実践者育成 研修プログラム 技術編 運動に関する保健指導の実際 あいち健康の森健康科学総合センター 健康運動指導士 三浦 康平

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実践者育成 研修プログラム 技術編 運動に関する保健指導の実際 あいち健康の森健康科学総合センター 健康運動指導士 三浦 康平 厚生労働科学研究「標準的な健診・保健指導プログラム【改訂版】及び健康づくりのための身体活動基準2013 に基づく保健事業の研修手法と評価に関する研究」津下班 実践者育成 研修プログラム 技術編 運動に関する保健指導の実際 あいち健康の森健康科学総合センター 健康運動指導士 三浦 康平

脱メタボのためには収支バランスを意識 身体活動量によって収支バランスを改善 消費 摂取 メタボを予防改善するためには、収支バランスの意識が大切です。食事コントロールにより摂取量を減らし、身体活動量を増やして消費量アップにつなげます。

健康づくりのための身体活動基準 <18歳〜64歳> ・3メッツ以上の運動を4メッツ・時/週 ○息が弾み汗をかく程度の運動を週当たり60分 ・3メッツ以上の身体活動を23メッツ・時/週 ○歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分 標準問診の回答から 実施状況を把握できる 健康づくりのための身体活動基準2013より、18~64歳の基準として、生活習慣病のリスク低減には3メッツ以上の運動を4メッツ・時/週、3メッツ以上の身体活動を23メッツ・時/週行う、とあります。 この実施の有無は標準問診から拾うことができ、それぞれ具体的にわかりやすい質問で聞いています。ただし、運動習慣に関しては維持期の方のみ該当となります。 質問項目 回答 1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施 ①はい  ②いいえ 日常生活において歩行又は同等の身体活動を1日1時間以上実施 (出典:「健康づくりのための身体活動基準2013」)

運動に関する保健指導のポイント ☑ 身体活動と身体活動量 ☑ 身体活動量をエネルギー消費量に換算 ☑ エネルギー消費量を増やすポイント ☑ 運動指導におけるリスク管理 運動(身体活動)に関する保健指導のポイントは4つあります。身体を動かすことのメリットとデメリットを十分理解しておくことが、保健指導の一環としての運動指導を行う際のポイントです。

(平成25年度 津下班 コアスライド「アクティブガイドを活用した特定保健指導」引用) 身体活動とは? 身体活動 ■運動 健康増進や体力向上、楽しみなどの意図を持って、余暇時間に計画的に行われる活動 速歩、ダンス、エアロビクス、 ジョギング、テニス、サッカー など ■生活活動 日常生活を営む上で必要な労働や 家事に伴う活動 買い物、犬の散歩、通勤、床掃除、 庭掃除、洗車、荷物運搬、子供と遊ぶ、階段昇降、雪かきなど 身体活動はウォーキング、ジョギング、球技などスポーツ全般が含まれる「運動」と、通勤や家事などの「生活活動」に分けられます。現在、日本人の身体活動量が下がってきている背景から運動を推奨することよりも、まずはとにかく身体を動かすことを優先し、生活活動でもいいので身体活動量を増やすことが重要となってきている。 (平成25年度 津下班 コアスライド「アクティブガイドを活用した特定保健指導」引用)

METs(Metabolic EquivalenT(s)) 「メッツ」…身体活動の強さを表す単位 安静時の何倍に相当するかを表す単位 座って安静・・・ 「1メッツ」 立    位・・・「1.8メッツ」 普通歩行・・・「3メッツ」 てくてく♪ 身体活動はそれぞれMETs(メッツ)という単位でその強度を表します。基準となるのは座って安静にしている状態で、これを1メッツとし、その他の身体活動が座位安静時の何倍の強度に相当するか。例えば、立位は座位より1.8倍の強度となるため1.8メッツ、ふつう歩行は3倍の3メッツ、となります。 しーん…。 強度は3倍

