映画用脚本の 企画開発について 下田・高橋・福原
ヒットの条件 映画にとって何がヒットの要因になるかは全く分からない これまでにヒットの要件として通用しているもの これまでにヒットの要件として通用しているもの 1.実績のあるスターや作家を使う 2.消費者のニーズに応える 3.面白いストーリーを見つける
いかに魅力的な『物語』を創り上げ、 大衆を魅了するか エンタテイメント・ビジネスの波及効果 (児玉、2006)
ハイ・コンセプト ハイ・コンセプトとは? ストーリーにおいて重要視されるのは 「ハイ・コンセプト」という考え方 「ハイ・コンセプト」という考え方 ハイ・コンセプトとは? 脚本においては一文、二文で見事にコンセ プトが表現できるもの
目的はリスクを低くすること 映画全体におけるハイ・コンセプト 1.フィルム・エンヴァイロンメント 1.フィルム・エンヴァイロンメント その映画を見たくなるような環境を作ってしまう 2.フィルム・ナラティブ・サイクル 成功した前作の物語を土台にすること 3.フィルム・サチュレーション 多くの映画館で一斉上映する 目的はリスクを低くすること
脚本の典型パターン オリジナルストーリーの作られ方 1.オリジナルキャラクター先行 2.オリジナルシチュエーション先行 1.オリジナルキャラクター先行 2.オリジナルシチュエーション先行 3.「どんでんオチ」から逆算してストーリーを 設計 4.テーマ先行
オフセットストーリーの作られ方 1.小説やマンガ 2.話題となった事件を映画として再構成 3.既存の映画 ・リメイク 1.小説やマンガ 2.話題となった事件を映画として再構成 3.既存の映画 ・リメイク ・アダプテーション(翻案) ・エピゴーネン(亜流) ・オマージュ ・パロディ
ハリウッド映画の脚本を特徴付けるもの ハリウッド映画の基調を作ってきたのはメロドラ マである 上記の二つにより安直な勧善懲悪ものが 1.分かりやすくするためにほぼ必ず筋の展開は 「従来の秩序/秩序の混乱/秩序の回復」の三部構成となる 2.結末はぼやかさずはっきりとする 上記の二つにより安直な勧善懲悪ものが 幅を利かせるようになる 3.筋を展開させていくのは、あくまでも個人であり、 その個人を取り巻く状況ではない
ハリウッド式脚本の目的 ハリウッド式脚本の問題点 ハリウッドが作る戦争映画は戦争の原因を不 問にし、非社会的であると批判されている 勧善懲悪を通じて、乱れた秩序の回復が個人 の意思と能力にかかっていることを繰り返し強調し またそれを観客の心情ひいてはアメリカ人一般の 信条にまで仕立て上げること
監督、脚本、キャストの選出 企画先行型作品:プロデューサー主導 監督先行型作品:当初から監督が関与 監督と作品との相性が大事 脚本はプロットから徐々に長くしていき、最終的な脚本が出来上がる (参照) シド・フィールドのシナリオ講座
映画における企画と開発 プロデューサーの立場での企画、立案
原作を押えて企画 原作を押える ↓ ↓原作は映画向きかどうか 出版社に連絡を取り、原作権を押える
原作権について 原作権契約 原作の映画化映像化を期間限定で許可。決められた期間中映像化する権利を譲渡 原作優先権契約 原作の映画化映像化を期間限定で許可。決められた期間中映像化する権利を譲渡 原作優先権契約 原作を優先的に開発できる権利を譲渡。映像化が 決定したら、改めて原作権契約を結ぶ。 原作権は原作者の利益とのバランスを考えて契約。
原案から企画を考える ①事件や実際の出来事を映画化。 当事者に確認を取る ②事件をヒントにオリジナル。 実名などを使わなければオリジナル 当事者に確認を取る ②事件をヒントにオリジナル。 実名などを使わなければオリジナル ③他人のアイデアを原案。 本人と確認を取る
