卒論構想発表 心理学演習KO ヒタキ.

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2010応用行動分析(3) 対人援助の方法としての応用行動分析
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卒論構想発表 心理学演習KO ヒタキ

前回の発表 「自閉症児の使用言語に対する変動性の向上―rag1スケジュールを用いて」 さまざまな言葉遣いができるように訓練した。

行動変動性とは 行動変動性=行動のバラつきのこと。 変動性を向上させるためには、連続強化に消去を挿入する、スケジュール調整によって操作する、などがある。 ルールによっても制御されうることが示唆されている(松本,大河内2003)

先行研究 「格闘技訓練における、使用技術の変動性向上」 →ブログ参照 「格闘技訓練における、使用技術の変動性向上」 →ブログ参照 訓練において14種類の格闘技技法を、満遍なく使用できるように介入した(新規反応の言語的強化)。 訓練において使用技法数が増加し、他の場面にも般化が見られた。

変動性について 変動性に興味を持ったのは、ひとつの価値観に固執することなく、様々な行動が可能になることが、選択肢の拡大に繋がる&心理的な柔軟性を促進すると考えたため。 ただしいつでも変動的に振舞えばよいというわけではない。 変動性が適切な場面で機能することが重要。

変動性について どういう場面での変動性が有効か →個人的経験からは  「食事(献立づくり)」  「スポーツ」(キャッチャーのリード?)

Achieving and maintaining compliance with the ketogenic diet. Amari, A Achieving and maintaining compliance with the ketogenic diet. Amari, A. Grace, N. C. & Fisher, W. W. (1995). Journal of Applied Behavior Analysis,. 28, 341-342.

目的 ケトン食餌療法は重度のてんかんに対する有効性が確認されているが、その高脂質・低糖質食に対する患者の嫌悪感が強く、用いられる事が少ない。(歯磨き粉に使われる糖分でさえ、治療の妨げになる) 本研究では食餌療法に使われる33アイテムへの嗜好を刺激選択手続きにより順位付けし、プレマックの原理を応用した手続きで患者に与えた。

目的 本実験の目的は、医療的介入に対するコンプライアンス(同意・協力)を、オペラント手続きによって向上させることであった。

方法 対象者 Tasha(15歳・女性)は深刻なてんかんの症状により入院していた。

食物嗜好の順位付け まずTashaの保護者は33種類の食品のリストを手渡され、Tashaが好きな食品を予測し、順位付けをするよう求められた。 次に、直接的な評価として刺激選択手続き(Stimulus choice procedure)による順位付けを行った。33種類の中から2種類を一組にし、どちらか好きなほうをTashaに選択するよう求めた。この手続きは全ての組み合わせについて実施され(33C2=528試行)、Tashaによって選ばれた確率によって各食品を順位付けした。

介入 介入はプレマックの原理に基づいて行われた。 ベースラインでTashaは、全ての食品の中から自由に選んで食べる事を求められた。

介入 介入1 ここでは、最も好まれた上位3種の食品(ベーコン・卵・チーズ)を、他の食品に後続して提示した。食品は1口サイズに切り分けられていた。他の食品を食べる順序については、Tashaに任されていた。

介入 介入2 指示内容を変更し、Tashaは最も嫌いな食品→好きな食品といった順序で食べる様に指示された。 以上の3条件が、食事毎にランダムに挿入された。 般化セッション 治療者を変え、グループテーブル・病院の食堂・ピクニック・ファーストフードレストランなどでの般化セッションが実施された。

結果(食物嗜好の順位)

結果(食品摂取量)

結果 刺激選択手続きによって得られた食物試行順位は、保護者の予測とは異なる物であった。 各食品の消費量の平均は、   ベースライン条件において60%。   介入1条件においては97%。   介入2条件においては100%であった。   また、般化セッションでは充分な般化が確認された。この間、てんかん発作の回数はベースライン条件の40%に抑えられた。

考察 刺激選択手続きによって、強化子となりうる嗜好度の高い食品を同定することが出来た。 保護者の予測と刺激選択手続きによって明らかになった食品が異なっていたため、嗜好性についての単なる予測に基づいた治療は効果が少ないという事ができるだろう。

考察 今回の研究では2種類の介入が実施された。飽和化を避けるため、介入2でTashaは最も嫌いな食べ物から好きな食べ物の順番で食べるように指示された。しかし、両方の介入共に効果的であった。 つまり、飽和化の影響はそれほど確認されなかった。

考察 今回の結果から、ケトン食餌療法への抵抗感は、刺激選択手続き及びプレマックの原理を用いる事で比較的容易に改善できるという事が示唆された。 将来的にも、保護者や医療関係者に対して、ケトン食餌療法という介入を用いる選択肢を確保する事ができたといえるだろう。

参考文献 松本,明生; 大河内,浩人 2003ルール支配行動:教示・自己ルー ルとスケジュールパフォーマンスの機能的関係(<特集>人間行動の実験的分析) 行動分析学研究 17(1),20-31. 武藤,崇 2005 「多動性」と行動変動性 : ADHDの支援方法への示唆 (3) 立命館人間科学研究 8,57-67 山岸,直基 2005 行動変動性とオペラント条件づけ   基礎心理学研究 23(2),183-200

引用文献 Amari, A. Grace, N. C. & Fisher, W. W. 1995. Achieving and maintaining compliance with the ketogenic diet. Journal of Applied Behavior Analysis,. 28, 341-342. Jay W.Harding,David P.Wacker and Wendy K.Berg,Gary Rick and John F.Lee 2004 Promoting response variability and stimulus generalization in martial arts training. Journal of applied behavior analysis,37,185-195.