日本法制史講義 I T 時代の法史学 2005年前期 6月29日⑵ 5 近世法 ⑵ 武家領主法 ① 幕府法
立花京子『信長と十字架-「天下布武」の真実を追う』(集英社新書) 5 近世法 ⑵ 武家領主法① 幕府法 織田信長朱印状(天下布武印) 立花京子『信長と十字架-「天下布武」の真実を追う』(集英社新書)
5 近世法 ⑵ 武家領主法① 幕府法 黒羽藩大関氏 豊臣秀吉朱印状 (彦根城博物館蔵)
5 近世法 ⑵ 武家領主法① 幕府法 四代家綱の寛文印知(作成例)
5 近世法 ⑵ 武家領主法① 幕府法 1 幕府法の概略 ⑴ 制定法 法令・法度・掟・定・条目・条々(←箇条書) 老中奉書 5 近世法 ⑵ 武家領主法① 幕府法 (彦根城博物館蔵) 老中奉書 1 幕府法の概略 ⑴ 制定法 法令・法度・掟・定・条目・条々(←箇条書) 将軍朱印状 黒印状 老中奉書 武家諸法度 服忌令 触
5 近世法 ⑵ 武家領主法① 幕府法 1 幕府法の概略 ⑵ 法曹法(=判例集) 御仕置裁許帳 (宝永年間) 5 近世法 ⑵ 武家領主法① 幕府法 1 幕府法の概略 ⑵ 法曹法(=判例集) 御仕置裁許帳 (宝永年間) (長崎奉行所) 犯科帳 (1666~1867、145 冊) (長崎 ? 鬼平 ! ) 裁許帳 (1702~1867、45冊) (=民事事件) 御仕置例類集 (古類集・新類集・続類集・天保類集・新々類集) 以上并武家御扶持人例書 (=武士に関する刑事判例集) 公事方御定書 問答書 地方書 (=法律書)
2 武家諸法度 20 近世法⑵ 武家領主法① 幕府法 ① 1615 元和令13条 ② 1635 寛永12 家光令19条 20 近世法⑵ 武家領主法① 幕府法 2 武家諸法度 〔第Ⅰ期〕 成立完成期 ① 1615 元和令13条 ② 1635 寛永12 家光令19条 ③ 1683 天和 (綱吉) 令 〔第Ⅱ期〕 天和令復用、歴代襲用の例 〔第Ⅲ期〕 動揺期 ④ 1710 宝永新令 ******** ******** ******** ******** ② 「文武弓馬之道、専可相嗜事」以下、 居城の新築禁止、修築の届出義務、大名間の無許可婚姻 禁止、参勤交替の義務・方法、領内政務の励行、 五百石以上の造船禁止、関所津留の新設禁止など 武将 地方官
警察行政・行刑に関する重要な書付・触書・高札類 (下巻 103条) 刑罰規定・刑事訴訟法規定 5 近世法 ⑵ 武家領主法① 幕府法 3 公事方御定書 ⑴ 制定 吉宗により享保改革の一環として制定 ←享保9 享保度法律類寄 寛保2.6 公事方御定書成立(形式的完成) 延享3.4 御定書ニ添候例書 ⑵ 内容 (上巻81条) 警察行政・行刑に関する重要な書付・触書・高札類 (下巻 103条) 刑罰規定・刑事訴訟法規定 ⑶ 性格 ① 御定書制定以後も判例の適用を妨げず ② 秘密法典 ( 秘密は有名無実 ) ③ 各条項は必ずしも抽象的・一般的な法原則ならず ④私法的規定が混在(=刑事法のみならず)
5 近世法 ⑵ 武家領主法① 幕府法 4 触 一般的な単行の制定法 御触 触書 触事 5 近世法 ⑵ 武家領主法① 幕府法 4 触 一般的な単行の制定法 御触 触書 触事 御触書 寛保・宝暦・天明・天保 集成 / 幕末御触書集成 忘れることは前提 御触も年を経候得ば忘却も致すべく哉 →同一の反復触出 ⑴制定・交付 (→次頁) ⑵適用 ①幕府の全国的支配権に属するもの 幕府法 / 将軍法 / 全国法 ②幕府御料内に限定されるもの 徳川家法
⑴ 制定・交付 田中圭一『百姓の江戸時代』(ちくま新書) 百姓が法を作らせた? 老中御用部屋 奥右筆 5 近世法 ⑵ 武家領主法 ① 幕府法 4 触 ⑴ 制定・交付 田中圭一『百姓の江戸時代』(ちくま新書) 百姓が法を作らせた? 老中御用部屋 奥右筆 合議・決定 組頭が調査・起案 老中等の政策意図 将 軍 表右筆 書 付 裁可 写作成 達 三奉行 回覧 町・村役人 大名(諸藩) ←大目付 全国法 高 札 旗本 ← 目付 家法
5 近世法 ⑵ 武家領主法 ② 藩 法 ⑴ 藩法の二面性 ① 狭義 大名が独自に定めた制定法 権力機構内で発達した法曹法 5 近世法 ⑵ 武家領主法 ② 藩 法 ⑴ 藩法の二面性 ① 狭義 大名が独自に定めた制定法 権力機構内で発達した法曹法 ② 広義 大名の支配領域(=領分)および 江戸等の屋敷内に行われる領主法 大名 家老 家臣団 地方役人 領 民(=領分) 在府・在国 京・大坂屋敷 家中法 領域法 村役人 大庄屋 転封による領知移動 !! →持ち歩かれた法
⑵ 藩の制定法 家中法 + 領域法 → 地域史 HP etc. 5 近世法 ⑵ 武家領主法 ② 藩 法 2 ⑵ 藩の制定法 家中法 + 領域法 → 地域史 HP etc. 膨大な文字情報を伝存 → 大名家文書は私物か? 公文書か? 徴税・行刑を主とする領知の記録 → 大名家中は公的存在 ! 戦国期の私的な領地支配者 近世国家の公法的領知者 憲法を持っていた !! ⑶ 藩法と幕法 ① 公儀御触がそのまま藩によって配布される場合 ② 藩が幕府の触を遵奉しない場合 ③ 本来大名に宛てられたのではない幕法を参照して藩法に
⑷ 刑法典 ① 明律系の藩刑法典 中国法の部分的継受として要注目 5 近世法 ⑵ 武家領主法② 藩 法 3 武断→文治・法治 5 近世法 ⑵ 武家領主法② 藩 法 3 武断→文治・法治 ⑷ 刑法典 ① 明律系の藩刑法典 中国法の部分的継受として要注目 熊本藩 御刑法草書 会津 刑 則 新発田藩 新 律 弘前藩 御刑法牒 和歌山藩 国 律 高知藩 海南政典 中国法典摂取の動機 刑罰体系の破綻 当時多くの藩が直面 esp 死刑・追放刑以外の刑種の模索 ←この城どこだ? →
亀山藩 議定書 その他大部分の藩刑法 ③ 折衷型の藩刑法典 5 近世法 ⑵ 武家領主法② 藩 法 4 ② 御定書を模倣した藩刑法典 5 近世法 ⑵ 武家領主法② 藩 法 4 ② 御定書を模倣した藩刑法典 亀山藩 議定書 その他大部分の藩刑法 ③ 折衷型の藩刑法典 ◇ 公事方御定書の編纂を契機 として藩刑法制定が活発に ◇ 丹波亀山城 残るは石垣のみ