平成26・27年度 立川市教育委員会研究協力校 研究主題 「自他を尊重する人権感覚を育む教育活動」 ~自尊感情や自己肯定感、思いやりの心を 育てるための教育活動の工夫~ 立川第六中学校では、平成26.27年度 立川市教育委員会研究協力校として、研究主題「自他を尊重する人権感覚を育む教育活動」~自尊感情や自己肯定感、思いやりの心を育てるための教育活動の工夫~として、この1年間取り組んできました。
研究主題設定の理由 【平成24・25年度の研究】 「基礎的・基本的な学力の定着と学習意欲の向上」~わかる喜び・できる自信を育む授業の創造」 【課題】 コミュニケーション力の向上 互いの存在を認め合える人権感覚の向上 自尊心、自己肯定感を伸ばす 本校の課題は、人との関わり方が苦手な生徒が多く見られ、トラブルになることや集団が苦手、悪口やからかい、自分を素直に出せないなど、自尊感情や自己肯定感が十分ではないように見受けられ、意欲を育む学習集団になりきれていない現状が見られました。
研究の構想図 人権感覚 自己肯定感・自尊感情 KJQマトリックス 人権感覚を高める Q-U 工夫・手立て アンケート 〈目指す生徒像〉 自他の大切さを認め合い、人権を尊重する生徒 自己の存在価値を認識し、自分の持てる能力を最大限発揮しようと努め、自己実現できる生徒 人権感覚 自己肯定感・自尊感情 研究を進めるにあたり、本校の生徒の実態を把握するために、KJQマトリックスとQ-Uを実施いたしました。 また、人権感覚を高める取り組み後には生徒よりアンケートを行い、その成果を確認し、次の取り組みへ向けての工夫や改善に役立てました。 KJQマトリックス Q-U アンケート 人権感覚を高める 工夫・手立て 各教科 道徳 特別活動 総合的な学習の時間
KJQマトリックス ・57の質問項目 ・一覧表、生徒用シート ・生徒用ワークブックの活用 KJQマトリックスでは、生徒の「心の土台」を「こころのエネルギー」と「社会生活の技術」という2つの次元で捉え、生徒一人一人の心の状態を把握でき、同時にそのクラスがどのような心の生徒からなる集団であるかを把握することができるアンケートです。 ・57の質問項目 ・一覧表、生徒用シート ・生徒用ワークブックの活用
項目別 こころのエネルギー 安心感 認められる 体験 楽しい体験 KJQマトリックスの結果から、本校の特徴が見いだされました。 「こころのエネルギー」の観点では、「認められる体験」が少ないこと、「安心感」が不足していることが判明しました。 認められる 体験 楽しい体験
自分をコントロール する技術 人とうまく やっていく技術 状況を正しく 判断する技術 社会生活の技術 自分の気持ちを伝える技術 自分をコントロール する技術 人を思いやる技術 「社会生活の技術」の観点では、「自分をコントロールする技術」、「人とうまくやっていく技術」が課題であることが判明しました。 人とうまく やっていく技術 状況を正しく 判断する技術 問題を解決 する技術
自尊感情・自己肯定感を高める活動 行事における一人一言 人権標語の作成 生徒会の取組 その他 その結果、本校では、自尊感情・自己肯定感を高めるために、肯定的な働きかけを仲間に対して行う活動場面を設定し、今年度は特別活動を中心とした取組を行ってきました。 その代表的な活動は、行事における一人一言、人権標語作成、生徒会の取組です。 その取組について紹介します。
合唱コンクールにおける一人一言 合唱コンクールでは全学級で、生徒がクラスの一人一人に頑張っていたことなどをメッセージにして渡す取組を行いました。
95% 76% 67% 93% 89% 合唱コンクール アンケート結果 メッセージをもらって うれしかった 自分のよさがわかった 自分に 合唱コンクール アンケート結果 とても思う 思う あまり思わない 思わない 95% 76% メッセージをもらって うれしかった 自分のよさがわかった 67% 93% 89% 一人一言のアンケート結果では、周りの友達の評価により、自己肯定感の向上につながる取組ができたと思われます。 自分に 自信がついた 仲間のよさを見つける ことができた 自分の気持ちを 伝えることができた
