<S7> 直感君の判断の仕組みを熟慮できた？ 直感君の３機能 と 自動的な置き換え ■ K(14)： 8-9章: なぜ様々な質問にパッと答えられる？　 １　直感君のヒューリスティックな判断を支える３機能 ２ 自動的な置き換え と ヒューリスティクス 直観君の判断の仕組みの特徴

前回の復習 直感君は，結論ありき 基準理論とは？ 私たちが驚く理由は？ 直感君による因果関係の特徴は？ 前回の復習　直感君は，結論ありき 基準理論とは？　私たちが驚く理由は？ 直感君による因果関係の特徴は？ 「信じる」プロセスとは？ 疑うことに必要なのは？ 確証効果,ハロー効果, WYSIATI とは？ 「結論に飛びつくマシン」の問題は？　どう回避？ 情報不足 but 自信過剰　 反例・反論，独立な多数のデータ

本日の読解力Check 直感君のヒューリスティックな判断を支える３機能とは？ 日常モニタリング，メンタル・ショットガン，レベル合わせ ターゲット質問 と ヒューリスティック質問とは？ p.177 たいていの質問に私たちが即座に回答できる理由は？ p.177 逆に，すぐに答えが出せず動転しがちな質問の例は？ p.176 判断 p.165 ，３D，幸福度，感情のヒューリスティックとは？

１ 直感君の判断を支える３機能 質問に答える・質問するには？  <S1> 質問力 １　直感君の判断を支える３機能 質問に答える・質問するには？　 <S1> 質問力 熟慮様の答えを見出す努力： 注意を集中  記憶を検索 努力不要の直感君： 自動的に難問置換のヒューリスティック  通常アナタの回答はどっち？　　 <S2> 練習 直感君のヒューリスティックな判断を支える ３ 機能 日常モニタリング： プロトタイプ と セット p.163 レベルのすり合わせ p.169 メンタル・ショットガン p.172

日常モニタリング と プロトタイプ 直感君： <S6> 世界の連想観念パターン・モデルの自動更新 進化の過程： 驚き vs. 安全・親密  <S5> 上機嫌・認知容易性 例： 一目で支配力と信頼度を判断　 顔の造作と表情 But 直感君は，すべての属性を評価するわけではない 図７：　左と中央の数が同じ　 数えるのは，熟慮様 図８：　平均は扱えるが，合計は苦手 ∴ プロトタイプ（典型）や代表例のセットで，カテゴリを代表 数はほぼ無視される傾向： 原油流出からの海鳥保護への寄付 は

Q1 判断ヒューリスティックとレベルのすり合わせ トドロフによれば，人は「顔」を見て「能力」を評価する 顔の何を見て，どう判断する？ 造作と表情  支配力と信頼度  能力 顔は政治家への投票に影響する？　判断ヒューリスティック　p.165 この直感的な選好に影響されやすいタイプは？ 政治に疎く，テレビ好き： ３倍の影響 ４歳にしてスラスラ本が読めたジュリーの大学卒業時のGPAの値は？ 同レベル3.7?へのすり合わせ if 同一文化 p.170-1 & p.329(GPA)

レベル合わせ と メンタル・ショットガン 直感君の「レベル合わせ」機能 p.170 ＝ 異次元の度合いを揃え比較する ＝ 異次元の度合いを揃え比較する　 例： ジュリーの４歳時の読書能力  身長，年収，罪， ∴ 同一文化内なら同レベル合わせの傾向 but 根拠は不十分 直感君の「メンタル・ショットガン」機能 p.17２ ＝ 意図に照準を合わせられず，必要以上の過剰な情報処理 例： 韻の聞き分けテスト中にスペルが浮かぶ ∴ 照準は合わないが多様な連想　 無意識に置き換え

２ 自動的な置き換え と ヒューリスティクス 直観君には，動転せずにテキパキと，質問回答する驚異の機能 ２　 自動的な置き換え と ヒューリスティクス 直観君には，動転せずにテキパキと，質問回答する驚異の機能 ターゲット質問を，ヒューリスティック質問に置き換える ＝困難な質問に，適切だが不完全な回答を見出す単純な手続き But 置き換えに気づかない： 根拠は説明・立証できない  What, Why, How 等を自問する重要性  熟慮様 表１：　直感君による自動的な置き換えの仕組み 質問・回答に，正確な狙いを絞れないメンタル・ショットガン 元の質問の回答に合わせるレベル合わせ

