Surviving Sepsis Campaign 2012 Methodology

Slides:



Advertisements
Similar presentations
今 日 の ポ イ ン ト今 日 の ポ イ ン ト 糖尿病人口は予備群を含めると 2,050 万人1.1. 糖尿病は血糖値が高くなる病気 ただし自覚症状がほとんどありません 2.2. 血糖値が高い状態を「高血糖」といいます3.3. インスリンの作用が弱くなったために高血糖に なったのですが、高血糖は必ず改善できます.
Advertisements

メタボリックシンドロームの考え方. 危険因子の数と心臓病のリスク 軽症であっても「肥満(高 BMI )」、「高血圧」、「高血糖」、「高トリグリセリド(中性脂肪) 血症」、または「高コレステロール血症」の危険因子を2つ持つ人はまったく持たない人に比べ、
小児の正常値 2003/05/14 - 第4学年 はじめに 患者の年齢によって正常範囲が異なる 通常、検査報告書に添えてある正常値 は成人のものである 医師が正常・異常を総合的に判断する.
Journal Club 西部救命 3年目 桝田志保 PMID:
三例の糖尿病性腎症導入例 仁和寺診療所 田中 貫一 仁和寺診療所.
1. 動脈硬化とは? 2. 動脈硬化のさまざまな 危険因子 3. さまざまな危険因子の 源流は「内臓脂肪」 4. 動脈硬化を防ぐには
A case of pneumatosis cystoides intestinalis attributed
つちだ小児科  土田晋也
輸血の適応/適正使用 血小板製剤 福井大学輸血部 浦崎芳正.
糖尿病患者におけるPWV (脈波伝播速度) 当院通院糖尿病患者648名からの解析
家庭血圧のすすめ 「病院に来た時だけ血圧が高い」方はしばしばおられます(白衣高血圧)。
腹膜炎による敗血症性ショックに対するPMX 〜ABDOMIX study〜 東京ベイ・浦安市川医療センター 集中治療科 滝内 るり子
全身倦怠感 全身倦怠感はさまざまな病気にみられます 疲れやすい… だるい…
メタボリックシンドローム (内臓脂肪症候群)
Yokohama City Save Hospital ☆Emergency and Critical Care Medicine☆
Effects of fluid resuscitation with colloids vs crystalloids on mortality in critically Ill patients presenting with hypovolemic shock JAMA. Nov vol310,No.17.
トラネキサム酸の効果 出血を伴う外傷患者の死亡リスクを低下 科学的根拠をここに示します.
Journal Club N Engl J Med 2014; 370:
輸血の適応/適正使用 新鮮凍結血漿 福井大学輸血部 浦崎芳正.
ICU退室後のPTSDと家族の精神状況 おもしろいとおもいます。 しかし、統計学的手法が難しい研究ですね。
メタボリックシンドローム (内臓脂肪症候群)
SSCG2012.
アシドーシス起因の疾病発生機序 濃厚飼料多給、或いは粗飼料不足によるルーメンpHの低下 グラム陰性菌細胞壁外膜成分であるエンドトキシンが放出
自律神経の研究成果 神経生理 平山正昭.
1. 糖尿病と感染症 2. 感染症にかかりやすく 長引きやすい、5つの理由 3. 主な感染症の症状と対策 4. 感染症にかかったときの
第2回栄養セミナー 川崎医科大学 糖尿病内分泌内科 衛藤 雅昭 生活習慣病(肥満,糖尿病,高脂血症)の 食事療法
高血圧 診断・治療の流れ 診断と治療の流れ 問診・身体診察 二次性高血圧を除外 合併症 臓器障害 を評価 危険因子 生活習慣の改善
1. 糖尿病による腎臓の病気 =糖尿病腎症 2. 腎症が進むと、生命維持のために 透析療法が必要になります 3. 糖尿病腎症の予防法・治療法
自転車で転倒し    脾臓損傷した症例 ○○消防署 ○○救急隊  ○○○○.
インスリンの使い方 インターンレクチャー.
Intensive Care Med (2014) 40:320–331
Hironori Kitaoka.
