対中国ODAの行方 1016558c 近藤裕佑.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
なぜ貧しい国はなくならないの か 第 1 章 開発経済学とは何か 1. まず定義から始めよう 筆者による定義 「貧しい開発途上国 の貧困削減に貢献する 戦略を研究する学問分 野」 2.
Advertisements

経常収支とは?  一国の国際収支を評価する基準の一つ。  この 4 つのうち、 1 つが赤字であっても他で賄え ていれば経常収支は黒字となる。 貿易収支 モノの輸出入の 差 所得収支 海外投資の収益 サービス収支 サービス取引額 経常移転収支 対価を伴わない 他国への援助額 これらを合わせたものが経常収支.
1.欧州. 特許会社  特許会社とは …. 経営権が国に保留されている事業の、 一部または全部の経営権を、法律などに より付与された会社。  世界で最初の特許会社 モスクワ会 社.
都市整備部 予算要求方針 要求方針 ○財政構造改革プラン(案)において、今後の公共施設(インフラ)のあり方として「建設から維持管理への
アジア共通通貨導入の是非 否定派 蔵内 小柴 鶴間.
産業構造審議会経済協力小委員会中間取りまとめのポイント
ASEAN共同体の是非 藤代 高松 矢崎 山田 山本.
国際緊急援助と 国際開発援助 相星・岡田・郭.
対スリランカ経済協力の概要 1.概要 4.円借款の概要 2.援助の目的と意義 3.重点分野 平成24年4月 外務省
15 パクス・アメリカーナの時代 1 アメリカの戦後構想とIMF体制 2 IMF体制の成立と発展,ドル危機 3 固定相場制の崩壊と変動相場制
1. Departamento de Consultoria e Assessoria
※個別相談には、ご相談内容/時間に応じて相談料が発生します。あらかじめご了承ください。
中日発展商事は、 日本と中国の架け橋として・・・
中国の農業政策金融機関紹介 進学博士2班  石宗英.
中国バブルの          真実.
国際政治経済特殊研究Ⅷ 飯野光浩 ガイダンス.
第16章 総需要に対する 金融・財政政策の影響 1.総需要曲線は三つの理由によって右下がりである 資産効果 利子率効果 為替相場効果
大阪都構想の是非 否定派 嘘 成田・下田・山本.
保健セクターにおける 援助モダリティ ~内田教授をお迎えして~
アジア開発銀行(ADB)の 融資による途上国の経済成長への影響
※ 上記質問に対し、協議会委員として以下のとおり回答
なぜ貧しい国はなくならないのか 第2章 貧困は減っているのか
**************(事業名記入)実証事業
援助は現場で起きている ODAの現地機能強化を どのように推進すべきか FASID国際開発援助動向研究会 2005年7月22日
『手に取るように金融がわかる本』 p.202~p.223 part1~5
第7章 途上国が「豊か」になるためにすべきこと
11.0 はじめに 11.1 初期の開発経済学と援助論 11.2 改良主義の開発と援助の思想 11.3 新古典派アプローチを超えて
日本における ベイルイン導入の是非 〜否定派〜
土木って何? コンクリート工学研究室 岩城 一郎
スペイン財政支援の是非 <否定派> 田中・棚倉・川村・石塚.
派遣社員制度の是非 肯定派!! 上町・菊池・小泉
なぜ貧しい国はなくならないのか 第3章 なぜ貧困を撲滅できないのか?.
社会的金融 活きたおカネで世界を変える 桜美林大学 山田ゼミ A班.
アジア恊働大学院(AUI)構想 AUI推進機構/設立趣意書
民営化とグローバリゼーション 国家の役割は何か.
第1章 地域の政治力学と日本 ~東亜共同体への動き~
失われた10年 日本経済の現状と課題 日本の平和への貢献
国際社会と税 南九州税理士会.
手に取るように金融がわかる本 PART6 6-11 09bd139N 小川雄大.
『アジアの低所得国における中国の対外援助と日本のODA』 飯野光浩
日本のODA 現状と展望                     滝澤諒.
資源ナショナリズムについて 2012/01/20 長谷川雄紀.
発表のテーマ:これでいいのかODA大国日本
最近の中国と通貨に関する動向 08ba231c 松江沙織.
『ギリシャはユーロから          離脱すべきか?』 【否定派】 長谷川 雄紀 田中 道信 山本 恵美.
静岡新聞就職フェア講座 “就活”国際化時代がやってきた! ~ グローバル社会と就労構造 ~ 2008年4月 NPO法人日中環境経済中心.
対エクアドル草の根・人間の安全保障無償資金協力
公共政策大学院 鈴木一人 第7回 政治と経済の関係 公共政策大学院 鈴木一人
東アジア文化論(11/6) 『成長するアジアと日本の位置づけ』.
ペルー経済の特徴 -2015年の生産量で,銀が世界2位,銅,亜鉛が3位,鉛,錫が4位,金が6位。 ○定着した民主主義
(c) H. Yamagata. Some Rights Reserved
シニアボランティア経験を活かす会 西田圭介
マイクロファイナンス(MF)の課題とJICAの取組み 2012年1月
世界の食糧問題 ~国際社会という視点から慢性的飢餓に どう立ち向かうか~
一次エネルギー消費上位国 消費mote % 生産mote 自給率(%) 米国 中国
ロータリー財団委員会 委員長 溝畑 正信 (東大阪東RC)
ポリオ撲滅への  資金と経過 第3ゾーンEPNC 松本祐二
事業目的・概要等 イメージ 脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業 背景・目的 期待される効果 事業スキーム 事業概要
緑の気候基金(GCF)との連携に関する JICAの取組み方針
国際教育・協力 グローバルコミュニケーション
アジア開発銀行との連携 - 大学との連携 - 第3回山口大学国際シンポジウム 2009年12月 アジア開発銀行駐日代表事務所        日向 俊一.
アメリカのプロパテント政策 2002.10.11.
東京・愛知ヒアリングまとめ(事務局 6.11,14) 資料2 【課 題】 項 目 大阪(府・市) 東京(都・特別区) 愛知(県・名古屋市)
拠点システム構築事業 サブサハラアフリカ諸国の教育改善
対エクアドル草の根・人間の安全保障無償資金協力
対エクアドル草の根・人間の安全保障無償資金協力
(c) H. Yamagata. Some Rights Reserved
東アジア文化論(11/20) 『成長するアジアと日本の位置づけ』.
東アジア文化論(12/11) 『成長するアジアと日本の位置づけ』.
民営化とグローバリゼーション 国家の役割は何か.
Presentation transcript:

