視聴覚融合デザイン特論 岩宮 眞一郎 高田 正幸 視聴覚融合デザイン特論 岩宮 眞一郎 高田 正幸
教科書 岩宮眞一郎 音のデザイン ー感性に訴える音をつるー 九州大学出版会(2007) (図書館にも何冊かあり) 「音のデザイン」というのは,非常に大きな可能性を秘めたデザイン分野である。各種のデザイン分野も「音」とのコラボレーションで,より大きな効果を期待できるはずである。「音」がもたらす付加価値を,もっとプロモートできればと思う。同時に,サウンド・デザイナーの必要性も,訴えていきたい。 講義のスライド(シラバスからリンク) http://www.design.kyushu-u.ac.jp/ ~iwamiya/AVdesign/AVdesign.htm
各種のデザイン分野 プロダクトデザイン サイン計画 ユニバーサルデザイン コンテンツデザイン パブリックデザイン ランドスケープデザイン 町並みの保全、景観条例-- 3
各種のデザイン分野 視覚に関わるものが中心 プロダクトデザイン サイン計画 ユニバーサルデザイン コンテンツデザイン パブリックデザイン ランドスケープデザイン 町並みの保全、景観条例-- 視覚に関わるものが中心 4
視覚に関わるデザイン 必ず音が関わっている プロダクトデザイン サイン計画 ユニバーサルデザイン コンテンツデザイン パブリックデザイン ランドスケープデザイン 町並みの保全、景観条例-- 必ず音が関わっている 5
音のデザインの関連分野 製品の音のデザイン サイン音のデザイン 音のユニバーサルデザイン サウンドスケープ・デザイン 映像の音のデザイン ・・・ 音が美的感性へアピールするチカラ →魅力的なデザイン 6
視覚だけでなく聴覚にも訴える デザイン ↓ ○視聴覚融合デザイン ○(視覚のデザインに対応した)音のデザイン 視覚だけでなく聴覚にも訴える デザイン ↓ ○視聴覚融合デザイン ○(視覚のデザインに対応した)音のデザイン
芸術的立場(音楽制作)でもない 工学的立場(騒音制御)でもない デザインとして立場で音を制御 →「音のデザイン」 「視聴覚融合デザイン」領域の必要性
芸術的立場(音楽制作)でもある 工学的立場(騒音制御)でもある デザインとして立場で音を制御 →「音のデザイン」 「視聴覚融合デザイン」領域の必要性
視覚芸術 美術←→デザイン ←→工学 聴覚芸術 音楽←→音のデザイン 視覚芸術 美術←→デザイン ←→工学 聴覚芸術 音楽←→音のデザイン
視覚芸術 美術←→デザイン ←→工学 聴覚芸術 視聴覚融合デザイン 音楽←→音のデザイン 視覚芸術 美術←→デザイン ←→工学 聴覚芸術 視聴覚融合デザイン 音楽←→音のデザイン
快音化の時代 製品の音を取り巻く状況 騒音軽減→ない方がいいのか? 快音の時代 製品の音:その特徴を残しつつも, 快適な音質に改善 製品の音:その特徴を残しつつも, 快適な音質に改善 より積極的に,サウンドブランディング
感性にアピールする製品音 音で差別化 製品から発生する音(出そうとしているわけではない)に気を配ってこそ 美的感性にアピールできる 美的感性にアピールできる →音の付加価値の創造 例えば、高級車のドアを開閉したとき,安っぽい音しかしなかったとしたら,その車から魅力的を感じるだろうか?高級車のドアの開閉音は,その車の値段にふさわしい高級感を醸し出して欲しいものである。 ある製品のデザインを考えるとき,製品から発生する音にも気を配ってこそ,美的感性にアピールすることができる。自動車のドアの開閉音も,自動車のデザインの一部になるべきである。実際に,いくつかのメーカーでは,ドア音の研究に取り組んでいる。「低くて収まり感のいい音」が,音づくりのポイントらしい。 カメラのシャッター音もまた,カメラの一部である。カメラにとって「写真を撮る」という機能は不可欠であるが,その形状も重要だ。カメラの形は,デザインの対象となっている。愛着を覚えるカメラというのは,見た目もカッコいいし,持ったときにグッとくる手応えもある。さらに,シャッターを押すときの「音」も重要な要素である。写真を撮るという機能には直接関係ないが,「カシャッ」という音がしないと,「撮った」という手応えを感じることができないだろう。 通常のカメラだと,別にデザインしないでも,とりあえず動作音がする。一方,デジタル・カメラの場合,シャッターは単なるスイッチである。「音」なしのカメラというのもあり得るわけだ。しかし,手応えのないカメラというのは,あんまり使う気がしないのではないだろうか。最近,多くの携帯電話にカメラ機能が備え付けられているが,ここでも、必ず「音」を伴っている。盗撮を防ぐ意味合いもあるのだろうが,「写真を撮った」実感を得るためには,シャッター音は不可欠な要素である。カメラのシャッター音は,「音のデザイン」の必要な領域である。 13
