Presenter: Yannis Panayotopoulos

Slides:



Advertisements
Similar presentations
基本編: はじめての UNIX UNIX の基本的なコマンドを使ってみよう . 応用編:地震波形を使って震源を決めてみよ う 1.波形データをインターネットから取得しよう 2.地震波形を読もう 3.震源を決めてみよう 地球惑星物理学実験 II.
Advertisements

平成16年11月26日 (金) 第822回地震研究所談話会1 新潟県中越地震緊急観測 中越地震緊急観測グループ報告者:平田 直 謝辞:本調査研究は科学研究費補助金(特別研究促進費) 「 2004 年新潟県中越地震の余震に関する調査研究」の補助を受 けています。 一部の研究は、科学技術振興調整費・緊急研究「平成.
2. 地震. 2.1 地震と災害 地震災害 濃尾地震の被害写真 地震断層の出現 — 揺れ による圧死 濃尾地震の例 内陸地震。 1891 年(明治 24 年 ) 10 月 28 日午前6時 38 分。深 さ 10 〜 20km 。 M8.0 。震度 7 つ まり激震。死者.
2004 年新潟県中越地震と スマトラ沖巨大地震の 震源で何が起こったのか? 八木勇治 (建築研究所・国際地震工学セン ター)
1 大地形 ( 1 ) 日本は4枚のプレートの会合する【 】境界 」付近に 形成された【 】列島 【 】プレート ・【 】プ レート(海洋プレート) 【 】プレート ・【 】プレー ト(大陸プレート) 狭まる 弧状 太平洋 フィリピン海 ユーラシア 北アメリカ.
土木構造物の点検の流れ 平成24年11月28日 大阪府都市整備部 事業管理室 平成24年11月28日(水) 09:30 ~ 第1回南海トラフ巨大地震土木構造物耐震対策検討部 会 資料-3 1.
強震動予測手法に関する ベンチマークテスト (その6:理論的手法) ○ 久田嘉章・松本俊明(工学院大学) 永野正行(東京理科大学) 野津 厚(港湾空港技術研究所) 宮腰 研(地域地盤環境研究所) 中川太郎(株式会社フジタ) 浅野公之(京都大学防災研究所)
高精度画像マッチングを用いた SAR衛星画像からの地表変位推定
「統計的モデルに基づく地球科学における 逆問題解析手法」
関東地質調査業協会 第18回「技術者のための新春の集い」 東京大学地震研究所 平田 直
長周期地震動対策関係省庁連絡会議(第5回)
プロジェクトZ 観測戦略シリーズ 第2回 「地震予知の観測網の将来」
2007地盤震動シンポジウム 内陸地殻内地震の相互比較 -類似点と相違点-
5年間全体の計画と平成17年度の研究計画について
2004年新潟県中越地震の 本震と余震 東京大学地震研究所 平田 直
衝撃波によって星形成が誘発される場合に 原始星の進化が受ける影響
南アルプス地域・糸魚川-静岡構造線断層帯付近の地震活動と地殻構造 SEISMICITY AND CRUSTALL STRUCTURE ALONG THE SOUTHERN JAPANESE ALPS SEGMENT OF THE ITOIGAWA-SHIZUOKA TECTONIC LINE ヤニス.
地震の特徴と 住宅を中心とした被害の特徴 02T3066A 平井 美緒
応用編:地震波形を使って震源を決めてみよう
中央構造線断層帯の深部構造と準静的 すべりに関する測地学的推定
Ⅱ.東南海・南海地震に関する調査研究-予測精度向上のための調査研究- 2.微小地震分布を把握するための海底地震観測研究 2-1.想定震源域および周辺における地殻構造と地震活動の対比等に関する研究(東南海・南海17-1-3) 九州大学理学研究院附属地震火山観測研究センター 課題:想定震源域と周辺域(日向灘)の地震活動、地殻構造、起震応力場を比較して、震源域の固着状態とその要因を推定する。
2007年度 地震発生論セミナー エネルギー論の観点から
1-1 地震と断層 1-2 プレートテクトニクスと地震 1-3 日本列島周辺の地震 1-4 地域の活動度 1-5 主な被害地震と教訓
破砕帯地すべりの多面的解析とその対策 ~分杭峠地すべりについて~
Cluster B Cluster A Cluster C
強震波形と測地データから推定した 2008年岩手・宮城内陸地震の震源過程
