6.2 名声のメカニズム 継続的取引の効果 教科書pp.181〜185 担当 宮井.

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6.2 名声のメカニズム 継続的取引の効果 教科書pp.181〜185 担当 宮井

今日も結論からです。

名声とは、 1.ここでは販売者が得る物で、

2.不完全な情報下でも良い商品を継続して売る事によって得られ、 名声とは、 2.不完全な情報下でも良い商品を継続して売る事によって得られ、

3.高い価格で商品を売り続ける 資格・ブランド みたいなもんです。 名声とは、 3.高い価格で商品を売り続ける 資格・ブランド みたいなもんです。

4.逆に悪い商品を売り続けると、悪い 評判を得てしまい、 名声とは、 4.逆に悪い商品を売り続けると、悪い 評判を得てしまい、

5.低い価格でしか商品を売れなくなってしまいます。 悪い商品を売る販売者という レッテルを 貼られてしまう。 名声とは、 5.低い価格でしか商品を売れなくなってしまいます。

悪いレッテルを貼られようとも、長期的に失う物が無ければ しかし、 悪いレッテルを貼られようとも、長期的に失う物が無ければ

一時的な不完全情報を利用して名声を捨て、一時の利潤に走ってしまう。

良い商品を供給し続ける (名声を維持し続ける) インセンティブが ないからである。 なぜなら、 良い商品を供給し続ける (名声を維持し続ける) インセンティブが ないからである。

名声を維持し続けるには インセンティブが 必要なのだ。 つまり、 名声を維持し続けるには インセンティブが 必要なのだ。

この5ページくらいで それを説明しましょう!

と言っているだけです。

では、 本当かどうか、 それを教科書にならって見て行きましょう!!

基本的仮定 A:良質生産の技術 B:低質生産の技術 ・買い手は購入後にAかBか分かる。 ・Bを供給した方は悪いレッテルを貼られる。

完全情報の場合 つまり、購入前にAかBか分かる場合は次の図に 表される価格で均衡する。

完全情報の場合 価格・費用 限界費用曲線 MCA MCB 平均費用曲線 ACA P0 分離均衡 ACB Q0 生産量 Y0 X0

分離均衡 質の違いが明確に理解できる完全情報下ではそれぞれの製品が平均費用に見合った異なる市場価格で販売される。

つまり、 100円で作ってるって分かれば、100円しかださねーよ、ゴルァ!!     ってことです。

よって、 完全情報下での市場均衡においては品質の高低関係なく超過利潤ゼロ になります。=儲けゼロ 6.2の答えです。

次に、 不完全情報下の場合を考えよう。 ちなみに仮に完全情報の場合の 長期均衡が成立している状態から 考えてみる。 (良い生産者と悪い生産者の レッテルが貼られている状態)

不完全情報の場合 価格・費用 MCA MCB ACA 名声パワー P0 超過利潤(利益・儲け) ACB CB0 生産量 Y2

つまり、 いくらで作ってるか分からない(不完全情報)場合、名声により今回限り今までの名声での価格で 売る事ができてしまう。

もちろん、 次回からは悪いレッテルを貼られるので売る事ができる価格は下がるが先の通り超過利潤ゼロ =正常利潤で売れるから 損はしない。

よって、 品質の高低に関わらず、儲けが出ないのに対して、一時的な不完全情報を利用して利潤を得る方が得策なのです。

このことは、 良質品の生産者にとって、良質品を生産し続けるインセンティブが無いことを意味している。

例えば、 良商品の市場価格が長期均衡価格よりも高く、生産に超過利潤=儲けが与えられている場合、 どういう場合?

超過利潤がある場合 価格・費用 MCA MCB ACA P1 超過利潤(利益・儲け) CA1 ACB 生産量 X1

ここで、 名声を裏切り、低質な商品Bを供給すると、

6.3の(B)の答えです。 超過利潤がある上で裏切る場合 価格・費用 生産量 超過利潤(利益・儲け) 名声パワー MCA MCB ACA P1 超過利潤(利益・儲け) CB1 ACB 生産量 6.3の(B)の答えです。 Y1