輸血の生理学 大阪大学輸血部 倉田義之.
高齢者の肺炎による死亡率. 高齢者の肺炎による死亡率 誤嚥のメカニズム 誤嚥は、脳卒中や全身麻痺、あるいは麻痺などの症状のない脳梗塞で、神経伝達物質の欠乏によって、咳(せき)反射や、物を飲み下す嚥下(えんげ)反射の神経活動が低下して起こる。
血管と理学療法 担当:萩原 悠太  勉強会.
埼玉医科大学腎臓内科/総合診療内科 岡田浩一
汎用性の高い行動変容プログラム 特定健診の場を利用した糖尿病対策(非肥満を含む)
フィジカルアセスメント と 始業時にやること
1. 糖尿病の患者さんは、脳梗塞や 心筋梗塞に注意が必要です 2. 脳梗塞と心筋梗塞の原因は どちらも動脈硬化です 3.
裏面に新たな認定基準の一覧を掲載していますので、ご参照ください。
裏面に新たな認定基準の一覧を掲載していますので、ご参照ください。
裏面に新たな認定基準の一覧を掲載していますので、ご参照ください。
供血者の選択・採血 琉球大学輸血部 佐久川 廣.
肥満の人の割合が増えています 肥満者(BMI≧25)の割合 20~60歳代男性 40~60歳代女性 (%)
メタボリック シンドローム.
Surviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Severe Sepsis and Septic Shock, 2012 Kogeichi Yohei.
非溶血性輸血副作用 神戸大学輸血部 西郷勝康.
市区町村別標準化該当比マップ (2013年度版) 岡山県保険者協議会 岡山県国民健康保険団体連合会.
東京ベイ浦安市川医療センター 菅原 誠太郎.
小児に特異的な疾患における 一酸化窒素代謝産物の測定 東京慈恵会医科大学小児科学講座 浦島 崇 埼玉県立小児医療センター 小川 潔、鬼本博文.
健診におけるLDLコレステロールと HDLコレステロールの測定意義について~高感度CRP値との関係からの再考察~
●●●●により救命できた ●●●●を呈した ●●●●の一例
学習目標 【1.ショック】 1.ショックとは何かを説明できる. 2.ショックの原因を分類できる. 3.ショックの段階を説明できる. 4.ショック時の観察ポイントを説明できる. 5.ショックへの対応の流れと治療の原則が説明できる. 【2.意識障害】 1.意識障害とは何かを説明できる. 2.意識障害の原因を分類できる.
高脂血症.
偶発性低体温患者(非心停止)の復温法 復温法 軽中等度低体温 ≧30℃ 高度低体温 <30℃ ○ PCPS 能動的体外復温法
1. 糖尿病の自覚症状は あてにならない 2. 主な検査の種類 3. 検査値の意味と 基準値・コントロール目標 4.
血栓性血小板減少性紫斑病 TTP 溶血性尿毒素症候群 HUS
1.
緊急輸血・大量輸血 山形大学輸血部 田嶋克史.
A-2 男性用 健診結果から今の自分の体を知る 内臓脂肪の蓄積 ~今の段階と将来の見通し~ 氏名 ( )歳 摂取エネルギーの収支
異所性妊娠卵管破裂に対する緊急手術中の輸血により輸血関連急性肺障害(TRALI)を発症した1例
輸血関連急性肺障害 TRALI 神戸大学輸血部 西郷勝康.
裏面に新たな認定基準の一覧を掲載していますので、ご参照ください。
心電図 二次チェック 非ST上昇心筋梗塞 ST上昇心筋梗塞 ー不安定狭心症 予防的治療: (禁忌でなければ): βブロッカー、ACE阻害薬
A-3 女性用 健診結果から今の自分の体を知る 内臓脂肪の蓄積 ~今の段階と将来の見通し~ 氏名 ( )歳 摂取エネルギーの収支
1. 糖尿病による腎臓の病気 =糖尿病腎症 2. 腎症が進むと、生命維持のために 透析療法が必要になります 3. 糖尿病腎症の予防法・治療法
脱水・ 循環血液量低下.
1. 糖尿病の患者さんは 血圧が高くなりやすい 2. 糖尿病に高血圧が併発して 合併症が早く進行する 3. 血圧コントロールの 目標と方法
1. ご高齢の糖尿病患者さんと 若い人との違いはなに? 2. ご高齢の糖尿病患者さんの 治療上の注意点 3. ご高齢の糖尿病患者さんの
青葉塾の掟 「先生口撃」禁止➡さん付け、またはニックネーム 職場の人間関係を持ち込まない。 完全自由参加
Presentation transcript:

Surviving Sepsis Campaign 2012 Methodology 日本版敗血症診療  ガイドライン2012   方法、定義と診断

Sepsisの定義 感染によって発症した全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome: SIRS)    =infection-induced SIRS SIRSの定義(以下の 4 項目のうち 2 項目以上が該当する場合)  1) 体温>38℃または<36℃  2) 心拍数>90 回/分  3) 呼吸数>20 回/分または PaCO2<32Torr  4) 末梢血白血球数>12,000mm3 または<4,000mm3    あるいは未熟型顆粒球(band)>10%

Sepsisの定義 血液培養で病原微生物が検出される(菌血症),あるいは血液中に病原微 生物の毒素が検出される(エンドトキシン血症など)必要はない。 感染の存在は,通常無菌的な組織や体液または体腔に病原性を持つ,ま たはその可能性のある微生物やその毒素が証明されれば確実であるが,無 菌的部位に病原微生物が証明されなくても,感染に対する全身反応として の敗血症が強く疑われる場合は感染として扱う。 日本版敗血症診療ガイドライン

敗血症診断のための補助的指標 全身的指標 炎症反応の指標 日本版敗血症診療ガイドライン 発熱 (深部温>38℃) 低体温 (深部温<36℃)  全身的指標 発熱 (深部温>38℃) 低体温 (深部温<36℃) 心拍数 (>90/分,または年齢の基準値よりも>2SD:標準偏差) 頻呼吸 (>20 回/分) 精神状態の変化 著明な浮腫または体液増加(24 時間で>20mL/kg) 高血糖 (血糖値>120mg/dL,ただし非糖尿病患者)  炎症反応の指標 白血球増多 (WBC>12000/μL) 白血球減少 (WBC<4000/μL) 白血球数正常で未熟型白血球>10% CRP (>2.0mg/dL) プロカルシトニン (>0.5ng/mL, 重症敗血症 >2.0ng/mL) IL-6 (重症敗血症 >1,000pg/mL) 日本版敗血症診療ガイドライン

敗血症診断のための補助的指標 循環動態の指標 臓器障害の指標 臓器灌流の指標 日本版敗血症診療ガイドライン  循環動態の指標 低血圧 (成人では収縮期血圧<90mmHg もしくは平均血圧<70mmHg,または収縮期血圧 40mmHg 以上の低下,小児では年齢基準値よりも2SD 以上の低下)  臓器障害の指標 低酸素血症 (PaO2/FIO2<300) 急な尿量減少 (尿量<0.5mL/kg/h) Cre の上昇 (>0.5mg/dL) 凝固異常 (PT-INR>1.5 または APTT>60 秒) イレウス (腸蠕動音の消失) 血小板数減少 (<100,000/μL) 高ビリルビン血症(T-Bil>4mg/dL)  臓器灌流の指標 高乳酸血症 (>2mmol/L) 毛細血管再充満時間の延長,またはまだらな皮膚 日本版敗血症診療ガイドライン

Sepsisの定義 Sepsis is defined as the presence (probable or documented)of infection together with systemic manifestations of infection. 全身状態  ・発熱(>38.3℃)  ・低体温(深部温<36℃)  ・脈拍数>90/分、もしくは標準偏差の2倍以上の上昇  ・頻呼吸  ・精神障害  ・明らかな浮腫、もしくは24時間以上で水分バランス>20mL/kg  ・高血糖(非糖尿病患者で、血糖値>140mg/dL,7.7mmol/L) 発熱(深部温>38℃) >20回/分 敗血症は感染による全身症状を伴った感染症による症候 項目既定なし >120mg/dL SSCG 2012

Sepsisの定義 >2.0mg/dL >0.5ng/mL 炎症所見 ・白血球増加(>12,000/μL)  ・白血球数は正常だが、10%以上の桿状球の増加  ・ 2SD以上のCRPの増加  ・ 2SD以上のプロカルシトニンの増加 >2.0mg/dL >0.5ng/mL SSCG 2012

Sepsisの定義 小児だけ 循環動態 ・低血圧(収縮期血圧<90mmHg, 平均血圧<70mmHg, 収縮期血圧が       40mmHg以上低下、または2SD以上の低下) 臓器障害  ・低酸素血症(PaO2/FiO2<300)  ・急性の乏尿(尿量<0.5ml/kg/hrが適切な輸液下で少なくとも2時間持続)  ・クレアチニンの増加(>0.5mg/dl)  ・凝固異常(PT-INR>1.5、もしくはAPTT>60秒)  ・イレウス:腸蠕動音の消失  ・血小板減少<10万/μL  ・総ビリルビン上昇>4mg/dl 小児だけ SSCG 2012

