Part III 子どもと災害.

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Part III 子どもと災害

子どもと災害に関する事実 子どもはほぼ例外なく、災害によって情緒的な衝撃を受けます。家族の一員である子どもは、家族が受けた影響をそのまま受け止めることになります。

親、大人の親戚、医者などの大人の世話をする人は多くの場合、子どもが情緒不安定になりやすいことを忘れがちです。その理由を以下に挙げます。

なぜ子どもは忘れられがちなのか 1.大人が困惑し混乱している 2.大人の知識不足 3.子どもの行動は大人と異なる

なぜ子どもは忘れられがちなのか(続) 4.大人は子どもを守ろうとする 5.ほとんどの東西の文化において、子どもより大人を援助することが重視されている

災害における子どもへの影響は以下のことから起こります 災害後の様々な困難 災害の経験 被災者の死者や負傷者を目の当たりにすること 離別 身の上の危険

子どもと災害に関する 過去40年間の概要 これまでに人類は世界各地で思いがけない災害に会い、様々な喪失を経験してきました。子どもとトラウマに関する理解と経験を得ることになった事件のほんの一例を次に挙げます。

子どものストレスへの反応は年齢によって異なる 子どもが傷つきやすくなる要因 以前より抱える精神衛生上の問題 トラウマの前歴 トラウマにさらされる度合い 家族・友人からの援助の欠落

子どものトラウマに対する 一般的な反応 行動の変化(最も一般的) 退行(幼い行動が戻ること) 不安や恐れ 別離不安 信頼の喪失

子どものトラウマに対する 一般的な反応 (続) 子どものトラウマに対する 一般的な反応 (続) 哲学的な質問 反抗的、破壊的な行動 攻撃的な行動 身体的な問題 引きこもり

子どものストレスへの反応を理解するには、まず、通常の子どもの発達について知ることが必要です。子どもの発達は年齢によって異なります。

通常の行動と一般的な反応: 乳児(0-2歳半) 通例:乳児は、一貫して繰り返される、信頼できる世話を必要とします。 通常の行動: 正常な愛着 独立した自己同一性の発達 成長過程での様々な達成

一般的なトラウマへの反応: 0-2歳半 短気 別離不安 不健康な発育 神経過敏

私たちにできること:0-2歳半 1.主な世話の提供者をあてがう 2.一貫して接する 3.親しい人と頻繁に触れ合う

通常の行動と一般的な反応: 幼稚園児(2歳半-6歳) 通例:この期間は冒険の時期で、世界は彼らを中心に動いています。 通常の行動: 自分本位 呪術的思考 死の可逆と考える

一般的なトラウマへの反応: 2歳半-6歳 歳に伴う行動の変化 感情表現の困難 離別不安 神経過敏 感情識別の困難 睡眠障害 悲嘆反応

私たちにできること:2歳半-6歳 “今は大変だけど、そのうちいい方向に向かうよ。” “これからずっと悲しいことはないからね。”

通常の行動と一般的な反応: 学齢(6-12歳) 通例:“精通”の時期、家庭以外のところで新しいものや友達を発見する 通常の行動: 理論的思考、多様な技術 他人の視点の理解 実際の危険を理解 死の不可逆性を理解できるようになる。

一般的なトラウマへの反応:6-12歳 身体症状 不登校 退行 短気 睡眠障害 引きこもり 責任感と罪悪感 攻撃的な行動 大人の反応に用心深くなる 様々な活動に対する興味を喪失 再現の遊戯

私たちにできること(6-12歳) 大きなグループでのルールを定めた遊び 正直で事実に基づいた回答 感情を表現できる環境 安全性の再確認

通常の行動と一般的な反応: 思春期(12-18歳) 通例: 複雑な感情 仲間と性に対する覚醒 通常な行動 抽象的思考 大人より友人を好む 別離、独立に関する葛藤 身体的魅力と自尊心 死に対する成熟した理解

一般的な反応:12-18歳 大人びた、一時的な反応 攻撃 睡眠障害 体調不良の訴え うつ、不安症、心的外傷の症状 薬物乱用 自殺・危険を伴う行動 攻撃 睡眠障害 体調不良の訴え