と、 一時的には超過利潤を得るが、その後は悪いレッテルを貼られ儲けのない 超過利潤ゼロとなる。

つまり、 悪いレッテルを貼られる上に良い商品を売り続ければ得られていた超過利潤を失う。

このことは、 良質品の生産者にとって、良質品を生産し続けるインセンティブがあることを意味している。

名声を維持し続けるには インセンティブが 必要なのだ。 よって、 名声を維持し続けるには インセンティブが 必要なのだ。 と言えるのだと思います。

残りの問題6.3の (A)並びに(C) を見て見ましょう。 最後に、 残りの問題6.3の (A)並びに(C) を見て見ましょう。

ここで問題になっているのは割引現在価値です。 まず(A)から、 ここで問題になっているのは割引現在価値です。

割引現在価値 例えば、1億円を利率1%の定期貯金に預けると 1年後には1億100万円となり 利率100万円がついてくる。 1億円×(1+0.01)(1年間) =1億100万円  

割引現在価値 この式を一般化すると以下のようになる。 現在価値×(1+年利)^年数=将来価値 以上の例をもとに利子率について考えてみる。 現在時点と将来時点の二点しか存在しない場合において、 現在の価値と将来の価値の関係を式に表すと Ⅰ)現在の価値x=将来の価値×(1+r) Ⅱ)将来の価値x=現在の価値/(1+r) Ⅰ)におけるrを利子率、Ⅱ)におけるrを割引率という。  また、Ⅱ)は将来の価値を一定の利子率のもとで現在の価値に換算したものであり、これを割引現在価格という。

よって、 このことからまず良質な生産者 が低質な生産に切替ることで 失う利潤は先のグラフより、 割引現在価値 =現在の価値=将来の価値×(1+r) =将来の価値=現在の価値/(1+r) このことからまず良質な生産者 が低質な生産に切替ることで 失う利潤は先のグラフより、

超過利潤がある場合 低質に切り替える事で 失う利潤(P1-CA1)X1 価格・費用 生産量 超過利潤(利益・儲け) MCA MCB ACA

なので、 低質に切り替える事で 失う利潤(P1-CA1)X1 の割引現在価値は、 6.3の(A)の答え (P1-CA1)X1/(1+r)+ (P1-CA1)X1/(1+r)2+ (P1-CA1)X1/(1+r)3+ (P1-CA1)X1/(1+r)4+・・・・ =(P1-CA1)X1/{1/(1+r)+1 /(1+r)2 + 1 /(1+r)3・・・・} = (P1-CA1)X1/r 6.3の(A)の答え 割引現在価値 =将来の価値x=現在の価値/(1+r)

ところで、 この低質に切り替える事で 失う利潤(P1-CA1)X1 の割引現在価値である (P1-CA1)X1/rは、 この利潤の将来の価値を 意味しています。

問題(C)の (P1-CA1)X1/r> (P1-CB1)Y1 の(P1-CB1)Y1は先の裏切る場合の グラフより、 ここで、 問題(C) が理解できます。 問題(C)の (P1-CA1)X1/r> (P1-CB1)Y1 の(P1-CB1)Y1は先の裏切る場合の グラフより、

低質に裏切る事で 得る利潤(P1-CB1)Y1 超過利潤がある上で裏切る場合 価格・費用 生産量 超過利潤(利益・儲け) 名声パワー MCA MCB ACA P1 超過利潤(利益・儲け) CB1 ACB 低質に裏切る事で 得る利潤(P1-CB1)Y1 生産量 Y1

問題(C)の (P1-CA1)X1/r> (P1-CB1)Y1 とは、 ですから、 問題(C)の (P1-CA1)X1/r> (P1-CB1)Y1 とは、 低質に切り替える事で 失う利潤の将来の価値          > 低質に裏切る事で得る利潤 となり、

低質に切り替える事で 失う利潤の将来の価値が 低質に裏切る事で得る利潤より大きい限り、良質の生産を続ける インセンティブがある事が理解できるので教科書の数式が成り立つ。 6.3の(C)の答え

以上です。 引用・参考URL: 利子率・割引現在価値 今回は教科書通りやりましたが、 ・ヤフーオークションの評価 ・誠実な男と遊び人な男 http://kawagutihabatu.fc2web.com/FE/FE_3.htm 今回は教科書通りやりましたが、 ・ヤフーオークションの評価 ・誠実な男と遊び人な男 などの例で考えると名声や評判については わかりやすいかもしれません(自己談)。 なお、今回はティカノ君とシェラトン君は お休みさせて頂きました。