第6回 大規模な大気の運動と天気予報 大気の状態変化や運動は物理法則に従う

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①自分たちの地域の洪水履歴 ②洪水をもたらす天気要因 ③洪水とはん濫の種類 ④日本の河川の特徴と北海道特有の事情 ⑤洪水・はん濫から街や住民を守る施設の紹 介 ⑥洪水・はん濫の情報を確認する手段 ⑦洪水発生時の避難のポイント ⑧居住地域のハザードマップを見てみよう ⑨避難の際の心得 次の紹介内容は.
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第6回 大規模な大気の運動と天気予報 大気の状態変化や運動は物理法則に従う 第6回 大規模な大気の運動と天気予報  大気の状態変化や運動は物理法則に従う 理想気体の状態方程式(ボイルシャルルの法則) P=ρRT  <= PV=nRT (P:気圧、ρ:密度、R: 空気の気体定数、T: 温度( K) ) 静力学平衡 水平運動方程式

静水圧(静力学)平衡 底面積1の空気柱の重力と圧力の釣り合い。 これから静水圧平衡が求まる。 dp/dz=-ρg 地球惑星科学入門 図20.1

静水圧(静力学)平衡 上に行くほど気圧は下がる。 気圧差と高度差は比例する。 気圧差は、高度差に空気密度と重力加速度(9.8)を掛けたものである。 ⊿p=-gρ⊿z P + dP dz, dp P 水平スケールが鉛直スケールより大きければ静止していなくとも、良い近似となる。 底面積1

高層天気図の原理 ニューステージ 新地学図表 ( p 92)

Sea Level Pressure (SLP) 500 hPa Geopotential Height (GPH or Z)

静水圧平衡 [層厚(thickness)] 二つの気圧面の間の高度の差(dz)を層厚という 層厚はlogPで平均した気温に比例する。 暖かければ、層厚は大きく、寒ければ層厚は小さい。 800hPa 850hPa 冷たい 暖かい 900hPa 950hPa 地表面

水平の運動方程式 気圧傾度力とコリオリ力が卓越する。(低緯度を除く) コリオリ力はコリオリ因子(f)と速度の積に比例 北半球では流れの右直角方向へ働く 時間変化項(加速度項)は非線形。

コリオリ力(転向力)の説明 北極からAの方向に直線運動する物体の運動(実線ベクトル)を考える。地球は回転角速度Ωで反時計回りに回転しているので、地球上の観測者はAからBへ移動し、物体の運動は点線ベクトルのように進行方向右側にそれるように見える。

ニューステージ 新地学図表 ( p 88 )

ニューステージ 新地学図表 ( p 88 )

フーコーの振り子(コリオリ力の証拠) 新札幌にある札幌市青少年科学館の入り口左にあります

上空の風は気圧の高いほうを右に流れる 地衡風バランス

地衡風バランス 赤道付近や地表面付近を除く大規模な流れでは、コリオリ力と気圧傾度力がほぼバランスしている。 これを地衡風という。

風のバランス 地表面摩擦の効果 気圧傾度力、コリオリ力、摩擦力がバランスする。 低圧側へ等圧(高度)線を横切る。 低気圧で下層収束。

偏西風ジェットの説明 低緯度の方が高緯度より暖かいので、中緯度上空では気圧の傾きが急になり、強い西風となる。

温帯低気圧・高気圧周辺の風 「新しい高校地学の教科書」より

温帯低気圧 extratropical cyclone ノルウェー学派による古典的な温帯低気圧の一生  (例えば、Bjerknes and Solberg, 1922) ニューステージ 新地学図表 ( p 97 )

熱帯低気圧 Tropical cyclone: 北西大西洋で発生し最大風速が17.2m/s以上のものを台風という。

熱帯低気圧と温帯低気圧の違い 発達の仕組みが違う 渦と凝結の潜熱   vs  温度差のエネルギー  熱帯海上  寒気と暖気  前線はない        前線があることが多い  雨域:らせん       雨域:特徴的構造  目がある(発達期)    目は普通はない ニューステージ 新地学図表 ( p 97 )

