訪問リハビリテーション(地域ケア)従事者にとって重要と思われる考え方 生活期のリハビリテーション 訪問リハビリテーション(地域ケア)従事者にとって重要と思われる考え方
生活期リハの専門性の基本 ★医学モデルによる治療的アプローチ 患者と捉え、悪い部分を治す、正常に近づける 個人の部分に働きかけるアプローチ PT・OT・ST=治療者 ★生活モデルによる適合的アプローチ 生活者と捉え、その人らしい生活再建、質の向上を行う、個人と環境とその関係性に働きかけるアプローチ PT・OT・ST=生活コーディネータ
ストレングスアプローチ 対象者の本来有する強みに焦点をあてて、協働的関係の中で問題を解決していく視点。 ストレングスの視点:その人が抱える病気や障害・問題よりも、その人が持つ強み・興味・能力に目を向け、それらをエンパワーしながら自立支援につなげていく。 (エンパワメント⇒主体的に行動するよう支援すること)
四つのストレングスのタイプ ①人の性質・性格 ②技能・才能 ③環境のストレングス ④関心・願望
自分自身のストレングスを探してみましょう <例> ①人が大好きです。 ②早食いです。 ③寝ると嫌なことを忘れます。 ④本を読むのが早いです。
自分のストレングスを4つのタイプを意識して、探してみましょう 自分のストレングスを4つのタイプを意識して、探してみましょう ① ①´ ② ②´ ③ ③´ ④ ④´
もう一度ストレングスの視点で演習を展開してみましょう 次の事例でストレングスを発見しましょう。 <事例1> D看護師が突然、相談室に来所しました。「Aさん(68歳女性)なんだけど、体重が重くてトランスファーが大変なの!!早く転院か、退院させてよ!!!」 D看護師は仁王立ちの状態で、前に立っています。
さあ、D看護師のストレングスを3つ以上、見つけてください さあ、D看護師のストレングスを3つ以上、見つけてください ① ② ③ ④
次のスタッフのストレングスを探しましょう。10個以上見つけてください。 <事例2> 同僚のBさんは、26歳、作業療法士、女性。訪問リハビリテーション事業所へ移動となって、まだ3ヶ月です。最近、ため息が多くなっているBさんに声をかけたところ、担当利用者さんのHさんのADLが低下しつつあり、自身のアプローチ方法に自信を無くしているとの話が聞かれた。様々なアプローチ方法を試してみるもHさんの変化はなく、このままでは、自宅での一人暮らしを続けるのが困難となってくると、Bさんは思いつめていました。Hさんは、ガーデニングを趣味としており、今まで育ててきた花々を見ることも好きだったようで、その花々が枯れてきたこともHさんの元気を失わせる結果となっているのではと心配していました。
Bさんのストレングスを探してくだ さい。 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩
追加演習
リフレーミング 物事を見たり考えたりするときの枠組み(フレーム)を変える方法。 ものの見方、考え方が変わるだけで、そこから出てくる行動も変わってくる。 リフレーミングは、人や組織、地域の問題を解決することにもつなげることができる。
リフレーミングの例(人の場合) ★せっかち・・・。いつもバタバタしている・・・ リフレーミングすると・・・ 迅速に素早く仕事を処理できる。 リフレーミングすると・・・ 迅速に素早く仕事を処理できる。 多くの仕事をこなせる。
リフレーミングの例(組織の場合) ★利用者から苦情が出て、疲れ果てる・・・ リフレーミングすると 自分自身の意見を言える利用者である。 リフレーミングすると 自分自身の意見を言える利用者である。 利用者の意見から組織を変えていけるかもしれない。 苦情を言ってもらえる組織。
リフレーミングの練習 自分の短所は? リフレーミングすると・・・
発想のトレーニング のどが渇いているあなたに差し出されたコップの水。この量をあなたはどう感じるか? 半分しかない! 半分もある! 半分しかない! 半分もある! 不満や怒り 満足と感謝 物事の事実は変わらなくても、本人の受け取り方だけで不幸にも幸福にもなれる。
要介護高齢者の場合の応用 用事が半分しか 用事が半分も できない! できる! 用事が半分しか 用事が半分も できない! できる! 価値がない! 生きているだけ 死にたい! で感謝! 抑うつ・不満 自己肯定・満足 テクニックとしての価値観(発想)の転換を促し、常に前向きな思考を促す!
幸福とはいったい何か? 何がどうなれば幸福か? どんな状況であれ、本人が幸福と感じたとき 本人の価値観の転換が重要
地域ケア従事者としての重要因子 1:コミュニケーション能力と意識 2:チームワーク 3:心づかいと配慮の気構え 4:現実も真摯に受け止められる
チームワークとは 連絡 相談 報告 報 連 相(報告⇔連絡⇔相談) 報 連 相はセットで、 かつサイクル。どこかを 途絶えさせてはいけない。 報 連 相(報告⇔連絡⇔相談) 報 連 相はセットで、 かつサイクル。どこかを 途絶えさせてはいけない。 ケースにより必要か不必要かを判断することは、かなり難しい。丁寧に継続することでハイテクニックな技術。
コミュニケーション能力と意識 1:利用者様に対するコミュニケーション 2:関連外部の方とのコミュニケーション 3:職場内での職員間でのコミュニケーション 4:職員間での日常コミュニケーション
質の向上について 訪問セラピストの質を構成する基本的要素 ★バランス・相互作用 が大事 情意 技術 知識
知識 ★ICF関係 健康:疾病理解(病理、治療等)のための医学的知識 心身機能: 活動: 作業・理学・言語聴覚療法知識等 参加: 環境:地理、住環境学など 個人:歴史、社会学など ★訪問リハ遂行のための制度理解(例 介護保険) 生活機能と結び付くか否か
技術 実は知識と表裏一体 セラピストとしての専門技術 人と接する仕事としてのコミュニケーション(接遇)技術 対利用者&家族 対多職種
情意 ★情意レベルが低いとどうなるのか? 共感・共有ができない 人の気持ちが分からない ★大人である自分を育てることは可能なのか? 環境を整える 仲間(メンターを!) 機会を持つ 充実感を持てるか否か
介護支援専門員がリハ職に 求めること この対象者が改善するためのリハビリの必要性の有無 またリハビリの必要量 提示してほしい
担当者会議におけるセラピストの役割 ★活動ができない因子を個別レベルで評価し、予後予測を行う ・改善可能なものは →適切な運動プログラムや生活支援に繋げる ・改善できないものは →代償する物や人的サービスとしてケアプランに組み込む
活動・参加につなげる訪問リハビリテーション 活動・参加につなげる生活期リハのポイント 活動・参加につなげる生活期リハは、その人の心と向き合い、本人があきらめかけていた人生を、もう一回主体的に歩み始める事のお手伝いをすること。人生最大の危機に、その人の持てるものと、周囲の人や環境を総動員し、その人なりの幸福を紡ぎだし、継続していくこと。