私たちにできること:12-18歳 大きなグループでのルールを定めた遊び 自由に話せる環境 正直で事実に基づいた回答 様々な感情を表現できる環境 安全性の再確認

子どもも大人と同じように、うつ、心的外傷、不安症、その他の深刻な症状を経験することがあります。

深刻な情緒障害を持つ子ども 複雑な管理 専門的なトレーニング

心に傷を持つ子どもに対しても、ストレスを抱える一般的な子どもたちに対する介入方法と同じ、基本的な方法が有効です。

介入とは? 介入とは、地域支援をするカウンセラーやその集団が、子どもと家族の回復を促すことです

介入の例 グループ介入 個人介入

グループ介入 グループは二人以上の子ども、または子どもと大人(教師、親、親戚)の組み合わせを含む

グループ介入の例 話し合い 教育 遊戯 創造的な企画 上記の組み合わせ

介入はどこで行うか? 学校 キャンプや福祉施設 家庭 診療所、または児童専門の施設

子どもへの介入の目的 情緒反応の理解と観察 精神的支援と安全性の提供 適切な対処方法を示すことで、回復を促進

子どもへの介入の目的(続) 親の判定 親の教育 心的外傷を受けた子どもを識別 遊戯の促進 家族と子どもの交流の観察

以上の目的は、子どものための“子どもの場所”を設けることで効果的に達成されます。

“子どもの場所”によって得られること 援助、秩序、常態 小休止 教育の援助 遊戯を通しての表現 観察、重症度の判定、危険性のある子どもの紹介 大人のボランティア場所を提供

“子どもの場所”の設立 必需品 場所 簿記

遊戯のための必需品 クレヨン 紙 指人形 大きさの違う複数の人形 人の模型(兵隊など) 動物のフィギュア 床マット

遊戯のための必需品(続) ブロック 工作用具:着色布の切れ端、針、糸、テープ、毛糸、子ども用はさみ 玩具の医者用道具一式

他の必需品 箱庭、水、小さな模型と玩具 乗り物:車、トラック、ボート、電車

“子どもの場所”の近くに置く者 軽食、飲み物 教材 接触記録帳又は用紙 名前カード

場所の設置 看板 広々として利用しやすい場所 快適さ 静穏 ベビーシッター?

場所の設置(続) 3歳以下の子どもは? 年齢の違う子どもを同じ場所においてもよいか?

場所の設置(続) “子どもの場所”では、子どもと家族である大人たちも一緒に遊ぶことが勧められています

記録と登録 基本的な記録を残す 記載情報: 名前、年、家族構成 特に、子どもが経験した喪失とトラウマ

記録と登録(続) 名前カード 守秘義務

子どもと大人の適切な比率 効果的な“子どもの場所”のために:適度な人数の子どもと多くのボランティアカウンセラーをおくこと 例: 体系化されていない玩具を使った遊戯では、15-20人の子どもに対して5-8人の大人 体系化されたゲームには2-3人の大人

要員と子ども 疲労を避けるため、ボランティアは数時間のみ働くこと 子どもたちは決まった時間に来ること

要員に関する困難 “子どもの場所”がボランティアによって運営されている場合は、現実的な予定表を組むこと 例:キャンプにて、“子どもの場所”をボランティアが週三日設けて、それ以外の時は玩具を収納しておく

子どもと遊ぶ 遊びの意義 治療としての遊戯 すべきこととやってはいけないこと

遊びの意義 大人にとって仕事をすることが一般的で大切なのと同じく、子どもにとって遊ぶことが大切です。 遊戯は癒しの効果も持っています。 子どもは遊ぶことで自分を表現します。

遊びの意義(続) 子どもは遊ぶことで、問題解決の方法を学んでいきます。 他の場面では言い難いことも表現します。 人間関係について学び、関係を築いていきます。

治療としての遊び ゆっくり行う、観察する、聞く 子どもの経験を理解する “この問題をどのように解決するか”から“この子が何を経験しているのか”に思考を変える。 何かをするから子どもといるに思考を変える。

治療としての遊びとは 子どもが指揮、監督 大人は進行役 想像力豊かな架空の遊び 体系化されていない玩具を使った遊び、又は、いくつか決まりのある、若干体系化された遊び

すべきこと 子どもに場所の目的を伝える 子どもにどんなことも話すように促す 観察 聞く 思いやりをもつ 子どもが望むように遊びに参加する 子どもが行き詰った場合は、制約のない遊びを提案する

やってはいけないこと 子どもがトラウマについて話したくなさそうなときは、決して無理強いしないこと 助言をしない 子どもの遊びを直さず、偏見なく理解していく