Association of Major and Minor ECG Abnormalities With Coronary Heart Disease Events 心電図異常と 心血管イベントの関係 谷川 徹也 JAMA, April 11, 2012—Vol 307, No. 14 1497.

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Association of Major and Minor ECG Abnormalities With Coronary Heart Disease Events 心電図異常と 心血管イベントの関係 谷川 徹也 JAMA, April 11, 2012—Vol 307, No. 14 1497

PICO Patient:心電図変化がある患者は Intervention:その後の経過で Comparison:心電図変化がない患者と比較し Outcome:心血管をイベントを起こしやすいのか

背景と目的 症状がなくても心電図変化のある人は心血管イベントを起こしやすいのではないかと言われていた しかし、その他の血管リスクを考慮して補正したきちんとしたデータがなかった 心電図変化は糖尿病や高血圧といった伝統的な心血管リスク以外にも独立したリスクとなるのか、新たに心電図変化が出た場合はどうなのかを調べた

参加者 米国で、Health ABC studyにエントリーしていた70~79歳の3075名が対象 対象者はピッツバーグ、ペンシルバニア、メンフィス、テネシー州から郵便番号を用いてランダムに選出した それまでに心血管イベント、脳血管イベント、末梢動脈の開存を受けた患者、頚動脈閉塞のある患者、心不全、ペースメーカーを入れている842人を除外 さらに伝統的な心血管リスクについてのデータがない41人を除外 最終的に2192人を検証した

ECGデータの評価 心電図は各施設で取られた後、St Louis大学に送られ、訓練を受けた二人のcoderによりMinessota Codeが付けられ、合わない場合にはsupervisorにより決定される Coderのκ値はmajor変化で0.90、minor変化で0.71だった

Major変化 以下の物をmajor変化とした Q-QS変化 左室肥大 WPW症候群 完全脚ブロック 心室内ブロック 心房細動 心房粗動 大きなST変化(?)

Minor変化 以下の物をminor変化とした 小さなST変化(?)

ECGのフォローアップ 4年後、心血管イベントを起こさなかった1670人は再度ECGを受けてもらう。ここでECGが得られなかった424人とこの間に心血管イベントを起こした98人はその後のデータ解析から除外した

心血管イベントは Cardiovascular helath Studyのデータから診断と死亡原因を調査した CHDイベントは心筋梗塞、心筋梗塞による死亡、狭心症による入院、冠動脈の再建とした フォローアップは最初に心血管イベントが起こるまで、もしくは最後に接触した時間、死亡時とした

共変数の設定 社会的環境(年齢、性別、人種、研究施設、学歴)、喫煙の有無、BMI、T-Chol、HDL、Creを共変数として設定した 高血圧の有無は降圧薬の有無(自己申告)か、140/90mmHgとした 糖尿病は自己申告か、糖尿病治療薬を飲んでいるかのどちらかとした 高脂血症の治療薬、ACE、エストロゲン使用、アスピリン使用はアイオワ薬剤情報センターから取り寄せた

統計学的評価 Χ二乗を検定を使い、心血管イベントを起こした群と起こさなかった群で検定 Cox propotional hazard regression modelを用い、将来心血管イベントを起こすかどうかを調べた 伝統的な心血管リスクはフラミンガムリスクスコアを使って標準化

結果:characteristics

結果:characteristics

結果 ECG変化がある人はより多く心血管イベントを起こしている

結果 Minor変化もmajor変化もあまり変わらないリスク

結果:数字にまとめると 心電図変化がある人は心血管リスクが高い 全死亡については有意差無し

EMA method New knowledgeかどうか Selection biasの評価 Information biasの評価 交絡因子の評価 外的妥当性の評価

New Knowledgeかどうか 心電図そのものが心血管リスクとなりうるか、その他のリスクも調整して出したデータはなかった (Framingham heart studyでやっていないのか?と思うのだが・・・)

Selection biasの評価 白人、黒人、高齢者のみのstudy

Information biasの評価 心電図の評価そのものはκ値が高いので信頼できそう DM、HTN、HLの評価はやや曖昧 統計手法について、実はそもそもFramingham risk scoreだけでよいのかという疑問も残る

交絡因子 高血圧は心肥大を来たし、心電図を変化させるため、そのものが交絡因子になり得る 高血圧を交絡因子として除外するのならばFramingham risk scoreの中で評価するのではなく、血圧そのものでも調整する必要があるのでは? characteristicsのなかでECG変化がある人の中に学歴の差がある。これも交絡因子として割と有名だが・・・・

外的妥当性の評価 ① これをどう評価するか?

外的妥当性の評価 ② Hazard比が1.5ということは、1.5倍起こしやすいと考えられるという意味 外的妥当性の評価 ② Hazard比が1.5ということは、1.5倍起こしやすいと考えられるという意味 もし目の前にいる患者が1%の確率で心血管イベントを起こすと推測されたら・・・  →1.5%に上がってもたいしたことはない もし目の前にいる患者が50%の確率で心血管イベントを起こすと推測されたら・・・  →75%に確率があがるので意味がありそう

外的妥当性の評価③ 心電図の利点として、すぐに出来てかつ値段が安いという利点がある 本当に心電図変化が心血管リスクとして独立因子するならば、全員検査しても意味があるはず Cost-benfitを大きくするならばリスクの高い患者の心電図だけを検査してフォローしていけば有力なルーチン検査となる(もうやっているが) ER医としてはリスクが高い人が心電図変化を起こしていたらやはり循環器医へ相談した方がよいかもしれない