「関東大震災と王希天事件」 第六章 １～２ 田井中 咲希
目次 ・日本政府の隠蔽工作 ・中国政府の対応 ・在日中国人らの調査
遠藤の出頭命令 １０月３日 戒厳司令部に呼び出される １０月？日 正力警視庁官房主事に会う １０月５日 法務部へ佐々木と共に出頭
３日・戒厳司令部 ・阿部信行・武田額三と会う →王希天について隠蔽を依頼される 外務省の見解： 大島問題(中国人大虐殺)は事実を認めないが、王希天については隠し通せない。 →王希天について隠蔽を依頼される
３日・戒厳司令部 阿部「（中略）キミに一働きしてもらいたい。第一に、正力に会って、警察がどこまで証拠をつかんでいるか、どういうつもりかさぐってくれ。 第二に、佐々木大尉とよく相談して、行方不明のスジ書きを完璧なものにしてくれ」 本文より引用
遠藤の出頭命令 １０月３日 戒厳司令部に呼び出される １０月？日 正力警視庁官房主事に会う １０月５日 法務部へ佐々木と共に出頭
?日 警視庁 正力松太郎警視庁官房主事 現在の 警視庁副総監格 →事件のすべてを知っていた。しかし・・・
?日 警視庁 「（王希天事件について）外務省はうるさく言ってきますが、なにせ、あの混乱でしたから、日本人でも行方不明者や、鮮人とみなされた誤殺がたくさん出ています。中国人留学生の足取りなど調査不能であると回答するしかありません。あなた（軍）のほうで行方不明と主張されるかぎり、こちらがどうこうするつもりはありません」 （本文より引用） 「予想外に “話のわかる”態度」だった。
遠藤の出頭命令 １０月３日 戒厳司令部に呼び出される １０月？日 正力警視庁官房主事に会う １０月５日 法務部へ佐々木と共に出頭
５日 法務部 遠藤は、聴取は取り調べというより「証拠づくり」であると感じた。 遠藤は佐々木に付き添い法務部へ出頭 呼び出した理由 ５日 法務部 遠藤は佐々木に付き添い法務部へ出頭 呼び出した理由 ・王希天事件に対する陸軍の態度を 正式に決めるため。 隠蔽すること ・甘粕事件の公判を控えていた。 →さらに軍のイメージダウンになる事件を 抱えるのは困る。 遠藤は、聴取は取り調べというより「証拠づくり」であると感じた。
目次 ・日本政府の隠蔽工作 ・中国政府の対応 ・在日中国人らの調査
当時の中国政府 中国大総統：曹錕 ・大総統になったばかり ・中国政府は不安定だった 日本政府の出方をうかがいつつで、事件に対して及び腰だった
当時の中国政府 王兆澄らの帰国によって中国世論が反日へ （前章参照） →世論に動かされる形で中国政府がようやく日本政府に抗議と照会を依頼する
駐日公使の存在 ・駐日公使の頻繁な入れ替わり 理由１：中国の不安定な政治情勢 理由２：在日留学生との確執
駐日公使の存在 中国側の及び腰 →日本政府の隠蔽工作が余裕に 「これは本国からの訓令ではありません。在日留学生らが騒いでいるので、一応、表記した疑問点について回答願います。大げさにするつもりはありません」と語ったとある。本国世論の高まりに比べ、衣食住のすべてを日本政府におんぶしてもらっている中国公使館の立場は弱かった。 （本文より） 中国側の及び腰 →日本政府の隠蔽工作が余裕に
目次 ・日本政府の隠蔽工作 ・中国政府の対応 ・在日中国人らの調査
殺害の真実をつかむ 在日中国人と協力する日本人有志 王希天殺害の「真実」に近づいていた しかし・・・ 告発はできなかった
まとめ 日本政府 中国政府 在日中国人・日本人有志 外務省・警察も隠蔽を容認していた →政府全体での隠蔽 虐殺事件に関して及び腰の態度 外務省・警察も隠蔽を容認していた →政府全体での隠蔽 中国政府 虐殺事件に関して及び腰の態度 →日本政府の隠蔽を助ける形となった 在日中国人・日本人有志 中国人虐殺・王希天事件の真相に近づく →公に公表することはできなかった
参考文献 『関東大震災と王希天事件』 田原洋 著 三一書房 1982年8月31日発行