BTRONの紹介 BTRONとは1984年から始まったTRONプロジェクトのサブプロジェクトの一つです。TRONとは “The Real-time Operating system Nucleus” の略称で、OSはリアルタイムであるべきという意味が込められています。このプロジェクトで作成された仕様は公開されているので、だれでも実装して有償無償で配布することができます。 TRONプロジェクトの目標の一つに「どこでもコンピュータ*1=Ubiquitous Computing」といって、あらゆる機器にコンピュータを組み込みそれらがお互いの機能を補完しつつ、全体としてサービスを提供するという考えがあります。BTRONはその中の1つで、“BusinessTRON”の略称で、パーソナルコンピュータに相当する部分を受け持っています。 *1: 1987年に提唱された超機能分散システム(HFDS=“Highly Functional Distributed System”)はその1つの概念。 上のタイトルにある「 」マークはTRONプロジェクトのシンボルマークで、「斗」という漢字の古字「 」が元になっています。十升あるいはその容量が入るますという意味で、標準原器としてのますの役割がプロジェクトにふさわしいという理由から決められました。 BTRON歴代マシン MCUBE & TRONキーボード 1991年、BTRONマシンが1B/noteの名前で初めて一般に販売されました。 1995年に発売されたMCUBEにはBTRON3仕様に準拠した3BというOSが実装されています。本体とキーボードのデザインも特徴的ですが、なんといっても一番の特徴はCPUにTRONチップが使われている事でしょう。 TiPO BTRON3仕様を元に、PDA向けにパワーマネジメント機能やキーボード不要のHMIを追加したものがμBTRON仕様です。1997年に発売されたTiPOにはμBTRON仕様に準拠したB-rightというOSが実装されています。 TiPOはほぼ HP200LXと同じ大きさで、BTRONの一通りの機能を備え、カーネルとフォントと基本アプリケーションをすべて動かした状態でROMとRAM合わせて約5.2MBというコンパクトなものです。このサイスでマルチウィンドウ・実身仮身によるハンパーリンク・中国語や韓国語の文字を含めた約6万字の利用などが可能になっています。 B-right/V & 超漢字 1998年に発売されたB-right/V はB-rightをDOS/Vマシンに移植したものです。ハードディスクに100 MB程度の空きがあればインストールできました。OSブートから操作できるようになるまで3~10秒程度と起動が非常に高速です。 超漢字は1999年に発売されました。これはB-right/Vをベースに、本格的多国語環境の一部を実装したもので、約13万文字が利用可能になっています。使用するディスク領域は増えましたが、それでも300MBあれば使用できます。
超漢字の特徴 言語は文化の一部であり、コンピュータを利用するために文化を制限すべきではない - あらゆる言語を処理できるようにする研究の成果のうち、文字コード部分だけを実装したOSが超漢字です。データの互換のために外字は禁止されており、本当に必要な文字はTRON 文字収録センターに申請する事でコード体系に追加する事ができます。 ここでは、漢字以外の部分に焦点を当てて、BTRONの特徴を紹介します。 原紙箱 BTRONではアプリケーション主体ではなく、データ 主体の操作になっています。文章を書きたい時は、 原紙箱から原稿用紙を取り出して(ドラッグして)、机 (ウィンドウ)の上に置くという操作を行います。 原稿用紙を開くと文書エディタが動いて入力できますが、 他のアプリケーション主体のOSのように、文書エディタを 先に起動してから文書を開くという操作はできません。 置いた物は、置いた所に BTRONではウィンドウ内であればキャビネット(フォルダ)や原稿の中に別の原稿用紙を置いたりと、自由に物を置くことができます。勝手に並び替えられたりしないので、直感的な 操作ができます。また、同じウィンドウ内に同じ名前の物が置けるのも大きな特徴です。 実身仮身によるハイパーリンクと開いた仮身 ウィンドウ内に置いている短冊状の物を仮身と言います。これを開いた中身が実身です。1つの実身に対して複数の仮身が存在しますが、仮身が一つも無くなると実身はOSによって自動的に削除されます。仮身の外観は文字と同じように色々と変更できるので、文中に埋め込んだリンクのように使えます。仮身をドラッグしてサイズを変更すると、その場所に実身を表示する事ができるので、仮身を利用 して図を埋め込んだり、それを固定化して 背景にしたりと、色々な応用が可能です。 実身仮身モデルを一言で表すなら パーソナルWWWでしょうか。ある程度デー タが蓄積された時、真の力を発揮します。 参考資料とURL ■ 書籍 TRONWARE TRON DESIGN 1980-1999 ハイパーメディア徹底活用術 ■ 協会/企業 トロンプロジェクト http://www.tron.org/ (社)トロン協会 http://www.tron.ab.psiweb.com/ パーソナルメディア株式会社 http://www.personal-media.co.jp/ 株式会社セネット http://www.sennet.co.jp/ DIGITAL MUSEUM 2000 http://www.um.u-tokyo.ac.jp/dm2k-umdb/ ■ グループ/個人 トロン・ファン・フォーラム http://www.nifty.ne.jp/forum/ftron/ TRON Support Network http://www.tron-net.gr.jp/ B-Free プロジェクト http://www.tron-net.gr.jp/B-Free/ BTRON.com http://www.btron.com/ TRON Times http://w4222.nsk.ne.jp/~d_d/