主な生活活動や運動のメッツは「健康づくりのための身体活動基準2013」に表で記載されています。また、国立健康・栄養研究所から出されている「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」には、より詳細に分類されたメッツが記載されています。 ※その他身体活動のメッツについては、「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」(国立健康・栄養研究所)をご参照ください。 (出典:「健康づくりのための身体活動基準2013」)

身体活動量(メッツ・時)の考え方 × 1/3 時間 = 1(メッツ・時) (20分) × 1 時間 = 3(メッツ・時) 身体活動量(メッツ・時)の考え方               × 1/3 時間 = 1(メッツ・時)  (20分) × 1 時間 = 3(メッツ・時)  × 2 時間 = 6(メッツ・時)  身体活動強度はメッツで表し、メッツに時間(分)をかけることで、身体活動を量として定量化できます。そのとき単位は「メッツ・時」として表します。たとえば、ふつう歩行(3メッツの強度)を20分、1時間、2時間行った場合、身体活動量は強度と時間を掛け算してそれぞれ1メッツ・時、3メッツ・時、6メッツ・時となります。

エネルギー消費量(kcal)の算出方法 =体重(kg)×(メッツ数-1)×時間(時)×1.05※ (※ 身体活動基準2013では、1で計算) 例)体重70kgの人がウォーキング(4メッツ)を30分実施 体重と実施した身体活動のメッツ、時間、係数を式に当てはめるだけで簡単にエネルギー消費量が計算できます(係数は厳密には1.05ですが、1で計算しても構いません)。 目標とする減量値には、毎日何カロリーの消費が必要で、そのためにはどのような身体活動を何分行えばいいかが重要となります。つまり、身体活動そのもののエネルギー消費量が必要となるので、安静時分のエネルギー消費量を差し引くために実施した身体活動のメッツから「1」を引きます。 70kg×(4メッツ-1)×0.5時間×1=110kcal 

エネルギー収支による減量プランの策定① 88 4 84 減量プランは摂取と消費を意識したエネルギー収支による減量プランが大切です。エネルギー調整シートを用い、まずは現在値と決めた目標値を記入し、目標をどの程度の期間で達成するかを決定します。 9 9 6 (出典:「健康づくりのための身体活動基準2013」)

エネルギー収支による減量プランの策定② 4 6 156 2 2 38 194 次に、設定した期間で目標を達成するためには1日あたりどの程度エネルギー量を減らさないといけないかを計算します。その際、この1年で体重増があれば補正値を加えます。一日あたりのエネルギー量が計算できれば、内訳として、身体活動でどれくらい消費し、普段の食事からの摂取をどれくらい抑えるかを決めます。 70 130 (出典:「健康づくりのための身体活動基準2013」)

70kcalを消費させるには? 消費量(kcal)=体重×(メッツ数-1)×時間×1 70(kcal)=70×(3-1)×時間×1 3メッツ 4メッツ 70(kcal)=70×(3-1)×時間×1 =0.5×60=約30分 70(kcal)=70×(4-1)×時間×1 =0.33×60=約20分 ● 「毎日コツコツ続ける」となると「歩行」が気軽に取り組みやすい! ● 歩くときは「速歩」を意識で身体活動にメリハリを! ● 3メッツなら30分、4メッツなら20分で体重の数字分のカロリー消費! 日常の生活に取り入れやすい身体活動は「歩行」であり、同じ「歩く」でも少し意識して早歩き(速歩)に変えるだけでメッツが上がり、その分同じ時間歩いてもカロリー消費に開きが出ます。

適切な強度と時間 ・1回の身体活動で20分以上 継続しなければ効果がない 科学的根拠に乏しい ・短い時間の積み重ねでOK  継続しなければ効果がない 科学的根拠に乏しい ・短い時間の積み重ねでOK ・個々人のライフスタイルに  合わせることが重要 安全を考慮し、かつ運動効果を出すためには11.楽である~13.ややきついと感じる程度にとどめて実践することが望ましいです。上げすぎは、きつさが増す分リスクが高まり、時間も長く続けられません。何を目的に身体を動かすのか、そのための最適な運動強度や時間はどの程度かを伝えることが大切です。つまり、強度は強いきつさを感じるほどではなく、時間は1回あたりの時間を長く取れなくても大丈夫であることを伝え、相手に「この程度でいいのか、これならあまり負担にならない」と思っていただくことが重要です。