企画のマーケティング 時代性と普遍性をうまく取り入れる 過去のデータと感性をうまくコラボレーションさせる ファンドの側面では、数字が大事 (参照) 全国公開映画:ファミリーレストラン 単館映画:町の名店
ウォルト・ディズニー式 ヒロインの作り方
ディズニーのヒロイン三部作の配置の図式化1 ヒロイン:初潮期の少女 (身体的、精神的、人類学的に不安定) 適役:閉経期の女性 (辛く、寂しく、悲しいこと。ある意味屈辱的) 妖精:肉体的衰え、身体的葛藤から解き放たれている (賢く、したたかで、しなやかなで愛情にあふれている。)
ディズニーのヒロイン三部作の配置の図式化2 初々しく、か弱く、善良な少女 ↑←←←←←←←魔法使いが ↑ 助ける ↑命を狙う ↑ 力を持った邪悪な中年女性
ヒロインの作り方1:白雪姫 美少女趣味 か弱く、頼りなく、無謀で、無知で、ネンネタイプ 動作も特徴的で、少女的 (マーガレット・ベルチャー)
ヒロインの作り方2: 眠れる森の美女、シンデレラ 清純な女性 シンデレラではイメージだけでなく、性格も変化 他人任せではない 肝心なときは勇気と知恵をもっている 自我をもち自己主張する
敵役の作り方 「ヴァンプ」タイプの女優をモデルとする。 しかし、ディズニーは子供向けのため、なめまかしさ、女らしさを取り除かなければならない。 ↓ やせすぎで、奇妙に生気と人間らしさに欠ける 爬虫類や捕食動物の目
妖精の作り方 体系がカボチャ型 顔もぽっちゃり 性格も愛情豊か お節介 うっかりもの
ヒロイン三部作のコンテキスト ヒロイン三部作は、それぞれ当時のアメリカの時代背景にマッチしている。
ヒロイン三部作時代のコンテキスト:白雪姫 白雪姫公開は1938年、アメリカは大恐慌を引きずっている。 お城に住むべき白雪姫が、山小屋で生活 ↑ 恐慌の前と後の自分たち
ヒロイン三部作時代のコンテキスト:シンデレラ シンデレラ公開は1950年 アメリカは戦後の好景気 シンデレラは自分に誇りをもち、 よりよい生活を掴み取ろうとする ↑ 戦時に労働経験をした女性たち 結婚は女性たちへのご褒美 ミスター・ライト探しは続く
ヒロイン三部作時代のコンテキスト: 眠れる森の美女 眠れる森の美女の公開は1955年 アメリカでは戦争は過去のもの 古典的でロマンチックな恋愛を描く ↑ 家事に没頭する女性たち
ジョーゼフ・キャンベルの神話研究「ヒーローズ・ジャーニー」 神話には、共通する普遍的なパターン=「ヒーローズ・ジャーニー」がある
コンテンツマーケティングにおける脚本の重要性
魅力的な『物語』を持つコンテンツを どのように創り、どのように売り、 どのように活用するか → 戦略的な方法論: コンテンツマーケティング
◆これまで、コンテンツとマーケティングとの折り合いは上手くいっていなかった。 →コンテンツ(芸術作品)をマーケティング(「売れる」「売れない」)の対象とすることのタブー視 →マーケティングにおける商品とはモノ=有形商品であった サービス財・無形財を対象とした研究は1970年代半ば以降にすぎない
コンテンツマーケティング の特性 拡大、 増幅していく コンテンツ商品の3つのレベル (新井、2004)
ビジネスモデルだけでなく カルチャーモデルづくりが必要 経済的価値の増殖を生みだすだけでなく、文化的価値の増殖も生みだす 送り手、消費者、売り手を協調関係で結びつける「場」の設置 コンテンツ商品における「交換」モデル (新井、2004)
には核が魅力的な『物語』であることが重要 脚本開発の段階でも、関連商品を加味したプランが立てられていく必要がある 映画そのもの、またその関連商品を売る為 には核が魅力的な『物語』であることが重要