「日本の核物理の将来」 ハイパー核・ストレンジネスWG 中間報告

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今まで行ってきた研究 2003年11月 九州工業大学 工学部 物理  鎌田 裕之  .
---核力プロジェクトの近未来の拡張の形(私見)---
2013 横浜 バリオン間相互作用とEOS  核・核散乱、ハイパー核、中性子星核物質 山本安夫 共同研究者: 古本、安武、ライケン.
山崎祐司(神戸大) 粒子の物質中でのふるまい.
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「日本の核物理の将来」レポート作成について ーハイパー核・ストレンジネスWGー
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法政大学 石川壮一 1. はじめに 2. 3体力 3. 少数核子系における3体力の効果 4. モデル3体力による解析 5. まとめ
第8回WGミーティング 2011年11月29日(火) 後藤雄二(理研)
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「日本の核物理の将来」レポート作成について ーハイパー核・ストレンジネスWGー
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核物理の将来 WG ストレンジネス sub group
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現実的核力を用いた4Heの励起と電弱遷移強度分布の解析
軽い原子核の3粒子状態 N = 11 核 一粒子エネルギー と モノポール a大阪電気通信大学 b東京工業大学
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「日本の核物理の将来」 ハイパー核・ストレンジネスWG 中間報告 2011.7.29 Town Meeting

これまでのWG活動 第1回 2010/11/3 Kick-off Meeting 第2回 2010/12/3 自分の5,10,20年後の研究 第2回 2010/12/3 自分の5,10,20年後の研究 ストレンジネス研究会でのタウン・ミーティング(12/4) 第3回 2011/1/16 今後の進め方 第4回 2011/2/19 Lattice QCD(初田)、YN散乱実験(三輪、家入)       2011/3/12 東日本大震災でお流れ 第5回 2011/4/25 核力模型(山本) 項目リスト作り・分担分け 第6回 2011/5/21  第7回 2011/6/25 多体系としてのストレンジネス物理(赤石) マルチストレンジネス研究、(e,e’K+), γ線分光、K核 第8回 2011/7/10 YN散乱実験、中性子過剰ハイパー核、チャーム核

ハイパー核・ストレンジネス研究 ストレンジネス自由度(s-quark)を武器に原子核(ハドロン多体系)を研究する SU(2)fからSU(3)fへ Pauli排他律から自由なハイペロン 深部を探るプローブ 不純物としてのストレンジネス 構成要素の性質(相互作用)がよくわかっていない。

基本的な問い ハドロン間力の起源とその性質は?(2体核力) 高密度核物質の性質は? そこでのストレンジネスの役割は? 多体系問題として、 3体力の大きさとその効果は? 核媒質中でのハドロンの変化は? ストレンジネスが加わることによる原子核の変化は? バリオン間の弱い相互作用は?

ハドロン間力 ー SU(2)fからSU(3)fへ ー 長距離: π交換 引力 中距離: 中間子交換 引力 短距離: 斥力芯 強い斥力 不明・現象論的取り扱い 原子核の飽和性に大きな役割 核子から八重項バリオンへ  SU(2)f から SU(3)f へ  斥力芯の解明  我々の理解の確認  S=-2 System 8⊗8=27 + 8s  + 1    +10* + 10 + 8a NN

ハドロン間力 ー斥力芯の起源ー Color-Magnetic Interaction と Quark Pauli Effect 0: forbitten 2: no effect M.Oka et. al NPA464(1987)700 Q.P.E. +C.M.I [MeV] SN(I=1/2, J=0) 1/9 303 (3 8s – 27)/√10 SN(I=3/2, J=1) 2/9 346 10 XN(I=0,J=0) 4/3 19.5 LL (I=0,J=0) 1 227 SS(I=0,J=0) 7/9 -178.9 S-p (1S0) S+p (3S1) 27, 8s, 1 T.Inoue et al, arXiv:1007.3559v1 S+p (3S1) S-p (1S0) H-channel

