多変数関数の積分(6/3~24) 重積分(2重積分) 第6章(§5は除く) 重積分の定義 「連続関数は積分可能」

Slides:



Advertisements
Similar presentations
Absolute Orientation. Absolute Orientation の問題 二つの座標系の間における剛体 (rigid body) 変換を復元す る問題である。 例えば: 2 台のステレオカメラから得られた3次元情報の間の関 係を推定する問題。 2 台のステレオカメラから得られた3次元情報の間の関.
Advertisements

Division of Process Control & Process Systems Engineering Department of Chemical Engineering, Kyoto University
1 線形代数学. 2 履修にあたって 電子情報システム学科 必修 2005 年度1セメスタ開講 担当 草苅良至 (電子情報システム学科) 教官室: G I 511 内線: 2095 質問等は上記のいずれかに行なうこと。 注意計算用のノートを準備すること。
1 微分・ベクトル解析 (4) 講師:幹 浩文( A314) TA :西方良太 M 1 ( A305 ) A 1 03 ( 10 : 50~12 : 20 ) 【金】 https://
1. 補間多項式 n 次の多項式 とは、単項式 の 線形結合の事である。 Definitions: ( 区間, 連続関数, abscissas (データ点、格子点、差分点), 多項 式 ) Theorem. (補間多項式の存在と一意性) 各 i = 0, …, n について、 をみたす、次数が高々 n.
0章 数学基礎.
第1回 確率変数、確率分布 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
情報処理演習 (9)グラフィックス システム科学領域 日浦 慎作.
第5章: 偏微分の応用(§3~§5) 極大・極小の判定 陰関数定理 (平面曲線) 条件付き極値、特にラグランジュの乗数法 (最大・最小)
・力のモーメント ・角運動量 ・力のモーメントと角運動量の関係
近似アルゴリズム 第10章 終了時刻最小化スケジューリング
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 6/5講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
確率・統計Ⅰ 第11回 i.i.d.の和と大数の法則 ここです! 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均
プログラミング論 数値積分
円筒座標をやる前に 復習をします。 1.三角関数の復習(高校数学) 2.2次元極座標の復習(高校の数学B) 3.円筒座標の復習(前期)
スペクトル法による数値計算の原理 -一次元線形・非線形移流問題の場合-
統計解析 第9回 第9章 正規分布、第11章 理論分布.
次に 円筒座標系で、 速度ベクトルと加速度ベクトルを 求める.
第3章 重回帰分析 ー 計量経済学 ー.
第3章 重回帰分析 ー 計量経済学 ー.
線形代数学 4.行列式 吉村 裕一.
確率・統計輪講資料 6-5 適合度と独立性の検定 6-6 最小2乗法と相関係数の推定・検定 M1 西澤.
応用統計学の内容 推測統計学(inferential statistics)   連続型の確率分布   標本分布   統計推定   統計的検定.
透視投影(中心射影)とは  ○ 3次元空間上の点を2次元平面へ投影する方法の一つ  ○ 投影方法   1.投影中心を定義する   2.投影平面を定義する
慣性モーメントを求めてみよう.
需要の価格弾力性 価格の変化率と需要の変化率の比.
電気回路学Ⅱ エネルギーインテリジェンスコース 5セメ 山田 博仁.
(ラプラス変換の復習) 教科書には相当する章はない
電気回路Ⅱ 演習 特別編(数学) 三角関数 オイラーの公式 微分積分 微分方程式 付録 三角関数関連の公式
10. 積分 積分・・確率モデルと動学モデルで使われる この章は計算方法の紹介 積分の定義から
シミュレーション演習 G. 総合演習 (Mathematica演習) システム創成情報工学科
第6章 カーネル法 修士2年 藤井 敬士.
第3回 確率変数の平均 確率・統計Ⅰ ここです! 確率変数と確率分布 確率変数の同時分布、独立性 確率変数の平均 確率変数の分散
第4章 組合せ論理回路 (4) Quine McCluskeyの方法.
3. 可制御性・可観測性.
確率・統計Ⅰ 第3回 確率変数の独立性 / 確率変数の平均 ここです! 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均
数値積分.
プログラミング論 II 2008年吉日 主成分分析 数値積分
電磁波 アンテナ.
応用統計学の内容 推測統計学(inferential statistics)   連続型の確率分布   標本分布   統計推定   統計的検定.
電磁気学C Electromagnetics C 5/28講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
情報理工学系研究科 数理情報学専攻 数理第四研究室 博士三年 指導教員: 駒木 文保 准教授 鈴木 大慈 2008年8月14日
Curriki原典
6. ラプラス変換.
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 6/30講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
デジタル画像とC言語.
変換されても変換されない頑固ベクトル どうしたら頑固になれるか 頑固なベクトルは何に使える?
パターン認識特論 担当:和田 俊和 部屋 A513 主成分分析
9.通信路符号化手法1 (誤り検出と誤り訂正の原理)
平面波 ・・・ 平面状に一様な電磁界が一群となって伝搬する波
本時の目標 いろいろな立体の体積を求めることができる。
資料 線型変換のイメージ 固有値、固有ベクトル 平賀譲(209研究室) 資料
第3章 線形回帰モデル 修士1年 山田 孝太郎.
A02 計算理論的設計による知識抽出モデルに関する研究
円線図とは 回路の何らかの特性を複素平面上の円で表したもの 例えば、ZLの変化に応じてZinが変化する様子 Zin ZL
原子核物理学 第7講 殻模型.
プログラミング言語論 第10回 情報工学科 篠埜 功.
半正定値計画問題(SDP)の 工学的応用について
確率論・数値解析及び演習 (第7章) 補足資料
第22回講義の要点 断面諸量 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
数値解析 第6章.
電気回路学Ⅱ 通信工学コース 5セメ 山田 博仁.
Cプログラミング演習 ニュートン法による方程式の求解.
ベクトル関数の回転(カール、ローティション)
情報数理Ⅱ 第10章 オートマトン 平成28年12月21日.
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 6/7講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
アルゴリズム ~すべてのプログラムの基礎~.
8.2 数値積分 (1)どんなときに数値積分を行うのか?
Time Reversal E-Text: pp.80-83(PDF: pp.49-50) FM08002 太神 諭
固体→液体 液体→固体 ヒント P131  クラペイロンの式 左辺の微分式を有限値で近似すると?
Presentation transcript:

