名古屋学院大学 経済学部 上山ゼミ 3年生 中島豪 松下栞穂 小島未郁 日本における 未婚化・晩婚化の要因分析 名古屋学院大学 経済学部 上山ゼミ 3年生 中島豪 松下栞穂 小島未郁 3年生を入れる
目次 ① 研究意義・背景 ② 少子化の要因 ③ 結婚意識の変化 ④ 未婚化・晩婚化の要因 ⑤ 要因分析 ・高学歴化 ・女性の社会進出 ⑥ 結論・解決策
1.研究意義・背景
研究意義・背景 日本では「少子化」が社会問題とされている 研究意義・背景 日本では「少子化」が社会問題とされている 政府等、少子化対策には力を入れているが、そもそも、未婚化・晩婚 化が原因で少子化につながっている。従って、なぜ未婚化・晩婚化が 進んでいるのか、その要因を明らかにし、未婚化・晩婚化に対する対 策を考案することで少子化対策につながるのではないか 政府は少子化対策、一部自治体が結婚支援対策をしているが、 政府が未婚化・晩婚化対策も打ち出すべきではないか 日本では少子化が問題。政府等、少子化対策には力を入れている。但し、そもそも、晩婚化が原因で少子化につながっている。従って、なぜ晩婚化が進んでいるのか、その要因を明らかにし、晩婚化に対する対策を考案することで少子化対策につながるのではないか。政府=小化対策、一部自治体が晩婚化(結婚支援対策)をしているが、主張としては、政府が晩婚化対策を打ち出すべき。
初婚年齢の推移 男性3.9歳上昇 女性5歳上昇 2012年30.8歳 2012年29.2歳 データ出所:厚生労働省 初婚年齢の推移 2012年30.8歳 2012年29.2歳 図の下には データ出所)「○○」を入れること。未婚率のデータを強調 データ出所:厚生労働省 男性3.9歳上昇 女性5歳上昇
未婚率の推移 男性18.4%上昇 女性7.3%上昇 データ出所:厚生労働省
2.少子化の要因 晩婚化や未婚化が少子化の要因になっているのか?
少子化 少子化の背景 ・未婚化 ・晩婚化 ・無産化 ・晩産化 少子化は1970年代半ばから現在まで続いている 少子化の背景 少子化は1970年代半ばから現在まで続いている ⇒1990年には合計特殊出生率が過去最低の1.57に(1.57ショック) 少子化の原因として、未婚化・晩婚化が影響しているのではないか ・未婚化 ・晩婚化 ・無産化 ・晩産化 少子化
何が未婚化・晩婚化に影響を与えているのか? 何が未婚化・晩婚化に影響を与えているのか? 回帰分析による考察 「回帰分析」とは・・・ 影響される変数(被説明変数)が、原因となる変数・影響を与える 変数(説明変数)によりどの程度説明できるかを定量的に分析すること。 ①単回帰分析 ②重回帰分析 説明変数が1つの回帰分析 説明変数が2つ以上の回帰分析 回帰分析の意味をもう少しわかりやすく説明する
データの概要 データ出所 厚生労働省 総務省 国際日本データランキング 調査時期 1974年~2012年 サンプル数 38
出生率に対する回帰分析結果 95.05*** 13.73 -3.21*** -11.94 被説明変数:出生率 サンプル数:38 説明変数 出生率に対する回帰分析結果 被説明変数:出生率 サンプル数:38 説明変数 係数 t値 切片 95.05*** 13.73 初婚年齢(女) -3.21*** -11.94 補正済み決定係数(補正R2):0.81 注)***は1%水準、**は5%水準、*は10%水準で有意であることを意味する
出生率に対する回帰分析結果 -3.24*** -2.64 2.28*** 13.02 被説明変数:出生率 サンプル数:38 説明変数 係数 出生率に対する回帰分析結果 被説明変数:出生率 サンプル数:38 説明変数 係数 t 値 切片 -3.24*** -2.64 婚姻率 2.28*** 13.02 補正済み決定係数(補正R2):0.83 注)***は1%水準、**は5%水準、*は10%水準で有意であることを意味する
初婚年齢の引き上げ、未婚率の上昇は 少子化に強く影響を与えていた!! では、何が未婚化・晩婚化を引き起こしているのか? 回帰分析より 初婚年齢の引き上げ、未婚率の上昇は 少子化に強く影響を与えていた!! では、何が未婚化・晩婚化を引き起こしているのか?
