大阪市立大学数学研究所 孝森洋介 共同研究者: 大川、諏訪(京大基研)、 高本(京大理)

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大阪市立大学数学研究所 孝森洋介 共同研究者: 大川、諏訪(京大基研)、 高本(京大理) 定常パルサー磁気圏の 数値解法について 大阪市立大学数学研究所  孝森洋介 共同研究者: 大川、諏訪(京大基研)、   高本(京大理) 2011/6/7 竹原研究会

パルサーとは? 規則正しい自転周期(秒~ミリ秒) 強い磁場(10^9-12G) 質量降着 → X線パルサー 回転駆動 → 電波パルサー 強い磁場をもつ中性子星。中性子星は太陽程度の質量を もつ半径10kmほどのコンパクトな天体。 規則正しい自転周期(秒~ミリ秒) 強い磁場(10^9-12G) 質量降着 → X線パルサー 回転駆動 → 電波パルサー 磁場で回転にブレーキをかけ 回転エネルギーを放射エネルギー に変えている。 磁場構造が大事! X線衛星チャンドラがとらえた かに星雲パルサー 2011/6/7 竹原研究会

パルサー磁気圏(想像図) 対称軸 赤道 こういう磁気圏がMaxwell理論の解としてあるのか? (Goldreich & Julian, 1969) こういう磁気圏がMaxwell理論の解としてあるのか? 2011/6/7 竹原研究会

発表内容 1. 定常フォースフリーパルサー磁気圏 ・Grad-Shafranov (GS) 方程式 ・light cylinderの取り扱い 2. 定常パルサー磁気圏の数値解法(CKF法) 3. 定常パルサー磁気圏の数値解法(ポロイダル電流固定)  ・GS方程式の分解  ・トロイダル電流変化法  ・Preliminary results 4. まとめと今後の課題 2011/6/7 竹原研究会

定常軸対称force-freeパルサー磁気圏 基本量 :磁束   :全電流    :磁力線の角速度   中性子星 force-free(Lorentz力をゼロ)近似を用いる。 電流は磁力線に沿って流れる。 定常・軸対称を課すと、電磁場は3つの基本量で 記述される。 2011/6/7 竹原研究会

Grad-Shafranov方程式 楕円型の準線形偏微分方程式。 Light Cylinder(LC)とよばれる特異面を持つ。( ) 2011/6/7 竹原研究会

GS方程式を数値的に解く 対称軸 数値境界 GS方程式が特異になる 場所。ここの取り扱いを 考える必要がある。 数値計算領域 赤道 LC 星表面 赤道 2011/6/7 竹原研究会

Light Cylinder正則条件 の場合を考える。 (パルサーの場合、磁力線はパルサーと共に剛体回転 しているだろう。)          の場合を考える。 (パルサーの場合、磁力線はパルサーと共に剛体回転 しているだろう。) からLCの位置が分かる。 LC上の正則条件 LC上の    を決める式(Neumann境界条件)になる。 2011/6/7 竹原研究会

GS方程式の境界条件 Ⅰ Ⅱ 対称軸 Ⅰ、Ⅱそれぞれの領域で GS方程式を独立に解ける。 一般的に得られる解はLC で滑らかではない。 赤道 Neumann境界条件 Ⅰ、Ⅱそれぞれの領域で GS方程式を独立に解ける。 一般的に得られる解はLC で滑らかではない。 LC Ⅰ Ⅱ 星表面 赤道 2011/6/7 竹原研究会

GS方程式の数値計算(CKF法) 対称軸 CKF’s idea Light Cylinder上の正則条件 を決める式だと思う。 赤道 (Contopoulos, Kazanas & Fendt 1999) 対称軸 CKF’s idea Light Cylinder上の正則条件 を決める式だと思う。 LC 星表面 赤道 2011/6/7 竹原研究会

境界条件とCKF法 Ⅰ Ⅱ 数値境界 CKF法 Ⅰ、Ⅱそれぞれの領域で GS方程式を独立に解く。 得られた解とLC条件から 新しい を作り再び GS方程式を解く。 この手順を繰り返す。 LC Ⅰ Ⅱ 星表面 LCより外側の赤道に電流が流れている。 2011/6/7 竹原研究会

