経営学3(Business Management) 秋木1・1204教室(???人) 樋口徹 【サブタイトル(Sub-Title)】 経営学の変遷を学ぶ 【講義の目的・内容(Course Purpose and Content)】 本講義では経営学の基礎について、歴史的な変遷を踏まえて講義します。近年 は、技術革新やグローバル化などの影響を受け、企業内部の組織構造が大きく 変化しています。そのような中で、企業がどのように対応してるのかを理解できる ようにします。 【学修到達目標(Learning Objectives)】 経営学の変遷について理解し、経営学が課題としてきた諸問題とそれらへの解決 の過程を理解できるようにします。
【講義スケジュール(Lecture Schedule)】 第1回 09/24 講義概要と現代の組織・組織の分類 第2回 10/01 組織の成長と進化 第3回 10/08 中央集権的組織 第4回 10/15 分権的組織 第5回 10/22 会社組織の再編 第6回 10/29 個人と組織の意思決定 第7回 11/05 活動領域の設定 第8回 11/12 多角化と事業構成 第9回 11/19 事業戦略 第10回 11/26 学習する組織 第11回 12/03 組織能力 第12回 12/10 企業統治 第13回 12/17 まとめ 【期末テスト】 第14回 01/07 事例①セブンイレブン (休講の可能性大) 第15回 01/15 事例②アマゾン
【事前・事後学習(Supplementary Individual Study)】 各回の終わりに、予習すべきテキストの箇所を指定します。 復習用の課題をToyoNet-Ace上で課します。必ず期限内に回答すること。 【成績評価の方法・基準(Grading Criteria and Method of Evaluation)】 毎回の課題: 30% 授業中の課題: 30% 期末テスト: 40% 【テキスト(Textbooks)】 石井晴夫・樋口徹(2014)『組織マネジメント入門』中央経済社
第1章 現代組織における経営の基礎 組織の分類(1章2節) 第1章 現代組織における経営の基礎 組織の分類(1章2節) 1-2-1 組織の分類(p.10) 多様な組織 バーナードは、組織を「意図的に調整された複数の人間の活動や諸力の システム 」と定義。 簡単に言えば、組織とは、「共通の目的を遂行するために協働関係にある人々の 集まり 」である。 組織には規模や目的が異なる多様な集まりが含まれる。 ※例えば、ボランティア活動を協力して行っている2人組から、営利目的の数万人規模の大企業まで組織となる。
組織の分類方法① 「公式組織」と「非公式組織」 ある組織の 組織化 の度合いによって、組織を分類することがある。 組織の目的達成のために、組織の構成員の役割が定められ、各構成員の活動を調整する仕組み(コミュニケーションや秩序)が整備されている(組織化が進んでいる)組織は 公式組織 と呼ばれる。 ※ バーナード が定義した組織は公式組織のことである。 それに対して、「 非公式組織 」は自然発生的なもので、友人関係などのように共通の目的や役割分担がなくても成立する。 ※このような非公式組織の存在が注目されるようになったのは、メイヨー(George E. Mayo)やレスリスバーガー(Fritz J. Roethlisberger)などの人間関係論派の学者が米国ウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場での実験を通して職場の中で自然発生的に生まれた非公式組織の効果を公表してからである 。 非公式組織は社会の至る所で発生し、社会生活に影響を及ぼしている重要な存在である。 5
1-2-2 法人格の有無による分類(p.12) 組織の分類方法② 組織には、法人格を有する 法人 とそうでない 自然人 (個人)が存在している。人間は出生時点で権利能力が与えられるが、法人は、法律の要件を満たした組織が所定の手続きを行った場合に 法人格 が与えられるものであり、それによって権利能力を持つようになる。法人は、特定の法律を根拠として成立することになる 。 民法第33条の中で、法人は 民法 あるいは他の法律の規定によって成立するとされている。法人格の取得や法人運営に関して厳しい制約やデメリットがある一方で、様々な経済・社会的なメリットもある。 ※例えば、個人と比較して、法人として活動した方が社会的な信用が高く、さらに、法人として銀行口座開設や不動産登記などの各種契約を結ぶことなどが可能になる。組織の置かれている状況によって多少異なるが、大規模あるいは本格的に活動する場合は、法人格を取得するのが一般的である。 6