本研究の仮説 私たちの親世代では、結婚して子供を産む人が 多くいたが、今は未婚化・晩婚化が進んでいる。 本研究の仮説 私たちの親世代では、結婚して子供を産む人が 多くいたが、今は未婚化・晩婚化が進んでいる。 その要因として結婚に対する価値観や意識の 変化があるのではないかと考えた。
3.結婚に対する意識
結婚意識に対する変化 そもそもみな結婚したいと思っていないのか? 厚生労働白書より 結婚意識に対する変化 厚生労働白書より 若年層の結婚願望は高い 結婚して当たり前という社会の圧力は弱まっている 結婚が人生の選択肢として捉えられるようになってきた 結婚したいと思う理由は、家庭を持ちたい人が多い 国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査」より 若者の結婚意識(18歳~34歳未婚者) 結婚したい意思を持つ人 1987年 92.4%(男性91.8% 女性92.9%) 2010年 87.9%(男性86.3% 女性89.4%) そもそもみな結婚したいと思っていないのか?
結婚意識に対する変化 身近な人たちの結婚意識はどうなのか? 結婚意識は5%低下しているが9割近くの人が結婚したいと思っている 結婚意識に対する変化 結婚意識は5%低下しているが9割近くの人が結婚したいと思っている 必ず結婚しないといけないと思わなくなってきている 結婚するなら家庭を持ちたい 身近な人たちの結婚意識はどうなのか?
アンケート調査 アンケート対象者 20〜35歳 男女 未婚者(学生を除く、有業者) 期間 2015年9月~10月 サンプル数 男 28人 アンケート調査 アンケート対象者 20〜35歳 男女 未婚者(学生を除く、有業者) 期間 2015年9月~10月 サンプル数 男 28人 女 18人 総計 46人 有効値 46 期間:何年何月~何月、有業者の人
1.現在の年齢 円グラフの比率(以下、全て比率の数値で)
2.最終学歴 学歴別で希望結婚年齢と現在の年齢の差の比較をしてみる。
3.理想の結婚年齢 理想結婚年齢と現在の年齢の差が見たい。
4.結婚したい理由 3つまで回答可
アンケート結果による考察 ほとんどの人が結婚願望を持っている 結婚願望を持っている人は家庭を持ちたいと考えている アンケート結果による考察 大学卒以上が過半数いた ほとんどの人が結婚願望を持っている 結婚願望を持っている人は家庭を持ちたいと考えている 身近な人たちも結婚意識が高め
4.未婚化・晩婚化の要因
・未婚化 ・晩婚化 未婚化・晩婚化の要因 ・社会進出 ・経済的不安 ・高学歴化 出生率の低下は、未婚化・晩婚化が強く影響を与えている 未婚化・晩婚化の要因 出生率の低下は、未婚化・晩婚化が強く影響を与えている ⇒では、一体何が未婚化・晩婚化を引き起こしているのか ・高学歴化 ・社会進出 ・経済的不安 ・未婚化 ・晩婚化
初婚年齢に対する回帰分析結果 被説明変数:初婚年齢(女性) サンプル数:38 説明変数 係数 t 値 切片 19.39*** 10.42 初婚年齢に対する回帰分析結果 被説明変数:初婚年齢(女性) サンプル数:38 説明変数 係数 t 値 切片 19.39*** 10.42 大学進学率(女性) 0.12*** 30.15 就業率(女性) 0.09*** 2.34 よく考えて、必要なければ削除(混乱の元) 補正済み決定係数(補正R2):0.96 注)***は1%水準、**は5%水準、*は10%水準で有意であることを意味する
初婚年齢に対する回帰分析結果 被説明変数:初婚年齢(男性) サンプル数:38 説明変数 係数 t 値 切片 49.11*** 31.92 初婚年齢に対する回帰分析結果 被説明変数:初婚年齢(男性) サンプル数:38 説明変数 係数 t 値 切片 49.11*** 31.92 大学進学率(男性) -0.002 -0.25 就業率(男性) -0.27*** -16.88 補正済み決定係数(補正R2):0.96 注)***は1%水準、**は5%水準、*は10%水準で有意であることを意味する
婚姻率に対する回帰分析結果 被説明変数:婚姻率 サンプル数:38 説明変数 係数 t 値 切片 17.42*** 2.32 婚姻率に対する回帰分析結果 被説明変数:婚姻率 サンプル数:38 説明変数 係数 t 値 切片 17.42*** 2.32 大学進学率(女性) -0.07*** -4.73 就業率(女性) -0.19 -1.24 男性の推計結果を入れること。その後に、国際データを用いた大学進学率が初婚年齢に与える推計結果を提示し、大学進学率が晩婚化に与える影響は自明ではない(国際データを用いると進学率は晩婚化に影響を与えていない)。 補正済み決定係数(補正R2):0.33 注)***は1%水準、**は5%水準、*は10%水準で有意であることを意味する
婚姻率に対する回帰分析結果 被説明変数:婚姻率 サンプル数:38 説明変数 係数 t 値 切片 -26.82*** -4.41 婚姻率に対する回帰分析結果 被説明変数:婚姻率 サンプル数:38 説明変数 係数 t 値 切片 -26.82*** -4.41 大学進学率(男性) 0.09*** 2.54 就業率(男性) 0.4*** 6.21 補正済み決定係数(補正R2):0.61 注)***は1%水準、**は5%水準、*は10%水準で有意であることを意味する
結婚しないのは経済的問題?