観察対象生徒の感想 KJQの実態から学校生活に意欲を見いだせていない生徒の感想では、このような感想が寄せられ、自己肯定感が上がったことがうかがえます。
人権標語 写真 次に人権標語の作成です。 12月の人権週間にあわせて、各クラスの学級活動で「人権について」学習した後、人権標語の作成に取り組みました。 全員の標語を掲示し、お互いのことを考える場を設けました。 「ありがとう 今日は何回 言えたかな」という作品が選出されました。
90% 87% 90% 85% 人権標語のアンケート結果 自分の気持ちを 標語にして伝える ことができた みんなの人権標語を 見て共感した 標語があった とても思う 思う あまり思わない 思わない 90% 85% この人権標語の取組に対してのアンケート結果では、多くの生徒が相手のことを考えたり、やってみようと思うなどの肯定的な結果が得られました。 相手の立場になって 物事を考える 機会になった 心がけてみよう、 やってみよう と思った
生徒会の取組① 生徒自ら企画する挨拶運動 「もう少し大きな声であいさつをしたい」 「あいさつを返してもらえないこともあり、工夫していきたい」 生徒会の取組では、生徒会自ら企画した挨拶運動があります。 挨拶運動の目的、心がけることを考え、各専門委員会に伝え、実践し、次に工夫することはないかを話し合い、次の挨拶運動に生かしています。
生徒会の取り組み② 赤い羽根募金活動 「自分の殻を破って『お願いします』と言えたことが、たくさんの募金につながった。」 「企画書も手書きから始めて、『絆を深めよう』ということも達成できた。地域の人々のおかげもあってこれだけのお金を集めることができた。」 また生徒会は、「社会に貢献できることはないだろうか」と考え、立川駅で赤い羽募金活動を行いました。 105,302円の募金が集めることができ、生徒会の役員は、達成感や成就感、多くの人の支えや励ましを実感することで、自己肯定感を高めることができました。
その他の取組 意図的な働きかけ いじめ防止教室 道徳授業 その他の取組としては、自尊感情や自己肯定感が低い傾向にある生徒に意図的に働きかけ、KJQの変容を見ていきます。 いじめ防止教室では、湘南DVサポートセンターの瀧田先生をお迎えして、いじめ防止について学習し、道徳では、人権に関するテーマでの授業を展開しています。
ワールドカフェ方式での校内研修会 また校内研究の協議方法では、ワールドカフェ方式を元にした形式で行っています。 これにより、先生たちが自ら積極的に関わることができ、活発な討議が行われ、校内研修が進められています。
成果 KJQから生徒の実態を把握し、指導に生かすことができた。 一人一言のメッセージは、もらった生徒がとても喜んでいた。 人権標語作成では、人権についてよく考えさせることができ、啓発につながった。 生徒会のあいさつ運動、街頭募金は、自主的な取り組みにより、やりがいを感じさせることができた。 これらのことから、 KJQマトリックスの実施により、生徒一人一人の心の状態を把握でき、 取り組みとしては、一人一言のメッセージ、人権標語作成、生徒会の自主的な活動は、一定の成果を上げられました。
課題 生徒同士の関わりを増やす取り組みを工夫していく。 いろいろな角度から自尊感情や自己肯定感を高める活動の工夫をしていく。 生徒アンケートが多くなってしまうことへの配慮が必要である。 課題は、 生徒同士の関わりを増やす取り組みを工夫していくことなど、 があげられます。
ご清聴ありがとうございました 来年度は、各教科における授業の中で、人権感覚を高める活動に取り組んでいくことを目指しています。 ご清聴ありがとうございました。