社会福祉調査論 第5講 量的調査の特徴と種類 11月9日.

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◎標本調査とその問題点 ● 何らかの情報を得たい全体集団(母 集団)から、ランダムに適当な数の標 本(サンプル)を抽出し、それに対す る調査結果から母集団に関する情報を 推定する方法 ● 全数調査(悉皆調査:国勢調査等) と比較して、費用・時間の面で極めて 効率的 ● 標本調査が十分にその機能を果たすためには.
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社会福祉調査論 第5講 量的調査の特徴と種類 11月9日

第5講 量的調査の特徴と種類 【目標】 量的調査の特徴、その進め方について知るとともに、各種調査方法を概観する。

【構成】 1.調査の実施手順 (関連 教4章2節 p115-) 2.量的調査の種類 教3章3節1 p72- 3.標本の抽出 教3章1節 p56- (教科書第3章第1節の前に基本的な事項を取り上げます)

1.調査の実施手順 【関連 4-2 調査設計 p115-】 (1)問題意識 (2)仮説の構築 (3)調査方法の決定 (4)データ収集 (5)データの分析 (6)結果報告

(1)問題意識 問題意識の確認 アプリオリ(事前的) ・・・予め詳細な問題意識が存在 →統計的調査も可能 アポステオリ(事後的)      →統計的調査も可能 アポステオリ(事後的) ・・・調査の中での新たな問題意識の形成      →事例的調査から着手

問題意識 (例) 介護保険料は高すぎないか。 富山県の介護保険料は比較的高いがなぜだろうか。 問題意識 (例) 介護保険料は高すぎないか。 富山県の介護保険料は比較的高いがなぜだろうか。 医療系施設の利用が多く、在宅系サービスの利用が少ないためのようだ。 なぜ、このような現象が起きているのだろうか。

対象の広がり    ミクロレベル ・・・個別の介護    メゾレベル  ・・・施設・地域での対応    マクロレベル ・・・県としての在り方 明確な概念    多様な意味合いを持つ用語に注意 明確な焦点    大風呂敷は広げない

先行研究等の探査 ◎先行研究 標準的教科書 代表的な研究書・論文 最新の展望論文 ◎既存統計、関連制度 ①問題領域について知る ②何が研究されているか確認する  これらの先行研究に対して何をしようとしているのか

⇒調査課題の決定

(2)仮説の構築 関心事についての状況を想定する。 重要な側面(変数、事象)を検討付ける。 関心事についての仮説(仮の説明理論)を設定する。   概念モデルを描く・・・理論   説明変数 → 媒介変数 → 従属変数   分析単位の確認 → 何を調査するか この際、調査(仮説検証)の可能性について十分配慮する。 事例的調査では、実査中に仮説の再構築もありうる。

理論の構造 変数 介護度認定率 介護サービス利用率、収容系サービス利用率 介護サービス提供者率、収容系サービス施設率 理論の構造  変数 介護度認定率 介護サービス利用率、収容系サービス利用率 介護サービス提供者率、収容系サービス施設率 世帯規模、高齢者同居率、女性就業率 戸当たり住宅面積 人々の意識

関係性 在宅介護の利用に影響を与える変数は何か 高齢者の介護の必要度 高齢者の在宅介護を支える各世帯の状況 サービス提供者の状況    高齢者の介護の必要度    高齢者の在宅介護を支える各世帯の状況    サービス提供者の状況    社会の意識状況

概念モデル ○介護必要度 → 在宅介護サービス施設の整備状況 ↓ 収容系介護施設の整備状況 ↓ ○介護の受けやすさ → 外部依存への意識 ↓      ○介護必要度 →  在宅介護サービス施設の整備状況 ↓  収容系介護施設の整備状況 ↓      ○介護の受けやすさ →  外部依存への意識 ↓  家族の状況 ↓  家の状況 ↓     ○世帯による在宅介護支援可能性 →                  ●在宅介護サービスの利用度

(3)調査方法の決定 仮説検証に相応しい調査手法を決定する。   分析単位の中の観察対象の選択   観察単位の決定     区分(時間、地域、・・・)