ランダム不均質媒質中の非等方震源におけるベクトル波エンベロープ合成
2.2 地震の基礎.
東京大学地震研究所 地震予知研究センター 平田直
セッション3:最近のミスマッチの実例分析 実例2:地震予知 地震予知情報発信のされ方について 予知研究の現場から
活断層と原発.
山中 佳子(准教授) 専門:地震学 巨大地震発生  メカニズムの解明 リアルタイム     地震学.
強震動予測手法に用いる ベンチマークテスト その1:概要
2013年7月のヤマセについて 仙台管区気象台 須田卓夫 昨年のまとめ(赤字は研究会後の調査)
1.テーマ名:大都市大震災軽減化特別プロジェクト I 地震動(強い揺れ)の予測: 大都市圏地殻構造調査研究成果の概要
関東地震 02T3601D 荒木太郎.
1923年関東地震の強震動シミュレーション 古村孝志 (東大地震研究所) より“短周期地震動”予測を目指してー現状と課題
地球の層構造 Bullen, Keith Edward ( )
統計的震源モデルと 半無限平行成層グリーン関数 による高振動数強震動の計算法
F. Lascaux, E. Masciadri, and S. Hagelin MNRAS, 411, 693 (2011)
自然地震・制御震源を用いた内陸活断層の深部モデルと地殻内三次元構造モデルの構築に関する研究
水(?)はプレート間カップリングを 変化させるか? ー 茨城・福島沖の場合 ー 名古屋大学 山中 佳子 昨年度のシンポジウムで
断層の準静的モデルの構築と 歪蓄積過程に関する研究 断層モデル等の構築 (1)活断層の準静的モデル 橋本・大谷(京大防災研)
モホロビチッチ不連続面 ――― 地殻とマントルの境界面のこと。ここで地震波の速度が大きく変化する。
マントル対流数値シミュレーションと 地球内部構造 Mantle Convection and Interior of the Earth
Earthquake Research in Japan and the 2011 Tohoku-oki earthquake
治療用フィルムによる線量分布測定の 基礎的検討Ⅱ
反射法構造探査およびトモグラフィーによる関東地方のプレート構造と相似地震活動
Fermi Bubble における粒子加速の時間発展と放射の空間依存性
工学的基盤面の設定について 平成25年3月27日 大阪府都市整備部 事業管理室 資料-2 平成25年3月27日(水)09:30~
(3)断層帯周辺における自然地震観測:稠密アレー観測
南海トラフ沿い巨大地震サイクルに おける内陸活断層の破壊応力変化
統計的震源モデルと 半無限平行成層グリーン関数 による高振動数強震動の計算法
資料: 報道発表資料 気象庁マグニチュード算出方法の改訂について。
スラブ内地震の震源過程と強震動 神戸大学理学部  筧 楽麿.
堆積炭塵爆発に対する大規模連成数値解析 研究背景 研究目的 計算対象および初期条件 燃焼波の様子(二次元解析) 今後の予定
破砕帯地すべりの多面的解析とその対策 ~分杭峠地すべりについて~
EIC地震学レポート(25) 2003年5月26日宮城沖地震(Mw7.0)の震源過程 山中佳子・菊地正幸
首都直下地震の姿と防災対策 日本地震学会 東京大学地震研究所 平田直 Workshop 14:40~16:30(110分間)
ガウス分布における ベーテ近似の理論解析 東京工業大学総合理工学研究科 知能システム科学専攻 渡辺研究室    西山 悠, 渡辺澄夫.
跡津川断層トレース近傍に おけるVLF-MT探査 :雁行状断層破砕帯の可能性
地球環境気候学研究室 谷口 佳於里 指導教員:立花義裕 教授
1948年福井地震レポート 00t3032j   荒瀬 公三.
栗駒火山周辺の地震活動と3次元磁気構造 解析範囲 栗駒火山.
福井地震 02T3056C 永井 綾 福井地震.
防災工学 関東大震災.
日本における中規模以上の地震発生タイミングの衛星画像からの把握について
2019年5月10日日向灘の地震 地震概要(気象庁発表資料より) 2019年5月10日8時48分 マグニチュード:6.3(暫定値)
2018年9月6日胆振地方中東部の地震 (試作版:地震発生から12時間以内の公開を想定)
RCはりをU字型補強した連続繊維シートによる
Presentation transcript:

Presenter: Yannis Panayotopoulos Seismological evidence of an active footwall shortcut thrust in the Northern Itoigawa-Shizuoka Tectonic Line   Yannis Panayotopoulos, Naoshi Hirata, Takaya Iwasaki, Shin'ichi Sakai, Hiroshi Sato (ERI, Univ. Tokyo) Presenter: Yannis Panayotopoulos

Mjma 6.7、 2014年11月22日 22:08:17 (UTC+9) 深さ 4.59 km. 1. はじめ:2014年長野県北部地震 Mjma 6.7、 2014年11月22日 22:08:17 (UTC+9) 深さ 4.59 km. 震源断層は糸魚川静岡構造線の神城断層(ISTL) (気象庁, 2014). Strike: 100 Dip: 600 Rake: 590 (気象庁, 2014)

どのような断層? 東傾斜低角逆断層(~20o). 西傾斜逆断層(30o~40o). 2. 糸魚川静岡構造線 (ISTL) 北部ISTL: (例: Sato et al., 2004) どのような断層? 糸魚川・静岡構造線(糸静線)って何? East dipping 糸静線は本州を北東と南西部分に分ける内陸断層帯である East dipping or high angle? 南部ISTL: 西傾斜逆断層(30o~40o). (例: Panayotopoulos et al., 2010) West dipping

Paleozoic-Mesozoic rocks (Inner Zone) 3. 糸静線付近の広域的な地質構造 N.F.M Miocene rocks 北部 : 北部フォッサマグナと内帯(古生代日本列島の付加体)の境界(例:Sato et al. 2004) 中部 : 松本盆地と中央隆起帯の境界(例: Ikeda et al 2004) 南部 : 南部糸静線:伊豆小笠原弧で形成された地殻と本州弧の外帯の境界(例:Kano 2002) (Positive Bouguer anomaly) Central Uplift Zone I.S.T.L Paleozoic-Mesozoic rocks (Inner Zone) Mesozoic – Cenozoic rocks (Outer zone) Mt. Fuji  Izu-Bonin 4 4

6年合計 308点 4. 過去の観測データ(糸静重点及びパイロット) 平成20年度 平成18年度 平成19年度 平成17年度 平成15年度 4. 過去の観測データ(糸静重点及びパイロット) 平成20年度 糸魚川-静岡構造線断層帯パイロット的な重点的調査観測 2003年8月04~2003年11月21日 66点    糸魚川-静岡構造線断層帯における重点的な調査観測 2005年9月16日~2005年12月22日 60点 2006年9月13日~2006年12月12日 60点 2007年8月20日~2007年11月23日 33点 2008年8月25日~2008年11月30日 44点 2009年6月01日~2009年10月01日 45点 平成18年度 平成19年度 6年合計 308点 平成17年度 平成15年度 平成21度

5. 北部糸静のトモグラフィ解析 合計 275 観測点 臨時観測点 2006: 60 観測点 2007: 33 観測点 5. 北部糸静のトモグラフィ解析 合計 275 観測点 臨時観測点 2006: 60 観測点 2007: 33 観測点 2008: 44 観測点 138 定常点 ●地震データ: 2006年9月13日~2006年12月12日 463個 2007年8月20日~2007年11月23日 379個 2008年8月25日~2008年11月30日 351個 ★同時期に行われた5の発破 手動読み取り値数: P 波: 51048 S 波: 60620

鮮新世インバージョンによるおよそ23km短縮 ISTLは盆地の西縁になる Inner Zone Rocks 中央隆起帯: 6. P波速度構造と地質 NFM ISTL 北部フォッサマグナ:  中新世のリフト盆地  最大深度6km  鮮新世インバージョンによるおよそ23km短縮 ISTLは盆地の西縁になる Inner Zone Rocks NFM 中央隆起帯: 正のBouguer異常帯 中新世インバーインテクトニクスによって隆起 CUZ CUZ MAT 松本盆地: 浅い第四紀盆地 ISTLは盆地の東縁になる 内帯:  古生代日本列島の付加体 MAT 7