なくせばいいというものでもない 機械音の快音化→デザインの対象 例えば、高級車のドアを開閉したとき,安っぽい音しかしなかったとしたら,その車から魅力的を感じるだろうか?高級車のドアの開閉音は,その車の値段にふさわしい高級感を醸し出して欲しいものである。 ある製品のデザインを考えるとき,製品から発生する音にも気を配ってこそ,美的感性にアピールすることができる。自動車のドアの開閉音も,自動車のデザインの一部になるべきである。実際に,いくつかのメーカーでは,ドア音の研究に取り組んでいる。「低くて収まり感のいい音」が,音づくりのポイントらしい。 カメラのシャッター音もまた,カメラの一部である。カメラにとって「写真を撮る」という機能は不可欠であるが,その形状も重要だ。カメラの形は,デザインの対象となっている。愛着を覚えるカメラというのは,見た目もカッコいいし,持ったときにグッとくる手応えもある。さらに,シャッターを押すときの「音」も重要な要素である。写真を撮るという機能には直接関係ないが,「カシャッ」という音がしないと,「撮った」という手応えを感じることができないだろう。 通常のカメラだと,別にデザインしないでも,とりあえず動作音がする。一方,デジタル・カメラの場合,シャッターは単なるスイッチである。「音」なしのカメラというのもあり得るわけだ。しかし,手応えのないカメラというのは,あんまり使う気がしないのではないだろうか。最近,多くの携帯電話にカメラ機能が備え付けられているが,ここでも、必ず「音」を伴っている。盗撮を防ぐ意味合いもあるのだろうが,「写真を撮った」実感を得るためには,シャッター音は不可欠な要素である。カメラのシャッター音は,「音のデザイン」の必要な領域である。 機械音の快音化→デザインの対象
感性にアピールする製品音 音で差別化 家電製品の音 なくていいとも限らない(騒音抑制→音質) →製品の魅力 なくていいとも限らない(騒音抑制→音質) →製品の魅力 例えば、高級車のドアを開閉したとき,安っぽい音しかしなかったとしたら,その車から魅力的を感じるだろうか?高級車のドアの開閉音は,その車の値段にふさわしい高級感を醸し出して欲しいものである。 ある製品のデザインを考えるとき,製品から発生する音にも気を配ってこそ,美的感性にアピールすることができる。自動車のドアの開閉音も,自動車のデザインの一部になるべきである。実際に,いくつかのメーカーでは,ドア音の研究に取り組んでいる。「低くて収まり感のいい音」が,音づくりのポイントらしい。 カメラのシャッター音もまた,カメラの一部である。カメラにとって「写真を撮る」という機能は不可欠であるが,その形状も重要だ。カメラの形は,デザインの対象となっている。愛着を覚えるカメラというのは,見た目もカッコいいし,持ったときにグッとくる手応えもある。さらに,シャッターを押すときの「音」も重要な要素である。写真を撮るという機能には直接関係ないが,「カシャッ」という音がしないと,「撮った」という手応えを感じることができないだろう。 通常のカメラだと,別にデザインしないでも,とりあえず動作音がする。一方,デジタル・カメラの場合,シャッターは単なるスイッチである。「音」なしのカメラというのもあり得るわけだ。しかし,手応えのないカメラというのは,あんまり使う気がしないのではないだろうか。最近,多くの携帯電話にカメラ機能が備え付けられているが,ここでも、必ず「音」を伴っている。盗撮を防ぐ意味合いもあるのだろうが,「写真を撮った」実感を得るためには,シャッター音は不可欠な要素である。カメラのシャッター音は,「音のデザイン」の必要な領域である。 15
サイン「音」のデザイン メッセージを伝える音 警報、警告、電話の呼び出し音 機器操作のフィードバック、動作終了音 鳴ればいい→用途に合わせた最適なデザイン (快さが必要な場合も) ユニバーサル・デザインも必要 16