多変数関数の積分(6/3~24) 重積分(2重積分) 第6章(§5は除く) 重積分の定義 「連続関数は積分可能」 重積分(2重積分)  第6章(§5は除く) 重積分の定義 積分領域が長方形の場合(§1) 一般の積分領域の場合(§2) 「連続関数は積分可能」 累次積分(重積分の具体的な計算方法) 積分の変数変換(§4)

重積分(導入:1変数関数の積分) 1変数の場合:定積分=面積 体積の計算(高校数学) x 方向に垂直な断面の断面積 S(x) の積分 特に:回転体の体積: 半径が f (x) の円を断面とする立体:

重積分(導入): リーマン積分 1変数の場合、x 方向を分割し、各小区間では面積を長方形近似してその極限を考えた。(長方形の面積=縦×横は所与) 2変数(重積分)の場合、直方体で体積を近似してその極限を考える。 何が難しいか 底面(=領域 A)の形がすでに多様。(§2) 極限の取り方の自由度が大きい。

話の道筋 (§1、2) 重積分: 積分領域が長方形の場合 重積分: 積分領域が一般の場合 話の道筋 (§1、2) 重積分: 積分領域が長方形の場合 定義: (6.1.3), (6.1.4) ... ダルブー和による定義 「連続関数は重積分可能」(定理 6.1.5) リーマン和への一般化 (6.1.6), (6.1.7) 累次積分 (6.1.8) 重積分: 積分領域が一般の場合 準備: (6.2.1)~(6.2.4) 定義: (6.2.5) 「連続関数は重積分可能」(定理 6.2.6) 累次積分 (6.2.7) 重積分の性質 (6.2.8)

重積分の定義 (6.1.4) 長方形領域 分割:  (下ダルブー和) (上ダルブー和) 「積分可能」 分割 P を細かくしたとき      

重積分の定義 (6.1.7) リーマン和: 一般に次の関係が成り立つ したがってリーマン和が定数に収束するなら積分可能 (命題 6.1.7) (このほうが普通の積分の定義)

長方形領域での重積分 例として、f (x,y) = xy の領域 [0,1]×[0,1] での積分を考える。(板書) これが累次積分: によって計算できることは先週見た。

重積分の記法 重積分 累次積分

定理 (6.1.5), (6.2.6) 定理: 「連続関数は積分可能」 連続関数に関する次の2つの定理が基礎 定理 (6.1.5), (6.2.6) 定理: 「連続関数は積分可能」 連続関数に関する次の2つの定理が基礎 定理 (5.7.9) (最大最小定理) 連続関数は有界閉集合上で最大値・最小値をとる。 定理 (6.1.2) (一様連続定理) 連続関数は有界閉集合上で一様連続である。