7. P波速度構造と地質と発震機構解 中部糸静線: 主に斜め横ずれ 北部糸静線: 徐々に逆断層に移り変わる 北部 ISTL 中部 ISTL  中部糸静線: 主に斜め横ずれ  北部糸静線: 徐々に逆断層に移り変わる 北部 ISTL 中部 ISTL 発震機構解(Imanishi et al.,2010)

8. 北部糸・静線の断層形状  (Panayotopoulos et al., 2014) (Sato et al., 2004) (Kondo et al.,2008) 神城断層、松本盆地東縁断層(北部) 15o~30o低角逆断層 (Sato et al., 2004; Panayotopoulos et al., 20014) 松本盆地東縁断層(南部)牛伏寺断層~700斜め横ずれ(Kondo et al., 2008; Panayotopoulos et al., 2014)

9. 長野県北部地震余震活動の震源決定について 9. 長野県北部地震余震活動の震源決定について 解析の流れ:  神城断層周辺の42個の定常点を使用した  hypomh4を用いて北部フォッサマグナの中の観測点には堆積層の影響を考慮して低P波速度構造を与えて、それ以外の観測点に関しては平均的なP波速度を与えた  JHDと同様な手法で15回反復計算して観測点補正値と初期震源を決定した  DD法を用いて最終的な震源位置を求めた  DD法の3次元構造とパラメータはPanayotopoulos et al., 2014と同様 (Panayotopoulos et al., 2014)

10. 震源分布 ○:気象庁震源 ●:本研究 (Panayotopoulos et al., 2015; Tectonophysicsに投稿中)

11. 地震活動分布 逆断層型地震は最初の12時間ぐらいに限られる 横ずれ型地震は翌日12:00以降が活発になる 11. 地震活動分布 (Panayotopoulos et al., 2015; Tectonophysicsに投稿中)  逆断層型地震は最初の12時間ぐらいに限られる  横ずれ型地震は翌日12:00以降が活発になる

12. 断層モデル 地質 国土地理院のInSARの解析: セグメントIIIの中で地表の最大変位は神城断層の東側で1m隆起、西側で20cm沈降 12. 断層モデル 地質  国土地理院のInSARの解析: セグメントIIIの中で地表の最大変位は神城断層の東側で1m隆起、西側で20cm沈降 余震活動: セグメントI,II,IIIの中では少ない。セグメントIV,V の中で活発。震源はセグメントIIIとIVの境界以外、深さ2km以上では発生しない  先行研究: 地震時の滑りが大きい場所には余震が少ない。 地震時の滑りの小さい場所に余震が集中する。(例:Beroza & Zoback, 1993; Hirata et. al., 1996; Woessner et.al., 2006; Kato et al., 2010) 本研究提案: セグメントIIIの深部(深さ4km~10km)が地震時滑りが大きい。 セグメントIV,Vの深部に地震時滑りが小さい InSAR 震源分布 (Panayotopoulos et al., 2015; Tectonophysicsに投稿中)

13. 神城断層と小谷中山断層の関係(Footwall Shortcut) 北部糸静線Footwal Shortcut構造提案 South WalesのFootwal Shortcut構造(例:Powell et al., 1989) Carboniferous to Permian Cambrian to Devonian (Panayotopoulos et al., 2015; Tectonophysicsに投稿中)

14. まとめ 2014長野県北部地震の余震活動において震源断層の形状を求めた。震源断層の上部が神城断層の地表トレースと一致して300~450 南東に傾斜する。一方、震源断層下部が小谷-中山断層と一致して 500~650 南東に傾斜する。 神城断層は小谷-中山断層から分岐したFootwall Shortcut逆断層として Pleistocene(更新世)に形成された。 長野県北部地震の震源断層に発生する余震の発震機構解は、逆断層と左横ずれ成分を両方持っていて、現在の応力場と過去の断層形状を反映する。 断層の中心部では、地震時滑りが大きく余震活動が少ない。またInSARによる地表変位が大きい部分と一致する。 断層北部では余震活動が活発で、地表変位が少ないので、地震時滑りが少ないと考えられる。