僕の町のジイちゃんの店
「ただいま~」パチッ「おかえりー」 「ただいま~」パチッ「おかえりー」 僕の住む町には、駄菓子屋がある。小学校からの帰り 道、駄菓子屋の前の椅子には必ずジイちゃんが座って いるのだ。ジイちゃんはプロ野球の監督のように座っ たまま手をあげて待っているから、僕たちはパチッと ハイタッチして帰るんだ。いつからだろうこの習慣は。 僕には当たり前になっている。
そんな僕は、駄菓子が好きでジイちゃんの店の常連客だ。
学校でサッカーの練習試合のあったある日
中学生のお兄ちゃんがいて、僕の味方をしてくれた。 学校の先生に怒られたことがあったある日 中学生のお兄ちゃんがいて、僕の味方をしてくれた。
ジイちゃんの店の好きなお菓子 『プチガム』 ☺一気に口に入れるべし。 左手は腰にあて、右手でプチガムを持ち、 お父さんが、ビールを飲むようにグイッと流し込む。 ガムを一度に食べる味わい深さ。大きな風船ガムができるんだ。
『さくらんぼもち』 爪楊枝が必ず付いているから、それで 3つを一度にさして、口の中でほおばるんだ。 とっても贅沢な食べ方。 4粒はさせないのだけど大人になったら、してみたいと思っているんだ。
『さくらだいこん』 甘いのに飽きたらこれがいいね。 でも必ず酸っぱくてむせちゃうんだ。 お母さんにあげたら、『おかずになるわね。』なんて気に入っていた。 もったいないから、もうあげないことにしたんだ。
『モロッコヨーグル』 最後は、指でグルッときれいに取って食べる。 汚いと女子は騒ぐけどエコに協力しているんだい。 あたり
『酢いか』 一本竹串をとるんだけど、いつも小さいのをとっちゃって悔しいんだ。 酢いかは、お父さんの好物で夜、ビールのとき食べているから、もらうことができる。 ジイちゃんの家ではあんまり買わなくなった。
そんなある日、学校の帰り道ジイちゃんが店の前にはいなかった。
「おかえり」 僕はその日ジイちゃんが良くなりますように、と 神様に祈った。
ジイちゃんのことが心配で翌日学校でそのことを話した。 ジイちゃん、ただいま
一年後、中学生になった僕は、通学路が変わり部活動も忙しくなり、ジイちゃんには合わなくなってしまった。