円筒座標をやる前に 復習をします。 1.三角関数の復習(高校数学) 2.2次元極座標の復習(高校の数学B) 3.円筒座標の復習(前期)
三角関数の復習 高校の数学1,数学2 図のように、直角三角形を置く。 (角度φが水平からの角度、直角部分が右下) 斜辺 垂直の辺 φ 水平の辺 高校では、角度はθ(シータ)を用いたが、 後で極座標や円筒座標と比較するために、 φ(ファイ)を使っている。
2次元極座標 高校の数学Cの復習 質点の位置P(x,y)を2次元極座標(r,φ)で表す。 y P(x,y) r r≧0 0≦φ<2π φ x 2次元極座標 高校の数学Cの復習 質点の位置P(x,y)を2次元極座標(r,φ)で表す。 y P(x,y) r r≧0 0≦φ<2π φ x 高校ではθを使うが、 後の都合でφを 使っている。
質問:なぜφの範囲を0からπにして、 rをマイナスも考えないか? y ぐるっと回った時に、 rがプラスからマイナスになるのは、不連続な変化になってしまう。 rはずっとプラスにしておく。 x
2次元極座標、続き y r=一定の図形 半径rの円 x φ=一定の図形 半直線 y x
少し質点に戻って。。 円筒座標系 粒子と一緒に動く 座標系
点P(x,y,z)のxy平面上への射影を Qとする。 OQの長さがr, x軸からOQへの角度がφ 教科書p.2の1-1図の右 円筒座標系 z 円筒座標系 z P(x,y,z) 質点の位置P(x,y,z)を円筒座標(r,φ,z)で表す。 y r φ Q x 点P(x,y,z)のxy平面上への射影を Qとする。 OQの長さがr, x軸からOQへの角度がφ φ(ファイ) 角度によく使う記号。 0≦φ<2π 問題 円筒座標系で、下記の条件を満たす点の集合は、 どのような面になるか。それぞれ3次元空間内に図示せよ。 r=一定 (b) φ=一定 (c)z=一定 (注意:rはOQの長さ)
教科書p.2の1-1図の右 円筒座標 z P P(x, y, z) y x Q y xy平面 Q x O
問題の解答 z=一定 z xy面からの距離が一定。 無限に広がる平面 y x 例:床から3mの高さの点の集合は、 天井になる。
問題の解答 r=一定 円筒座標のrの定義に注意。 xy平面に射影した時の原点からの 距離 (つまり、z軸との距離) r=一定は、円筒の側面になる。 上下に無限に続いている。 r y x 例1:海苔の缶の側面だけ。これが無限に広がったもの。 例2:トイレットペーパーの芯の部分が 無限に広がったもの。
問題の解答2 φ一定 φはxy面上に射影した時の、 x軸からの角度。 φ=一定の図形は、 半平面。上、下、rが大きくなる方向 に無限に広がる。 z軸の反対側には行かない。 φの範囲は0から2π。 反対側は違うφになる。 y x
円筒座標のイメージ タワー型マンションは普通は直方体だが、 円形タワーマンションがあったとする。 何階に住んでいるか。-> z座標 円筒の外側には窓があり、 内側はエレベーターや廊下 -> r座標 ある階での部屋は放射状に作ると考えられる。 1101号室、1102号室、 -> φ座標
円筒座標の別イメージ 丸いピザを切るとき、 人数によって角度が違う。-> φ 円筒型のケーキで、 ・上にはいちご、下はスポンジ -> z ・外側はクリーム、内側はスポンジ -> r ・切り分けるときに、どんな角度で切るか。-> φ
参考:3次元極座標(後期に詳しくやります) このページは前期の 試験には出ません。 参考:3次元極座標(後期に詳しくやります) y z P P(x,y,z) θ z r r Q y θ y x Q O Q O x x 角度が2種類必要。片方がθ、もう片方がφ。 -> 円筒座標の角度φと同じ測り方。 rの取り方が違うことに注意。 極座標では原点からの距離。 円筒座標では、xy面上に射影してから、原点からの距離。 極座標は球対称な場を考えるときに使う。 例:電荷が球状に分布している場合。
円筒座標を使うメリット ・円運動、らせん運動、円筒の 対称性を持つ系 (例えば直線電流の周りの磁場)を 扱いやすい。
次に 円筒座標系の 基本ベクトルを求める。 (粒子が動くと、基本ベクトルも動く。)
基本ベクトルとは 長さが1 お互いに直交する。 3次元なら3個 (2次元なら2個) 座標系によって、基本ベクトルが違う。 3次元なら3個 (2次元なら2個) 座標系によって、基本ベクトルが違う。 その座標系のベクトルを、 基本ベクトルを使って書く。 直交座標 2) 円筒座標 3) 極座標 (後期にやります。)
直角座標系の基本ベクトル x軸、y軸、z軸方向の単位ベクトル(長さ1)。 x, y, zがそれぞれ増える方向 z 成分で書くと、 O y x 終点 始点 ベクトルの始点(矢印の根元)を原点に置いた時の、 ベクトルの終点(矢印の先)の座標で表す。
