日本の労働環境について 愛知学院大学 野村ゼミ 岩城 大橋 中谷 山中
動機 自分たちが来年就職活動をするにあたって、今のうちに就職活動に活かせるような労働環境についての情報を学びたいと感じ、研究するに至った。
問題提起 日本は海外と比べて働きすぎとよく言われるが、実際のところどうなのか? 労働環境の問題点は何か?
目次 他国間での労働時間の比較 残業について ブラック企業と呼ばれる企業の事例
先進国間での労働時間の比較
国別一人当たり年間総実平均労働時間 2012年 *パートタイム労働含む (時間) 労働政策研究・研修機構『データブック国際労働比較』2015年版」より参照
長時間労働者の割合 2012年 % ・ここでは週49時間以上働いたものを長時間労働者とみなす 労働政策研究・研修機構『データブック国際労働比較』2015年版」より参照
今のグラフを見てわかることは、一人当り平均労働時間が日本は他の先進国と比べてあまり変わらないのに対し、長時間労働者の割合が他の先進国と比べ群を抜いていることである。 長時間労働者とパートタイム等の短時間労働者の二極化となっている。
労働時間について 労働時間については、労働基準法32条によって1日8時間、また条件を満たせば1ヶ月、1年を平均して1週間40時間にする制度がある。 みなし労働時間制というものもあり、これは実際の労働時間にかかわらず、その日はあらかじめ定めておいた時間労働したものとみなす制度である。 参照:厚生労働省ホームページ
年次有給休暇 雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全所 定労働日の8割以上出勤した労働者に対して最低10 日間の休暇を与えなければならない(労働基準法39 条1項) 1年6カ月以上継続勤務した労働者に対しては、6 カ月を超えた日から起算した継続勤務年数1年ご とに、継続勤務2年目までは1労働日ずつ、3年目 以降は2労働日ずつが、最大10労働日(合計20日) まで加算される(労働基準法39条2項)
継続勤務年数に対しての有給休暇付与日数 継続勤務年数 付与日数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上 10 11 12 14 16 18 20
※オンライン旅行会社Expediaの2013年の国際比較調査より 世界と比較した日本の有休消化率 ※オンライン旅行会社Expediaの2013年の国際比較調査より
資料出所:厚生労働省「就労条件総合調査」より 日本の有休消化率の推移 資料出所:厚生労働省「就労条件総合調査」より
残業について
残業とは 労働基準法では労働時間は原則1日8時間と決まっているが、これを超える労働時間のことを残業という。 (超過勤務、時間外労働ともいう)
36協定 時間外労働や休日労働は原則禁止されている 。ただし、会社があらかじめ「時間外労働又 は休日労働に関する労使協定(36協定)」 を労働基準監督署に届け出ていれば、業務上 やむを得ない場合に限り、これらの勤務が認 められる。 時間外労働は36協定の定める限度基準の時 間内としなければならない。
残業時間の上限 期 間 1 週 2 4 週間 ヶ 月 3 年 時間数 15 27 43 45 81 120 360
平均残業時間の推移 (時間) (年) 参照:転職サイトDODA
景気・雇用情勢との相関関係 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 景気動向 好景気 需要拡大 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 景気動向 好景気 需要拡大 リーマンショック(2008年9月)による景気低迷 世界的な大不況と、急激な需要低下 景気回復の兆しが見え始める 緩やかな景気、需要回復 景気回復基調が高まる 雇用情勢 積極採用 リーマンショックによるリストラの増加 リストラの拡大 採用活動休止 一部企業で人材不足 リストラ、採用活動休止による人手不足 採用活動再開 採用活動の活発化 ※ただし厳選採用 残業時間 − 需要低下により残業微減 人件費削減のため残業規制 残業規制の緩和 需要回復、人手不足により残業増加 引き続き残業は微増 参照:転職サイトDODA
しかし、法律で残業時間などが細かく定められているのにもかかわらず守らない企業が増えてきている。それどころか残業時間の上限を超えて労働者が過労死してしまうような企業も問題となっている。 これがいわゆるブラック企業と呼ばれる企業のことである。
ブラック企業と呼ばれる企業の事例
受賞歴 2012年 大賞:東京電力株式会社 市民賞:株式会社ワタミ 業界賞:株式会社株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ 2013年 大賞:ワタミフードサービス 業界賞:クロスカンパニー 特別賞:国立大学法人東北大学 2014年 大賞:株式会社ヤマダ電機 Web投票賞:株式会社ヤマダ電機 業界賞:株式会社A-1 Pictures
東京電力株式会社 選考理由 福島第一原発の事故が広範囲にわたる放射能汚染を引き起こ した。その後の原発稼働や点検のために、正社員ではなく派 遣や日雇いを多く雇い、被曝に関する安全管理や教育が不十 分で使い捨てのような雇用状態が続いたため。
ワタミフードサービス 選考理由 2008年6月、26歳女性社員が入社して2ヶ月で自殺。入社し て1ヶ月目の時間外労働が約140時間にも上った。その他、最 長で連続7日間の深夜勤務を含む長時間労働や、休日も午前7 時からの早朝研修会やボランティア活動、レポート執筆が課 されたりと過酷極まる実態だった。 同社が全社員に配布している『理念集』という冊子には「365 日24時間死ぬまで働け」と書かれているそうだ。
ヤマダ電機 選考理由 23歳男性社員が過労の末、社宅にて首吊り自殺。正社員未経験に もかかわらず、いきなりテックランド柏崎店のフロア長(管理職)と して扱われた。 2013年以降の4週間で残業時間が40時間を超えた従業員は全国 607店舗で1819人。そして46人の店長が厚生労働省が定めた過労 死ライン(1ヶ月の残業時間が80時間)を超えていた。
ブラック企業の特徴 離職率が高い 過労死による事件が起きている 長時間労働 労働者のライフワークバランスに配慮しない
まとめ
労働に対する法律の拘束力が緩い 日本では法律は整備されているもののそれを守らない企業が多い。 長時間労働しているなどの証拠が見つけづらい。
労働に対する法律の拘束力が緩い ヨーロッパ・アメリカでは罰則が重く、比較的日本の罰則は軽い。 日本では法律は整備されているもののそれを守らない企業が多い。 長時間労働しているなどの証拠が見つけづらい。
労働者側が企業を告発できない 労働者が企業を告発しても、直ぐに労働環境が改善されることが期待できない。 どこに相談・告発すればよいか周知されていない。
ご清聴ありがとうございました。