税と経済 ~税で国はどう動く?~ 富山大学 山田(潤)ゼミ① 大石、護摩堂、追分、門野、森本、辻.

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税と経済 ~税で国はどう動く?~ 富山大学 山田(潤)ゼミ① 大石、護摩堂、追分、門野、森本、辻

目次 1.イントロダクション 2.先行研究 3.分析 4.まとめ 5.参考文献・資料

1.1 イントロダクション ~消費税とは~ 消費税はほぼ全ての国内における商品の販売、サービスの提供等を課税対象としている。 1.1 イントロダクション  ~消費税とは~ 消費税はほぼ全ての国内における商品の販売、サービスの提供等を課税対象としている。 取引の各段階ごとに8%(うち1.7%は地方消費税)の税率で課税される。 消費税は、事業者に負担を求めるものではなく、税金分は事業者が販売する商品やサービス の価格に含まれて、次々と転嫁される。 最終的に商品を消費、サービスの提供を受ける消費者が消費税を負担することとなる。

1.1 イントロダクション 昨年の4月に消費税が5%から8%に上昇し、消費税に関する関心が高まっている。 1.1 イントロダクション 昨年の4月に消費税が5%から8%に上昇し、消費税に関する関心が高まっている。 消費税は私たちがモノを買う上で必ず支払う税金である。 人の心理として消費税が上昇する前にモノを買いたいのは当たり前である。 では日本で駆け込み需要は存在するのだろうか?

1.2 前提 消費増税時を0とし、前後1年間を計測する。 物価指数・鉱工業指数は月単位である。 -12は12ヶ月前、+12は12ヶ月後を指す 1.2 前提 消費増税時を0とし、前後1年間を計測する。 物価指数・鉱工業指数は月単位である。 -12は12ヶ月前、+12は12ヶ月後を指す 実質消費・実質GDPは四半期単位である。 -4は4期前、+4は4期後を指す

1.2 前提 実質GDP、実質消費は増税前8四半期、後4四半期のデータを使用 例 オランダ 1984年 1月1日 増税の場合 増税時

1.2 日本の物価指数 日本の物価指数のグラフ

1.2 日本の鉱工業指数 日本の鉱工業指数のグラフ

1.2 日本の実質消費 日本の実質消費のグラフ

1.2 日本の実質GDP 日本の実質GDPのグラフ

1.3 研究テーマ これらの日本のグラフを見ると消費税増税前に駆け込み需要が存在することがわかる。 1.3 研究テーマ これらの日本のグラフを見ると消費税増税前に駆け込み需要が存在することがわかる。 駆け込み需要に対する反動が大きいことも見て取れた。 世界各国で駆け込み需要とその反動が存在するのだろうか? 日本と比較し、世界各国の駆け込み需要と反動の振れ幅は大きいのか? 先進国と途上国で特徴がみられるのか?

1.4 研究の狙い 世界各国の駆け込み需要とその反動について IMF(国際通貨基金)の e-LIBRARYというデータベースを用いて研究を進めていく。

目次 1.イントロダクション 2.先行研究 3.分析 4.まとめ 5.参考文献・資料

2.1 先行研究 三菱UFJ信託銀行 三菱UFJ信託資産運用情報 2014年10月号 『日本の消費増税とグローバル比較』

2.1 先行研究(概要) 日本と海外の税制の比較において、付加価値税の標準税率を比較すると日本は低い方であることは確認できる。 2.1 先行研究(概要) 日本と海外の税制の比較において、付加価値税の標準税率を比較すると日本は低い方であることは確認できる。 しかし、標準税率が高い国においては軽減税率を導入している国もあるため、付加価値税の比較をする際にはこの点も考慮に入れる必要がある。

2.1 先行研究(概要) 増税(2014&1997)前後の景気動向を見てみる 2.1 先行研究(概要) 増税(2014&1997)前後の景気動向を見てみる 雇用環境、物価ともに上昇傾向にあり増税のタイミング としては良い。 増税によって多少の景気の下降は見られるが、雇用環 境の改善などから回復に向かうと考えられる。

2.1 先行研究(結論) 消費増税は一時的な景気の変動(駆け込み需要、反動減)は生じるが、景気の状況を見極め た上で実施すれば、景気後退のリスクは少ないといえる。 標準税率が高い国においては軽減税率を導入している国があるため、他の国々と比較するに は注意すべきである。

2.2 先行研究 日本総研 Research Eye No.2013-018 2013年9月24日 『欧州の事例から読み解く消費増税の影響』 ー 駆け込み・反動の抑制、物価上昇に対する支援策が不可欠 ー

2.2 先行研究(概要) ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、イギリスと日本の比較(消費増税による実質個人消費の 比較) 2.2 先行研究(概要) ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、イギリスと日本の比較(消費増税による実質個人消費の 比較) ヨーロッパの事例から日本の増税の状況がどうなるのか?