1-2-3 目的による分類(p.12) 組織の分類方法③ 営利 を目的とする法人の代表格が「 会社 (corporation)」である。営利とは、金銭上の利益を求めて、活動することである。このような営利目的の法人の設立・運営は、2005に会社に関する法律を統合・再編成した「 会社法 」(2006年施行)の中で規定されている。 ※会社法の中で規定されていないものについては、民法などが適用されることになる 。日本国内には、主な会社の種類として、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社がある。 非営利 を目的とする法人の種類も多様である。その内容は、教育、環境、福祉など多岐に渡っている。そのような法人の設立・運営を管理するための各種法律が存在し、監督官庁もそれぞれ決まっている。 ※例えば、東京都内でボランティア活動を行っている組織を法人化するには、「特定非営利活動促進法」(1998年施行)に基づいて、東京都知事(所轄庁)に申請書を提出して、設立の認証を受ける必要がある。 7
1-2-4 内部組織と組織の連合体(p.13) 組織内部の組織 (公式)組織の内部に(公式)組織が形成されることがある。ある組織が目的を効率的に達成するために、組織をいくつかの内部組織に 分割 することがある。 巨大化した組織では 管理の仕組み を工夫しなければ、組織の効率性が悪化し、そして迅速性を失うことになる。全体を一括して管理することが困難な場合、組織を部や課などの組織に分割した方が、管理が容易となる。企業の場合は、 機能 (職能)別あるいは 事業部 別に組織を分割することが多い。組織内部に複数の下部組織を設置し、各下部組織の役割や責任を明確化することによって、組織全体の目的の効率的かつ確実な達成につながると考えられている。 ※内部組織の中には、法律で設置が義務付けられているものや組織内の制度や事情で設置されているものなどがある。例えば、株式会社は会社法によって社内に取締役会や監査役会などの機関が義務付けあるいは奨励されている。さらに、組織内部の規約やトップの意思決定によって部署やプロジェクトチームなどが設置されることもある。 8
組織の連合体 共通の目的を有する 外部 の組織と協働関係を構築することもある。下図は、内部組織と組織連合体の関係を図示したものである。A組織とB組織は単体の組織で、両組織の中には①~③の下位組織が存在している。そして、A組織とB組織は共通の目的を達成するために、協働関係を構築し、組織連合体を形成している状況にある。 9
組織の連合体への期待 近年、異なる法人組織が複数集合し、特定の事業を行うことに 注目が集まっている。 ある目的を 単一 の法人組織で達成が困難あるいは非効率 な場合には、法人組織が連合体を形成し、事業を行うことの重 要性が認識されるようになっている。 連合体の典型的なものが、営利目的で複数の法人が協働関係 を構築する「SCM; サプライチェーン・マネジメント 」や公 益目的の「PPP(Public-Private- Partnerships; 公民連携 )」が ある。
1-2-5 日本国内の法人の種類(p.14) 多様な法人組織 日本国内では、 民法 33条の中で、「法人は民法あるいは他 の 法律 の規定によって成立する」とされている。日本国内に は様々な形態の法人が存在するが、すべての法人が特定の法 律に基づいて設立されている。 日本国内の法人の種類は、社会や世界的な流れを受けた規制 緩和や特定活動の推進などによって、 社会的なニーズ に 合わせて柔軟に設置され、多様な法人組織が存在するように なっている。 法人の中には、民間部門の会社から公共部門の地方公共団体 まである。総務省が発行している『公益法人白書』では、民間の 法人を「公益」または「非公益」の別と「営利」または「非営利」の 別で四種類に区分している。
会社 日本国内において、最も一般的な法人は、会社である 。会社は、 民間が出資・運営する 営利 目的の法人である。 日本国内において、最も一般的な法人は、会社である 。会社は、 民間が出資・運営する 営利 目的の法人である。 会社は、会社法を根拠法として、設立、組織、運営及び管理など が行われている。会社の種類には、 株式会社 、合名会社、合 資会社、合同会社などがあり、合名会社、合資会社、合同会社を 総称して持分会社と呼ぶこともある。
会社とは:営利を目的とする社団の法人 営利とは「財産上(経済的)の 利 益 を求めて活動すること」 (=金儲け=私益)『広辞苑』 対義語: 公 益 ( ↔私益)、非営利 社団とは「一定の目的のもとに結合した 人 の集合体で、団体 としての単一の組織をとしての存在を有するものである」 対義語: 財 団 (一定の目的のために結合された 財 産 の結合体) 法人とは「人ないし財産から成る組織体に 法 人 格 (権利 能力)が与えられたもの」『広辞苑』 対義語: 自 然 人(出生時点で権利能力が与えられる) ※法律の要件を満たした組織が所定の手続きを行った場合に、 権利能力を与えられ、法人となる。