ハドロン間力 ー実験ー 散乱実験 (直接的) Quark Pauli Effectの検証 S+ p, S- p (J-PARC E40) ハドロン間力 ー実験ー  散乱実験 (直接的) Quark Pauli Effectの検証 S+ p, S- p (J-PARC E40) X-p→LL   偏極観測量 Even – Oddの干渉項、LS(-) Interaction Λp 散乱のPolarization (=Ay)  ハイパー核から   S=-2相互作用 (1の項) ダブルΛ核、Ξハイパー核分光、Ξ原子X線のシフト ΛΛ相関、H particle

高密度核物質 ー中性子星とストレンジネスー EOSとMR曲線 M◎ NN+NNN 1.97M◎ 1.44M◎ 中性子星コア NN+BBB YN + YY ストレンジネス核物理 r>2r0 Z.H. Li and H.-J. Schulze, PRC78 (2008) 028801

ハイペロン(ストレンジネス)は現れる。 その詳細は? 核物質(中性子過剰)中のポテンシャル ΛN interaction in neutron-rich enviroment n-rich Λ hypernuclei Σ-N interaction SN Scattering Ξ-N interaction Ξ hypernuclei ΛΛ, ΣΣ, ΞΞ multi-strangeness system K-N, Kaon Condensation Kaonic nuclei/atom

多体系効果1 ー Mixingと3体力ー + 高密度であるほど重要 中性子星を支えている?(斥力) NNN N D mD-mN~ 300MeV N N N 小さい質量差 → 大きな効果 が期待 + 3LH, 4LHe, 5LHeのBinding Energy 4LH, 4LHeの1+-0+エネルギーのC.S.B. S状態の割合  1-2% @ light hypernuclei n-rich hypernucleiでは、coherentに効く LNN LLN S Neutron-rich L hypernuclei Precise determination of level energies by g-ray spectroscopy Double-strangeness system X N L N L L N mS -mL~ 80MeV mXN -mLL= 28MeV

多体系効果2 -媒質中でのハドロンの性質ー 5LHeのMagnetic Moment(≒束縛LのMagnetic Moment)の測定 束縛されたハイペロン≒媒質中のハイペロン ハイペロンは他の核子と区別可能 ハイペロンの性質を測定することで、 媒質中でのハドロンの性質の変化を調べることが可能 5LHeのMagnetic Moment(≒束縛LのMagnetic Moment)の測定 “夢の実験”だが、実現は難しい。 Lのspin-flip M1遷移の遷移強度測定 寿命(Doppler Shift減衰法)とEg測定

媒質中でのハドロンの性質 ー L spin-flip B(M1)の測定ー BNL-E930(‘01) KEK-E566 gL = -1.1 +0.4 -0.6 gL = -1.03±0.41 gL= -1.226 (free space) 7LLi (3/2+→1/2+) by 10B(K-,p- g) 12LC (2-→1-) 7LLi (3/2+→1/2+) by 7Li(K-,p-g) at 1.5GeV/c (J-PARC E13) 19LF (3/2+→1/2+) 11LB (7/2+→5/2+)

多体系効果3 ーストレンジネス追加による変化ー Λのglue-like roleによる原子核のShrinkage (KEK-E419) 6Li B(E2;7LLi)=3.6±0.5 e2fm4 a p n Rcore-(n-p) rn-p 7LLi a p n Rcore-(n-p) rn-p L B(E2; 6Li)=10.9±0.9 e2fm4 B(E2) ∝ R4 S=R(7LLi)/R(6Li) =0.81±0.04 K-による密度上昇 (Kaonic Nuclei) Kaonic Nuclei 存在の確認 から その物性の測定 へ (K-pp system) 軽い系から重い系へ(K-ppn, ... ) 2重K原子核へ (K-K-pp, ... ) Dote et al.