パルサー磁気圏(CKF解) 対称軸 LC 赤道 磁束一定線 2011/6/7 竹原研究会

パルサー磁気圏(CKF解) “ポロイダル電流” 2011/6/7 竹原研究会

その後の研究状況 ・Ogura&Kojima(2003) CKFと同じ境界条件。CKFより高い解像度。 ・Gruzinov(2005)  パルサー遠方の境界条件はラディアル磁場。 ・Timokhin(2006)  Gruzinovと同じ遠方境界。赤道のcurrent sheetの  内縁の位置をいろいろ変えて計算。 2011/6/7 竹原研究会

Gruzinov(2005) 遠方の境界条件はちがうけどポロイダル電流も含めて CKF解とほとんど同じ。統一的な理解ができないか? 磁束一定線 遠方の境界条件はちがうけどポロイダル電流も含めて CKF解とほとんど同じ。統一的な理解ができないか? 2011/6/7 竹原研究会

発表内容 1. 定常フォースフリーパルサー磁気圏 ・Grad-Shafranov (GS) 方程式 ・light cylinderの取り扱い 2. 定常パルサー磁気圏の数値解法(CKF法) 3. 定常パルサー磁気圏の数値解法(ポロイダル電流固定)  ・GS方程式の分解  ・トロイダル電流変化法  ・Preliminary results 4. まとめと今後の課題 2011/6/7 竹原研究会

GS方程式の分解 Maxwell方程式とforce-free条件に分ける。 Ampereの法則 force-free条件 磁束  に関して独立な楕円型の式が2つ。 トロイダル電流   も独立変数にして、2つの楕円型 の式を満たす      の組を見つけよという問題に する。式の中にLCの特異性はない。  が固定できる。 2011/6/7 竹原研究会

数値計算の方針 ・・・① ・・・② 解く式とトロイダル電流を与える式に分けてイテレーションをする。 ・「②でトロイダル電流を与え①を解く」ということを繰り返す。 LCの内側だけを数値領域にとると収束する。 ・「①でトロイダル電流を与え②を解く」ということを繰り返す。 LCの外側だけを数値領域にとると収束する。 2011/6/7 竹原研究会

トロイダル電流切り替法 双曲関数やガウス関数を使い、LC内側、LC外側、LC上で それぞれうまく収束しそうなトロイダル電流に切り替える。 新しいトロイダル電流を与える方法 は定数。 双曲関数やガウス関数を使い、LC内側、LC外側、LC上で それぞれうまく収束しそうなトロイダル電流に切り替える。 2011/6/7 竹原研究会

双曲関数&ガウス関数 新しいトロイダル電流の例(1次元) 青: 緑: 赤: 2011/6/7 竹原研究会

イテレーションの流れ図 1. 試験電流 を与える。 2. 試験電流をもとに①を解く。 3. ②式から新しい電流 を得る。 ・・・① ・・・② 1. 試験電流 を与える。 2. 試験電流をもとに①を解く。 3. ②式から新しい電流 を得る。 4.新しい電流で①を解く。 このステップをAmpereの法則とforce-free条件が同時 に満たされるまでくり返す。 2011/6/7 竹原研究会

“ポロイダル電流” 3次関数でモデル化 は定数。 CKF Gruzinov 2011/6/7 竹原研究会

“ポロイダル電流(CKF)” 2011/6/7 竹原研究会

パルサー磁気圏 対称軸 LC 赤道 磁束一定線 2011/6/7 竹原研究会

パルサー磁気圏(遠方まで) 対称軸 LC 赤道 磁束一定線 2011/6/7 竹原研究会

トロイダル電流 対称軸 赤道 トロイダル電流一定線 2011/6/7 竹原研究会

“ポロイダル電流”(Gruzinov) 2011/6/7 竹原研究会

パルサー磁気圏 対称軸 LC 赤道 磁束一定線 2011/6/7 竹原研究会

パルサー磁気圏(遠方まで) 対称軸 LC 赤道 磁束一定線 2011/6/7 竹原研究会

トロイダル電流 対称軸 赤道 トロイダル電流一定線 2011/6/7 竹原研究会

まとめ 今後の課題 ・ポロイダル電流を固定して、定常軸対称force-free系の 数値解を得るための数値手法を考えた。  数値解を得るための数値手法を考えた。 ・3次関数でモデル化したポロイダル電流でCKFとGruzinov、  Timokhinの境界条件でそれぞれ数値解を得た。 今後の課題 ・得られた解の考察。 ・Timokhin(2006)のように赤道の境界条件を変えてみる。 ・3次関数以外のポロイダル電流。 ・磁場の角速度一定をやめる。 ・ブラックホール磁気圏にも適用。 2011/6/7 竹原研究会