第2章 バブル崩壊後における経済の長期停滞の原因をどうみるか

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1 公債政策の推移② -バブル経済崩壊後から現在まで-. 2 ( 第 18 講の再説 ) 公債政策の推移 … 資料 18-2 ,資料 18-3 ,資料 18-4  1947 年の財政法制定 =国債の発行に厳しい制約  財政法制定~ 1965 年度当初予算 ⇒国債発行禁止規定 ( 財政法第 4 条.
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井手 鑑人 岡村 佳祐 中嶋 仁 橋本 佳奈.  生活水準の向上には、物価上昇しないことが関係  衣料費の場合 ファストファッションブランドが多数誕生  その背景には 安価 安価 良質 安い労働力を提供する中国などの発展途上国が役割担う安い労働力を提供する中国などの発展途上国が役割担う.
財市場 Hiroko Ishige Azusa Onodera Keiko Fukuchi Nao Hodouchi.
マクロ金融論 ポートフォリオ・アプローチ. マクロ金融論 ポートフォリオ・アプローチの 特徴 内外資産が不完全代替( ← 為替リス ク) 分散投資(ポートフォリオ)によって リスクを軽減可能。 経常収支黒字累積 → 外国資産流入 → 国 際ポートフォリオ → 為替相場.
終章 結論~迷走する経済学~ E班 堀口・石川・細野・武井・赤見・伊藤 デフレの原因はマネーサプライでもない!人工減少でもな い!ではデフレの正体は何か … この章ではその正体を含め、歴史的に見る経済低滞とデフレ の関係性、デフレの害悪、そして現在の経学の現状について も論じていく。 1.
経常収支とは?  一国の国際収支を評価する基準の一つ。  この 4 つのうち、 1 つが赤字であっても他で賄え ていれば経常収支は黒字となる。 貿易収支 モノの輸出入の 差 所得収支 海外投資の収益 サービス収支 サービス取引額 経常移転収支 対価を伴わない 他国への援助額 これらを合わせたものが経常収支.
1 (第 14 週) 第5章 間接金融の仕組 み § 1 銀行の金融仲介機能 ( p.91 ~ 98 ) ① 仲介機能 ② 情報生産機能 ③ 資産転換(変換)機能 ④ 銀行貸付けにおける担保の役割 § 2 貸付債権の証券化とサブプライム問題 ( p.99 ~ 104 ) § 3 銀行以外の金融仲介機関.
QE 出口戦略 利上げ先行型. 前提 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 2 保有資産の売却は経済に悪影響を与える 主張 3 利上げは経済の安定に寄与する 以上三点により、 QE 出口戦略利上げ先行 型を主張します.
08ba036z 入江 洋志. (1) 銀行の収益性の国際比較 資産収益率( ROA )、資本収益率( ROE )の両面において、 主要国平均を大きく下回る。 基礎的な収益力の弱さ.
第5章 活性化する国際分散投資 と 日本経済の影響. ネットとグロスの違い 資本移動の場合 日本 外国 100 億円 50 億円 ネットの資本移動 100-50=50億 円の黒字 グロスの資本移動 100+50= 150 億 円.
第1章 金融の基本的要素 Q.4~Q /5/6 棚倉 彩香.
2015年12月10日 (公財)連合総合生活開発研究所主任研究員 河越正明
世界ソブリンバブル衝撃のシナリオ 第8章国債バブル崩壊のシナリオ
Ooshiro・Sanada・Nishimura・ Miyamoto・Wakabayashi
21世紀のアメリカ経済 藤女子大学人間生活学部 内田 博
労働市場マクロ班.
第6章 3節 2011/7/1 09BC053J  新井友海.
二、高度経済成長期 神武景気 年代後半の民間設備投資 岩戸景気 2 2 国民所得倍増計画 オリンピック景気 いざなぎ 景気.
前提:人々の将来への期待は現 実のGDPに影響を与える
丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2006年11月16日
第16章 総需要に対する 金融・財政政策の影響 1.総需要曲線は三つの理由によって右下がりである 資産効果 利子率効果 為替相場効果
製造業の海外移転の是非 肯定派 北原ゼミナール.
第3章 実態経済に大きな影響を及ぼす金融面の動向
<キーワード> 景気循環 総需要・総供給モデル
マネーサプライを増やせ! 岩田・伊藤・浜田・若田部・勝間
量的質的金融緩和は 日本にとってプラスか? 否定派.
第8章 家計部門でいま起こっていること.
戦時中の高度成長期 高度成長期にはいくつかの制度がある。 一つ目は金融機関の専門化戦中に金融機 関が均質化したのとは著しくことなり、 高度成長期の金融制度は各金融機関ごと の分業主義に沿って組織化された。
経済学入門 13 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2010年7月26日
日本のバブルと米国の サブプライムバブルとの比較
スペイン財政支援の是非 <否定派> 田中・棚倉・川村・石塚.
貯蓄税導入の是非 ~否定派~ 松村・田邉・川村・藤山.
第7章 どのように為替レートを 安定化させるのか
セルビア共和国 経済・構造改革 ー挑戦と達成ー
(景気が良くなり)ハンバーガーの需要が拡大すると
短期均衡モデル(3) AD-ASモデル ケインジアン・モデルにおける物価水準の決定 AD曲線 AS曲線 AD-ASモデル
金融の基本Q&A50 Q41~Q43 11ba113x 藤山 遥香.
ギリシャはユーロを離脱するべきか ~肯定派~
GDPに関連した概念.
三、安定成長期(1973年~1986年) 1 高度成長の挫折 2 産業構造の変化 3 円高と貿易摩擦 4 逆輸入と内需拡大.
III 長期の実物経済.
手に取るように金融がわかる本 PART6 6-11 09bd139N 小川雄大.
マクロ経済学 II 第5章 久松佳彰.
第4回講義 マクロ経済学初級I  白井義昌.
通貨統合と最適通貨圏 一橋大学商学部 小川英治 マクロ金融論2016.
<キーワード> 景気循環 総需要・総供給モデル
関西学院大学産業研究所所長・経済学部教授 伊藤 正一
インフラ政策の推進による経済再生 公益社団法人 日本青年会議所 2017年度 経済再生グループ 防災大国日本確立委員会.
資源ナショナリズムについて 2012/01/20 長谷川雄紀.
マクロ経済学 II 第10章 久松佳彰.
マクロ経済学初級I 第5回講義.
最近の中国と通貨に関する動向 08ba231c 松江沙織.
第4章 投資関数.
世界金融危機とアジアの通貨・金融協力 日本国際経済学会関東支部研究会2010年1月9日.
前期ゼミまとめ スラックス経済.
HFLP C 第2セッション ニトリ・良品計画 ファンダメンタル分析 2017年8月4日  HFLP事務局.
バブル崩壊後の日本経済の 貯蓄率低下について
国際貿易の外観.
デフレ・スパイラル 2009年以降の事例から 長谷川 正
2008年までの好景気がつづいた 世界経済が現在同時不況 日本経済?
第1章 1990年代以降の景気循環の特徴と景気の現局面の評価
第10回講義 文、法 経済学 白井義昌.
VI 短期の経済変動.
経済学入門 13 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2010年7月26日
元高の原因を追求    九州産業大学 金崎ゼミ 張 雷 徐 雲飛 .
財市場               マクロ班 Congratulations! 財市場.
産業空洞化と低賃金化 ● 企業活動の国際化 → 先進国の産業空洞化→先進国での低賃金化 ● 日本企業の利益額: 国内生産 ≒ 海外生産
労働市場 国際班.
第6章 デフレの鍵は賃金 ー「なぜ日本だけが?」の答え
2009年7月 為替相場講演会資料 株式会社三菱東京UFJ銀行/東アジア金融市場部
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第2章 バブル崩壊後における経済の長期停滞の原因をどうみるか