2.2 先行研究(概要) ドイツ・フランス・イギリスは駆け込 み需要が存在 → 緩やかに回復 2.2 先行研究(概要) ドイツ・フランス・イギリスは駆け込 み需要が存在 → 緩やかに回復 イタリア・スペインは駆け込み需要 が存在しない → そのまま失速

2.2 先行研究(結論) 日本の実質個人消費はドイツ・フランス・イギリスと同じように駆け込み需要が存在する。 2.2 先行研究(結論) 日本の実質個人消費はドイツ・フランス・イギリスと同じように駆け込み需要が存在する。 日本経済の背景を考慮すると同じように反動から回復するとは言い切れない。 1997年の消費増税時は実質個人消費が回復しなかった。

2.3 先行研究 日本経済研究センター 経済百葉箱 第81号 2015年4月8日公表 『欧州各国に学ぶ駆け込み・反動の抑え方』 2.3 先行研究 日本経済研究センター 経済百葉箱 第81号 2015年4月8日公表 『欧州各国に学ぶ駆け込み・反動の抑え方』 ー 消費増税の価格転嫁に日欧の差 ー

2.3 先行研究(概要) 欧州諸国の消費増税時の駆け込み・反動の大きさの比較 価格転嫁の原因について

2.3 先行研究(概要) インボイス方式とは  仕入側である課税事業者(消費税の納税義務のある事業者)は、売上側である課税事業者が 発行するインボイスに記載された消費税額のみを控除することができる仕入税額控除の方式の こと。 ※また、欧州諸国の比較については 2.2の先行研究と共通部分が多い研究となっている。

2.3 先行研究(結論) 欧州では消費増税前から徐々に価格を引き上げ、増税時は企業が増税分を負担し、消費者に 転嫁しないため駆け込み・反動が小さい。 しかし日本では増税前の駆け込み時にセールなどを行い価格を引き下げ、増税時に一気に価 格転嫁を行うため、駆け込みと反動が大きい。 増税前後の景気のかく乱を抑えるためには、政府による「転嫁対策」を無理に行うべきではな い。

2.4 先行研究 統計研究彙 第72号2015年3月(25~40) 堀井俊 『家計調査からみた消費税率引き上げ前後の消費行動について』

2.4 先行研究(概要) 2014(平成27)年4月に消費税率が5%から8%へ引き上げられたことに伴い、消費税率引 上げ直前の3月には、家計調査の結果で見ると、駆け込み購入の影響から消費支出全体では 1年前に比べて実質7.2%の増加がみられた。 消費税率引上げ後の4月及び5月には、その反動による減少がみられ、4月は実質4.6%の減 少、5月は実質8.0%の減少となった。 前回1997(平成9)年4月の消費税率が3%から5%へ引上げられた時と比較してみると、今 回の消費税率引上げの前後には、前回の時よりも大きな駆け込み購入による消費支出の増 加及びそれに伴う反動減がみられるのか?

2.4 先行研究(概要)

2.4 先行研究(結論) 2014年4月に消費税が5%から8%に引き上げられた時に、前回(1997年4月)よりも大きな 駆け込み購入による増加とそれに伴う反動減が見られた。

目次 1.イントロダクション 2.先行研究 3.分析 4.まとめ 5.参考文献・資料

3.1 先行研究との違い 比較対象国数を更に拡大 消費だけでなく他の指標でも比較 地域によって特徴が存在するかを分析 3.1 先行研究との違い 比較対象国数を更に拡大 比較対象の国 → EU・ニュージーランド・カナダ・シンガポールなど 消費だけでなく他の指標でも比較 地域によって特徴が存在するかを分析 先進国と途上国との比較

3.1 分析テーマ 主に消費増税によって国の経済に関する各指標がどのように変動するのかを分 析する。 3.1 分析テーマ 主に消費増税によって国の経済に関する各指標がどのように変動するのかを分 析する。 世界の国々において、消費増税による駆け込み需要と、その反動が見られるの かを検証する。 先進国・途上国で特徴がみられるのか

3.1 分析手法 IMF e-LIBRARY のデータベースを用いて以下のデータを分析 物価指数 鉱工業指数 加重平均 実質消費 散布図 3.1 分析手法 IMF e-LIBRARY のデータベースを用いて以下のデータを分析 物価指数 鉱工業指数        加重平均 実質消費          散布図 実質GDP 変動率のグラフを作成