サイン音デザインのあり方 関係を探る わかりやすいメッセージ 機能イメージ 音響特性 おぼえやすい音 周波数 擬音語表現 スペクトル 音響特性 おぼえやすい音 周波数 擬音語表現 スペクトル 時間パターン We have performed basic research to obtain the systematic knowledge to design auditory signals, which are easy to understand and easy to memorize. To make auditory signals easy to understand, we must clarify the relationship between functional imagery and acoustic property. To make auditory signals easy to memorize, onomatopoeia is useful.We must clarify the relationship between onomatopoeic representation and acoustic property. I would like show you a movie which introduces our study in the local television news. 私の研究室では、分かりやすく憶えやすいサイン音デザインのための基礎研究を行っている。分かりやすいサイン音というのは、何を伝えたいかがイメージしやすい音だということである。憶えやすいサイン音とは、擬音語化しやすい音だと考えられる。 テレビのニュースで紹介された映像を紹介する。 関係を探る
サイン音に求められるもの 分かりやすいサイン音 =機能イメージを生ずる音 操作:短い音、呼出:速い変動、警報:長い繰り返し =機能イメージを生ずる音 操作:短い音、呼出:速い変動、警報:長い繰り返し 警告:低い基本周波数+豊富な倍音 終了:長い音の繰り返し、長い減衰 憶えやすいサイン音=擬音語化しやすい音 ピッ、ピリリリ、ピピピ、ビー、チーン、 ピーピーピー マニュアル表記にも有効
映像の「音」 映像は、「音」なしでは成立しない 映像メディアは,映像+音 の効果的組み合わせ 音がストーリーを語る 音がリアリティを生み出す の効果的組み合わせ 音がストーリーを語る 音がリアリティを生み出す (脇役だとしても) 映画やテレビのような、映像メディアは、通常、映像だけでは成り立たない(気がつかない場合もあるが、音を消せば気がつく:特に、効果音などあまりにも自然な場合、注目されず、その存在に気がつかない)。必ず音を伴っている。映像作品というのは、音が加わることで、作品として成立する。映像作品は、音によって、奥行きや厚みが増す、より豊かになる。 映像に加えられるのは、映像に表現された対象から発せられる音だけではない。特殊な効果音や音楽が、映像の効果を高めるために用いられている。それらは、映像の一部といってもいいほど、映像表現の重要な側面を担う。映像が表現する世界と音楽の間にはなんの因果関係もないにもかかわらず、音楽によって映像が生き生きとしてくるのである。音楽抜きの、映画やテレビ・ドラマを想像してみよう。いや、ちょっと、テレビのボリュームをしぼってみたらいい。なんとも、味気ないものになってしまう。
ドラマにおける「音」の役割 効果音、音楽が映像効果を高める 場面を強調する、場面の状況を語る 登場人物のショック、気持ちを表す 一般に、映画やテレビのような、映像メディアは、通常、映像だけでは成り立ちません。必ず音を伴っています。そして、映像に加えられるのは、映像に表現された対象から発せられる音だけではありません。特殊な効果音や音楽が、映像の効果を高めるために用いられるのです。それらは、映像の一部といってもいいほど、映像表現の重要な側面を担っています。 あるドラマの一場面を見ていただきますが、映像の中に利用されている音に注目して見て、聴いてください。 効果音、音楽が映像効果を高める 場面を強調する、場面の状況を語る 登場人物のショック、気持ちを表す
音 映像 印象 物語 解釈 我々は、音と映像の調和感をもたらす要因に関しても、検討を行っております。 我々は、音と映像の調和感をもたらす要因に関しても、検討を行っております。 音と映像の調和を考えるとき、構造的な側面での調和と意味的な側面での調和という2つのタイプが考えられます。 構造的調和とは、音と映像の変化パターンの一致によって生じる調和です。 意味的調和とは、音楽と映像それぞれの印象が似ていることによる調和です。 21