Q2 p.178の表１のターゲット質問 表１ないし以下の質問に思い浮かぶ回答は？ 解説通り？ 絶滅危惧種を救うために，いくら寄付する？ 表１ないし以下の質問に思い浮かぶ回答は？　解説通り？ 絶滅危惧種を救うために，いくら寄付する？ 現在の生活は，どのくらい幸福？ 半年後の首相の支持率は？ 年金暮らしの高齢者を投資話で騙した詐欺グループに， どれほどの刑罰を課すべき？ 17×24 はいくら？ この問題と表１の質問の違い，回答パターンの違いは？

Q３ ３Dヒューリスティック p.181 右側の人物は，左側の人物 よりも大きい？ どんな置き換えが起こる？ 透視法で描画 ２次元ではなく，３次元で解釈 ∴ 右側は遠い  大きい その置き換えに気づける？

Q４ 幸福度のヒューリスティック p.183 幸福度の評価はその時点の心理に依存するという意味は？ 最近の幸福度は？ と 先月何回デートした？ の質問順 この順なら無相関 but 逆順なら相関　 プライム効果  他のプライム： 親子関係，財政状態　 他の幸福度 どんな置き換えが起きている？　自覚しているか？ ターゲット質問： プライム  ヒューリスティック質問 この幸福度評価は，なぜWYSIATIの一種？ p.185 評価は，示されるプライムからの気分次第で決まる

感情ヒューリスティック と 熟慮様の対応 感情ヒューリスティック： 感情  「結論ありき」が顕著 感情ヒューリスティック：　感情  「結論ありき」が顕著 ＝ 好き嫌いによって，判断が決まる  <S10> p.185 p.186の諸例 ≒ 痘痕も靨，坊主憎けりゃ，袈裟まで憎い ∴ 強固な結論 but 「リスク↓  メリット↑」と認識 熟慮様の機能 <S3> 直感君の提案の認否や最終決定権 自己批判 や <S6> 懐疑 ができる直感君の番人機能 p.187 But 感情が絡む場合は，番人より保証人　 確証方略

３ 直観君の判断の仕組みの特徴 第１部の「直感君（=システム１）の特徴」 pp.188-90 あたかもキャラクーが存在するような物語に単純化 ３　 直観君の判断の仕組みの特徴 第１部の「直感君（=システム１）の特徴」　 pp.188-90 あたかもキャラクーが存在するような物語に単純化 それでも，この直感君の物語の理解には，熟慮様が不可欠 ∴ 「直感君の判断の仕組み」を熟慮できた？ If No, then 「バイアスの繰り返し & 自信過剰」のまま But そのことにさえ，気づかない！ ∵ 直感君を自制できない　 自己批判は，熟慮様の機能 If Yes, then 「用語を使い，直感君の提言に注意↑」

直感君の主要な特徴（１） 印象・感覚・傾向を形成 （ 熟慮様： 確信・態度・意志） 自動かつ高速 （主体的な努力は不要） 熟慮様による（特定パターンへの注意）プログラムが可能 訓練による専門技能の向上により，直感の精度も向上 連想記憶の活性化による観念の整合的パターンの形成 認知容易  上機嫌・無警戒，真実と錯覚する傾向

直感君の主要な特徴（２） 驚きは，異常を通常から識別  初体験・異文化 因果関係や意志の存在を仮想・発明  疑うのは熟慮様 驚きは，異常を通常から識別　　 初体験・異文化 因果関係や意志の存在を仮想・発明　 疑うのは熟慮様 両義性の無視や疑いの排除　 以下のバイアスを疑う習慣 確証バイアス ハロー効果　 WYSIATI（見たものがすべて）

直感君の主要な特徴（３） 日常モニタリング プロトタイプとセットでカテゴリを代表 （平均は得意，合計は苦手） レベル合わせ メンタル・ショットガン 難問を簡単な（ヒューリスティック）質問に置き換える その他下巻の５項目

本日の要点 & 次回への準備 直感君の判断の特徴： ヒューリスティクス 直感君の判断の特徴：　ヒューリスティクス 直感君の３機能：日常モニタリング，レベル合わせ，メンタル・ショットガン 自動的に，ヒューリスティック質問に置き換え，回答 バイアス but 自信過剰　 置換や情報不足に気づかない 例： 判断，幸福度，３D，感情ヒューリスティクス ∴ ヒューリスティクスに気づく!  熟慮様による懐疑 次回準備： K(14) 序-9 章 <S1-7> の 理解度の自己診断 座席，マークシート用黒鉛筆　 学習法の効率性の改善

ヒューリスティクスの語源 p.177 ヒューリスティクスの専門的な定義 ＝困難な質問に，適切だが不完全な回答を見出す単純な手続き 語源は，ギリシャ語のユーレカ ユーレカ（Eureka, エウレカ） 古代，ギリシャのアルキメデスが叫んだという， 発見・発明の喜びに使われる感嘆詞で， 「見つけた！」のように訳される えれか