I. 経済成長.

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地域格差と生産性 ー地域別全要素生産性の計測ー 明治学院大学経済学部 高橋ゼミ 発表者 増田 智也 2007 年度卒業論文発表会.
1 II マクロ経済学のデータ. 2 第5章 国民所得の測定 マクロ経済学とは 国内総生産 = GDP ( Gross Domestic Product ) – 社会の経済的福祉を測定する尺度の1つ ミクロ経済学とマクロ経済学の違いについては、 pp. 40 – 41 も参照.
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陰関数定理と比較静学 モデルの連立方程式体系で表されるとき パラメータが変化したとき 如何に変数が変化するか 至るところに出てくる.
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国際収支表をどう読むか 国際収支の均衡 国際収支とGDP
入門 計量経済学 第02回 ―本日の講義― ・マクロ経済理論(消費関数を中心として) ・経済データの取得(分析準備) ・消費関数の推定
マクロ経済学初級I 第6回.
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved
第11回講義 マクロ経済学初級I タイプIIクラス.
<キーワード> 景気循環 総需要・総供給モデル
第3 章 物的資本.
政府部門を含む閉鎖経済の乗数効果 専修大学 「経済の世界」 作間 逸雄.
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イントロダクション.
前回分(第1章 準備,1-1):キーワード ・ 生産,分配,消費 ・ 市場と組織 ・ 競争市場と均衡 ・ 市場の失敗と政府の介入
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(景気が良くなり)ハンバーガーの需要が拡大すると
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マクロ経済学初級II タイプIIクラス 白井義昌
豊かさとは? 経済学B 第2回 畑農鋭矢.
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硬直価格マネタリー・アプローチ MBA国際金融2016.
第4回講義 マクロ経済学初級I  白井義昌.
<キーワード> 景気循環 総需要・総供給モデル
政府の勘定 プライマリー・バランス ドーマー条件
マクロ経済学 II 第10章 久松佳彰.
マクロ経済学 II 第8章 久松佳彰.
マクロ経済学初級I 第4回.
マクロ経済学初級I 第5回講義.
第4章 投資関数.
国際経済学10 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2010年1月18日
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前期ゼミまとめ スラックス経済.
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マクロ経済学初級I 第7回講義.
動学的一般均衡モデルについて 2012年11月9日 蓮見 亮.
貨幣の流通速度 貨幣が平均して1年間にいくつの経済主体 の間を移動するのかを表わす MV=取引総額(年間) Vは流通速度あるいは平均回転率.
第8回講義 マクロ経済学初級I .
第5回講義 マクロ経済学初級I  白井義昌.
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第5回講義 文、法 経済学 白井義昌.
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I. 経済成長

この講義ノートの構成 I-1 イントロダクション(データに見る経済成長) I-2 ソロー・スワンモデル I-3 経済成長のデータ

I-1 イントロダクション(データに見る経済成長) アメリカの一人当たり所得水準の成長、時系列推移 一人当たり所得水準の国際比較 Penn World Tables 物価水準の差を調整

1人当たりGDPランキング2007 Penn World Table 6.3による 一人当たりGDP US=100 1 Qatar 88293 206 2 Luxembourg 77783 181 3 United Arab Emirates 51347 120 4 Brunei 50575 118 5 Macao 50543 6 Bermuda 48868 114 7 Norway 48393 113 8 Singapore 44619 104 9 Hong Kong 43121 101 10 United States 42887 100

26 Japan 30585 71 30 Taiwan 27005 63 40 Korea, Republic of 23850 56 53 Malaysia 17891 42 84 Thailand 9406 22 89 China 8511 20 116 Indonesia 5186 12 123 Philippines 4791 11 128 India 3826 9

178 Central African Republic 864 2.0 179 Niger 860 180 Madagascar 856 181 Afghanistan 752 1.8 182 Burundi 644 1.5 183 Guinea-Bissau 623 184 Eritrea 593 1.4 185 Somalia 463 1.1 186 Congo, Dem. Rep. 390 0.9 187 Liberia 386