対中国ODAの行方 1016558c 近藤裕佑

〜発表の流れ〜 ODAとは何か 日本のODAの特徴 対中ODA批判の声 対中ODA継続派/中国側の主張 対中ODA新たな動き 私の意見/論点

ODAとは? Official Development Assistance =政府開発援助 国際貢献のために先進国 の政府及び政府機関が  =政府開発援助 国際貢献のために先進国 の政府及び政府機関が 発展途上国に対して行う 援助や出資のこと。

経済協力の種類

日本のODAの特徴 借款比率の高さ/贈与比率の低さ 低金利かつ返済・据置期間の長い借款 ハードインフラ重視 道路、橋、鉄道、発電所などの整備 歴史的、地理的、経済的理由による偏り (東)アジア重視

日本のODA拠出先上位10カ国 順位 国名 実績額 1 ベトナム 1191.36 2 インド 517.01 3 トルコ 210.75 4 アフガニスタン 170.54 5 中国 141.96 6 パキスタン 131.43 7 カンボジア 127.49 8 タンザニア 120.46 9 スーダン 111.03 10 アルメニア 98.7 (2009年 支出純額ベース 単位:百万ドル)

対中ODA今年の動き 前原氏「大幅削減」を指示 丹羽駐中国大使など「継続するべき」 前年度比で実質7・6%減の 42億5千万円の減額予定が  中国のGDPが日本を超えて世界2位に  なったのに、これまでと同じように援助す  るのは理不尽 丹羽駐中国大使など「継続するべき」  関係悪化を懸念   前年度比で実質7・6%減の   42億5千万円の減額予定が   実質3億5千万円減にとどまる

