『200万都市が有機野菜で自給できるわけ』 Ⅲ 緑の都市を目指して

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『200万都市が有機野菜で自給できるわけ』 Ⅲ 緑の都市を目指して 『200万都市が有機野菜で自給できるわけ』 Ⅲ 緑の都市を目指して 3.キューバの交通革命 4.原発から自然エネルギーへ 5.経済危機を逆手に取った環境教育へ 06A2066A 小林佑子

3.キューバの交通革命 <自動車天国だった首都ハバナ> 首都ハバナは観光用タクシーが、郊外などは無数の馬車など 野菜食のように自転車に乗る習慣は無かった 地下鉄・市電はなく車が主流で自転車禁止の動きさえあった 1960年代にソ連製の自動車輸入も、燃費が悪く排気ガスが市内に蔓延し健康を害した

<中国から100万台の自転車を緊急輸入> 1990年に経済危機対策としてエネルギー備蓄のための規制を行う→ガソリン配給量カットでバスが減り交通麻痺に(通勤通学の足が無い) 代わりとして中国から120万台自転車を購入 1991年5月に軍が自転車に乗るパレード開催 1995年レポート「車の台数が4年前の3分の2に。自転車工場が国内に5つ。自転車の数は40倍に。」 1997年レポート「通勤・物資の輸送に自転車が使用されている。」

<工員や市民のアイデアで乗りやすく改良> ◎キューバの交通革命の経過 1991年から97年までで自転車の数は200万台増加した 制限速度引き下げ、標識除去など自動車道路を自転車のために整備 部品を国産化し自転車の軽量化を図る→そのために工場工員に自転車支給

自転車での事故や自転車の盗難を防止するために対策も行う 93年には首都の全交通量の30%を占めるように 積荷用のトラックの代わりにオート三輪を輸入 こうした交通の転換で年間計5億5千万ドルの経費節減と推計 市民が自転車に乗ることを楽しむ

<景気回復しても自転車は捨てない> 景気回復後も政府は自転車を重視し、1996年に「自転車委員会」を設置 今も年間10万台のペースで国内生産が続く 自転車走行のための排気ガス対策が必要→古い米製車を将来的には廃車に 自転車通勤の負担を減らすために通勤圏内を狭める、またバスを改良し自転車専用の乗り合いバスを考案 カストロ「自転車使用は暮らしの質を改善」

<完成しなかった幻の原発> ◎キューバ原子力開発の歴史 革命以前はアメリカから原発建設援助の提案→1960年に革命のため破談 1976年ソ連と核動力炉建設の協定締結→1993年に稼動予定だったがソ連崩壊により計画頓挫

◎計画頓挫までの流れ 脅威と感じたアメリカが各国からの資金援助を阻止(キューバ原発の安全性への不安を喧伝など) 1992年9月に建設中止 国内の電力のほとんどを輸入石油でまかなっていたため、経済危機の際は電力不足に 92年7月からは1日10時間の停電が→しかし病院には電力を集中させた 94年にはほぼ一年中停電状態に→医療機関でもろうそくの使用 計画頓挫までの流れ

<自然エネルギーへの方向転換> カストロは自然エネルギー開発を選択 バイオマス…サトウキビが原料、国内エネルギー需要の30%をまかなう 水力…小河川を利用、93年から発電所建設、受益者3万人のうち2万5千人は電線が引けない集落に在住 風力…海岸地域の風力利用、揚水用の風車も再利用、現在9000台が稼動

<ソーラーで動く村の診療所> ソーラーエネルギーを電化されていない世帯の診療所、農家等に利用

<山村の2,000校をソーラーパネルで電化に成功> 山村の小学校3000校のうち約2,000校が電化達成 2000年に計画は始動し1年間で1,994校にソーラーパネル設置 システムの導入や使用方法の普及はNPOと太陽電池企業がチームを組み指導 2002年からはソーラーパネル新設による学校へのコンピューター設置を目標に掲げた 現在ソーラーパネルは2400個以上

<太陽は経済封鎖できない> ソ連の衛星技術導入、1984年の工場設立がソーラー技術の始まり ソーラーセルの技術は石油系の多国籍企業に独占→高価格に キューバでは、こうした先進国のエネルギー独占による覇権に対抗するため、 ソーラーセル等の自国生産にこだわりそれを武器にしようとしている

<持続可能な開発の実験場> ◎他国からの声 資金不足の中、技術や知識を蓄え、再生可能なエネルギーに関しては驚くほど進展している キューバの人は他国のエネルギー源に依存することの危険性を理解している

5.経済危機を逆手に取った環境教育へ <ラブレターを書くために―識字運動の展開> キューバは教育を受ける権利が憲法にも明記され、幼稚園~博士課程まで無料 かつては国民の四割が読み書きが出来なかった 1959年、カストロは革命後に「教育改革法」を制定

1960年12月から「識字運動」…職のない教師や有志学生が指導 その結果、非識字率は25%→4%まで下がる 識字運動で歌われた歌「読み書きを習って、愛の言葉を書きましょう」

<障害者教育から生涯教育まで、恵まれた教育環境> 現在は識字率約100%、人口1100万人のうち50万人以上が大卒 働く女性のために幼児をデイケアセンターで預かる→勉強、食事、医療が無料で提供されている 義務教育は中学まで、高校は自ら選んだ専門分野の技術を学ぶことが出来る

大学は各州ごとに50存在、医学校含め大学も無料 成人向けの生涯学習も無料 障害者教育も幼児期から専門家から受けられるなど充実している しかし経済危機により教育予算の大幅な減少

<経済危機を逆手に環境教育へシフト> ソ連崩壊後も学校を1つも閉鎖させなかった 逆境を逆手に取り、教育科目に有機農業・自然エネルギーなどを取り上げた 1961年から行われていた学校菜園等の農業教育に環境教育を加えた。 リオの環境サミット以前から環境教育に取り組んでいた 世界的な環境教育の始動は1974年の会議から

<子供の創造性を引き出す環境クラブ> 小学校の授業に植林活動 キューバ教育の特色は、学習と労働を結びつける点 学内に環境クラブが存在、活動は意見交換や、自然保護の歌を作って環境番組で紹介など

<省エネ運動も環境教育に生かす> 節電も授業に取り入れる 環境クラブの子供たちによる節電の運動…余計な電気を消して回るなど 環境教育のテキストには、挿絵などで子供たちが参加している

<感想> 現在の日本のエネルギー問題と比較したときに、「キューバの人は他国のエネルギー源に依存することの危険性を理解している」という意見が印象に残った。日本ではエネルギー資源を十分に輸入できる状態だからこそ、枯渇性資源をめぐって今後ますます激しくなりそうな各国間の争いに危機感を感じにくいのかもしれないと考えた。 また、小学校低学年からの環境教育の導入は日本でも取り入れるべきではないかと思う。