仕事をしながら身体活動を増やすためには? ■通勤時の身体活動 ・電車通勤なら1駅分歩く(片道だけ、晴れの日だけでも) ・駐車場はなるべく遠くにとめる ・職場が近いなら自転車に切り替え ■職場内の身体活動 ・階段の利用 ・移動するときは速歩を意識 ・休憩時の合間にストレッチ&軽い筋トレ 運動時間を割かなくても身体活動量を増やす工夫はたくさんあることを紹介(あるいは少し時間をとって参加者同士で工夫案を出し合うことで情報共有が可能)します。参加者自身が感じているハードルを下げ、相手が「これくらいだったらできるかも」と思える選択肢を用意してくことが大切です。

行動変容を促し、運動継続のパートナーを ☑ 歩数計や関連アプリなどを活用し、身体活動の状況を   客観的に把握する。またレポート等でフィードバックする   ことにより、賞賛が可能となり、更なる動機づけを行なう。  ☑ 身体活動状況等から、実施計画表の見直しを   定期的に行ない、運動実践を確実なものにする。   また運動の内容についても修正していく。 運動習慣がない方に運動を実施する時間を新たに割いてもらうことは難しいですが、そのような状況でも行動変容を促し、少しでも身体を動かす気にさせるためには歩数計や関連アプリ等のツールの利用がおすすめです。歩数計着用により、現時点の自分の身体活動状況が把握でき、レポート機能等により指導者からの賞賛が可能となり動機づけが行えます。また、自身も成果が見える化されることで行動変容につながります。

(一例として) 歩数の増加に伴い、体重の減少が起きている事例を紹介します。

まずは身体活動時間を10分増やす <すべての世代> ・現在の身体活動量を少しでも増やすことで生活習慣病、  ロコモティブシンドローム、認知症リスクが軽減される  ⇒今より毎日10分長く動く 目標とする身体活動量、運動量、歩数が定められておりますが、到達には程遠い方、まだ何も始めていない方にも、まずは現在より10分身体活動量だけでも効果があることお伝えします。その普及として「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」にある「プラステン」というキーワードがあります。アクティブガイドには、「プラステン」を促す身体活動チェックのフローがあり、自分だけでなく周りにも実施を広めていけるような階層分けがされています。もちろん、実践し始めた方、すでに実践して継続中の方には次のステップとして時間や強度の確認、見直しを行う必要があります。 (出典:「健康づくりのための身体活動基準2013」「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」)

安全に行うための強度設定 ☑ 生活習慣病患者等に対して、保健指導の一環として身体活動への取り組み   を支援する場合、3メッツ程度(散歩程度)で開始する。継続的に実施した   結果、その身体活動に慣れたとしても、安全性を重視して支援の期間中は   3メッツ以上 6メッツ未満の強度を維持することが望ましい。 ☑ メッツ値だけでなく、対象者本人の自覚的運動強度も有用である。生活習慣   病患者等には、「楽である」または「ややきつい」と感じる程度の強さの   身体活動が適切であり、「きつい」と感じるような身体活動は避けた方がよい。 ☑ 生活習慣病患者等が高強度の筋力トレーニング等、6メッツ以上の有酸素性   運動を行うことを自ら希望する場合には、健康スポーツ医等の医師の   アドバイスやメディカルチェックを受けることが望ましい。 身体を動かすということはやり方によっては身体に悪影響となる可能性があることを知っておき、相手にも十分伝える必要があります。生活習慣病患者等に対して、保健指導の一環として身体活動をすすめる場合は3メッツ程度の強度で開始し、継続しても6メッツ未満に維持することが望ましいです。メッツだけでなく、自身の感じ方として「楽である」または「ややきつい」と感じる程度とし、具体的には時間が経つと軽く汗ばむ程度や、息が弾んでも会話が問題なく成立する程度、といった具体例を提示する必要があります。もし6メッツ以上の運動を希望する場合は、健康スポーツ医等の医師のアドバイスやメディカルチェックを受けることが望ましいです。 (出典:「健康づくりのための身体活動基準2013」)

