薬局実務実習報告 ~感じたこと、目指す薬剤師像~ いとう薬局日長店 第2期 愛知学院大学 高須 佑香
実習施設概要 住所:知多市日長字神山畔123-10 薬剤師数:3名 医療事務:2名 処方箋枚数:約70枚/日 薬剤師数:3名 医療事務:2名 処方箋枚数:約70枚/日 透析の定期処方(隔週の木・金曜)約30枚/日 特徴: 門前のクリニック:内科、透析センター ⇒普段は内科処方が主、 それに加え隔週での透析の定期処方 市内の小学校の学校薬剤師も担当している 地域に密着した 「かかりつけ薬局」
実習内容・スケジュール 調剤、服薬指導、薬歴への記録、納品等の 基本業務に加え、以下の内容を行った 第1週目 薬局内OTC、覚せい剤・麻薬の取り扱い、レセプト 第7週目 老人介護施設見学 第2週目 学校薬剤師 第8週目 在宅医療 地域医療(産業祭り) 第3週目 薬局製剤、災害対策 第9週目 基本業務 第4週目 薬歴管理 品質管理(アルフレッサ見学) 第10週目 第5週目 薬薬連携 第11週目 セルフメディケーション(OTC) 第6週目 保健所薬剤師
地域医療 ~学校薬剤師~
地域医療:学校薬剤師 知多市では小学校10校、中学校5校に 計15名が学校薬剤師として委嘱 本年度より学校保健安全法が適用 中学3年生に対し、保健体育の授業の 48回のうち1回薬教育を行う
学校薬剤師の検査項目 飲料水、照度・照明環境、プール検査、空気検査、騒音・塵埃(じんあい)、給食室 等 ・今回行った検査: ・今回行った検査: ダニ検査、毒・劇物管理 水質検査(pH・残留塩素濃度) 二酸化炭素濃度検査
ダニ検査 場所:保健室の布団 合格基準:100匹/㎡以下又はこれと同等の アレルゲン量以下 方法: ①保健室の布団の上1平方メートルを1分間 アレルゲン量以下 方法: ①保健室の布団の上1平方メートルを1分間 フィルターをつけた掃除機で吸った ②それを溶解液にひたし1分間揉んだ ③判定試薬を3秒つけ、10分放置した 結果:陰性(<10匹/㎡)
水質検査(pH、遊離残留塩素濃度) 場所:1~3階の水道水 合格基準: pH…5.8~8.6(中性付近が好ましい) セル 場所:1~3階の水道水 合格基準: pH…5.8~8.6(中性付近が好ましい) 遊離残留塩素濃度…0.1mg/L 方法: ①各セルに水を入れた ②右のセルに試薬(※)を入れ、目視で計測した ※pHはBTBを使用し、遊離残留塩素はDPDを使用し計測した 結果:pHは7.2、遊離残留塩素は 0.2mg/Lであった 排水口が詰まっていたので綺麗に清掃するよう 指導した 測定値
二酸化炭素濃度検査 場所:教室 授業開始後10分、授業終了前10分での 計2回測定 合格基準:1500ppm以下でAとされる ストーブを使っている教室であれば COも測定する
二酸化炭素濃度検査 方法: ①検知管の先をチップブレーカーに差し込んで割り、検知部分が空気に触れるようにした ②検知管を本体にセットし、レバーを引き切ったところで45度まわし、固定した 結果:A CO検知管 CO2検知管
調剤業務 ~透析処方~
ご年配の患者が主であるということもあり、分包が必要となる患者が多い 透析処方について 主な特徴 ①処方薬が多い ②用法が複雑である (透析日・非透析日の朝・昼・夕食後・寝る前、透析後2,3時間 等) ご年配の患者が主であるということもあり、分包が必要となる患者が多い
透析の処方例 アルファロールカプセル 0.25μg 1CAP オメプラール錠20 20mg 1錠 1×1 朝食後 14日 フロセミド錠40mg 4錠 2×1 朝昼食後 非透析日服用 8日 ディオバン錠80mg 2錠 アムロジピン錠2.5mg 4錠 2×1 朝夕食後 非透析日服用 8日 ディオバン錠80mg 2錠 アムロジピン錠2.5mg 4錠 2×1 透析後・寝る前 透析日服用 6日 フロセミド錠40mg 4錠 2×1 透析後・夕食後 透析日服用 6日 ※全てONE DOSE ディオバン・アムロジピン錠の用法については医師に疑義照会済み 処方量が多く、 用法が複雑である!
この患者の場合、用法別の分包によって7つに分けられる どのように分包するか? 透析日 非透析日 朝食後 アルファロールカプセル 0.25μg 1CAP オメプラール錠20 20mg 1錠 透析後 ディオバン錠80mg 1錠 アムロジピン錠2.5mg 2錠 夕食後 フロセミド錠40mg 2錠 寝る前 朝食後 アルファロールカプセル 0.25μg 1CAP オメプラール錠20 20mg 1錠 フロセミド錠40mg 2錠 ディオバン錠80mg 1錠 アムロジピン錠2.5mg 2錠 昼食後 夕食後 この患者の場合、用法別の分包によって7つに分けられる
感じたこと ~学校薬剤師~ 地域医療として、地域の学校の環境衛生に貢献している 感じたこと ~学校薬剤師~ 地域医療として、地域の学校の環境衛生に貢献している また、学校での薬教育で児童に対し薬に関する正しい基礎知識を身につけ、興味を持ってもらうことが出来る さらに薬局や病院の外に出ることで「薬剤師」という職業を児童に知ってもらう良い機会となる
感じたこと ~透析処方~ 透析処方を調剤して薬の多さに驚いた そこで薬剤師ができることとしては、 感じたこと ~透析処方~ 透析処方を調剤して薬の多さに驚いた そこで薬剤師ができることとしては、 患者の服薬しやすい工夫をすることではないかと感じた 例えば… 一包化、剤形変更、1剤で2剤分の効果が得られるような薬に変更し錠数を減らす 等の提案
感じたこと ~実習全体を通して~ 調剤室の薬の配置が薬効順であったため、最初は戸惑ったが、11週を過ごした今、非常に勉強になったと感じた 感じたこと ~実習全体を通して~ 調剤室の薬の配置が薬効順であったため、最初は戸惑ったが、11週を過ごした今、非常に勉強になったと感じた 調剤ミスは、調剤の経験を積むことで減った しかし、「慣れ」による思いこみの調剤ミスを起こすことがあった ⇒単純な調剤ほど注意が必要 服薬指導では返答が出来ないことがあった ⇒治療に関することであれば知識をつけることが必要であり、予想外の返答に関することであれば経験を積むことが必要である
目指す薬剤師像 患者に「この薬剤師になら相談したい」と信用される薬剤師 ただ決まり切った投薬をするのではなく、患者の話から治療に繋げる糸口を見つけ、そこから患者自身の心の負担も軽減する 医療機関の外でも活動をすることで、 「薬剤師」という仕事に興味を持ってもらうこと、 また経験を積んだ後、薬学生の教育にも携わる 「手本」を見せることのできる薬剤師
謝辞 今回の薬局実務実習に当たり、伊藤薬局社長である伊藤裕至先生、指導薬剤師である長坂信介先生を始め、ご協力いただいた先生方、スタッフの皆様には、温かいご支援・ご指導を賜りました。 大学ではもちろん、機会がなければ薬剤師でも経験できない薬剤師業務を経験することが出来ました。 非常に貴重な経験をさせていただき、有難うございました。