大学政経学部 2017年5月30日
© Yukiko Abe 2015 All rights reserved
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved
公共経済学(第5講 市場メカニズムの機能と市場均衡 )
3. 消費の理論.
産業組織論 7 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2015年12月17日
5章 プライマリー・マーケットにおけるCBA
5. プライマリー・マーケットにおけるCBA
独占はなぜいけないか.
公共経済学 (第2講 生産者の行動1) 今日の講義の目的 (1)費用関数、限界費用、平均費用という概念を理解する
第5章 企業と費用.
第4章 プライマリー・マーケットにおけるCBA
古典派モデル(1) 基本モデル 生産要素市場の均衡(労働市場,資本市場) 生産関数 消費関数,投資関数 財市場の均衡 政策の効果
第7章 不完全競争 市場経済の基本的なメカニズムは,健全な経済を維持する上で欠かせないものである。
第6回講義 文、法 経済学 白井義昌.
マクロ経済学初級II タイプIIクラス 白井義昌
産業組織論A 9 丹野忠晋 拓殖大学政経学部 2017年6月13日
Presentation transcript:

ミクロ経済学第10回 企業と費用3:費用関数

前回の宿題の解説 資本投入量をK、労働投入量をLとすると、ある企業の生産関数がY=2KLだとします。資本一単位あたりの資本レンタル率が500円、労働一単位あたりの賃金率が1000円であるとします。 (1)10000円の総費用に対応する等費用曲線のグラフを描きなさい。 (2)生産量が100のとき、費用を最小化する資本投入量と労働投入量をそれぞれ求めなさい。 (3)(2)において、労働の資本に対する技術的な限界代替率を求めなさい。 2

今日やること 1.費用関数とは何か 2.限界費用 3.固定費用と可変費用 4.限界費用と平均費用 4.1 限界費用が一定のケース 4.2 限界費用が逓増するケース 3

費用最小化 資本の1単位当たりのレンタル率をr、労働1単位当たりの賃金(wage)をwとする 資本レンタル率と賃金は市場で決定(各企業にとって所与)  「生産量をY0にするという制約条件のもとで、費用を最小化する資本投入量Kと労働投入量Lをもとめよ」 4

費用最小化→費用関数 これを解くと、費用を最小化する資本投入量K*と労働投入量L*がわかる ⇒(生産要素価格wとrを所与として)生産量Y0を達成するための最小費用は  C(Y0; w, r)=rK*+wL* ← これが費用関数 5

費用関数 費用関数: ある生産量を達成するための最小コスト C=C(Y, w, r) 生産量と生産要素価格が決まれば費用が決まる 費用関数: ある生産量を達成するための最小コスト C=C(Y, w, r) 生産量と生産要素価格が決まれば費用が決まる 普通はwとrは定数と考えて C=C(Y) と表記  ⇒(賃金と資本レンタル率の値がわかっているなら)生産量が決まれば費用が決まる

今日やること 1.費用関数とは何か 2.限界費用 3.固定費用と可変費用 4.限界費用と平均費用 4.1 限界費用が一定のケース 4.2 限界費用が逓増するケース 7

限界費用と平均費用 あと1単位生産量を増やすと費用はどれだけ増えるか 1単位当たりの費用はいくらか 混同しないように! 例: C=10+2Y  限界費用と平均費用は?

限界費用一定の費用曲線の例 限界費用曲線 費用曲線 C MC 限界費用 =費用曲線の傾き 傾きが一定なので限界費用も一定 Y Y

限界費用逓増の費用曲線の例 費用曲線 限界費用曲線 C MC 限界費用 =費用曲線の傾き Yが増えると傾き急→限界費用が増加 Y Y

今日やること 1.費用関数とは何か 2.限界費用 3.固定費用と可変費用 4.限界費用と平均費用 4.1 限界費用が一定のケース 4.2 限界費用が逓増するケース 11

総費用=固定費用+可変費用 固定費用: 生産量にかかわらず一定の費用 生産量がゼロでも生産を始めるためにかかる費用 例: 発電所の建設費用 固定費用: 生産量にかかわらず一定の費用 生産量がゼロでも生産を始めるためにかかる費用 例: 発電所の建設費用 可変費用: 生産量を変えることで変化する費用 生産量を増やすことで増える費用 人件費、原材料費など 例: C=1000+2Y 固定費用は?    可変費用は?

可変費用=限界費用の和 例1) 生産を0から1に増やす限界費用=1 生産を1から2に増やす限界費用=2 生産を2から3に増やす限界費用=3 ⇒生産量が3のときの可変費用は1+2+3=6 例2) 限界費用が一定 ⇒ 可変費用=限界費用×生産量 ⇒平均可変費用=限界費用の平均

今日やること 1.費用関数とは何か 2.限界費用 3.固定費用と可変費用 4.限界費用と平均費用 4.1 限界費用が一定のケース 4.2 限界費用が逓増するケース 14

限界費用と平均費用の関係 費用=固定費用+可変費用 → 平均費用=平均固定費用+平均可変費用 可変費用=それまでにかかった限界費用の総和 → 平均費用=平均固定費用+平均可変費用 可変費用=それまでにかかった限界費用の総和 → 平均可変費用=平均限界費用 → 平均費用=平均固定費用+平均限界費用     15

限界費用が一定のときの平均費用曲線 平均費用=平均固定費用+平均限界費用 平均費用は生産量とともに下がり、生産量が増えるにつれて限界費用に限りなく近づく 生産量が少ないと大きいが、生産量が増えるとゼロに近づく =限界費用 生産量にかかわらず一定 16

限界費用が一定のときの数値例 C=10+5Y → 平均費用=10/Y+5 平均費用のグラフを描いてみよう 5 限界費用 Y

限界費用が逓増するときの平均費用曲線 平均費用=平均固定費用+平均限界費用 平均費用はU字型になり、平均費用が最小になる点では、平均費用=限界費用 となる 生産量が少ないと大きいが、生産量が増えるとゼロに近づく 限界費用が逓増なら生産量とともに増える 18

限界費用が逓増⇒平均費用がU字型 AC 平均費用=平均固定費用+平均限界費用 生産量が少ない ⇒生産量が増えると固定費用÷生産量が 急激に減る 生産量が多い ⇒生産量が増えると可変費用が急激に 逓増 Y

限界費用が逓増するときの数値例 C=6+Y2→限界費用=2Y 平均費用=6/Y+Y 平均費用のグラフを描いてみよう 限界費用 Y 限界費用 1 2 7 4 5 3 6 8 5.5 10 6.2 Y

限界費用逓増のときの平均費用曲線 平均費用最小 Y      MC AC   平均費用最小              Y                        平均費用=限界費用 ⇒ 平均費用が最小・傾き0 限界費用<平均費用 ⇒ 平均費用は右下がり 限界費用>平均費用 ⇒ 平均費用は右上がり 21

限界費用と平均費用の関係 限界費用<平均費用 → 平均費用は右下がり 成績が平均未満の生徒が転入 → 平均点↓ 生産増 → 平均費用減 限界費用<平均費用 → 平均費用は右下がり 成績が平均未満の生徒が転入 → 平均点↓ 生産増 → 平均費用減 限界費用>平均費用 → 平均費用は右上がり 成績が平均超の生徒が転入 → 平均点↑ 生産増 → 平均費用増

平均費用の増減表