『医療者と患者を支える診療ガイドライン』

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がんの家族教室  第3回 緩和ケアには何が出来るのか? 愛知県がんセンター中央病院 緩和ケアセンター 下山 理史(医師) 松崎 雅英(薬剤師)
~ 回答数  ~ 回答数 206.
(木) 東京西徳洲会病院 緩和ケア認定看護師 黒田 裕子
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ホップ ステップ ジャンプ プログラム 新しく就職されるみなさんをサポートするために あなたの輝く個性に寄り添って 11月 8月 9月
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介護予防サービス・支援計画表 記入のポイント.
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調剤薬局のOTC展開 (エッセンシャルOTCの活用)
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患者とかかわる際に 行うこと・行わないことの指針
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練習問題アイテムバンクの開発研究 ~再生形式~
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「“人生の最終段階における医療” の決定プロセスに関するガイドライン」
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平成19年度青年部会「第2回~第4回研修会」(人材育成研修会)実施計画書
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『医療者と患者を支える診療ガイドライン』 第5回EBMフォーラム 『医療者と患者を支える診療ガイドライン』

患者として 「乳がん診療 ガイドラインの解説」 作成に加わって 曽我千春 日本乳癌学会 乳がん患者向けガイドライン作成小委員会/患者委員 がん患者の生活サービス会社 VOL-NEXT 代表取締役       曽我千春

患者向け 「乳がん診療ガイドラインの解説」の作成まで 患者向け 「乳がん診療ガイドラインの解説」の作成まで 2002年 日本乳癌学会       「乳がん診療ガイドライン」 作成着手 2004年 乳癌学会総会で完成発表 ①薬物療法 (金原出版から販売) 2005年 「乳がん診療ガイドライン」 出そろう ②外科療法            ③放射線療法 ④検診・診断 ⑤疫学・予防

『患者にも、 ガイドラインに基づく標準治療を 伝える必要がある』 「乳がん患者向けガイドライン 作成小委員会」 設置  ガイドラインに基づく標準治療を  伝える必要がある』 2005年秋  日本乳癌学会   「乳がん患者向けガイドライン   作成小委員会」 設置     →作成作業7カ月 (5回の委員会・東京にて) 2006年7月 乳癌学会総会で、完成発表      「乳がん診療ガイドラインの解説」              (金原出版から販売)

「乳がん患者向けガイドライン作成小委員会」 日本乳癌学会 「乳がん患者向けガイドライン作成小委員会」 委員長:関西労災病院 乳腺外科 高塚雄一 医師委員: 6名  看護師委員:2名 薬剤師委員:2名 患者委員: 2名 あけぼの会 富樫美佐子 (有)VOL-NEXT 曽我千春

私が作成委員に加わった理由 ~手術・放射線・薬物治療 VOL-Net を立ち上げる 有限会社VOL-NEXT 設立 1999年(33歳時) 乳がん告知             ~手術・放射線・薬物治療 2002年 乳がん患者ボランティアグループ       VOL-Net を立ち上げる 2004年 がん患者生活サービス事業会社       有限会社VOL-NEXT 設立      「がん患者サービスステーションTODAY!」 運営

がん患者一人一人の 「納得できる治療」 「安心できる生活」 「自分らしい生き方」         のために

医療面で 生活面で 雇用面で 心を支える面で 患者さんのニーズに 徹底的に応える がん患者支援サービス

がん患者サービスステーション TODAY! 青山ステーション WEBステーション http://www.v-next.jp/ 医療相談 生活相談 医療情報 治療講習会 生活情報 心のカウンセリング 病院情報 リラクゼーション Shopping Mall TODAY!

がん患者サービスステーション TODAY! ネイルケア 最新情報収集 Shopping Mall TODAY! 治療講習会 アロマレッスン 生活相談・医療相談 心のカウンセリング

WEBステーション http://www.v-next.jp/ 医療情報 生活情報 病院情報

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地域によって、病院によって、医師によって こんなにも「治療に差」があってよいのか!? この2年半、 私共がん患者生活コーディネーターが、 約4500人の患者さんとの出会いを通して、 最も驚いていることは・・・ 地域によって、病院によって、医師によって こんなにも「治療に差」があってよいのか!?   診療内容のばらつきは大きい   主治医とのコミュニケーションが   とれていない現状

患者一人一人が ガイドラインに基づく標準治療を 知っておく必要がある! 自分の治療内容を整理・確認できる 主治医と患者が  自分の治療内容を整理・確認できる 主治医と患者が よりよいコミュニケーションをとりながら 全国どこの病院でも、その時点での 最良の治療を選択していくことができる

「誰でもが手に取れて、 標準治療を正しく、わかりやすく 解説するもの」の必要性 今回の作成委員会に、 曽我は、 患者代表ではなく、  今回の作成委員会に、  曽我は、  患者代表ではなく、 「大勢の患者の声を伝える役」として参加

作成にあたって 「乳がん診療ガイドラインの解説」   患者が抱える疑問や不安に 医療者がエビデンスを整理して答えていく     〈Q&A形式〉

作成フロー 出版 ①患者委員から、患者さんからのよくある質問 (約400個)を提出 VOL-NEXTから250個の質問を提出・・・  患者さんからの質問を集め、  医師向けガイドラインの項目に分類して提出 ②作成委員会で、一つ一つ吟味→46個に絞り込む ③各領域の専門の医療者が回答をつける ④内容、表現方法、言葉の使い方などの吟味を重ねる ⑤「診療ガイドライン委員会」  「評価委員会」「理事会」での承認審査 出版

作成作業を通して苦労した点 ●質問の絞り込みで、患者と医療者の関心事が違う ●エビデンスに忠実に回答をつける医療者と  それを受け止める患者の心理のずれへの調整  ・生存率、再発率などのデータの扱い  ・患者にとって深刻な状況の記述がある場合の配慮 ●医療者が当たり前に使う用語や表現を  患者が理解できる言葉に直していく作業 ●「患者向け」の基準をどのあたりにするか  ・一人一人の「理解度」「知りたい度合い」が違う  ・段階に応じても、ニーズが変わる ●作業量が多く、日常業務との調整が必要

作成作業に参加して 患者さんと医療者に伝えたいこと 患者さんへ この「ガイドラインの解説」を、自分にとっての 「最善の治療」を目指すための、 理解や整理のためのツールとして、 また、主治医とよりよいコミュニケーションをもち、 信頼し合える関係をつくるためのツールとして 上手に活用してほしい 「この作成作業のなかで、医療者と患者のコミュニケーションを困難にしている認識のずれや意識の違い発見することもあったが、その一方で、標準治療を伝えていここうとする医療者の熱意と姿勢に振れることができた」

作成作業に参加して 患者さんと医療者に伝えたいこと 医療者の方へ 「ガイドラインの解説」を読めば、 患者さんが理解し、納得し、満足するわけではない。 やはり、患者は、 「主治医の口から、主治医の言葉で、説明を受けたい」 と願っている。 日々の診療での患者さんとの向き合い方も、 大切にしていただきたい。

今後も、内容、伝え方について、 検証、改善していく必要がある 今後の課題 ーシステム化の必要性ー 「ガイドラインの解説」を 今後の課題 ーシステム化の必要性ー 今後も、内容、伝え方について、  検証、改善していく必要がある 「ガイドラインの解説」を よりよいものへと改善し続け 「継続」していくために 予算・運営の仕方も含めて 開かれた「システム化」が必要