大阪大学経済学部 本間正明研究室 大西恭輔 川崎雄介 熊代克久 中塚早保 八塚貴久子

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大阪大学経済学部 本間正明研究室 大西恭輔 川崎雄介 熊代克久 中塚早保 八塚貴久子 少子化対策を考える 大阪大学経済学部 本間正明研究室 大西恭輔 川崎雄介 熊代克久 中塚早保 八塚貴久子

第1章 現状認識

現状(合計特殊出生率) 生産年齢人口は1995年、 総人口は2006年をピークに減少する 1947年から60年代の初めにかけて大幅に減少 60年代初めから70年代前半までは2.0前後の水準を維持 それ以降は継続的な減少傾向 2002年における水準は1.32 生産年齢人口は1995年、 総人口は2006年をピークに減少する 厚生労働省統計情報部 『人口動態統計』より作成

少子化による経済への影響 労働力人口の減少による経済成長率の低下 社会保障負担の増加によって国民負担率が上昇 (労働力人口) 社会保障負担の増加によって国民負担率が上昇 (国民負担率) 国立社会保障・人口問題研究所「社会保障費」より作成

出生率低下の背景 女性の社会進出 子供の質の変化 出生率の低下 未婚率の増加 養育コストの増加

現状(諸外国の状況) 先進諸国を中心とした合計特殊出生率の推移

諸外国の取り組み 北欧型、米英型といった各国独自の少子化対策の推進 北欧型⇒職業生活と家庭生活の両立支援をねらいとして、充実した育児休業を法律で保証する 米英型⇒政府は家庭や企業の問題に介入せず、自主的な交渉や契約に任せる

児童手当制度 育児休業制度 (1年半 手厚い所得補償) 保育所 余暇センター 幼稚園 家庭保育所等 児童扶養控除 制度 保育費用対象控除制度 (1年半   手厚い所得補償) 保育所  余暇センター 幼稚園  家庭保育所等 スウェーデン 児童扶養控除    制度 保育費用対象控除制度 (年間3ヵ月) 公的保育 サービスは 非常に低い アメリカ 家族除数制度         等 (3年間 無給) 集団型保育所 児童園 託児所等 フランス 子育てコスト軽減 就業との両立支援 育児サービス

我が国の取り組み 育児サービス・・・保育所 幼稚園 放課後児 童健全育成事業 就業との両立支援・・・出産休暇 育児休暇 育児サービス・・・保育所 幼稚園 放課後児 童健全育成事業 就業との両立支援・・・出産休暇 育児休暇 子育てコスト軽減・・・児童扶養控除制度                児童手当制度

待機児童数と保育所利用児童数等の推移 平成13年 平成14年 平成15年 合計 21,031 25,447 26,383 東京都 4,982 5,056 5,208 大阪府 3,959 3,552 3,863 神奈川県 2,593 3,204 2,944

問題意識  これまで政府は少子化に対して施策を行ってきたが出生率低下に歯止めがかかっていない! 政策と実情に乖離があるのではないか?

第2章 分析

理論モデル Max: s.t.: これを解くと

分析モデル TFR:合計特殊出生率 Wmh: 25~34歳の男性フルタイム賃金率(実質値) Wfh: 25~34歳の女性フルタイム賃金率(実質値) Wfp:女性パートタイム賃金率(実質値) Kyoiku:教育費(実質値) Hoiku:0から4歳の幼児1万人あたり保育所在所児数 (1997~2001年の都道府県データを用いて最小二乗法で推計)

分析結果

考察 女性フルタイム賃金率↑・・・出生率↓ ⇒機会費用が大きい 女性パートタイム賃金率↑・・・出生率↑ ⇒機会費用の減少   ⇒機会費用が大きい 女性パートタイム賃金率↑・・・出生率↑   ⇒機会費用の減少 保育所整備率↑・・・出生率↑   ⇒就業と育児の両立が可能 男性フルタイム賃金率↑・・・出生率↑⇒所得効果 教育費↑・・・出生率↓ ⇒直接費用の増加

第3章 政策提言

政策提言 雇用者が各自で労働時間を決定できる制度の構築   出産育児期短時間労働制  保育サービスの拡充  待機児童の多い地域への重点的整備

参考文献 高山憲之・小川浩・吉田浩・有田富美子・金子能宏・小島克久「結婚・育児の経済コストと出生力」人口問題研究;国立社会保障・人口問題研究所、2000;56(4):1-18 米谷信行「我が国の出生率低下の要因分析」フィナンシャル・レビュー;大蔵省財政金融研究所、1995;(34):68-90 滋野由紀子 松浦克己 「日本の年齢階層別出産選択と既婚女子の就業行動--家計の属性を考慮したクロスセクション分析」季刊社会保障研究;国立社会保障・人口問題研究所、1995; 31(2):165-175 滋野由紀子 「出生率の推移と女子の社会進出」大阪大学経済学;大阪大学経済学部、1996; 45(3/4):65-75 滋野由紀子 大日康史 「育児休業制度の女性の結婚と就業継続への影響」日本労働研究雑誌;日本労働研究機構、1998;(459):39-49 駿河輝和  西本真弓 「育児支援策が出生行動に与える影響」季刊社会保障研究;国立社会保障・人口問題研究所、2002; 37(4):371-379 森田陽子 金子能宏 「育児休業制度の普及と女性雇用者の勤続年数」日本労働研究雑誌;日本労働研究機構、1998;(459):50-62 林宣嗣 「保育サービス事業の現状と課題」季刊社会保障研究;国立社会保障・人口問題研究所、1996; 32(2):159-166 福田素生 「保育サービスの供給について--費用面からの検討を中心に」季刊社会保障研究;国立社会保障・人口問題研究所、2000; 36(1):90-101 樋口美雄 「第9章 育児休業制度の実証分析」『現代家族と社会保障 結婚・出生・育児』社会保障研究所編,1994;pp.181-204,東京大学出版会 阿藤誠 『現代人口学』日本評論社、2000 加藤久和 『人口経済学入門』日本評論社、2001 国立社会保障人口問題研究所ホームページ「第3章 高齢化・人口減少への挑戦」『平成15年度経済財政白書』pp.169~255

御清聴ありがとうございました! 発表者一同 御清聴ありがとうございました!   発表者一同