対中ODA(大幅)削減派の主張 巨額の財政赤字 軍事費の増大 著しい経済発展 他国に経済援助を行っている  巨額の財政赤字 日本のODAが市民に認知されていない =謝意がない 友好的でない 軍事費の増大 著しい経済発展    他国に経済援助を行っている

対中ODA継続派の主張 環境問題や貧困問題などの分野は民間資金では難しく、支援が必要 隣国の環境破壊を防ぐことは日本の国益にもつながる    (有償資金援助は自民党政権時代の2008年に終了) 円借款はいわば優良債権である 隣国の環境破壊を防ぐことは日本の国益にもつながる ODA削減or打ち切りによる関係悪化を懸念 ODAは企業の進出名目・根拠としても機能

中国側の主張 円借款は賠償の代替ではないが、賠償を放棄した温情も忘れないでほしい ODAは相互的⇒日本企業も助けている 謝意は日中共同宣言等で重ねて示している 内陸部と農村部には援助が必要 日本からの享受がなければ困るという思惑も   (2007年:14億ドルの供与のうち4億ドルが日本から)

しかし現在では技術的能力と国内資金を豊富に擁する 対中ODAの新論理① 供与対象分野のシフト これまでは… 産業インフラ関連プロジェクト中心 運輸・エネルギー関連の巨大な建造物建設への資金供与 高速道路 空港 発電所 しかし現在では技術的能力と国内資金を豊富に擁する =援助しなくても建設可能なのでは?

HIV/エイズ予防対策プロジェクト(甘粛省) 環境・貧困関連プロジェクトへのシフト 開発上、福祉面から見て不可欠    +自助努力のみでは苦しい分野 環境保全対策 最貧住民対策 感染症対策 日本の国益にも 直結する 重要な問題 HIV/エイズ予防対策プロジェクト(甘粛省) 植林活動(寧夏自治区)

対中ODAの新論理② 受取国側から要請のない案件にODAを供与できない 日本のODA全般に広く適応されてきた伝統的な原則 「要請主義」 「共同案件形成主義」 日本がイニシアティブを取ることも可能に 日中が共同して案件を発掘・形成

対中ODAの新論理③ 日本企業の受注率向上 現状 そこで ODA資金を使って実際にプロジェクトに携わるのは企業 (資機材の調達先や工事事業の受注先などを指定しない援助) 部分的にでもタイドローンを認めて受注率の上昇を図る 日本のODAが向かうべき分野への企業の関与を促す ODAを経済戦略に使うような発想に根強い反対の声も… 現状 そこで

深まる経済的な相互依存関係と政治的・社会的関係のバランスの悪さ 私の意見 日本の対中ODA:大幅に削減するべき   ⇒近い将来打ち切りにする   ⇒中国とは比較にならないほど貧困の     状態にある諸国に有効に使うべき もはや中国に支援は必要ない 日本も財政的に余裕がない 客観的な理由 なんで日本が中国を援助しなくてはならないの? 主観的な理由 深まる経済的な相互依存関係と政治的・社会的関係のバランスの悪さ

論点 対中ODA:削減?継続?打ち切り?増額? 中国への援助を今後どの程度、どのようにしていくべきか 日本のODAや援助体制の改善点 中国にこれからどのような態度を取るべきか

参考文献 『ODA(政府開発援助) 日本に何ができるか』 2003年 渡辺利夫・三浦有史著 中公新書    2003年 渡辺利夫・三浦有史著 中公新書 『開発援助行政』 2007年 城山英明 東京大学出版会 『開発援助政策』 2011年 下村恭民 日本経済評論社 『日中関係 戦後から新時代へ』 2006年 毛里和子 岩波新書 「対中国ODA見直し議論」 2005年 経済産業経済室 岩城成幸 外務省 政府開発援助 ODA    http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index.html JICA 技術協力・無償資金協力 http://www.jica.go.jp/activities/schemes/grant_aid/index.html