動径ベクトル 復習 radius vector 位置ベクトルとも言う。 x y z P(x,y,z) O ある原点Oからのベクトル。
円筒座標系の基本ベクトル z x y φ r P(x,y,z) x軸、y軸、z軸は、 空間に固定されている。 円筒座標系の基本ベクトル。 長さは1で、点Pにおいて、 注意: rが増える向き。 点Pにおいて、r,zは 一定で、φが微小量だけ 増える向き。 φが増える向き zが増える向き。 を図示せよ。 問1: 問2: のx,y,z成分が 右のようになることを示せ。
解答:基本ベクトルの図示 はz軸方向の長さ1のベクトル。 z と はxy平面内のベクトル。 y x z成分はゼロ。 はx軸と角度φなので、 y xy平面 と垂直な方向。 は x O
解答:基本ベクトルの図示 1 1 φ α φ+α=90° φ α
解答:基本ベクトルの成分表示 前問の結果から、円筒座標の基本ベクトルのx,y,z座標は、 x,y,z方向の基本ベクトルを使って書くと、
解答補足:円筒座標系の基本ベクトルの図示 解答補足:円筒座標系の基本ベクトルの図示 z y x 基本ベクトルは、数学のベクトルなので、 平行移動してよい。 円筒座標や極座標を物理で使う時は、 粒子のいる位置を始点に矢印を書くことが多い。
次に 円筒座標系の基本ベクトルの 時間微分を求める。
時間微分とは tで微分する。 differentiate with respect to t 例 の時間微分は、
P(x,y,z) z x y 前の問題より、 r φ φ x y r は方向が時間に依存する。 問1.両辺を時間で微分して、 を示せ。 円筒座標系の基本ベクトルの時間微分 P(x,y,z) z x y 前の問題より、 r φ xy面に投影すると φ x y r は方向が時間に依存する。 問1.両辺を時間で微分して、 を示せ。 問2 同様にして を示せ。
解答 両辺をtで微分 は時間によらない(一定)。 において、 合成関数の微分 とおくと、
解答続き 元の式に代入すると、
(2)の解答
まとめると 基本ベクトルの微分は、 φ x y r ただし、 基本ベクトルは長さは常に1. 質点の位置によって、方向が変化する。
円筒座標の基本ベクトルの微分:別解 y x
時間微分の書き方: 上に点(・)を付けて表すことがある。 復習 ベクトルの表し方 1) 太い文字: 2) 矢印を上につける。 どちらの方法でもいいですが、ベクトルとわかるように書いて下さい。 時間微分の書き方: 上に点(・)を付けて表すことがある。 物理では時間微分がたくさん 出てくる。
次に 円筒座標系で、 速度ベクトルと加速度ベクトルを 求める
速度と加速度 復習パワポ に対して、 動径ベクトル 速度ベクトル 加速度ベクトル 速度の意味: ある時間に位置がどのくらい変化するか。 加速度の意味: ある時間に速度ベクトルがどのくらい変化するか。
動径ベクトルは、原点から物体がいる点までのベクトル。 動径ベクトルの補足 復習パワポ 動径ベクトルは、原点から物体がいる点までのベクトル。 半径の方向と長さが 変わっていくイメージ。 動経(動く半径) と呼んでいる。 記号rを使う理由は、 英語でradius(半径) のため。 物体 原点 例:野球場でボールの場所を表すのに、 ホームベースを原点にして、ボールまでのベクトルを 動径ベクトルにする。
記号vを使う理由: velocity(速度)のため。 速度ベクトルの補足 復習パワポ 動経ベクトルがどう変化するか。 その瞬間の進む方向 記号vを使う理由: velocity(速度)のため。
記号aを使う理由: acceleration (加速)の頭文字。 復習パワポ 加速度ベクトルの補足 曲線の場合 曲がる時は内向きの加速度 (右折する時は、右向きの加速度) 記号aを使う理由: acceleration (加速)の頭文字。
問題2:速度ベクトル、加速度ベクトルに関して、 x y φ r 速度と加速度 前の問題より、 問題1:動径ベクトルは、円筒座標系で、 と書けることを説明せよ。 問題2:速度ベクトル、加速度ベクトルに関して、 を示せ。
記号の注意
直角座標の 動径ベクトル 復習 radius vector 位置ベクトルとも言う。 z P(x,y,z) ある原点Oからのベクトル。 O y
直角座標:動径ベクトルの2つの説明 z P(x,y,z) 説明1 成分を使う。 右辺=x(1,0,0)+y(0,1,0)+ z(0,0,1) 説明1 成分を使う。 右辺=x(1,0,0)+y(0,1,0)+ z(0,0,1) =(x,y,z) 左辺になる。 説明2 動径ベクトル(赤い矢印) =黄色の矢印+ 緑の矢印 + 茶色の矢印 = O y x