収集方法の検討 収集(利用)可能性 調査を実際に行うための事例・標本を選定する。 選定方法は、データ分析での推論の質と 関連してくる。 関係者の承諾、必要なスタッフ・資金など 調査を実際に行うための準備を行う。

(4)データ収集 実際にデータを収集する。 統計的調査 情報提供依頼の後、調査票を受取る。あるいはインタビューを重ねる。 事例的調査    情報提供依頼の後、調査票を受取る。あるいはインタビューを重ねる。 事例的調査    情報収集活動を展開し、入手情報を精力的に記録する。

既存データ (公式データ2次分析) 分析単位 47都道府県データ 現時点、これまでの推移    捕捉 県内各保険単位のデータ  エピソードの収集(新聞、行政資料、その他)

(5)データの分析 収集情報の内容確認、コード添付、不良情報の排除などの整理を行う。 データから導かれる事実を整理する。 母集団の状況についての推論を加える。 関心事の因果関係について推論する。 調査から導かれるの仮説検証を整理する。

推論技法 ◎統計的調査 各種相関分析 多変量解析 ◎事例的調査 整理・発見技法 KJ法 有機的構造を示す整理法 グラウンデッド・セオリー コーディングからカテゴリィの発見

(5)結果報告 仮説検証結果とともに、残された課題、新たな課題等について言及した報告書を作成する。 報告書には、詳細な調査過程、入手情報を添付し、報告内容の確認を可能とし、信頼性を高める。 報告書を社会で共有する。

2.量的調査の種類 量的調査の種類 (公式)統計二次分析 実験調査 調査票調査(アンケート調査) 量的調査の事例(公式統計の二次分析) ⇒富山の介護保険の特徴

調査票調査の種類 【3-3-1 配布・回収方法による調査の違い p72-】 ・面接調査法 ・留置調査法 ・郵送調査法 ・電話調査法 ・集合調査法   ・インターネット調査

3.標本の抽出 教p56- ◎母集団と標本 全数調査(悉皆調査)、標本調査 母統計量、標本統計量 標本統計量から母統計量を推測する 母統計量、標本統計量   標本統計量から母統計量を推測する    推測の確かさ、さらには抽出の方法が課題になる

(1)標本調査の可能性 国際大生の意見 vs. 大学生の意見 悉皆調査 価値と経費(コスト)のバランス 標本調査は意味を持つか  スープの味をどうやって試すか            全て飲む必要があるか よくかき混ぜて一部を取り出す  この操作がうまくできるかどうかが問題 高校での確率の問題     袋の中に紅白の玉 どれだけ出てくるか・・

(2)標本誤差 3-1-1 p60 黒の碁石が入った袋から碁石を取り出す 母集団の確率に近い部分で ピークがあることの予想   母集団の確率に近い部分で          ピークがあることの予想 標本分布  サンプルが多くなるほど散らばり度合い(比率の振れ)は狭くなる 標本誤差  (⇒第9講詳述)

(3)標本抽出の方法 3-1-1 p58- 単純無作為抽出 等間隔抽出(系統抽出) 層化抽出   多段抽出・確率比例抽出

(4)実際の標本抽出 【原簿】 住民基本台帳 ◎閲覧制限 選挙人名簿抄本 ◎法律改正 選挙人名簿は一般には不可

エリアサンプリング  住宅地図からの抽出

◎横断調査と縦断調査 3-1-2 p60- 横断調査 特定時点の状況 クロスセンクション 縦断調査 時系列の状況 横断調査 特定時点の状況          クロスセンクション 縦断調査 時系列の状況      パネル調査・・・対象者を固定する場合

◎自計式調査と他計式調査 3-1-3 p61- 自計 ○大規模調査 ×誤解、本人以外の回答 他計 ○誤解減少、本人確認    ○大規模調査    ×誤解、本人以外の回答 他計    ○誤解減少、本人確認    ×回答に歪、費用がかかる

調査表調査のメリット・ディメリット 適宜判断して表の各項目に印をつけてください メリット←◎,○,?,△,×→ディメリット  調査表調査のメリット・ディメリット 適宜判断して表の各項目に印をつけてください  メリット←◎,○,?,△,×→ディメリット