初婚年齢に対する回帰分析結果 被説明変数:初婚年齢(女性) サンプル数:38 説明変数 係数 t 値 切片 21.85 34.8 年収 初婚年齢に対する回帰分析結果 被説明変数:初婚年齢(女性) サンプル数:38 説明変数 係数 t 値 切片 21.85 34.8 年収 0.02 7.72 補正済み決定係数(補正R2):0.62 注)***は1%水準、**は5%水準、*は10%水準で有意であることを意味する
初婚年齢に対する回帰分析結果 被説明変数:初婚年齢(男性) サンプル数:38 説明変数 係数 t 値 切片 25.41 51.0 年収 初婚年齢に対する回帰分析結果 被説明変数:初婚年齢(男性) サンプル数:38 説明変数 係数 t 値 切片 25.41 51.0 年収 0.01 6.9 補正済み決定係数(補正R2):0.56 注)***は1%水準、**は5%水準、*は10%水準で有意であることを意味する
男女比較 男性の場合 初婚年齢 女性の場合 婚姻率
外国でも日本と同じような現象が起きているのか?
外国の初婚年齢に対する回帰分析結果 被説明変数:初婚年齢 サンプル数:31 説明変数 係数 t 値 切片 28.29*** 16.6 外国の初婚年齢に対する回帰分析結果 被説明変数:初婚年齢 サンプル数:31 説明変数 係数 t 値 切片 28.29*** 16.6 大学進学率 0.01 0.38 補正済み決定係数(補正R2):-0.02 注)***は1%水準、**は5%水準、*は10%水準で有意であることを意味する
回帰分析からの考察 女性 大学進学率、就業率ともに初婚年齢に大きく関わっている 男性 外国との比較 大学進学率、就業率ともに初婚年齢に大きく関わっている 男性 大学進学率、就業率ともに婚姻率に大きく関わっている 男女ともに年収は関係ない 外国との比較 大学進学率は初婚年齢に関係ない⇒日本特有
以上より未婚化・晩婚化に対する影響は ①高学歴化 ②女性の社会進出
5.要因分析
①高学歴化
男女別大学進学率の推移 データ出所:文部科学省
大学に進学する理由 データ出所:ベネッセ教育総合研究所
グラフによる考察 男女ともに4年制大学への進学率が上昇している 大学進学率は51.5%で、前年度より上昇して過去最高 グラフによる考察 男女ともに4年制大学への進学率が上昇している 大学進学率は51.5%で、前年度より上昇して過去最高 大学学部の女子学生は111万8千人である 前年度より4千人増加し、過去最高を更新 その占める割合は、43.8%で過去最高を更新 就職するために大学進学を希望する人が多い
②女性の社会進出
1:女性の就業率の推移 年齢ごとに、女性の就業率の変化を調査 女性の就業率はどのように変化しているのか? 就業率の変化から、労働意欲の変化を考察
労働意欲の高まり データ出所:総務省「労働力調査」 20代後半~30代前半の上昇が目立つ。1975年では25~29歳は41.4%、30~34歳は43.0%(どちらも過去最低)であったが、2011年時点では25~29歳は72.8%、30~34歳は64.2%と大きく上昇している。女性の就業率の上昇の背景のひとつには、女性の労働意欲の高まりがあると考えられる データ出所:総務省「労働力調査」
2:女性のライフコース 対象者:18~34歳の未婚者 「理想のライフコース」⇒現実と切り離して、理想とする人生 はどんなタイプか? 「現実的なライフコース」⇒これまでを振り返り、実際になり そうな人生はどんなタイプか? 仕事に対する意識はどのように変化しているのか? 「専業主婦」「再就職」「両立」「DINKS」「非婚就業」の4項目 今の仕事を継続するのか、
1992年以降、増加傾向にある データ出所:国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」 。女性の理想とするライフコースを尋ねると、「両立コース」及び「再就職コース」を選択する者が2010年時点でそれぞれ30%を超えており、特に両立コースを選択する者については1992年の調査以降一貫して増加傾向にあるなど、家庭と仕事を両立しようとする女性の意欲の高まりが見られる。 データ出所:国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」
全体の約45%が、「今の仕事を続けたい」 データ出所:国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」 こちらも過去に比べれば労働意欲は高まり、両立の意識が高まっている。しかし、理想とは別に、現実的としては結婚せずに独身のまま仕事を続けていく意識も高まっている。 データ出所:国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」
理想と現実的なライフコースを見て 理想、現実的は共に専業主婦の割合は下がり、両立の意識が上昇 している。 また、現実的には独身のまま仕事を行う意識も高まっている。 ⇒労働意欲は高まっているとともに、現在行っている仕事を継続した いという意識の高まりがみられる。
3:女性の労働力率の推移 年齢ごとに、女性の労働力率の推移を各年度ごとに比較 労働力率はどのように変化しているのか? 労働力率の変化の背景にあるものは何なのか?