マルチメディアの「音」 マルチメディア=映像メディア関係? 音を忘れてはならない コンピュータ 数字→テキスト→グラフィック 音を忘れてはならない コンピュータ 数字→テキスト→グラフィック →マルチモーダルの時代 音のデザインが必要に マルチメディア等の新しい映像メディアでも,「音」は同じように貢献できるはずである。コンテンツ・デザインとか言うと,視覚デザインをイメージするのが普通であろう。しかし,そこに「音」が加わることで,映像表現がより効果的になることは,従来の映像メディアと同様だ。あるいは,デジタル・コンテンツ上での音と映像の協調というのは,もっと大きな可能性を持つ分野かも知れない。「音」を取り込んだ意欲的デザインがあってもいいのではないだろうか。
サウンドスケープ・デザイン 風景の「音」のデザイン 音で環境(空間)を演出するデザイン 風景の一要素としての音を生かすデザイン 音名所,残したい音風景:気づきのデザイン 音環境のユニバーサルデザイン 視覚デザインの分野でのパブリック・デザイン,ランドスケープ・デザインに相当する音のデザインの分野として「サウンドスケープ・デザイン」も有望だ。事例はそんなに多くはないが,この分野では意欲的な試みがなされている。 サウンドスケープ・デザインと言っても,いろんな種類のものがある。多くは,公共空間において音で環境を演出するといったものである。音がメインでなくても,音が風景の一要素として,空間デザインを助けている場合もある。 新しい音を導入することのみがサウンドスケープ・デザインではない。音そのものをデザインするわけではないが,環境デザインにおいて,本来環境に含まれる音への配慮を忘れないデザインも,広い意味でサウンドスケープ・デザインといえる。音のチカラをうまく利用することによって,魅力的な空間を創造することができる
Of course, the introducing music contributed to atmosphere in the observatory. In this case, soundscape design also caused another interesting effect. Introducing ambient music created comfort acoustic environment in the observatory. Workers of Tokyo Tower have noticed importance of beauty of acoustic environment. And, they have become enthusiastic about conservation of comfortable acoustic environment. Actually, to keep comfortable environment, they stop announcements. They use message displays instead of using public announcements. Eventually, quieter acoustic environment have been created by introducing ambient music. 音で空間を演出するデザイン 京都タワー 24
Wave Wave Wave (いわき市小名浜) 環境の音を生かすデザイン 波音を聞くための装置 音を通して環境とつながる 音は資源(財産)である Wave Wave Wave (いわき市小名浜) 環境の音を生かすデザイン 最後に、サウンドスケープ・デザインに行うにあたって、トータルに音環境をデザインする必要性があり、その際どのような点を考慮すべきかを述べさせていただきます。 まず、必要なの音、必要でない音の吟味が必要とされます。特に、日本では、必要のないアナウンスが多すぎます。 そういったものを整理してからこそ、音によるエンターメイントが生きてくるのです。 また、導入しようとする音とそこに存在している音との調和にも配慮する必要があります。ちょうど、音楽でハーモニーを考えるようなものです。 当然、音と景観の調和にも、配慮が必要です。 こういったサウンドスケープ・デザインを効果的に進めるためには、サウンド・デザイナーやいろんな専門家の意見や計画を調整するコーディネータの存在が欠かせません。
残したい福岡の音風景21選 音への気づきのデザイン 博多祇園山笠、博多織の機織の音、博多どんたくのしゃもじ、海の中道の波音、キャナルシティの噴水・・・ 26