千葉県周産期医療ネットワーク・コーディネータ導入の実績 「たらいまわしゼロを目指して」

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千葉県周産期医療ネットワーク・コーディネータ導入の実績 「たらいまわしゼロを目指して」 千葉県医師会勤務医部会  2009年2月 千葉 千葉県周産期医療ネットワーク・コーディネータ導入の実績 「たらいまわしゼロを目指して」 千葉県産婦人科医会理事 鈴木 真

印旛 東葛北部 東葛南部 香取海匝 千葉 市原 夷隅長生山武 君津 ■:総合周産期母子医療センター ■:地域周産期母子センター 東邦大学医療センター佐倉病院 日本医科大学千付属葉北総病院 成田赤十字病院 東葛北部 東京慈恵会医科大学付属柏病院 松戸市立病院 東葛南部 社会保険船橋中央病院 順天堂大学順天堂浦安病院 東京歯科大学市川総合病院 東京女子医科大学八千代医療センター 香取海匝 国保旭中央病院 千葉 千葉大学医学部付属病院 千葉市立海浜病院 市原 帝京大学ちば医療センター 夷隅長生山武 該当施設なし 二次医療圏ごとに母体搬送受入施設(周産期センターおよび同クラス病院)を決定 君津 君津中央病院 ■:総合周産期母子医療センター ■:地域周産期母子センター ■:センタークラス病院 安房 亀田総合病院

母体搬送発生時の搬送先決定方法 同一医療圏内の 周産期センターもしくは 同クラス病院 母体搬送発生 周産期コーディネータ

母体搬送照会依頼時記入用紙 妊娠週数 診断名 症状 性器出血 子宮収縮 経産回数 妊娠分娩既往

分娩取扱病院の診療状況の調査 例 亀田総合病院 分娩取扱病院の診療状況の調査 例 亀田総合病院 ○  ヘリポート  救命救急センター  CCU  ICU 9  NICU(病床数) 6  MFICU(病床数) 集中治療施設について 総合 周産期母子医療センター ○  24時間輸血供給体制完備  24時間麻酔科管理の手術可能 手術室態勢について  輸血拒否症例  産褥期多量出血・DIC  脳出血などの脳外科疾患  精神疾患 母体合併症の受入れについて なし 母体搬送受入週数制限

母体搬送発生時の搬送先決定方法 コーディネーター 母体搬送症例の診療情報を確認したのち、その情報をもとに周産期母子医療センタークラス施設に搬送受入を照会する 受入先決定 の連絡

千葉県における母体搬送受入れ状況 (2008年6~10月 370件) ■ 医療圏内 247 件 (67.0%) ■ 医療圏外(県内) 117 件 (31.6%) ■ 県外 5 件 ( 1.4%) ■ 県外から県内へ 9 件 コーディネータ仲介 41 件 (12.7%) ドクターヘリ搬送 5 件 ( 1.4%)

コーディネート依頼数(月別) 事業開始後徐々に増加し。10月は15件(総搬送数の%)に達しています。 今回の集計外ではありますが、11月は11件ありました。

母体搬送時妊娠月齢 ■ コーディネータ関与例      (2008年6月~10月分) ■ 母体搬送(2008年10月分)

搬送先決定に要した時間 (2008年6~10月 41件 不明7件) 最長87分 (2008年6~10月 41件 不明7件) 7例の不明を除いた、34例中の搬送先決定に要した時間が15分未満のものは7例、20%、30分未満を加えると26例、76%が短時間で決定され、30分を超えるものは1/4であった。 最長87分

まとめ 母体搬送受入病院として2次医療圏ごとに周産期センターおよび同クラス病院を設定し、各々の診療体制を明らかにしたことにより受入先の照会が円滑に行えた。 照会先の先生方に正しい情報を伝えるために、母体搬送情報記入用紙を作成し、適宜追加、変更を加えている。

まとめ 千葉県における母体搬送は2008年6月より10月までに370件、月平均74件であった。この間のコーディネータ依頼数は41件、12.7%であった。 コーディネータへの依頼件数は徐々に増加していた。また依頼時妊娠月齢ごとでは妊娠9ヶ月以降になるとその割合は低下した。 搬送先決定に要した時間は3/4が30分以内であり、迅速な対応が可能であった。 これまでのデータの蓄積から千葉県における母体搬送数は月60~80件と推測され、搬送の受け入れ状況は地域により差があるが平均すると2/3が2次医療圏内で収容されています。 一方県外への母体搬送は神奈川県10%、埼玉県30%と報告されていいます。 今回お示ししませんでしたが、千葉県では10年前には12.5%でありました。しかし、今回の調査では1.3%と低下しており、これは千葉県の周産期医療に携わる方々の努力の賜物であると考えています。

考察 コーディネータによる母体搬送先照会システムは徐々に認知されているが、依頼例は2次医療圏外搬送例の1/3に留まり、さらに周知する必要がある。 搬送先決定に要する時間は3/4が30分以内であったが、1時間以上を要する症例があり、時間を短縮する方策が必要である。

結 語 千葉県母体搬送システムにおけるコーディネータによる搬送先照会業務の追加により搬送元、受入可能病院の業務負担が軽減され、また迅速な母体搬送先の決定が可能となった。 一方、未だ本システムの周知が徹底されていない可能性があり、さらなる広報が必要であると考えられた。