安定成長からバブル経済へ転じた1980年代 1979年・・・第二次石油危機 1980年代・・・3~4%の安定成長路線         米国等との間で貿易摩擦が激化 1985年9月・・・プラザ合意            急速な円高 1980年代末・・・成長の加速、資産インフレの並存           バブル経済の到来

様変わりした1990年代以降の日本経済 実質成長率 1981~90年度・・・4%程度 1991~2003年度・・・1.1%程度 93年度、98年度、01年度・・・マイナス成長 失業率 1980~90年代初頭・・・2%前後 2002年・・・5%突破 現在・・・4%台後半

Q.バブル崩壊後、日本経済が長期停滞に陥ったのはなぜか? A.需要サイドの要因 グローバル競争への日本企業の対応の遅れ 不良債権問題の深刻化による金融仲介機能の低下。 供給サイドの要因 潜在成長力の低下

80年代後半から90年代初頭の動き 1989年11月  ベルリンの壁崩壊 1991年12月 ソビエト連邦崩壊

グローバルの競争環境の変化 中国・・・年率8%前後の高度成長期に入り「世界の工場」へ 韓国、台湾・・・国内企業が成長していった ASEAN諸国、中国・・・円高対応を本格化した日本企業の海外生産拡大 米国・・・IT革命の成果により経済が復活

総資産営業利益(ROA)の低下 ROA・・・投入した資産で本業部門が、どれだけの儲けをもたらしたかみる指数。 90年代に低下傾向 企業間競争の激化 研究開発の怠り

金融仲介機能の低下 銀行の金融仲介機能 家計部門などから集めた預金を資金の不足している企業などに貸し付けることによって、経済が円滑に回る。 不良債権問題で貸し出しが減少

潜在競争力とは 現存する労働力と資本設備を「インフレを加速しない」範囲内で最大に稼動させた場合に達成されるGDPのこと。  景気が後退するとGDPギャップが拡大し、景気が回復すればGDPギャップは縮小する。   GDPギャップ(%) =実質GDP-潜在GDP/実質GDP×100

潜在成長率の低下要因 資本投入の寄与が低下 労働投入の減少   資産効率の低下を背景とする設備投資の停滞に加え、技術革新の陳腐化、生産拠点の海外移転など。 労働投入の減少   雇用のミスマッチに伴い、構造的失業率が上昇。

GDPギャップ拡大と賃金コストの低下が消費者物価下落の基本要因 1998年以降・・・消費者物価の下落傾向が続く           GDPギャップが拡大 1997~99年・・・3年連続で潜在競争力を下回る            実質成長にとどまる  GDPギャップ拡大と賃金コストの低下が消費者物価下落の基本要因 2003~04年・・・実質成長率2%で推移           GDPギャップは縮小                

潜在成長率はいかにして高められるか 女子労働力の活用 技術進歩 資本投入