「大学卒での就業者の上昇」 「未婚化による長期就業」 「結婚・出産後も仕事の継続」 データ出所:総務省「労働力調査」 「大学卒での就業者の上昇」 「未婚化による長期就業」 「結婚・出産後も仕事の継続」 (結婚後の就業継続割合は上昇、出産後の就業継続割合は横ばい) 労働力率の特徴として、結婚・出産を機に退職する人が増加し、労働力率が減少する「M字カーブ」がある。 特に20代後半~30代前半の辺りで底を迎える。しかし、底の部分の労働力率は年々上昇している。(赤丸部分) 2010年時点では、30代後半で底を迎えていることから、20代後半~30代前半までの労働意欲が高いことがわかる。また、これらの背景に晩婚化・晩産化が原因と考えられる。
グラフによる考察 女性の就業率 20代後半~30代前半が上昇しており、女性の労働意欲が高まっている ライフコース グラフによる考察 女性の就業率 20代後半~30代前半が上昇しており、女性の労働意欲が高まっている ライフコース 理想、現実的は共に専業主婦の意識は下がり、両立の意識が高まっている また、現実的には独身のまま仕事を行う意識も高まっている。 ⇒現在行っている仕事を継続したいという意識が高まっている 労働力率 20代後半~30代前半の労働力率は上昇している 背景として「大学卒などで就業する者が増えている」 「未婚化の進展による長期的な就業」 「結婚・出産後も就業を続ける者が増えている」などが考えられる
20代後半~30代前半の未婚率は? 未婚化・晩婚化の状態となっている 女性で結婚したい人は約9割。結婚したい意志は高い。 しかし、年齢別で見た女性の未婚率から、20代後半では約 6割、30代前半では約4割が独身であり、結婚出来てない 人は少なくない。(2010年時点「国勢調査」より) 未婚化・晩婚化の状態となっている
6.結論・解決策
なぜ結婚に至らないのか 結論 長期的な女性労働者が増加している 結婚意思を持っている人は減少している ⇒9割の人は結婚願望がある 結論 大学卒による就業率が上昇傾向にある 長期的な女性労働者が増加している 結婚意思を持っている人は減少している ⇒9割の人は結婚願望がある なぜ結婚に至らないのか 政府や自治体は、少子化対策ではなく、結婚支援に重点を置くべき。婚活パーティーの意義は(調査データは)?結婚願望があるにも関わらず結婚しない、あるいは、晩婚化になっている根本的な原因は何?学歴が高いから、は日本に特有。欧州のように、結婚しない夫婦の子供の政治的に権利を認めるということも少子化対策になると考えられるが、日本の風土には合わないのではないか(回帰分析からも婚姻率が出生率に強い影響を与えているので、やはり結婚=>出産という考えになっている)。
解決策 地元を巻きこむ サークル感覚のイベント 広域連帯 見合い・相談は一人ひとり丁寧に マスコミに取り上げてもらう 解決策 地元を巻きこむ サークル感覚のイベント 広域連帯 見合い・相談は一人ひとり丁寧に マスコミに取り上げてもらう 行政が主体となって全国各地に出会いの場の提供をすべき
解決策(事例:奈良県「なら結婚応援団」) 解決策(事例:奈良県「なら結婚応援団」) 創設:2005年 ・県が、結婚を応援する企業や店舗、NPO等(結婚応援団員) と協働し、結婚を希望する独身男女を応援するもの ・出会いの場の提供を活動目的としている ・成婚までフォローする形をとっていない 289組が結婚 (2015年10月現在)
参考文献 厚生労働省 国立社会保障・人口問題研究所 文部科学省 ベネッセ教育総合研究所:http://www.benesse.co.jp/ 国際日本データランキング:http://www.dataranking.com/ 奈良県:http://www.pref.nara.jp/
ご清聴ありがとうございました。