I-2 ソロー・スワン・モデル Solow, R. (1956). “A contribution to the theory of economic growth”, Quarterly Journal of Economics 70. Swan, T. W. (1956). "Economic growth and capital accumulation", Economic Record. ここでは技術進歩の入ったケースを取り上げよう

[1] モデルの概要 主な仮定: 時間は離散的(第0期、第1期、第2期、・・・) 毎期において完全競争均衡が成り立つ 総生産関数は「資本の限界生産性逓減」の性質を持つ。 人口成長率一定 技術進歩率一定(労働増進的技術進歩) 資本減耗率一定 政府、海外部門はない

今期初の資本ストック 今期の労働=人口 第t期  消費 貯蓄 人口増加 = 投資 資本減耗 来期の労働=人口 第t+1期  来期初の資本ストック

生産関数:1次同次、資本の限界生産性逓減、「労働増進的」技術進歩。 例:                       (1) ただし0<α<1 「効率単位あたり生産」と「効率単位あたり資本ストック」を以下のように定義する。 (2)

「効率単位あたり生産関数」は、(1)式を前提とすると、                              (3) 人口成長率一定、技術進歩率一定                                (4)

貯蓄率一定                                (5) 資本減耗率一定                                (6) 財市場の均衡(政府、外国部門は捨象)                                (7)

資本ストックの蓄積                                (8) 式(8)に式(5)、(6)、(7)を代入すると、                                (9) 式(9)の両辺をKtで割ると、                               (10)

式(2)、(4)より、式(10)は(近似の公式参照)                               (11) 式(3)の関数を前提とすると、 (12)

(注1)技術進歩のモデル化 3通り:産出量増大型、資本増大型、労働増大型 産出量増大型(ヒックス中立) 資本増大型(ソロー中立) 労働増大型(ハロッド中立) なお、コブ・ダグラス型生産関数の下ではこの3つは同値である。

(注2)役に立つ近似式 次のような式が近似的に成り立つ。 (1) のとき、 (2) 17

(注2)役に立つ近似式、続き (3)より一般的に、 のとき、 18

(注2)役に立つ近似式、続き (説明)時間が離散的ではなく連続的であるとしよう。つまり時間tは実数。このとき、合成関数の微分の公式より、 この式の右辺は(瞬時的)「成長率」である。 (ただし、上でlnは自然対数を表す。  公式:lnXをXについて微分すると1/Xである。) 19

(注2)役に立つ近似式、続き (説明つづき)我々のモデルは連続時間ではなく、離散時間であるが、「1期間」の長さが充分に短いときには、前ページの式、つまり「ログXの変化分=Xの成長率」という関係はよい近似であると考えられる。 よって次のような近似式が成り立つ。 20

(注2)役に立つ近似式、続き (説明つづき)ここから近似式(1)が証明できる。 (1) のとき、両辺の対数を取ると さらに両辺の差分を取ると 前ページの近似式を3つの項に当てはめて 21

(注2)役に立つ近似式、続き (説明つづき)(2)も同様にして示せる。(3)も、 の両辺の対数を取り 両辺の差分を取り よって 22

[2] 安定成長経路(定常状態) 安定成長経路において、効率単位あたり生産、一人あたり生産、総生産の成長率は、それぞれいくらか? [2] 安定成長経路(定常状態) 安定成長経路において、効率単位あたり生産、一人あたり生産、総生産の成長率は、それぞれいくらか? 技術進歩なくして長期的な経済成長なし 安定成長経路における、一人あたり生産の決定要因は?

[3] 調整過程 安定成長経路の外に経済があるとき? 資本の限界生産性 という仮定の意味。

I-3 経済成長のデータ クロス・カントリー・データに見られる傾向は理論と整合的か? 投資率と一人当たりGDP、人口成長率と一人当たりGDPなど :初期時点において(一人当たりで見て)より貧しい国のほうが、その後より早く成長する傾向のこと →データにそういった傾向はあるか。 次頁以降の図表参照。