天気予報(数値予報)の流れ 物理的法則に従って初期値から将来を計算している 観測 地上・高層・船舶・航空機・衛星・リモート・そのほか 解析 初期値を作る 予報 未来を予測する

数値予報 (Numerical Weather Prediction) 500hPa Z, NH, ECMWF Wallace and Hobbs, Atmospheric Science, An Introductory Survey, Fig.1.1 風・気温などの大気の状態は物理法則に基づき変化する。∴大気の初期状態がわかれば方程式系を時間積分することによって将来の大気の状態が求められる。 現在では、スーパーコンピュータを用いて、このような予測がなされている。これを数値予報といい、コンピュータプログラムを数値予報モデルという。 精度は年々向上している (上の図)

Richardson の夢 コンピュータが誕生するはるか以前に、数値予報を試みたのがイギリスの数理物理学者リチャードソン(L. F. Richardson) 彼はヨーロッパの天気予報を手作業で計算し1912年に「数値的手法による天気予報(Weather Prediction by Numerical Process)というタイトルの本として出版した。 予報はうまくいかなかったが、いつの日か数値予報が実用化されることを夢見た Richardson の用いたグリッド。Pは気圧、Mは運動量を計算するグリッド。 The Emergence of Numerical Weather Prediction. Richardson’s Dream, P. Lynch, Cambridge Press より

von Neumann による電子計算機の発明 (ENIAC) ノイマンとコンピュータの起源、ウイリアム・アスプレイ、 産業図書 より

初めての数値予報(1950年) 北米大陸上・順圧モデル 第2次世界大戦後、世界で始めての電子計算機ENIAC(メモリは20個)がフォン・ノイマン(J. von Neumann)らにより作られた。 フォン・ノイマンはENIACで数値予報を行うことを考え、気象学者チャーニー(J. G. Charney)らの協力によりアメリカ大陸上の500hPa面高度の予報を行った。 24時間の計算時間を費やして1日予報に成功したのは1950年である。リチャードソンの夢が現実になるまで40年近くの歳月が必要であった。 1950年代から世界各国で数値予報が開始され、日本の気象庁でも、1959年からIBM704を導入し実用的数値予報が始まった。以後、モデルも近似的な準地衡風モデルからより近似の少ないプリミィティブモデルへ、予報領域も全球へと飛躍的に発展してきた。

気象庁ゾンデのいろいろ

自動放球

高層気象台(つくば)での放球の様子

数値予報モデル

数値予報モデルと数値予報の流れ 大気等の初期値から数値予報モデルを数値積分して将来の状態を求める

週間予報ははずれることもある。1か月や3カ月予報は、あまりあてにならない。なぜ? 村松照男「天気の100不思議」より

カオスと予測可能性 数値予報では、わずかに異なる2つの初期値から予報した2つの予報結果は、初めのうち互いによく似ているが、その差は時間の経過とともに拡大する。 数値予報の初期値には観測誤差は避けることはできず、これが時間とともに増幅するためである。 これは、数値予報モデルや客観解析の精度の問題だけではなく、大気の基本的な性質によるものである。 このように初期値の小さな差が将来大きく増大する性質はカオス(混沌)と呼ばれている。 予測可能性時間は、現象による。中緯度の気象(温帯低気圧)は2週間程度。豪雨は数時間、竜巻は数10分。予測可能性時間は現象の寿命に比例。 気象庁HPより

ローレンツ(Lorenz)によるカオスの発見

カオス的振る舞い 値 時 間

カオスと予測可能性 大気のこのカオス的な性質に対処するため、「集団(アンサンブル)予報」という数値予報の手法が研究・開発されるようになってきた。 これは、ある時刻に少しずつ異なる初期値を多数用意して多数の予報を行い、その統計的な性質を利用して最も起こりやすい気象現象を予報するものである。 気象庁HPより

アンサンブル予報 理由:観測値の不確実性、モデルの不完全性、カオス

2012年5月8日11時発表の週間予報