教科「情報」とはどんな授業か 情報科教育法 2回目 2004/4/23 太田 剛
目次 1.学習指導要領の改訂と教科「情報」 2.情報社会の光と影 インターネット事件簿
1.学習指導要領の改訂と教科「情報」
改訂のポイント 平成10年7月の教育課程審議会答申を受けて,完全学校週5日制の下で,「ゆとり」の中で「特色ある教育」を展開し,幼児児童生徒に自ら学び自ら考える[生きる力]を育成。
改訂のポイント(その1) (1) 豊かな人間性や社会性,国際社会に生きる日本人としての自覚を育成すること。 ・ 幼稚園や小学校低学年では,基本的な生活習慣や善悪の判断などの指導を徹底。また,ボランティア活動の重視。 ・ 小学校では人物・文化遺産中心の歴史学習の徹底,中学校では歴史の大きな流れをつかむことを重視する歴史学習に改善。我が国の国土や歴史に対する理解と愛情,国際協調の精神など国際社会に主体的に生きる日本人としての資質の育成を重視。 ・ 中学校及び高等学校外国語科の必修化と聞く話す教育の重視など。
改訂のポイント(その2) (2) 自ら学び,自ら考える力を育成すること。 ・ 各教科及び「総合的な学習の時間」で体験的な学習,問題解決的な学習の充実。 ・ 各教科等で知的好奇心や探究心,論理的な思考力や表現力の育成を重視。 ・ コンピュータ等の情報手段の活用を一層推進。中学校技術・家庭科で情報に関する内容を必修化,高等学校で教科「情報」を必修化など。
改訂のポイント(その3) (3) ゆとりのある教育活動を展開する中で,基礎・基本の確実な定着を図り,個性を生かす教育を充実すること。 ・ 年間授業時数は,現行より週当たり2単位時間削減。 ・ 教育内容を授業時数の縮減以上に厳選し,ゆとりの中で基礎的・基本的な内容を繰り返し学習し,その確実な定着を図る。 ・ 中・高等学校における選択学習の幅を一層拡大。 ・ 高等学校では,卒業に必要な修得総単位数を80単位から74単位に縮減,必修教科・科目の最低合計単位数を38単位(普通科)から31単位に縮減など。
改訂のポイント(その4) (4) 各学校が創意工夫を生かし特色ある教育,特色ある学校づくりを進めること。 ・ 「総合的な学習の時間」を創設し,各学校が創意工夫を生かした教育活動を展開。 ・ 各学校が創意工夫を生かした時間割編成ができるよう,授業の1単位時間や授業時数の運用の弾力化。 ・ 教科の特質に応じ目標や内容を複数学年まとめるなど基準の大綱化。 ・ 高等学校における学校設定教科・科目の導入など。
“情報科”の面白さ (1) 変わりゆく社会の中での生き方の考え方を教える。 ・どうやって勉強すればいいか調べる方法 ・どうやって生活していけばいいか調べる、考える方法。 (2) 地域、社会、世界と係わりをもっていきていく方法を教える。 ・どうやって人とつきあうか、コミュニケーションするか。 ・社会情勢、世界情勢、歴史をどのように理解・判断するか。 (3) IT社会の活用や面白さを伝える。 ・IT社会のしくみの理解と活用。 ・IT社会を構築する力の育成。
教科の概要とその意義、目的 (1) 普通教科「情報」 意義: すべての生徒に対し、情報社会に主体的に対応するために社会人として必要な能力と態度をそだてなければならない。 目標: 情報および情報技術を活用するための知識と技能の修得を通して情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに、社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ、情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる。
普通教科「情報A,B,C」の考え方 理科 情報 情報A 情報B 情報C 物理 情報活用の実戦力 生物 情報の科学的な理解 化学 情報社会に参画する態度 地学
情報A,B,Cの目標の関係 情報活用の 実践力 情報社会に参画する態度 情報の科学的な理解 情報A
情報A,B,Cの目標の関係 情報活用の 実践力 情報社会に参画する態度 情報の科学的な理解 情報B
情報A,B,Cの目標の関係 情報活用の 実践力 情報社会に参画する態度 情報の科学的な理解 情報C
情報活用の実戦力 情報の収集と判断・処理 情報の利用と問題解決 情報の伝達・交流 情報の発信・創造
情報の科学的な理解 コンピュータや情報機器の仕組みと働き 問題のモデル化とコンピュータを活用した解決 ・問題解決とコンピュータの活用 問題のモデル化とコンピュータを活用した解決 ・問題解決とコンピュータの活用 情報の蓄積・管理とデータベース活用 情報通信ネットワークとコミュニケーション 情報通信と計測・制御の技術
情報社会に参画する態度 情報化・情報技術の進展が社会・生活に及ぼす影響 情報の収集・発信における問題点 情報倫理・情報安全教育 情報社会に積極的に参画する姿勢
情報社会やコミュニケーションに関心を持つ生徒 ◎社会で使用されている情報システムの観点から 情報ABCの特徴 対象生徒 情報活用の実戦力 情報の科学的な理解 情報社会に参画する態度 A 活用経験の浅い生徒 ◎(実習1/2) △仕組みを情報機器の発達の歴史の中で ○身の回りから社会へ B コンピュータに興味・関心を持つ生徒 ○(実習1/3) ◎コンピュータのしくみ △情報技術の観点から C 情報社会やコミュニケーションに関心を持つ生徒 ○ネットワークのしくみ ◎社会で使用されている情報システムの観点から
