GPSを用いた行動分析の在り方 Analysis of park arrangement using GPS. 社会工学専攻 保全生態学研究室 25418530 斉藤篤志
目次 背景・既往の研究 目的 調査地 調査方法 結果 考察 まとめ 今後の課題
背景 近年,さまざまな場所において人為開発により生 物の数が減少している. 現在動物園や大学などが維 持している動物の個体数は70万になり, 動物園の 役割は大きくなっている 東山動物園において, 「人と自然をつなぐ架け橋 へ」というスローガンのもと, 2007年に「東山動植 物園再生プラン基本計画」が策定され, 2036年まで の計画が立案されている 動物園には多額の税金が投じられていることから 有効に使うことが求められるが, 動物園の評価方法 は未だ確立されていない
既往の研究 博覧会における来場者の回遊パターン及び 歩行距離について(1995) 韓国大田EXPOにおいてアンケート調査を行った.
情報提示の違いが商業地域における散策行 動に与える変化に関する研究(2011) GPSナビゲーションツールを用いて,情報提示方法の 違いから繁華街での行動の変化について調べた.
目的 利用者分析のアンケート調査とGPSによる軌跡調査で 動物園における人の行動特性を明らかにする
調査地 東山動物園 夢園橋 彩景橋 北園橋 動物園北園 エリア 動物園本園 エリア こども動物園エリア
方法 調査対象 20歳~25歳の男女26人 調査日 5/6, 6/8, 10/12, 11/2, 12/19の10時~15時 20歳~25歳の男女26人 調査日 5/6, 6/8, 10/12, 11/2, 12/19の10時~15時 利用者分析に関するアンケート調査 GPS機器を用いた軌跡調査
アンケート調査 利用者分析に関するアンケート 対象者には調査中にアンケートに記入してもらい, 調査終 了と同時に回収した 調査項目 混雑と観覧の違い 目的地 来園前の情報の保持 リピートの有無 混雑感と地点 歩行への障害
GPSを用いた軌跡調査 GPS機器はHolux GPS Logger M-241を用い, 調査では 30秒に1回ログを取るように設定した 各個人のGPSデータを地図上に表示し, 展示物ごとの 観覧の有無と滞在時間を求める
密度(人・min) (密度)=(展示物を訪れた人数)×(総滞在時間) (展示物あたりの密度)=(密度)/(展示物の数)
結果 アンケート調査 混雑を感じた人の割合 53.8% 30.8% 38.4% 19.2% 午前 午後 悪天候にもかかわらず 結果 アンケート調査 混雑を感じた人の割合 53.8% 30.8% 38.4% 19.2% 午前 午後 悪天候にもかかわらず 断続的に混雑感を感じる地点があった
こども動物園内の動物に魅力がないのでは!? 26人中25人が動物園を訪れる際に目的地があるが, こ ども動物園エリア内の展示物を目的地としていたの は26人中2人にとどまった こども動物園内の動物に魅力がないのでは!? 来園前に訪れようと思っていた展示物
過去に東山動物園を訪れた回数 過去に東山動物園を訪れた時期 小学生のころに多く訪れている
こども動物園エリアの展示物あたりの密度が圧倒的に低い 結果 GPS機器を用いた軌跡調査 全日程のエリアごとの展示物あたりの密度分布 こども動物園エリアの展示物あたりの密度が圧倒的に低い 6.5倍 22.6倍 36.5倍 7.3倍
平均の最高気温と2014年の最高気温との関係 動物園北園エリア こども動物園エリア 動物園本園エリア 平均気温より高いとき 動物園の中心付近に密集する 平均気温より低いとき 全体に密度が散らばる
考察 コアラについて コアラが日中活動しないことが 魅力を減少させた 全日程における密度分布 コアラは来園前の目的地として 3番目に多かった 考察 コアラについて 全日程における密度分布 コアラが日中活動しないことが 魅力を減少させた コアラは来園前の目的地として 3番目に多かった コアラ 864人・min コアラの密度が非常に低くなった 来園前に見ようと思っていた展示物
アンケート調査とGPSを用いた軌跡調査の一致した点 人気のある動物は混雑していても 見に行こうとする 午前 午後
こども動物園エリアに人を呼ぶには こども動物園エリアの“ウサギとモルモットのふれあい”は混雑 していて行くのをあきらめた人が最も多かった ふれあいができるイベントなどは人を呼び込むのに有用
異なったこども動物園エリアの利用法 こども動物園エリアの密度が低いことを利用する ストレスに弱い動物を こども動物園エリアに配置する ex) コアラ, ホッキョクグマ, ゴリラ
非常に有用 GPSを用いた軌跡調査は有用か 既往のGPSを用いた研究ではパターン分けが大半で, 嗜好性を表現するのが難しかった 嗜好性を表現できるようになった 視覚的にとらえやすくなった 非常に有用
まとめ 東山動物園の目玉の1つであるコアラの密度が非 常に低くなったことから,日中のコアラに魅力が ないということがわかった. 他のエリアに比べてこども動物園エリアの密度が 極めて低かった. GPSのログデータから求めた密度を用いた解析は非 常に有用であった.
今後の課題 晴天日の来園者が多いデータを取る さまざまな属性について調査を行う 今回行わなかった夏・冬に調査を行う 1点の動物の展示と多数の動物が展示され ている施設の比較の精度を向上させる
ご清聴ありがとうございました
GPSデータの誤差の補正