多体系効果3 ーストレンジネス追加による変化ー Loosely bound nuclei (中性子過剰核)はどうなるか? 中性子ハロー・スキン構造 Parity Inversion はどうなるか? (12LBe = 11Be + L ) 中性子過剰Λハイパー核の研究 (e,e’K+), (p-,K+)反応分光 原子核の形,変形度は変わるか? E(2+), E(4+) 測定 by g-ray spectroscopy 24Mg → 25LMg

バリオン間の弱い相互作用 Non-Mesonic Weak Decay (NMWD) Λp → np (Γp) Λn → nn (Γn) spin-isospin 構造の決定 Γn/Γp (5LHe)=0.45±0.11stat±0.03sys (KEK-E462) 1S0 → 1S0, 3P0 (I=1): 1S0(I=1) 3S1 → 1S1, 3D1, 1P1 (I=0): 3S1(I=0) 3S1 → 3P1 (I=1): 3S1(I=1) 3S1(I=1)/3S1(I=0) 4LHeでのΓn, Γpの測定 (J-PARC E22) assuming DI=1/2 1S0(I=1)/3S1(I=0) 1S0(I=1)/3S1(I=0) 1S0(I=1)/3S1(I=0) 4LHでのΓn, Γpの測定 DI=1/2の検証   Γp(4LH)= 2Γn(4LHe) ? π0 Spectrometer 4He(K-,p0)4LH or K0 Spectrometer 4He(p+, K0)4LH 3S1(I=1)/3S1(I=0) 3S1(I=1)/3S1(I=0)

弱い相互作用 Three-body Non-Mesonic Weak Decay ( ΛNN → NNN ) これまでの研究では、5LHeにおいても 無視できない寄与(~30%)   12LCにおいて、分岐比を測定 (J-PARC E18) Λnn → nnn / Λnp → nnp / Λpp → npp ダブルΛ核の非中間子弱崩壊 ΛΛ → Λn π交換の寄与を排除した弱い相互作用 ΛΛ → ΣN 分岐比が小さいと思われる崩壊 特別な状態の存在が示唆される

将来必要な施設 ー ビームライン@J-PARC ー ~1.1GeV/c separated Kaon (K1.1) g-ray spectroscopy for L hypernuclei, SN scattering by (K-,p) High-Intensity High-Resolution BL + High-Resolution Spectrometer (Dispersion matching) 109 Hz pion beam for high-resolution (p-,K+)/(p+,K+) spectroscopy High momentum (-10GeV/c) separated 2ndary beamline (K, p_bar) Ω-核 (S=-3) etc 他の施設での展開 Anti-Heavy Ion Beam J-PARC ハドロンホール拡張

将来必要な施設 ー検出器ー Large Acceptance Hyperon Decay Detector Decay of double strangeness system LL correlation – H particle K0 spectrometer ( K0s→p+p- ) Study of S=-2 system by (K-,K0) reaction X hypernulei production by DI=0 (c.f. DI=1 by(K-,K+) ) Production of double kaonic nuclei d(K-, K0)K-K-pp, K-K-pp→ΛΛ, ΞN p0 spectrometer  ( p0→2g ) CSB of mirror hypernuclei by g-ray spectroscopy Weak decay of 4LH

他に 重イオンビームでのハイパー核生成 チャーム、チャーム核 GSI 3LH, 4LH STAR anti-hypertriton (3LH) Coalescence factor ~0.01 Relativistic hypernuclei → 5LHe g-factor 測定? チャーム、チャーム核

報告書 研究 研究施設 まだ手つかず 概要 基本的な問い これまでの進展 第1稿完成 将来の研究計画 どうまとめるか? これまでの進展 第1稿完成 将来の研究計画 どうまとめるか? 研究施設 まだ手つかず J-PARCハドロン実験施設 他の施設

J-PARC建設費 -2010年度 JAEA 858億円 200億円 KEK 666億円   8億円     1,732億円

J-PARC運転経費 2011年度要求 JAEA 76.7億円 KEK 66.2億円 供用法 7.2億円 計 150億円 供用法 7.2億円 計 150億円 c.f. 180億円