第一回: バブルの崩壊と日本の財務諸表への影響 経済学研究 「日本の財務再構築」連載 第一回: バブルの崩壊と日本の財務諸表への影響 九州大学経済学研究院 産業マネジメント専攻教授 村藤 功 2005年 7月16日
目次 1-1. バブル発生と崩壊のマグニチュード 1-2. バブルとセクター別自己資本への影響 1-3. 新SNA貸借対照表資産サイドの内容 1-1. バブル発生と崩壊のマグニチュード 1-2. バブルとセクター別自己資本への影響 1-3. 新SNA貸借対照表資産サイドの内容 1-4. 新SNA貸借対照表負債正味資産サイドの内容 1-5. バブル崩壊後の資産推移 1-6. 主要4セクターの財務関係 1-7. 日本の財務再構築の方向性 アペンディックス: 日本の単純合算バランスシート
1-1.バブル発生と崩壊のマグニチュード
1-2.バブルとセクター別自己資本への影響 金融資産負債の逆鞘 マイナス約600兆円 土地下落余地 マイナス2-500兆円 偶発年金資産 マイナス約600兆円 土地下落余地 マイナス2-500兆円 偶発年金資産 プラス数百兆
1-3.新SNA貸借対照表の資産サイド 2003年末規模(兆円) 8067 2519(31%) 1236 79 住宅、住宅以外の建物、道路、橋等の構築物 1156 1284 土地は03年で65%を家計が保有 5548(69%) 1501 52%の788兆円が家計、金融機関360兆円は官民半々 1471 金融機関が92%で、うち、民間が6割、官が4割 965 国債、財投債、地方債、金融債、事法債等の国内購入分 561 2003年末の日経平均約1万円を前提 21 家計の資産 395 半分程度は売掛金等、事業会社 633
1-4.新SNA貸借対照表の負債・正味資産サイド 2003年末規模(兆円) 内訳と時価評価 帳簿価格 8067 家計に2153兆(-金融700兆+-土地2-500兆+年金300兆+) 事業法人に891兆(発行株式は501兆) 政府に96兆(年金債務計上せず) 金融機関に153兆(発行株式は111兆) 3294 4773 1524 民間金融機関に半分、財政融資特会預託金4分の1、郵貯に15% 1469 金法504兆、事法444兆、家計331兆、一般政府190兆 1012 一般政府国債等593兆、財投債含む金融304兆、事業会社115兆 628 2003年末の日経平均約1万円を前提 24 395 民間金融機関に7割、簡保等官に3割、政府の年金債務含まず 348 買掛金を含み事業会社に64%
1-5.バブル発生と崩壊後の資産推移 1.金融セクター中心の投融資: 株式バブルの崩壊を上回る政府貸出、国債投資、財政投融資の増大 1.金融セクター中心の投融資: 株式バブルの崩壊を上回る政府貸出、国債投資、財政投融資の増大 2.家計中心の土地: 価格下落の継続にもかかわらずまだ高い土地 3.民間企業、政府、公営事業の固定資産: 企業の過剰設備投資、政府の過剰公共投資による政府と公営事業体の無駄な固定資産
1-6.主要4セクターの財務関係 一般政府セクター 事業会社 金融機関 セクター セクター 家計 セクター 中央政府 地方公共団体 貸出 ③ 出口金融機関 国際協力銀行、政策投資銀行 住宅金融公庫、国民金融公庫等 中央政府 地方公共団体 石油公団、年金福祉事業団等特殊法人の一部 一般政府セクター 貸出 国債/地方債 ② 財政融資資金特別会計(元資金運用部) 年金預託金 厚生年金国民年金 ①入口金融機関 銀行 生保損保 証券会社 郵政公社:郵貯簡保 金融機関 セクター 事業会社 セクター 貸出、株式投資 財政投融資 民間事業会社 道路公団、鉄道建設公団、本州四国連絡橋公団、住宅都市整備公団等、特殊法人の一部 地方公社、地方公営企業等 住宅金融 銀行預金 保険 投信 郵便貯金/簡保 家計 セクター
1-7.日本の財務再構築の方向性 21世紀 20世紀 経営理念の変化:グローバルな自由民主主義原理へ 方法論 1.単体主義 連結主義 1.単体主義 連結主義 2.原価主義 時価主義 3.中央集権 権限の最適配分と自己責任の原則 4.フロー重視 ストック含む財務諸表作成 方法論 21世紀 20世紀 業務ポートフォリオ の最適化 業務価値 の増加 付加価値/ 使用資金の 向上 業務運営の効率化 不要投融資の処分 金融部分 の最適化 最適資本構成の実現