3.1 分析手法 <基礎統計> 全世界の消費税導入国(全国間税会総連合会より)151か国中入手可能な47か国(31. 1%)の月、四半期131期間の消費税引き上げ前2年間後1年間の経済指標を使用。 先進国、途上国の区分はimfのHPのdata statisticsのデータを基にしている。 先進国23か国 途上国24か国である。

3.1 分析手法(加重平均) 「なるほど統計学園高等部」http://www.stat.go.jp/koukou/howto/math/

3.2 加重平均を用いた分析 (鉱工業生産指数) 左のグラフは先進国の鉱工業生産指数を 表している。 3.2 加重平均を用いた分析 (鉱工業生産指数) 左のグラフは先進国の鉱工業生産指数を 表している。 先進国において前期比前年同期比ともに駆 け込み需要が存在し、その反動による指標 の悪化がみられる。 増税後の回復のペースの遅さから増税は先 進国の鉱業・工業に大きな影響を与えてい ることがわかる。

3.2 加重平均を用いた分析 (鉱工業生産指数) 左のグラフは途上国の鉱工業生産指数の推移 を表している。 3.2 加重平均を用いた分析 (鉱工業生産指数) 左のグラフは途上国の鉱工業生産指数の推移 を表している。 途上国の指標を見ると前期比、前年同期比とも に駆け込み需要とその反動が発生しているとい う確証は得られなかった。 増税後において途上国の指標は回復基調にあ り、鉱業・工業に対する影響は限定的であること がわかる。

3.2 加重平均を用いた分析 (実質消費) 左の図は先進国の実質消費の推移を表してい る。 3.2 加重平均を用いた分析 (実質消費) 左の図は先進国の実質消費の推移を表してい る。 このグラフから先進国において増税前には駆け 込み需要が発生している。 先進国の消費の回復は早く増税のあった期の 次期には増税前の水準に回復している。

3.2 加重平均を用いた分析 (実質消費) 左の図は途上国の実質消費の推移を表してい る。 3.2 加重平均を用いた分析 (実質消費) 左の図は途上国の実質消費の推移を表してい る。 途上国の実質消費の落ち込みは先進国のも のに比べ大きい結果が出ている。 前年同期比では増税前に大きな落ち込みをし ている。これは途上国自体の成長率が大きい ことから前年比においては増税時もプラスを維 持できたのではないかと考えられる。

3.2 加重平均を用いた分析 (実質GDP) 左の図は先進国の実質GDP成長率の推移を表 している。 前期比のデータにおいて増税時に大きな落ち込 みがあり駆け込みとその反動による落ち込みが 確認できる。 成長率自体は増税を行った次の期には増税前 の水準を回復しており、その後も堅調に推移して いる。このことから先進国経済が増税によって受 ける影響は限定的であることが考えられる。

3.2 加重平均を用いた分析 (実質GDP) 左の図は途上国の実質GDP成長率の推移を表 している。 前期比において駆け込み需要とその反動がみら れる。 途上国の指標は先進国に比べ振れ幅が大きい。 また、その後の回復傾向の遅さや成長率の失速 などから経済状態が不安定なことがわかる。

3.3 結論 (鉱工業生産指数) 鉱工業生産指数においては先進国と途上国との間で異なる動きを しており、先進国のほうが増税による影響が大きいということが分 かった。

3.3 結論 (実質消費) 実質消費において先進国はほとんど影響を受けず落ち込まなかっ たのに対し、途上国は増税による影響が大きいという結果が出た。 このことから消費においては途上国のほうが大きな影響を受けるこ とが分かった。

3.3 結論 (実質GDP) 実質GDPにおいては先進国、途上国ともに駆け込み需要とその反 動が発生している。 指標の振れ幅においては先進国が約2%程度だったのに対し、途 上国は約6%となり先進国のほうがより深刻な影響を受けている。 その後の成長率の推移からも途上国のほうがより大きな影響を受 けている。

3.4 散布図を用いた分析 (物価指数) 左の図は先進国の物価指数と増税幅の関係を 表している。 3.4 散布図を用いた分析 (物価指数)  左の図は先進国の物価指数と増税幅の関係を 表している。 この散布図において相関係数は0.02となった。 このことから物価指数と増税幅の間には相関が ない。

3.4 散布図を用いた分析 (物価指数) 左の図は途上国の物価指数と増税幅の関係を 表している。 この散布図の相関係数は0.24であった。 3.4 散布図を用いた分析 (物価指数) 左の図は途上国の物価指数と増税幅の関係を 表している。 この散布図の相関係数は0.24であった。 途上国において物価指数と増税幅の間には弱 い正の相関がみられる。