積極的支援中(2,477名)の傷病 男性 (85名/2,329名、3.6%) 女性 (11名/148名、7.4%) 男性 (85名/2,329名、3.6%) 年齢 50.6、BMI 26.4、腹囲 92.3 女性 (11名/148名、7.4%) 年齢 55.5、BMI 27.5、腹囲 96.3 % % % % % 厚生労働科学研究(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業:津下班)の報告では、積極的支援中の傷病の割合は男性では腰痛、膝関節痛の順で、女性では膝関節痛、腰痛の順でした。体重過多による外科的な傷病が割合として男女とも多くを占めています。 % 腰痛 膝関節痛 その他 厚生労働科学研究(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業:津下班)

生活習慣病予備群(保健指導レベル)の対象者に対して 保健指導の一環としての運動指導の可否を判断する際の考え方① 生活習慣病予備群(保健指導レベル)の対象者に対して、運動指導の可否を判断する際の考え方をフローにしたものが「健康づくりのための身体活動基準2013」に記載されていますので現場での活用が可能です。 (出典:「健康づくりのための身体活動基準2013」)

生活習慣病予備群(保健指導レベル)の対象者に対して 保健指導の一環としての運動指導の可否を判断する際の考え方② (出典:「健康づくりのための身体活動基準2013」)

身体活動のリスクに関するスクリーニングシート 運動開始前のセルフチェックリスト 身体活動のリスクをスクリーニングし、運動の可否を判断するシート、運動開始前にその日の体調を確認するチェックリストを活用し、安全面に配慮した保健指導を行う必要があります。 (出典:「健康づくりのための身体活動基準2013」)

安全に取り組むための留意事項 ☑ 服装や靴の選択 暑さ・寒さへの対応、動きやすさ。膝痛や腰痛の予防。   暑さ・寒さへの対応、動きやすさ。膝痛や腰痛の予防。 ☑ 前後の準備・整理運動の実施方法の指導   傷害や心血管事故の予防。疲労の軽減と蓄積の防止。 ☑ 種類・種目や強度の選択   有酸素運動が基本で、ストレッチング・筋トレを併用。強度3~6メッツ、RPE11~13。 ☑ 正しいフォームの指導   傷害や事故の予防。 ☑ 足腰に痛み等がある場合の配慮   対象に適した種目の選択。痛みが発生した際の対応。 ☑ 身体活動中の体調管理   無理をせず、異常と感じたら運動を中止する。 ☑ 救急時のための準備    緊急時の連絡体制、搬送経路の確立。     身体活動を実践する際の注意事項を挙げております。とにかく無理は禁物です。頑張りすぎて極度の疲労感や痛みが出てしまうと継続につながりません。また、万一の時に備えて救急時の準備をしておくことが大切です。 (出典:「健康づくりのための身体活動基準2013」)

まとめ ☑ 身体活動はエネルギー消費をするすべての動作。 ☑ 身体活動量をカロリー計算して収支バランスへ活用。 ☑ 対象者の日常の身体活動状況を把握する。 ☑ 実施していることがあればまずは賞賛。 ☑ 何が出来そうか、何なら何に変えられるかを提案。 ☑ 継続することが前提となるので安全を第一に、   無理をせず、徐々に進める、楽しむことが大切。 保健指導の一環としての運動指導を行う上で、重要となる項目です。相手には、まず今の自身の状況を知ってもらうことが重要です。それを把握した指導者は相手が何が出来そうか、何に変えることなら出来るかを考え、提案してあげることで実践、継続につながります。どんな小さな取り組みや変化にも賞賛を忘れず、やる気を引き起こさせることが大切です。その中で、安全を第一に考え、ブレーキをかけることも忘れてはいけません。