一般の積分領域(概要) 上下が連続関数で区切られたものを考える。 A を覆う長方形を考え、その中で とする。f* は境界上では不連続だが、極限ではその影響は 0 に収束する。

面積 (6.2.1) 点集合 A に対し、 右の DA をその 定義関数(ないし特性関数)という 面積  (6.2.1) 点集合 A に対し、 右の DA をその 定義関数(ないし特性関数)という DAが積分可能なとき A は「面積を持つ (面積確定)」という 要するに、高さ1の立体により面積を定義したことにあたる。 DAは連続関数ではないから、積分可能とは限らない。積分不能なら面積が存在しない。

面積 ⇒ 積分 領域: は面積確定 (6.2.3) A での積分は: を長方形領域で積分したものとして考える 領域: は面積確定 (6.2.3) A での積分は: を長方形領域で積分したものとして考える f *(x,y) は A の境界上では不連続:極限をとればその影響は無視できる。(6.2.6) 累次積分による計算 (6.2.7)

積分問題の解法 積分領域 A, 被積分関数 f (x,y) を決める A を の形で表す。 応用問題ではここが一番重要、かつ中心的 ここも実際には結構問題 x, y のどちらを主変数にとるかを考える 1つの領域で表せない場合は適宜分割する 対称性なども考慮して計算を簡単にする

積分領域の表し方 実際には与えられた積分領域 A を、累次積分できる形にどう表すかは問題 最後の場合、 の等高線を求める必要がある。 例:                    等々 最後の場合、 の等高線を求める必要がある。

累次積分の計算 内側の積分は、x を定数として y による積分を行う。一般には上下端にも x が出てくることに注意。 その結果は x の関数 S(x) なので、それを x について積分する。 S(x) は「断面積関数」にあたる。

累次積分の計算(2) 計算の場でも、対称性などをうまく利用する、領域を分割するなどで計算が楽になる。 x→y の順で積分するか、 y→x の順で積分するかにより、計算量がかなり違う場合がある。 それどころか、順序を変えると(初等関数の範囲で)計算できない場合もある。 (教科書 p.224 の例 4) 参照)

Matlab による積分の計算 定積分・重積分(累次積分) >> syms x y; >> f = x*y; % 被積分関数 >> int(f, x) % 不定積分 >> int(f, y, 0,1) % 定積分 >> int(ans, x,0,1); % 重積分 >> int(int(f,y,0,1),x,0,1); % 一度にやる場合 ただし、関数によっては必ずしも計算できるとは限らない。

積分の変数変換  (6.4.1), (6.4.2) 一般には、x=x(u,v), y=y(u,v) で変換の ヤコビアン(ヤコビ行列式)を とすると、 (6.4.3) は極座標の場合:

積分の変数変換(2) 「面積要素」: なぜ絶対値がつくか? xy 座標系で縦横 dx, dy の長方形の面積 ⇒ uv 座標系では(1次近似で)平行四辺形   その面積比が |J(u,v)| なぜ絶対値がつくか? 「面積」だから(非負値をとる)...... なんだけど... J の符号は座標系の「向き (orientation)」に対応  ⇒ 鏡像かそうでないか  (行列式 det の符号は、変換の向きを表す)

積分の変数変換(3) なぜ絶対値がつくか?(続き) 向きを考えれば、 とすべき 向きを考えれば、          とすべき ただしこれは普通の積ではなく、 「外積」と して扱う必要がある 1変数の積分の                も、       という座標系の反転として考えることができる

変数変換を行う場合 積分領域 D が簡単な形になる。 被積分関数 f (x, y) が簡単な形になる。 その両方。 具体例は以下に記すほか、板書で示す。 また補足資料も参照。

変数変換の例(1): 線形変換 例えば積分領域 A が |x|+|y|≦1 の場合 領域の境界は              の4直線 したがって             といった変換が有効

変数変換の例(2): 極座標 底面の半径が a、高さが b の直円錐の体積を求める(回転体の体積でもできるが) 変数変換の例(2): 極座標 底面の半径が a、高さが b の直円錐の体積を求める(回転体の体積でもできるが)   側面は                 を z 軸を中心に回転したもの

広義積分 積分領域が無限に広がる (6.3.1) 被積分関数 f (x,y) が∞に発散する (6.3.3) いずれの場合も、有限の範囲での積分の極限が収束すれば広義積分が存在 重積分・広義積分の有効な例 (6.4.4)