Sepsisの定義 >2mmol/L 組織灌流所見 ・高乳酸血症>1mmol/L  ・毛細血管の再灌流減少,もしくはmottled skin(斑状皮膚) >2mmol/L SSCG 2012

Severe Sepsis 敗血症の中で,臓器障害や臓器灌流低下または低血圧を呈する状態 臓器灌流低下または灌流異常 乳酸アシドーシス,乏尿,意識混濁など 臓器障害 SOFAスコアなどに用いられている臓器障害の指標 補助的指標:プロカルシトニン >2.0ng/mL、IL-6 >1,000pg/mL

SOFA スコア 1 2 3 4 呼吸器 PaO2/FiO2(mmHg) >400 ≦400 ≦300 ≦200 呼吸器補助下 ≦100 1 2 3 4 呼吸器 PaO2/FiO2(mmHg) >400 ≦400 ≦300 ≦200 呼吸器補助下 ≦100 凝固系 血小板数(×103/mm2) >150 ≦150 ≦50 ≦20 肝 ビリルビン値(mg/dL) <1.2 1.2-1.9 2.0-5.9 6.0-11.9 >12.0 (mmol/L) <20 20-32 33-101 102-204 >204 心血管系 低血圧 なし 平均動脈圧 <70mmHg ドパミン≦5γ あるいは ドブタミン投与 (投与量を問わない) ドパミン>5γ エピネフリン≦0.1γ ノルエピネフリン≦0.1γ ドパミン>15γ エピネフリン>0.1γ ノルエピネフリン>0.1γ 中枢神経系 Glasgow Coma Scale 15 13-14 10-12 6-9 <6 腎機能 クレアチニン値(mg/dL) 2.0-3.4 3.5-4.9 >5.0 <110 110-170 171-299 300-440 >440 あるいは尿量 <500mL/day <200mL/day

Severe Sepsis sepsis-induced tissue hypoperfusion or organ dysfunction (any of the following thought to be due to the infection) 敗血症に起因する低血圧 乳酸レベル高値 2時間以上の適切な輸液蘇生を行っても尿量が0.5 mL/kg/hr未満 感染巣が肺炎でない場合のPaO2/FiO2<250の急性肺傷害 感染巣が肺炎である場合のPaO2/FiO2<200の急性肺傷害 クレアチニン>2.0 mg/dl ビリルビン>2 mg/dl 血小板数<100000 /μl 凝固障害(PT INR>1.5) プロカルシトニン >2.0ng/mL IL-6 >1,000pg/mL

Sepsis induced hypotension 収縮期血圧<90 mmHg 平均動脈圧<70 mmHg 収縮期血圧の40 mmHgを越える低下 他の低血圧要因がなくその年齢における血圧より2SD以上の低下

Septic Shock 敗血症に起因する低血圧が適切な初期輸液蘇生を行っても持続する状態

まとめ 日本敗血症診療ガイドライン SSCG2012 発熱 >38.0℃ >38.3℃ 頻呼吸 >20回/分 既定なし 高血糖 >120mg/dL 140mg/dL CRP >2.0mg/dL 2SD以上の増加 プロカルシトニン >0.5ng/dl 低血圧 小児では2SD以上の低下 2SD以上の低下 高乳酸血症 >2mmol/L >1mmol/L

エビデンスとGRADE エビデンスレベル 研究方法 レベル A RCT(無作為化比較対象試験) レベル B 対象と比較した観察研究、コホート研究 レベル D 症例集積研究または専門家の意見 GRADE A 高いエビデンスのあるもの 複数のレベル A の研究があるもの GRADE B 中等度のエビデンスのあるもの 一つのレベル A の研究のあるもの GRADE C 弱いエビデンスのあるもの レベル B の研究しかないもの GRADE D 非常に低いエビデンスしかないもの レベル C 以下の研究しかないもの研究方法 日本版敗血症診療ガイドライン

エビデンスとGRADE エビデンスレベル 研究方法 GRADE A 高い / RCT GRADE B GRADE C 低い / 十分に検討された観察研究 GRADE D 非常に低い /質の低い症例集積研究またはエビデンスに基づいた専門家の意見 SSCG 2012