非営利あるいは公益目的の民間法人 民間法人の中にも、非営利あるいは公益を目的とするものが多 数存在する。その代表的なものが、特定非営利活動促進法を根 拠法とする 特定非営利活動法人 (NPO法人)である。 ※特定非営利活動促進法は、市民が行うボランティア活動を始めとす る社会貢献活動を支援するためのものであり、特定非営利活動を行 う団体に法人格を付与し、その組織と活動の健全な発展を促進する ことを目的としている。 本格的に公益目的の活動を事業として行う法人が多数ある。そ の場合、事業分野ごとに個別法が存在し、それに基づき、法人が 設立・運営されることになる。その典型が、「公益社団法人及び公 益財団法人の認定等に関する法律」を根拠法として設立される 公益法人 である。 ※公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律は、民間 の組織が行う公益目的の事業を公益法人として認定する基準や手 順を示し、さらに当該事業の適正な実施を確保するための必要な措 置等を定めている。その他にも、学校法人(私立学校法第30条に基 づいて文部科学省令で定める手続きに従い所轄庁の認可を受けた 法人)などがある。
公法人 公法人とは、 公的 な機関によって設立・運営されている法人。 公法人とは、 公的 な機関によって設立・運営されている法人。 内閣府や地方公共団体のように 公的資金 でほぼ完全に設 立・運営されているものもあれば、 独立行政法人 のように従 来は国の行政機関(省庁)が行っていた事業を経費削減目的など で行政機関から分離・独立した法人もある。 独立行政法人通則法と個別法に基づいて設立・運営されている のが、独立行政法人である。総務省によると、独立行政法人に は、国民生活センター(消費者庁)や日本貿易振興機構(経済産 業省)など102法人が存在する(2012年4月1日現在)。 独立行政法人の中には、国立公文書館(内閣府)や造幣局(財務 省)など役員や職員に 国家公務員 の身分が与えられている 特定独立行政法人も8法人含まれている。他の公法人の種類とし ては国立大学法人(国立大学法人法)や特殊法人(総務省設置 法と個別法)などが存在する。
一般財団法人と一般社団法人 営利および非営利の両方の目的で比較的容易に設立・運営でき る法人として一般財団法人と一般社団法人がある 。 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」によって、一般 財団法人と一般社団法人の設立、組織、運営及び管理について 定められている。 一般財団法人と一般社団法人は、 株式会社 より簡便に設立 することができるが、株式会社と違って、剰余金や残余金を設立 者や出資者(社員)に 配分 することができない。 社団と財団の違いは、会社の基礎となっているのが、人(社員) なのか 財産 なのかである。社団は人が集まって結成されたも のなので、人の意思が活動方針に重大な影響を与えるが、財団 は特定の目的の下に拠出された財産の集合体であるので、人の 意思が介在する余地は小さい(一般財団法人設立に際して、設立 者が拠出する財産およびその価額財産の合計額は300万円以上 が必要となる)。
補足① 組織の中の会社(営利目的の法人) 公式組織 では、 目的達成のために、 組織の構成員の役 割が定められてお り、各構成員の活動 を調整する仕組みが 整備されている。 さらに、 法律 に よって人格が認めら れているかでも組織 を分類することがで きる。 会社は営利を目的と する法人である。
補足② 組織、企業、会社の違いは? 組織は、共通の目的を遂行するために協働関係にある人々の集 まりであり、多様な集まりが組織に含まれる。 補足② 組織、企業、会社の違いは? 組織は、共通の目的を遂行するために協働関係にある人々の集 まりであり、多様な集まりが組織に含まれる。 このような組織の中で、営利目的のものを企業と呼ぶ。 さらに、企業の中で、 法人格 を有する組織(企業)を会社と呼 ぶ。 ※法人について 人間は出生時点で 権利能力 が与えられるが、法人は、法律の要件を満 たした組織が所定の手続きを行った場合に法人格が与えられ、それによって権 利能力を持つようになる。 法人は、必ず特定の法律を根拠として成立する 。法人格の取得や法人運営に 関して厳しい制約やデメリットがあるが、様々な経済・社会的なメリットもある。 ※例えば、個人と比較して、法人として活動した方が社会的な信用が高く、法人 として銀行口座開設や不動産登記などの各種契約を結ぶことなどができる。 組織 企業 会社