20140517 第5回福岡の宗教②年中行事 shuuji@lit.kyushu-u.ac.jp 飯嶋 秀治 比較宗教学講義Ⅰ 九州の比較宗教学 20140517 第5回福岡の宗教②年中行事 shuuji@lit.kyushu-u.ac.jp 飯嶋 秀治.

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20140517 第5回福岡の宗教②年中行事 shuuji@lit.kyushu-u.ac.jp 飯嶋 秀治 比較宗教学講義Ⅰ 九州の比較宗教学 20140517 第5回福岡の宗教②年中行事 shuuji@lit.kyushu-u.ac.jp 飯嶋 秀治

Ⅰ.前回の復習から

先行研究(記号学、批評理論、言説分析等の方法) 1.学問的理解の方法 文献調査 『聖書』 新聞・雑誌・評論(二次資料) 先行研究(記号学、批評理論、言説分析等の方法) 現地調査 中心人物の人生(一次資料)→ ↓↑相互行為(一次資料) 会員たちの人生(一次資料)← 調査者

2.人間の自己証明(アイデンティティ) 「アイデンティティ(identity)とは、生ける歴史的なものないし自律的に社会的なものという本来分節不可能なものへの名づけである。…アイデンティティの最小限の基準は、第一に人をまさにその人自身にする人生の諸項目の配列の型があることであり、第二にその配列の型が他人と共有されること、つまり集団的なものとの結びつきということである」[栗原1982:ⅰ] ジョハリの窓[石川1992:24] 自分に見える「わたし」 人に見える「わたし」 1.オープンな「わたし」 2.秘密の「わたし」 3.気づいてない「わたし」 4.私も他人も知らない「わたし」 「死」 超えれる 避け難い 「聖書」 できる 信じてる 「方舟」 研究 宗教

3.「生」と「死」、「天国」と「地獄」の意味 [千石&「イエスの方舟」編1992] 生きている 永遠のいのち 死んでいる 現世 天国 地獄 死んでいた 天国/現世 天国 生/死 死んでいる 生/死 天国/地獄 天国

4.『玄牝』とイエスの方舟 『玄牝』 『聖書』及びイエスの方舟 「死が怖くない」「いのちが続いてゆく」 「うまれてきてくれて、ありがとう」 「近代西洋人は聖なるもののいろいろな顕現様式に直面して或る不安を感ずる」[エリアーデ1969(1957) :4] ↕ 「古代社会の人間は、聖なるもののなかで、あるいは浄められた事物のすぐそばで生活しようと努める」[エリアーデ1969(1957):5] 『聖書』及びイエスの方舟 「父とは誰か、母とは誰か」 「イエスの全人格の中に自己の存在の実存を見ていく。そうすべきだ。そうなると、そういう自覚を表現すれば、イエスの中に自分は生きている、と。イエスにいかされている、と。そういう意味だ、と」[芹沢1980:121-122] 「死が怖くない」「いのちが続いてゆく」

Ⅱ. 「宗教」の意識と行動

1.現代世界の「宗教」 [藤原2008]

2.現代日本の「宗教」 [石井1997] 訊き方 時代の変遷

3.現代日本の「宗教」② [石井1997] 内容 年齢

4.現代日本の「宗教」③ [石井1997] 行動 都鄙

5.現代日本の「宗教」④ [石井1997] 学歴 性別

6.制度の中の「宗教」 宗教法人法(S26-) 宗教法人法第1章第2条宗教団体の定義「この法律において『宗教団体』とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。/一 礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体/二 前号に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体。」[範例六法編集委員会編2006:939] 憲法の変遷(S22-) 日本国憲法第二○条信教の自由、国の宗教活動の禁止「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。/②何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。/③国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」[範例六法編集委員会編2006:17]

7.制度の中のマスメディア報道 「宗教」を自覚する個人 「宗教」を自覚しない(が行動している)人々 「宗教」について定める制度 制度も地域・時代毎の文化に依る[cf.文部省調査局宗務課1961] マス・メディア(特にTV)は、特定の宗教の番組を制作する訳にはゆかない(年中行事や世界宗教に限られる)→マス・メディアで宗教が話題になる時とは? 問い①:ある人々の定めた「宗教」が知りたいのか、それとも当人にとっても研究者にとっても興味深い現象をその名で研究するのか 問い②:いずれにせよ、当該文化の「宗教」を理解するのに、非宗教的と意識されている領域も含めて研究する意味

Ⅲ.自然と民俗の宗教

1.自然宗教と民俗宗教 自然宗教 「自然宗教とは、とくに教祖といわれる創唱者がなく、自然発生的に成長した単純な未開宗教、原始宗教のことである」[月光1973:233] *「未開宗教」「原始宗教」等の呼称は現在使われていません 民間信仰(民俗宗教) 「自然宗教的、すなわち特定の教祖を持たず、非啓示的で、整理上の体系化が行われず、教団的にも不完全にしか組織されない、古代的、非成立宗教的な呪術宗教の残留、継承の信仰現象群を指し、しかも他面、成立宗教とも種々の面でかかわり合う混融複合的なもの」[堀1971を桜井1973より引用:707]

Ⅳ.まとめ

1.信仰と実践、自称と他称 [ギアーツ1987(1973)] (信仰)宗教 自称 「世界宗教」と言われるキリスト教(特にプロテスタント)、仏教、イスラム教、ヒンドゥー教等の経典の「知識(doxa)」が正統性を保障する(orthodoxy) 実践宗教 他称 「自然宗教」「民間信仰(民俗宗教)」等と言われる諸「実践(practice)」が正統性を保障する(orthopraxy)

2.試図化 知識・信仰 世界宗教 制度宗教 ? 民俗宗教 自然宗教 他称 自称 民族宗教 身体・実践

3.宗教学の橋渡し 特に、年老いた、郡部に住む、高学歴でない、女性の慣習 近代人と宗教人 「近代西洋人は聖なるもののいろいろな顕現様式に直面して或る不安を感ずる」[エリアーデ1969(1957) :4] ↕ 「古代社会の人間は、聖なるもののなかで、あるいは浄められた事物のすぐそばで生活しようと努める」[エリアーデ1969(1957):5] 特に、若く、都市部に住む、高学歴の、男性の「無信心」者

参考文献 石井研士1997『データブック現代日本人の宗教 戦後50年の宗教意識と宗教行動』新曜社 石川准1992『アイデンティティ・ゲーム―存在証明の社会学』新評論 エリアーデ、ミルチャ1969(1957)『聖と俗 宗教的なるものの本質について』風間敏夫訳 法政大学出版会 ギアーツ、クリフォード1987(1973)「現代のバリにおける『内面的改宗』」、『文化の解釈学Ⅰ』吉田禎吾ほか訳 岩波現代選書:291-324 栗原彬1982『歴史とアイデンティティ 近代日本の心理=歴史研究』新曜社 月光善弘1973「自然宗教」、小口偉一・堀一郎監修『宗教学辞典』東京大学出版会:233-234 桜井徳太郎1973「民間信仰」 、小口偉一・堀一郎監修『宗教学辞典』東京大学出版会:707-711 千石剛賢&「イエスの方舟」編1992『隠されていた聖書 なるまえにあったもの』太田出版 範例六法編集委員会編2006『模範六法 2006平 成18年版』三省堂 藤原聖子2008『三大宗教 天国・地獄クエスト 伝統的な他界観から現代のスピリチュアルまで』大正大学出版会 文部省調査局宗務課1961『宗教の定義をめぐる諸問題』文部省調査局宗務課