授業の内容を想像しよう。 情報活用の実戦力 情報の科学的な理解 情報社会に参画する態度 の各分類について説明したが、それぞれどのような授業があるか考えてみよう。 各4+5+4で13個の授業のパターン。13行です。 学習指導要領やWebページから探す。 締め切り 5/2 件名 理科大課題0423: 氏名 学籍番号 同一件名で 理由有りパス又は遅延も受付ます。
他の情報科関係の教職科目について 情報科の教科の中での位置づけを意識してください。 情報と職業 情報社会及び情報倫理 教育方法・技術 コンピュータ ネットワーク プログラミング システム
情報科で絶対に教えなければいけないこと。 インターネットの世界だけではない。 犯罪の手口は日々進化している。 2.情報社会の光と影 インターネット事件簿 情報科で絶対に教えなければいけないこと。 インターネットの世界だけではない。 犯罪の手口は日々進化している。
情報社会の光と影 被害者になるとこともあるが、加害者になることもある。 法律を犯している場合は、学生でもいつ訴えられたり、損害請求をされてもおかしくない。 ○ 情報倫理 ○ 情報安全教育 ○ 情報モラル ○ 消費者教育 ○ ネチケット
インターネット事件簿を読んでみよう。 インターネット事件簿 事例集 2005年度版を読んで、 インターネット事件簿 事例集 2005年度版を読んで、 配布資料の各項目で注意することや対策をまとめてみよう。
これだけは注意しよう。 1. 人をみたら泥棒と思えぐらいの心構え。 2. ID,パスワード、暗証番号の扱いは慎重に。 3. 個人情報はめったに書かない。 4. 契約書はよく読もう。 5. 困ったことがあったら公的機関にすぐ相談しよう。 6. おかしい情報は無視しよう。(裁判所からの通知は除く) 7. 物品の購入は慎重に。 8. パソコンには必ずワクチンソフトとウィルスのデータベースの更新する。 情報モラル研修教材2005http://sweb.nctd.go.jp/2005/index.htm 資料集 http://sweb.nctd.go.jp/2005/siryo/index.htm
ID・パスワード 他人に教える。 私ではない。盗まれる パスワードの盗むプログラム どうして知っているの パスワードの扱い 紙に書かない、わかりにくいもの 絶対他人に教えてない、定期的な更新 ・ 銀行のカードなども同じ
メール CC, BCC チェーンメイン 電子メール利用上の注意 最低限のルール 件名、名前、文字コード 大きなファイルの添付 スパムメールへの対応 フリーメールの利用
悪徳商法・インターネット販売 ネズミ講 悪徳商法 クレジットカードの不正使用 入力間違いは個人の責任 キャッチセールス 海外への不正接続 わかりにくい契約文書 不正請求
個人情報 大量の広告メール ストーカー 個人情報を書かない メール、Web上での情報の公開 他人の肖像権-学校等
著作権 ライセンス情報の公開 Webでのタレントなどの写真 ファイル交換ソフト 著作権
ウィルス 作成情報もダメ ポートスキャン・進入 ウィルス対策ソフト
不正アクセス・不正情報 家に入っても犯罪 猥褻情報 セキュリティ なりすまし、踏み台
他人との交流 いやがらせ、誹謗中傷 言い争い
理科大のルール 商業行為の禁止 公序良俗に反する情報はのせない
参考資料 情報A,B,Cの違いについて詳しく知りたい人は下記のページを参照 http://www.ceres.dti.ne.jp/~gohome/rikadai/Top0103.html
教科「情報」の学習目標 ◎ ○ 情報活用の 実戦力 情報の科学的 な理解 情報社会に 参画する態度 情報および情報技術を活用するための知識と技能の修得を通して ◎ 情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに、 社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ、 情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる。 ○
情報Aの学習目標 情報活用の実戦力 情報の科学的な理解 情報社会に参画する態度 情報Aの学習目標 情報活用の実戦力 情報の科学的な理解 情報社会に参画する態度 コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を通して,情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識と技能を習得させるとともに,情報を主体的に活用しようとする態度を育てる。 ◎ 帰納的 体験的
情報Bの学習目標 情報活用の実戦力 情報の科学的な理解 情報社会に参画する態度 コンピュータにおける情報の表し方や処理の仕組み, ◎ 情報社会を支える情報技術の役割や影響を理解させ, ○ 問題解決においてコンピュータを効果的に活用するための科学的な考え方や方法を習得させる
情報Cの学習目標 情報活用の実戦力 情報の科学的な理解 情報社会に参画する態度 情報のディジタル化や情報通信ネットワークの特性を理解させ, ◎ ○ 表現やコミュニケーションにおいてコンピュータなどを効果的に活用する能力を養うとともに, 情報化の進展が社会に及ぼす影響を理解させ,情報社会に参加する上での望ましい態度を育てる。