3.4 散布図を用いた分析 (鉱工業生産指数) 左の図は先進国の鉱工業生産指数と増税幅の 関係を示している。 3.4 散布図を用いた分析 (鉱工業生産指数) 左の図は先進国の鉱工業生産指数と増税幅の 関係を示している。 散布図を作成した結果相関係数は0.07となり増 税幅の大小による鉱工業生産指数への相関は 見られない。

3.4 散布図を用いた分析 (鉱工業生産指数) 左の図は途上国の鉱工業生産指数の変化 率と増税幅の関係を示した散布図である。 3.4 散布図を用いた分析 (鉱工業生産指数) 左の図は途上国の鉱工業生産指数の変化 率と増税幅の関係を示した散布図である。 この散布図の相関係数は0.22であり、途 上国において増税幅の大小と実質消費の 間に弱い正の相関がある。

3.4 散布図を用いた分析 (実質消費) 左の図は先進国の実質消費と増税幅の関 係を表した散布図である。 3.4 散布図を用いた分析 (実質消費) 左の図は先進国の実質消費と増税幅の関 係を表した散布図である。 散布図の相関係数は0.22となり、増税幅の 大小と実質消費の間に弱い相関がみられ る。

3.4 散布図を用いた分析 (実質消費) 左の図は途上国の実質消費と増税幅の関 係を示した散布図である。 3.4 散布図を用いた分析 (実質消費) 左の図は途上国の実質消費と増税幅の関 係を示した散布図である。 相関係数は0.11であった。このことから 途上国において実質消費と増税幅の間に は相関関係は見られない。

3.4 散布図を用いた分析 (実質GDP) 左の図は先進国の実質GDPと増税幅の関係を 表した散布図である。

3.4 散布図を用いた分析 (実質GDP) 左の図は途上国の実質GDPと増税幅の関係を表 したグラフである。

3.5 結論 (物価指数) 物価指数においては 先進国では増税によって物価が上昇しない。 途上国においては増税によって物価が上昇する。

3.5 結論 (鉱工業生産指数) 鉱工業生産指数において増税幅の大小と変化率は先進国と途上 国に関わらず、ほとんど関係がないことが分かった。

3.5 結論 (実質消費) 先進国については弱い相関が確認できた。 途上国については相関は確認できなかった。 3.5 結論 (実質消費) 先進国については弱い相関が確認できた。 途上国については相関は確認できなかった。 本来負の相関を示すべきであるはずであるが、反対の結果となっ たため増税幅と消費の間にはっきりとした関係を見つけることはで きなかった。

3.5 結論 (実質GDP) 実質GDPにおいては途上国において負の相関がみられ、実質GDP が増税幅の大小によって影響を受ける。 先進国においては相関関係がみられず影響を受けるのかどうかは 分からなかった。

目次 1.イントロダクション 2.先行研究 3.分析 4.まとめ 5.参考文献・資料

4.1 まとめ

4.1 まとめ

4.1 まとめ

4.1 まとめ

4.1 まとめ

4.1 まとめ

4.2 まとめ 先行研究では、主要国で駆け込み需要とその反動がみられたが、世界各国でも同じような動き が見られた。 4.2 まとめ 先行研究では、主要国で駆け込み需要とその反動がみられたが、世界各国でも同じような動き が見られた。 日本は今までに3回の増税を行ったが、いずれも世界平均と比較すると、増税時のグラフの振 れ幅が大きいということが分かった。 これらは、世界平均で採用している国のほとんどが軽減税率を採用しているのに対し、日本は 軽減税率を採用していないことが一因と考えられる。 先進国と途上国では、先進国の方がグラフの振れ幅が小さく、途上国の方が大きいことから、 途上国の方が増税の影響を受けやすいことが分かった。

5.参考文献 三菱UFJ信託資産運用情報 2014年10月号『日本の消費増税とグローバル比較』 日本総研Research Eye No.2013-018 2013年9月24日  『欧州の事例から読み解く消費増税の影響』ー 駆け込み・反動の抑制、物価上昇に対する支援策が不可欠 ー 日本経済研究センター経済百葉箱 第81号 2015年4月8日公表   『欧州各国に学ぶ駆け込み・反動の抑え方』ー 消費増税の価格転嫁に日欧の差 ー 統計研究彙 第72号2015年3月(25~40)   堀井俊『家計調査からみた消費税率引き上げ前後の消費行動について』 「なるほど統計学園高等部」http://www.stat.go.jp/koukou/howto/math/ IMF http://data.imf.org/?sk=7CB6619C-CF87-48DC-9443-2973E161ABEB